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武器商人は大岡家1
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新横浜。蘭と奏は新幹線に揺られていた。行き先は、京都。「うわあ─────!」窓から景色を眺めながら、「旅行やぁ……」と目を輝かせる奏。「遊びじゃないんだぞ、」とため息を突きつつ、駅弁を紙袋から2つ出す蘭。奏は「買っててくれたん!?」とさらに嬉しそうに興奮する。「大岡家。元総理大臣の大岡智晴と何か関係があるのか…」おしぼりで手をふいたあと、スッ…と奏のテーブルにもおしぼりを差し出す。「ぁ、あんがと」奏は受け取ったおしぼりで手を拭きながら、「関係あったら早い段階で問題なりそうやけどな」と、蘭の疑問を笑った。「武器商人か、ずっと裏の世界にはいたがはじめて会いに行く…」と呟く蘭に、奏は「せや、金いくら持ってきたん」トランクを見た奏の問いに、「現ナマで1億ちょっと」とさらっと答える。「気合い入っとんなぁ、」と笑う奏に、「まだこっちは自腹だ、北嶋の資産には手をつけてない」と蘭は応えた。「怖くて使えへんの~~?」と顔を覗きこむ奏に、「使い時、って言うものがあるだろ。実際買い取れる可能性も薄いのに一億以上持ってくのも危険だ」と言った。奏は「一億はええんや、」と軽くツッコむ。「まあ金ならまだある」と言う蘭に、奏は「どっちが金持ちなんだか、」とクスクス楽しそうに微笑んだ。暫く新幹線に乗っていれば、京都。京都。と、アナウンスと、いつものあのメロディが流れる。「マイケルと井上がもう来ているはずだが…」とあたりをキョロキョロしては、井上が後ろから蘭の肩を叩く。「m、n…あっ、間違えた。」と慌てて口を塞ぐ井上。「今日は作戦でもなんでもないんだから蘭と奏でいい、」と井上に言っては、井上は「ごめんなさい、旅先だからはしゃいじゃって警戒心が薄れていたわ。」と浮かれる。マイケルも、既に八ツ橋の紙袋を抱え京都を満喫気味だ。「おいそんな観光してる訳じゃ…」と蘭は言うが、「時間まだあるわけだし、観光しようや!!!!!」とキラキラした雲一つない目で奏が蘭を誘い、井上も「清水寺行きましょ!!!!!」と奏に並んで目を輝かせる。「マイケルなんとか言ってやってくれ……」と蘭は救済を求める視線を向けるが、「ありがとうございましたー」と店員の声が聞こえ、その先にはマイケルが今度は無言でお茶の葉を購入していた。
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