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賛美歌へのカウントダウン
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騒ぎを聞きつけた、井上、マイケル、松田、奏が走ってこちら側に来る。奏は「蘭くんにまた何かしたんか!」と声を荒らげるが、メアリーは「何人来ようがおなじことよ」と堂々とした立ち振る舞いを披露する。一通り泣き終わった蘭は、戦闘ができるほどの気力がもう無いのか、こてん、と床に寝転び、固まっていた。「………」固まる蘭に、「決めたなら最期までちゃんとせんかい!!!」と宇津田姫が胸ぐらを掴み、喝を入れる。「…………何も上手くいかない…………」と明らかに低い声のトーンで呟く蘭に、宇津田姫は「…は、弱々しくて見てられんな。最初みたいに殺しにかかって来ぃや」と蘭を少し心配しながら揺さぶった。「…」蘭は黙り、俯くばかり。宇津田姫は「私は言うたからな」と言い、蘭を突き飛ばす。宇津田姫、ジナ、井上、マイケル、松田、奏、が一度にメアリーを睨む中、ジュデッカはメアリーの側につき、どちらにもつかない後方で一人の少女が見守っていた。メアリーは、「あら、貴方は私についてくれるの」とジュデッカに問いかける。ジュデッカは、「嗚呼、Mが死ねば構わない。一人ではしんどいだろう」と応えた。黒濤も息を荒らしながら、「なんの騒ぎですか!???」と駆け寄っては、「戦争だよ」とジナは応えた。予想外の応えに、黒濤は「戦争!??」と目を見開く。「メアリー・ガーウィン、貴様は自分の悪行を理解しているか」ジナの言葉に、メアリーは「いいえ、私の全ての行動は悪行ではないわ!」と断言した。「全力を持って貴方達全員、潰しに行くから覚悟しなさい」と言っては、片目を再び光らせ、「私を許しなさい!!!!!!!!!」と叫んだ。が、効かない。メアリーが「どうしてよ!?」と叫ぶ間に、井上が「蘭を余計な事に巻き込んで!」と叫び、弾丸を放つ。松田は「…御前が全ての元凶か、!」と叫んだ後、メアリー一点を狙い、銃を乱射した。マイケルは、「Mより御前が悪い」と、メアリーの頭上のシャンデリアに向かって、バズーカを放ち、メアリーとジュデッカがいる場所を分断した。が、ジュデッカは高く飛びながら、一目散に奏に向かう。蹴り、殴り、「Mを俺に殺させてくれ」迫りながら、華麗に避ける奏の首を絞めた。「ぅ゙ぅう、」奏は言葉にならない声を上げる。「…………めろ」蘭が立ち上がり、「やめろ、」とジュデッカに叫んだ。「奏に手を出していいのは俺だけだ!」と言っては、呼吸をした後、「Mの正義の名の元に、全ての悪は許さず、一刀両断、!!!!!!!!!!」と、少しアレンジを加えつつも、父とおなじポーズを取り、シンクロする。ジュデッカが「貴様………」と蘭を見て呟いては、蘭は銃を天に掲げ…………。「無駄よ」そんなとき、こつん、こつんとヒールの音を鳴らしながら《魔女》が近づいてきた──。『誰だ貴様は』蘭とジュデッカの声が重なり、奏は解放される。「墓守の魔女(アンダーテイカー)───!」ジナの目が見開かれる。少女はシャンデリアの後ろに回ると、何も言わず、「貴女の催眠がかかった人間は、M以外全員解除しておいたわ」そう言っては、少女は「私はブラックボア。死者の眠りを妨害する人間を許さない者」と、名乗った。メアリーは、「小娘如きが、!!!!」と豹変し、ボアを睨み付けた。「せいぜい眠っていればいいわ」と冷たい視線を向けては、メアリーに手元の杖をふるえばオレンジ色の光がメアリーを包んだ。メアリーは、パタッ。とその場に眠る。井上、松田、奏が一斉に、「やったぁー!!!!!!」と声を合わせたり、ハイタッチをする。だが、ボアと名乗った少女は、蘭の元へ歩いていくと、勢いよくビンタを食らわせた。「目を覚ましなさい、厨二病」と吐き捨てては、「それでは」とボアは去っていった。何もせぬまま修羅場が終わってしまった黒濤は、「それ…どうします」とシャンデリアを見ながら呟いた。一同は顔を見合わせる。「ねえマイケル!本当に空間破壊しないでよ!」と井上が言うが、「活躍した」とマイケルは満足そうだった。奏は、「俺と蘭くんで責任持って片付けるわ」と微笑んでは、蘭は「俺が…?」と困惑する。「当たり前や、」と奏が言っては、蘭は「仕方ない」とシャンデリアを持ち上げようとするが、無理。「頭悪いんですか」と黒濤は辛辣な言葉を吐いた。蘭は「奏が一人で持ち上げた方が多分上手くいく」と言うが、黒濤は「持ち上げるって思考から一旦離れてください」と冷静に突っ込んだ。「にしてもどうしましょう、」と代案が浮かばない黒濤に、蘭は「やっぱり持ち上げた方が」と振り出しに戻る。奏が一人で持ち上げては、都合よくその場にあった台車にシャンデリアを乗っけた。黒濤は「…………」と呆然とその様子を見つめる。「というか、いま逮捕のチャンスだろ。なんで捕まえないんだ」と蘭は黒濤に不思議そうに話しかけた。黒濤は、「精々堂々、正面から捕まえに行きたいので。失礼します。」と一礼し立ち去っていった。蘭は「おい」と黒濤を呼び止める。黒濤が「なんでしょう」と蘭を振り返ると、蘭は「……警察の正義ってなんだ」と呟いた。黒濤は「さぁ。無条件の救済とでも言っておきましょう」と応え立ち去っていく。蘭は暫く黙り込んだ後、自分が間違っていた事に気づき、フッ、と自嘲のような笑みを浮かべた。「……俺が間違っていたんだな……父さん」と呟けば、蘭は奏に流し目を向けた後、ただ真っ直ぐ前を向き立ち去っていくのだった。弱々しくも美しく、どこか軽やかで、全ての呪いを受け入れたような、そんな後ろ姿だった。
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