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第2章~2回目の小学生~
第6話Part.3~シルヴィが身を清めた蒼き泉~
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俺とアリアは石板を見た次には泉を見る為そちらへ近づく。この泉はまるで青い染物か何かでも流し込んだかのような鮮やかな青い色に見える水面である。
光の加減で青の濃淡の見え具合が変わる神秘的な泉で、自然の景色と言ったものにあまり興味が無い俺ですらこの景色は目を奪われた。
隣で一緒に見ているアリアも同じようで、ふと彼女の顔を見てみると目を輝かせて青の水面に見入っていた。
「はぁ~綺麗だねぇ~。」
「そうだね。こんな綺麗なものを見るのは初めてかもしれない。」
アリアも俺の方を向いて、泉が綺麗だと言う。俺も同意の言葉を返してしばらく泉の景色を楽しむ。するとおもむろにアリアが俺の手を握ってきた。
剣を振り続けてマメが何度も潰れて固くなった俺の手のひらを包もうかとするように彼女の柔らかく小さい手が重なるが、当然俺の手の方が大きいので指が手の両端に掛かる程度くらいにしか回らない。
俺はアリアの手を同じように握り返す。何故彼女が手を握ってきたかは分からない。しかし「何故だ。」と聞くのも野暮な気がするので何も言わない。
「ファンデンくん、この泉はシルヴィさんが身を浸したと伝わる泉だよぉ。少し深いみたいだから手を離さないでねぇ。」
アリア曰く、この泉はシルヴィが身を浸した泉らしい。調べているアリアが言うのだからそうなのだろう。そして深いと聞いて水面を目を凝らして見てみるとたしかに深い。
最初は足首程度までしか浸からなさそうだが、10歩も歩けばいきなり水深が深くなる。見てみても底は見えるが正確な水深は分からぬほどで、一歩間違えれば死ぬかもしれない。
「足を浸けたら向こうに歩かないでね?」
危険なので手を離さないまま、本当に足を浸けるだけにしてと釘を刺す。アリアも「うん。」と答えてその通りにする。「ひゃあっ。冷たーい。」と泉の水の冷たさに驚きの声を上げるアリア。
アリアはその場で足踏みをする。滑ると危ないので「危ないよ。」と言うがあまり聞いていない。
とはいっても俺の心配は杞憂に終わり、満足したアリアは水から足を引き上げた。
この泉はシルヴィが亡くなり、国を守った英雄として讃えられた後に様々な人がこの水に身体を浸しに来ているようだ。
特にシルヴィのように防御魔術に長けた魔術師が赴いて泉に身体を浸し、願をかけているのだと思う。
光の加減で青の濃淡の見え具合が変わる神秘的な泉で、自然の景色と言ったものにあまり興味が無い俺ですらこの景色は目を奪われた。
隣で一緒に見ているアリアも同じようで、ふと彼女の顔を見てみると目を輝かせて青の水面に見入っていた。
「はぁ~綺麗だねぇ~。」
「そうだね。こんな綺麗なものを見るのは初めてかもしれない。」
アリアも俺の方を向いて、泉が綺麗だと言う。俺も同意の言葉を返してしばらく泉の景色を楽しむ。するとおもむろにアリアが俺の手を握ってきた。
剣を振り続けてマメが何度も潰れて固くなった俺の手のひらを包もうかとするように彼女の柔らかく小さい手が重なるが、当然俺の手の方が大きいので指が手の両端に掛かる程度くらいにしか回らない。
俺はアリアの手を同じように握り返す。何故彼女が手を握ってきたかは分からない。しかし「何故だ。」と聞くのも野暮な気がするので何も言わない。
「ファンデンくん、この泉はシルヴィさんが身を浸したと伝わる泉だよぉ。少し深いみたいだから手を離さないでねぇ。」
アリア曰く、この泉はシルヴィが身を浸した泉らしい。調べているアリアが言うのだからそうなのだろう。そして深いと聞いて水面を目を凝らして見てみるとたしかに深い。
最初は足首程度までしか浸からなさそうだが、10歩も歩けばいきなり水深が深くなる。見てみても底は見えるが正確な水深は分からぬほどで、一歩間違えれば死ぬかもしれない。
「足を浸けたら向こうに歩かないでね?」
危険なので手を離さないまま、本当に足を浸けるだけにしてと釘を刺す。アリアも「うん。」と答えてその通りにする。「ひゃあっ。冷たーい。」と泉の水の冷たさに驚きの声を上げるアリア。
アリアはその場で足踏みをする。滑ると危ないので「危ないよ。」と言うがあまり聞いていない。
とはいっても俺の心配は杞憂に終わり、満足したアリアは水から足を引き上げた。
この泉はシルヴィが亡くなり、国を守った英雄として讃えられた後に様々な人がこの水に身体を浸しに来ているようだ。
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