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第1章~無能な勇者~
第3話Part.2~フエーナの戦い~
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激昂したフエーナ野郎はいきなり大技を繰り出してきた。言葉通り俺を本気で殺すつもりだ。だがいきなりそんな大技を放っても当たるわけがない。俺は攻撃を躱したと同時に前に突っ込む。そして攻撃を仕掛ける。
だが俺の剣は両刃の剣だ。当然斬れば命を落とすかもしれない。人の命を奪うのは当然ながらご法度。正当防衛というものはあるが、それを立証するのは難しい。それ故俺は剣を抜かず拳を振り抜いた。奴の顔面に一撃を食らわせて吹っ飛ばす。
「て、てめえ……ッ!」
「大人しく帰れ。これは俺の――」
「――ラ・ブズ・ティケンラ・カム!」
「ヌッ!」
顔面を一発殴っただけではさすがに気を失わなかったフエーナ野郎。だが口の中を切ったようで口からは血を流していた。どうやら意識を刈り取らなければ収まらないようだ。俺は再び剣を抜いて待ち構える。
だがその時マリーの声が響く。そして俺の足元から氷の棘が生える。氷系魔術の【ラ・ブズ】。その応用魔術だ。何とか詠唱を聞き取れて、どういった攻撃が来るかは分かっていたため後ろに飛び退いたので身体を貫かれることはなかった。
「卑怯とは言わぬよ。所詮フエーナだ。ハナから期待しちゃいない。」
「ぶっ殺してやる。マリー!エリサ!俺をサポートしろォ!」
俺はニヤリと見下すように笑う。そしてお前に正々堂々など最初から期待していないと挑発すると思った通り大激怒して、絶対に俺を殺すため恥も外聞も無くマリーとエリサにサポートを命令した。
俺は後ろ手でミリアに手出し無用と制止する合図をする。彼女は今動けない。魔術は撃てるがあの2人のどちらかから魔術を打たれれば凌ぎきれないかもしれない。そして俺も彼女を守りきれないだろう。さすがの奴も何もしなければさすがに女性を殺すことはないだろう。
さすがに3人相手となると中々こちらから攻撃を仕掛けることができない。男の剣撃の雨と魔術を避け、防いではいるがこのままではジリ貧だ。
「ラ・アローヴ!」
「ハッ!」
「グワァッ!お、おい!マリー!俺に当てるんじゃねえ!」
「ご、ごめんなさい!」
だが基本的に1人で闘いたがっていたこの男の指示は曖昧なもので連携が取れているとは言えなかった。そしてマリーの炎系魔術が背中に直撃する。怒って彼女の方を向いた奴の姿を見て好機と思った俺は再び奴に突っ込もうとした。しかし
「ラ・ブレーズ!」
エリサの閃光魔術が飛ぶ。俺とシューインの間に打ち込み。俺は脚を緩めるしかなく奴に体勢を戻す時間を与えてしまった。
だが俺に止まる暇を与えず2人の魔術師が魔術を連続して放ち続け、俺はそれを避け続ける。そして俺が攻撃を掻い潜っている間にマリーがシューインの背中に回復魔術をかけて傷を治す。
特に奴の指示ではないのだが連携が取れ始めてきた。奴よりあの2人に判断させた方がまだマシなのかもしれない。
「オラァッ!死ねェッ!」
「ラ・アローヴ!」
「ラ・ブレーズ!」
攻撃が3つ飛んでくる。まずは長剣の突きを俺は身体を捩って躱した。次に炎系魔術。俺は飛び退く。それが良くなかった。最後の閃光魔術。俺の着地点を狙って撃ち込んでいている。これは避け切れない。俺は身体を守るため盾と腕で魔術を受け止める準備をした。
「ラ・ブレーズ!」
「何ぃ?!」
俺が閃光魔術を被弾する直前、別の場所から飛んできた閃光魔術が俺を襲った魔術を相殺していた。自分の魔術が相殺されてしまったエリサが叫ぶ。この魔術は誰のものか。言うまでもない、ミリアのものだった。そして彼女はこう叫んだ。
「ブレイドさん。私も戦います!」
だが俺の剣は両刃の剣だ。当然斬れば命を落とすかもしれない。人の命を奪うのは当然ながらご法度。正当防衛というものはあるが、それを立証するのは難しい。それ故俺は剣を抜かず拳を振り抜いた。奴の顔面に一撃を食らわせて吹っ飛ばす。
「て、てめえ……ッ!」
「大人しく帰れ。これは俺の――」
「――ラ・ブズ・ティケンラ・カム!」
「ヌッ!」
顔面を一発殴っただけではさすがに気を失わなかったフエーナ野郎。だが口の中を切ったようで口からは血を流していた。どうやら意識を刈り取らなければ収まらないようだ。俺は再び剣を抜いて待ち構える。
だがその時マリーの声が響く。そして俺の足元から氷の棘が生える。氷系魔術の【ラ・ブズ】。その応用魔術だ。何とか詠唱を聞き取れて、どういった攻撃が来るかは分かっていたため後ろに飛び退いたので身体を貫かれることはなかった。
「卑怯とは言わぬよ。所詮フエーナだ。ハナから期待しちゃいない。」
「ぶっ殺してやる。マリー!エリサ!俺をサポートしろォ!」
俺はニヤリと見下すように笑う。そしてお前に正々堂々など最初から期待していないと挑発すると思った通り大激怒して、絶対に俺を殺すため恥も外聞も無くマリーとエリサにサポートを命令した。
俺は後ろ手でミリアに手出し無用と制止する合図をする。彼女は今動けない。魔術は撃てるがあの2人のどちらかから魔術を打たれれば凌ぎきれないかもしれない。そして俺も彼女を守りきれないだろう。さすがの奴も何もしなければさすがに女性を殺すことはないだろう。
さすがに3人相手となると中々こちらから攻撃を仕掛けることができない。男の剣撃の雨と魔術を避け、防いではいるがこのままではジリ貧だ。
「ラ・アローヴ!」
「ハッ!」
「グワァッ!お、おい!マリー!俺に当てるんじゃねえ!」
「ご、ごめんなさい!」
だが基本的に1人で闘いたがっていたこの男の指示は曖昧なもので連携が取れているとは言えなかった。そしてマリーの炎系魔術が背中に直撃する。怒って彼女の方を向いた奴の姿を見て好機と思った俺は再び奴に突っ込もうとした。しかし
「ラ・ブレーズ!」
エリサの閃光魔術が飛ぶ。俺とシューインの間に打ち込み。俺は脚を緩めるしかなく奴に体勢を戻す時間を与えてしまった。
だが俺に止まる暇を与えず2人の魔術師が魔術を連続して放ち続け、俺はそれを避け続ける。そして俺が攻撃を掻い潜っている間にマリーがシューインの背中に回復魔術をかけて傷を治す。
特に奴の指示ではないのだが連携が取れ始めてきた。奴よりあの2人に判断させた方がまだマシなのかもしれない。
「オラァッ!死ねェッ!」
「ラ・アローヴ!」
「ラ・ブレーズ!」
攻撃が3つ飛んでくる。まずは長剣の突きを俺は身体を捩って躱した。次に炎系魔術。俺は飛び退く。それが良くなかった。最後の閃光魔術。俺の着地点を狙って撃ち込んでいている。これは避け切れない。俺は身体を守るため盾と腕で魔術を受け止める準備をした。
「ラ・ブレーズ!」
「何ぃ?!」
俺が閃光魔術を被弾する直前、別の場所から飛んできた閃光魔術が俺を襲った魔術を相殺していた。自分の魔術が相殺されてしまったエリサが叫ぶ。この魔術は誰のものか。言うまでもない、ミリアのものだった。そして彼女はこう叫んだ。
「ブレイドさん。私も戦います!」
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