正義を履き違えた悪魔

Mへの挑戦状 嬢の微笑み 絶体絶命！8

集中治療室で諸々の手術が済んだ蘭は、ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ､とベッドで移動し、戻ってくる。まだ意識は戻らず、蘭は様々な機器に繋がれたまま、病室で横たわっていた。夢の中だろうか。奏がこちらに話しかけてくる。「…くん、…蘭くん、！」まだ、死ねない。ﾊｯ。と目を覚ませば、そこは病院の一室だった。「蘭くん！！……良かったぁ……」語りかける奏の涙が、蘭の頬にポロポロと落ちる。「蘭くん…………」奏の頬に手を伸ばす蘭。「…耳障りだ、馬鹿。」と笑っては、スッと目を閉じる蘭。「蘭くん！！！！死んだらあかん、あかん！」と再び叫ぶ奏に、「寝かせろ、疲れた。」と素っ気なく反対を向いてしまう。「むぅ……」と頬を膨らませる奏に、「…………好き」と反対を向きながら言う。「ほんまこうゆうときだけ…」と奏も涙を拭いながら微笑んでいた。それから数日がたち、患者衣にも慣れた頃、奏は蘭のリハビリにつきっきりだった。「もう退院できそう、？」と問いかける奏に、蘭は「…嗚呼、…」と軽く頷く。点滴に繋がれながら座り込む蘭に、奏はそっと口付けをする。「んむｯ…」と口付けを受ける蘭。「もう無理したらあかんからな」と優しく言葉をかける奏に、蘭は小さく頷いた。予定より遅れて、三週間後。『速報です。まずは私、安心しました。先日より怪我で入院し活動を休止していた探偵の美海野蘭さんが、今週の当局バラエティー番組、”ヒルナンデス”から、徐々に活動を復帰すると、ブログで発表されました。美海野蘭さんが復帰すると発表されました。全文を読み上げます…。いつもの応援してくださるファンの皆様へ、私事ではありますが、この度は大変お騒がせ致しまして誠に申し訳ございませんでした。体調と相談し、数週間、全ての活動を控えさせて頂いておりましたが、無事に退院出来ましたことを、ご報告いたします。…』戻ってきた探偵事務所でテレビをつけると、朝退院報告を送ったのに、もう報道されていた。ガレージに車が止まっていたのにも驚く蘭。何から言葉を発しよう。なんて考えていれば、奏が駆け寄ってくる。