60 / 101
第2章~2回目の小学生~
第9話~武功貴族・ロートリース家の当主は強くあれ~
しおりを挟む
学校に通い始めてからも勉強と鍛錬は1日も欠かさなかった。いや欠かさなかったというよりは欠かすことが物理的に不可能だったと言った方が正確だ。
まだ1年2年くらいの頃なら学校の時間も短めだったのでマシだったが、5年6年となってくると学校の時間も長い上に家での勉強も鍛錬も時間が増す。全てが終わった後はすぐに寝てしまう。
子どもになったのになんか東亜だった頃のブラック企業で働いてるような状態じゃないかと思うが、その頃から寝つきは良くそこは助かっている。大体どんな日でもすぐに寝れるので不眠で更に疲れているということが無いだけまだマシだ。
勉強も鍛錬も自分から積極的に行おうという気はほとんど無いが、常に誰かが側についているというような状態でサボることができなかった。まあ何度か部屋に閉じこもって勉強嫌だとゴネたことがあったので余計に一人になる時間が減った。
今日まずは剣の鍛錬を行う。最近は騎士と剣を打ち合うことが多い。俺はこのロートリース家の嫡男なので騎士たちも遠慮して忖度する……ということは全く無くかなり容赦ない。
ロートリース家も武功貴族ということもあって当主には強さが求められるからだろう。弱いと下手をすれば廃嫡もあり得る。
「行きますぞ。」
ロートリース家中の騎士ナンバー2に当たるディエゴと打ち合うことになった。ゼオンに次ぐ強さだけあって彼は相当強い。
武器はディエゴは片手剣と盾、俺は長剣。兜を被り体中しっかり防具を付けて致命傷は避けられるように剣は木剣。だが斬れないだけで身体に食らえば相当痛い。事実このディエゴに2ヵ月前に打たれてアバラを折られた。彼とはそれ以来の打ち合い稽古だ。
俺はディエゴと向き合い、剣先を前に突き出す構え。間合いは俺の方が長いが懐に入られれば不利になる。まずは彼を懐に入れないように意識を向ける。
そして俺は突きを放つ。だがディエゴはそれを読んでいたようでさっと後ろに避けた。そして再び間合いを戻す。
俺はフェイントを織り交ぜながら攻撃するぞとプレッシャーをかける。ディエゴも中々飛び込むタイミングが無いのか飛び込んでこない。
そちらが来ないなら自分が行く。俺は前に一歩足を強く踏み出しながら突きを放つ。するとディエゴは半身の体勢で剣を正面から受けるのではなく滑らせるように受けて剣の一撃を受け流してきた。
そしてそのままディエゴは懐に飛び込もうとする。彼の瞬発力は凄まじく、低い体勢から突っ込む姿はまるで獣でも相手にしているかのよう。
だが俺だってこの状況を想定していなかったわけがない。俺はこれを迎え撃つ。一瞬でトップスピードに乗ったディエゴから逃げるのは無理。ここは逃げるリソースも攻撃に費やすべきだ。
俺は受け流された剣を引くが引き切らない。そして左手は柄のままだが右手は刀身となる箇所を握って横薙ぎに払う。剣に体重を乗せるように体を完全に左に向けながら振る。ディエゴは俺の左の腹部を狙って来ているので、その地点から身体を逃がす役割にもなる。
しかしこの攻撃をディエゴは読んでいた。盾で自身の左半身を固めていた。俺の剣はディエゴの身体に届かない。だが俺はそのまま前に数歩進む。彼の目から俺の姿が消える。剣に押し込まれて体勢が少し崩れ、更に彼の大きな盾は彼の左側の目線を覆っていたからだ。
俺は死角からディエゴの足を払うように斬り上げた。木剣なので当然離断はされないが、いきなり薙ぎ払われて倒れる。そしてすかさず倒れたディエゴの首筋に剣をピタリとつけて決着がついたことを知らせた。
「ま、参った。」
これにはディエゴも降参するより他なく、俺はアバラ一本の借りを返すことができた。
まだ1年2年くらいの頃なら学校の時間も短めだったのでマシだったが、5年6年となってくると学校の時間も長い上に家での勉強も鍛錬も時間が増す。全てが終わった後はすぐに寝てしまう。
子どもになったのになんか東亜だった頃のブラック企業で働いてるような状態じゃないかと思うが、その頃から寝つきは良くそこは助かっている。大体どんな日でもすぐに寝れるので不眠で更に疲れているということが無いだけまだマシだ。
勉強も鍛錬も自分から積極的に行おうという気はほとんど無いが、常に誰かが側についているというような状態でサボることができなかった。まあ何度か部屋に閉じこもって勉強嫌だとゴネたことがあったので余計に一人になる時間が減った。
今日まずは剣の鍛錬を行う。最近は騎士と剣を打ち合うことが多い。俺はこのロートリース家の嫡男なので騎士たちも遠慮して忖度する……ということは全く無くかなり容赦ない。
ロートリース家も武功貴族ということもあって当主には強さが求められるからだろう。弱いと下手をすれば廃嫡もあり得る。
「行きますぞ。」
ロートリース家中の騎士ナンバー2に当たるディエゴと打ち合うことになった。ゼオンに次ぐ強さだけあって彼は相当強い。
武器はディエゴは片手剣と盾、俺は長剣。兜を被り体中しっかり防具を付けて致命傷は避けられるように剣は木剣。だが斬れないだけで身体に食らえば相当痛い。事実このディエゴに2ヵ月前に打たれてアバラを折られた。彼とはそれ以来の打ち合い稽古だ。
俺はディエゴと向き合い、剣先を前に突き出す構え。間合いは俺の方が長いが懐に入られれば不利になる。まずは彼を懐に入れないように意識を向ける。
そして俺は突きを放つ。だがディエゴはそれを読んでいたようでさっと後ろに避けた。そして再び間合いを戻す。
俺はフェイントを織り交ぜながら攻撃するぞとプレッシャーをかける。ディエゴも中々飛び込むタイミングが無いのか飛び込んでこない。
そちらが来ないなら自分が行く。俺は前に一歩足を強く踏み出しながら突きを放つ。するとディエゴは半身の体勢で剣を正面から受けるのではなく滑らせるように受けて剣の一撃を受け流してきた。
そしてそのままディエゴは懐に飛び込もうとする。彼の瞬発力は凄まじく、低い体勢から突っ込む姿はまるで獣でも相手にしているかのよう。
だが俺だってこの状況を想定していなかったわけがない。俺はこれを迎え撃つ。一瞬でトップスピードに乗ったディエゴから逃げるのは無理。ここは逃げるリソースも攻撃に費やすべきだ。
俺は受け流された剣を引くが引き切らない。そして左手は柄のままだが右手は刀身となる箇所を握って横薙ぎに払う。剣に体重を乗せるように体を完全に左に向けながら振る。ディエゴは俺の左の腹部を狙って来ているので、その地点から身体を逃がす役割にもなる。
しかしこの攻撃をディエゴは読んでいた。盾で自身の左半身を固めていた。俺の剣はディエゴの身体に届かない。だが俺はそのまま前に数歩進む。彼の目から俺の姿が消える。剣に押し込まれて体勢が少し崩れ、更に彼の大きな盾は彼の左側の目線を覆っていたからだ。
俺は死角からディエゴの足を払うように斬り上げた。木剣なので当然離断はされないが、いきなり薙ぎ払われて倒れる。そしてすかさず倒れたディエゴの首筋に剣をピタリとつけて決着がついたことを知らせた。
「ま、参った。」
これにはディエゴも降参するより他なく、俺はアバラ一本の借りを返すことができた。
0
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる