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一章 クエストと冒険と旅と仲間と

第十二話 仲間をゲット!

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「えっと調理してるんですよ」
「その赤色の実って食べられるんですか!?」
「え?このせかいにはトメト、あ、噛んでしm」
「トメトですか!?これ!?」
「トマトですよ!?あ、それとも異世界だから名前もちがうとか――」

 彼の話を聞いていくと、この赤色の実はトメトらしい。
 違うとか言っていたような気がするけれど、わたしの気のせいだろう。

「だから、トメトの香りがしたのか!」

 わたしは納得する。
 とりあえず採取しようと、わたしはトメトを採取したりしていると、リオネルが駆けてやってくる。

「おまたせ。ユメミル草のほかにも、運よく六つ目の採取物である、回復草亜種かいふくそうあしゅがあったから採取してたんだけど…………彼はどうしたの?」
「トメトを調理していた子。ユウヤ・カミザカっていうらしい」
「えっとはじめまして、?」

 彼はおどおどしながらそうリオネルに挨拶する。するとリオネルは質問した。

「僕と同じ髪色だね……君も苦労したんじゃないの?」
「えっと、?髪色が黒でなにかあるんですか?」
「あぁ、そっか、しらないか」

 なんで黒髪のひとは忌避されるんだろうね。その髪色も、瞳の色も、一生変えられないものなのに。
 わたしはそう思って、レオンこころやさしいゆうしゃさまを思い出した。
 彼は差別がひどかった。とくに黒髪の人と、それ以外の髪色の人に対してが一番ひどかった。
 だからそんなレオンみたいな人にはなりたくなくて、だれにでもにこやかに接するようにしてたっけ……。
 きっとそんなところもレオンは気に入らなかったんだろうね。

 そう考えていると、黒髪が忌避されるリオネルは説明を始めた。それはわたしには教えてくれなかったことだった。

『魔王といっしょの色だから、不吉とされて、忌避されている。それが勇者様からも忌避されて、差別されている理由。』

 リオネルの話を聞いて、わたしはそう理解した。そのことになんだか怒りが湧いてくる。
 その髪色も、瞳の色も、一生変えられないものなのにぃ!!

「そうなんですか。でも、僕はどうでもいいですよ。忌避されようが、ので何とも思いません」
「この世界の人間じゃない?」
「いえ!なんでもありませんよ!」

 彼の言葉がすこしひっかかるが、流すことにした。
 ……なんだか私の周りの人たちは隠し事がある人ばっかだな……。

「あ、そうだ!おしえてくれたお礼に、この先ほど調理したトメト、?をあげます!」

 そういってユウヤはトメトのスープらしきものを手渡してくる。

「でも、わたしなにもしてないよ!いいの?」
「ここが異世界ファンタジーだということを教えてくれたのでいいんです!!」
「じゃあ……」

 わたしはスープを受け取る。リオネルも受け取っていた。

「いただきます」

 一口飲んでみる。ごくり。

「え、おいしい!」

 わたしはそう思わず声に出す。
 そして、わたしは思いつく。
 彼のことをパーティに入れたら、野宿するときでもこんなにおいしいごはんがたべられる?

「……ねぇ、ユウヤ。わたしたちのパーティに入らない?」
「え!リーナ!?」
「リオネル、だって彼のことをパーティに入れたら、野宿するときでもこんなにおいしいごはんがたべられるかもしれないんだよ?」
「それは、いいかも、」

 リオネルにも賛成をもらい、ユウヤを見る。

「なんか知らない間に決まっていってるような気がしますけど……」

 ユウヤは軽く息を吸うと言った。

「僕の能力とか知らないですけれど、僕が貴方達の役に立てるなら、ぜひともパーティーに入れてください!!」
「よし!じゃあ、冒険者ギルドにいって、パーティ追加申請しないと!」

 そう言うと彼はきょとんとした顔になった。

「ぼうけんしゃぎるど……?冒険者、?」

 えぇ!そこからなの!?
 そう思ってリオネルのほうを向くと、今まで見たことがないような、黒い気がする笑みを浮かべていた。

「冒険者じゃないのか……それなら一人前の冒険者になれるように剣術から魔法まで教えてあげるよ」
「魔法……魔法!?よろしくお願いします!!」

 なぜだか魔法につられたユウヤは土下座をしてお願いしていた。

 ……もしかして、ユウヤが一人前の冒険者になるまで、この街からでて、旅はできないのでは?
 わたしののんびりまったり冒険&旅をするという決意よ!どこにいったんだよ!

「リーナも報告、連絡、相談ホウレンソウを学ぼうね」

 リオネルの黒い気がする笑みが私にも向けられる。怖い!

 そう思いながら宿に帰った次の日、リオネルとユウヤの鍛錬が始まっていた。

 ……その間にわたしは仲間を探したり、クエストの報酬貰ったり、わたしでもできるクエストやったり、雑用をやることになった。

 冒険要素はどこへ消えたの!?
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