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回顧

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 廃墟同然の古い建物に、人の気配はない──。

 かつて自分が囚われていた黒い部屋もからっぽだ。

 誰もいないな?

 今も研究が続いているという話はデマだったか。そう思ったが、どうやら彼が知らない部屋が建物の地下にあるとわかった。


──


「貴様何者だ!?──ぎゃっ…!」

「あんたら、ここで何してる?」


 地下に潜入してすぐ、ひとりの男と遭遇した。


「人間兵器の作戦は失敗しただろ?あんたらは国にも見限られた……なのにまだこんなとこにいるなんてな?」

「なっなぜその話を知っている…!?極秘の作戦だ!
 ── " 失敗作 " も処分した…っ」

「……」

「…!?貴様…その耳の補聴器はどうした?まさか、それは」

「処分しそこねたらしい」

「あの戦場で生き残ったというのか!?それで私たちへの復讐に……!?」

「──…復讐?」


 首にナイフを突き付けて脅すと、そいつは可笑しな事を口走った。


「あんたらが作った人形が…──そんなコト、するわけないだろ」


 捕らえた研究員を引き連れて、彼は建物の奥に進んだ。

 地上とは雰囲気が違い、白く無機質な雰囲気の内部。

 機材とモニターが並ぶ広い空間に出る。

 そこで連れてきた男の足を折り、逃げられないよう床に転がした。

「で?まだ答えてなかったな?ここで何してるか教えなよ」

「ぅぅ…ッ……がああ」

「あんたを拷問してもいまいち興奮できそうにないんだが…」

 話す片手間で、電源がついている機材のひとつを操作して中のデータを取り出す。


ピピピピ....


“ ……?これは何のデータだ? ”

「……おい」

「……っ」

「この数値は何だ?薬物投与……、血液検査?性懲りも無くまだ人体改造続けてるのかよ」

「……くくく」

「戦争も負けたってのに」

「ははは!そうだ貴様ら " 失敗作 " のせいで負けたのだ!そのせいで私たちの研究は台無しになった……!」

「……は?」

 ヤケになったか。

 彼の足元で男が笑いだした。

「だが " 彼女 " は違うぞ!?あの子は貴様とは違う!私たちの救世主だ」

「……彼女?」

 機材を操作していると、映像データが残されている。彼はそれを再生した。

 モニターに映し出されたのは、診察室らしき部屋で椅子に横たわる少女だった。

 目隠しをつけた白いワンピース姿の少女…。眠っているのか?反応がない。

 周りを白衣の男女が取り囲んでおり、おもむろに、少女が着ているワンピースを脱がせ始めた。

「…?」

 何をしているのか…意味がわからない。

 手足をひらくように椅子に固定したかと思えば、手や淫具を使って少女の身体に刺激を与えている。

「何の映像だ」

 身動きできない少女に、大人達がよってたかって…

「……誰だ?この女」

「ははっは……!貴様とは真逆の存在だ」

「真逆ねぇ」

 裸の身体を弄ばれて、眠る少女の息が少しずつ荒くなっていた。

 白い肌が赤みを帯びていく……

 すぐに股の間が蜜でテラテラと濡れ出し、さまざまな道具を受け入れて乱れ始める。


『 …ハァ……ッ………ハァ……ぁぁ 』


 甘ったるい声まで漏れている


「──…」

「彼女は超人的な視力と聴力、嗅覚を手に入れた。それだけじゃない…っ…繊細で…敏感な…神秘の身体の持ち主だ」

「…それがあんたらの研究か?」

「そうだ、疫病神め」

「馬鹿じゃないのか」


 なんだコイツら、狂ってたのか。

 作戦が失敗に終わり、国から支援を絶たれ……。自暴自棄になった結果が、この狂った研究か。


『 ぁ………ぁ………ぁぁ………// 』


 あの女も──くだらない研究に巻き込まれたか


「………」


『……ハァァ……//…ぁぁ…ッ…ぁ 』


「……っ」


 くだらない──その筈なのに


" 自分とは真逆 " だと言う映像の中の女に、何故だか興味が湧いていた。




 ヘンだった。



 自分は人を殺している時でしか、感情のたぐいを持ち得ない。その筈なのに……何故か……この女を見ていると……。

「…女は何処だ?」

「貴様に教えてやるものか!失敗作があの子に触れるなど…っ…許すものか」

「そうか。なら自分で探す」

「待て!」

「邪魔だ」

 足に掴みかかってきた男の喉を、上からひと突きで刺し殺す。

 騒ぎを聞きつけて他にも研究員が現れたが、それらもひとりずつ始末した。

「侵入者か!?誰だお前っ…その先は…!」

「…っ…邪魔だよ」

 それほど大切な存在なのか。研究員達は必死の覚悟で、彼の行く手を阻もうとする。

 これが執着か…

 そう思ったところで、自分以外の何かに執着するなんて事は、彼には理解できない。

....ドサッ

 ひとり、ふたりと返り血を浴びて服が汚れていく。

「行かせないわ!!」

 向かってくる者の中には女もいた。

 同じように殺して、通路の先を進む。

「次から次へとよくやるな」

「…待て…ッ…ハァッ……待て、お前……!」

「あ?死にぞこないか、ちょうどいい。この扉…あんたらの認証カードがないと開かないらしいんでね」

 首にさげたカードを奪って、ナイフで心臓を突き──引き抜く。

 血が毒々しく噴き出す。





 ああ……いい色だ


 俺は本当に……こんな瞬間でしか……






...ピピピ






───ガチャ










「───…見つけた」











秘密施設の少女は 血ダマリ美青年の狂気愛に犯される(完)







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