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禁忌の果実を貪レ
禁忌の果実を貪レ_2
しおりを挟む「目を閉じろ……。その暗闇の中で、私の化けの皮を剥がすが良い」
セレナは息を止めた。
鎖骨の間……喉の真下に、鋭くて冷たい物が当てがわれている。
「私の本来の姿を……其処へ焼き付けろ」
──牙だ。
其れは彼が人ではなく、異形の者であるシルシ。
牙は彼女の肌を突き破るような事はせず、ドレスの胸元を飾る白いボタンを噛みきった。
「…どうして…そんなことを言うの…っ…」
気付きたくなんてなかったし
目を背けていたかった。
それを知って敢えて、念を押してくるだなんて……やっぱりあなたは残酷すぎる
「ならわたしはどうすればいいの…!? 」
「その様な心配は無用だ…セレナ…──」
張り詰めた糸をはじくのに似た音が聞こえる。
それは胸元のボタンが、彼の牙でひとつずつ飛ばされている音である。
「──お前に拒絶の権利は…与えていない」
そうやって露にされていく肌が、夜の外気に晒された。
湿ったドレスから解放されて、セレナの豊満な胸ははち切れそうだ。
両手首を固定され視界まで奪われた彼女は……
「…ん…っ」
掠める男の吐息に身を震わすしかない。
「…そのままで抱いてやろう」
「……?」
「躊躇いと後悔、罪の意識にまみれたお前の……全てを愛してやる」
……スッと、手が離れる。
現れた視界の──セレナの目の前では、微笑むローがあり得ないほどの色気をまとって彼女を試していた。
セレナがその瞬間に自らの負けを認めるのも無理のないことだった。
残りのボタンが外されていく様を見守り──そして最後に細紐のリボンがぬかれるまで、何もできない。
完全にドレスがはだけたところで、無防備な胸に彼は顔を埋めた。
「……ああ…」
セレナは甘く溜め息をついた。
直に押し付けられた唇は、雨で冷えた肌に温かかった。
膨らみの谷間を吸われると、ズグンと重たい感覚が彼女の身体にかかる。
例えるならば胸の奥の、一番深いトコロを吸い出されてしまいそうな……。
思わず悦びに震えが走った。
ローはドレスを引き下ろしセレナの半身を露にする。
「…アっ…アぁっ…」
「欲しがっているなここが…!…随分と硬さを増して私の舌に反応する」
口内に含んだ胸の先端を舌先で擦りながら、ローは上気した彼女の顔に目を向けた。
セレナはその視線に気付かないが、彼の声にくすぶられる羞恥がどうしようもない。
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なんてこと…!
こんな事は許されない
人間であるわたしが……彼の手で気持ちよくなるだなんて……許されないのに
絶対に、許されないのに
なのに、なのに、わたしの身体は……
「具合が良いのなら声を聞かせろ……」
「…ハァ……ッ──ァっ」
迷う彼女を背徳の湖に誘っておきながら、勝手な言葉でローが煽動する。
「……!! ああん……」
「此れが獣の愛故に…──」
人の愛など私は知らない
禁忌の果実こそお前と私が──求める唯一の愛の皃だ
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