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悪夢の遣い、メアリー・ガーウィン

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鳴る。足音が鳴る。コツコツと女性が踵を鳴らす音が響く。黒い編み上げブーツに黒いフォーマルスーツ。白いハットに、金髪のショートボブヘアの外国人の女が、拍手をしながら、階段から降りてきた。「……私の為にここまでしてくれてありがとう。」KingkillKnight創始者で、美海野三郎を殺した張本人、シャーロット・ガーウィンの母親、メアリー・ガーウィン。「誰だ貴様は。」蘭が不機嫌そうに問いかけ、座りながらメアリーと対峙する。メアリーは「私は自民党議員。メアリーガーウィン。」と静かに応えた。蘭は「ガーウィンだと…?」と、少し警戒し距離を置く。メアリーは蘭の顎を持ち上げた。「そう、私が美海野三郎を殺した。シャーロット・ガーウィンの母。計画は中断しないわよ。芸術の為、美しさの為に。」色気のある声で蘭に話しかけるメアリーに、奏は「俺の蘭くんや、あんまり気安く近づいてると殺すで」と明らかに嫉妬した。「あら、可愛らしい坊や、貴方でもいいのよ?」奏の尻を軽々触るメアリーに、蘭は立ち上がり近づく。「…俺の奏に」なんて台詞も虚しく、行動を読んでいたのか、メアリーは蘭に薔薇型の爆弾を飛ばす。蘭が先端の火花で爆弾だと気づけば、すぐさま距離を取った。何も無い場所で薔薇は爆発し、カメラ数台を破壊する。血塗られた国会に、一際目立つ女。メアリー・ガーウィンは、蘭に「父さんをゾンビにしてまで、何がしたかったんだ。シャーロットを騙して研究を継がせてまで。」と問われ、笑いながら「私以外の全人類を醜くするの!!美は女の永遠の憧れ、当然でしょう!?」と高笑いをした。蘭は、父・三郎の死を笑い飛ばされ、拳を握り締める。奏はそれに気づくと、メアリーに「諸悪の根源やないか…………!」とメアリーに向かって叫んだ。「あら?人の事は貴方達も言えないはずよ。国会をこんな遺体まみれにして。独裁国家?笑わせてくれるわ、私の為に貴方達が犯罪者になってくれたようなものじゃない!!!!!」と応えるメアリーに、蘭は「御前だけは、絶対に許さない、御前だけは何が何でも殺す、御前だけは、!」と目を見開きながら呟いた。メアリーは「貴方に出来るようならするといいわ」と応えると、華麗に踵を鳴らしながら立ち去っていった。新総理が天皇の許可なく独裁国家を築きあげようとする国会前では【おまいう】【死ね!美海野!】などとのプラカードを上げた国民達が、「すぐに美海野蘭は身を引き国会を機能させろ!武力は正義では無い!」とメガホン越しに叫ぶ国民達の姿があった。マイケルは、「はあ」と溜息をついたあと、そんな国民達をロケットランチャーで襲撃する。「反抗するようならこうだ」マイケルが呟き去っていけば、血だらけになるデモ隊の前列を見て、後列の人間達は「きゃぁぁぁぁ!」「嫌だ!!」などと各々叫び、パニックになりながら、メガホンや旗を置き去りに散らかっていくのであった。
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