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19 真っ赤

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あれから
あの屋上の出来事から

毎日一緒に帰ることにした。

それはゆっくりゆっくり
二人で話して決めたこと。

こんなに話したのは
はじめてだったりするオレたち。

彼女の家まで送っていく。
ただそれだけ。

それだけなんだけど
まだまだ道は險しなオレたち。

隣の教室にいる彼女。

だから隣の教室まで迎えに行きたいのに
恥ずかしいからって
断られたんだよな……

わかってる。
わかってるけど、
恋人なんだから
周囲にオレの彼女って見せびらかしたいんだから

迎えに行ったっていいんじゃないかな?

そう思うのはオレのエゴ?
わがままなのだろうか?

こんな可愛い彼女がオレのだって
羨ましいだろ?って
友達に格好つけたくなったりするのは
いけないことなんだろうか?

オレに見せる笑顔が特別だって
勝手に思っているオレ。
自信過剰でもなんでもいいんだ。

オレはクラスのみんなに学校中に
オレの彼女はキミだって

大きな声で叫びたいくらい
大好きなんだけど。

一緒に帰る待ち合わせの場所は
相変わらず校門前。

彼女の友達に囲まれて
彼女は校門まで来るのは日課みたいなもの。

本当にちっちゃくって可愛らしい彼女は
二人の門番に守られて
オレのところまで来るんだ。

門番の友達は
オレに軽く会釈をして
彼女をオレにあずけてくれる。

信頼されてるって
彼女の友達公認だって
心から強く思える、
そんな一瞬だったりする。

今日も空を見上げて校門にもたれ掛かって
彼女が来るのを待っているオレ。

待っている間、
今か今かと心待にしているけど
絶対にそんな顔も
そんな素振りだって見せたくないんだ。

男だから。
彼女に格好つけたい。
ほんの僅かな仕草だって
格好よくありたいって
思うほど惚れてる。

もっともっと
オレを好きになって。
もっともっと
オレに恋して。

もっともっと一緒にいたいって
彼女から手を伸ばしてもらえるような

そんな男になりたいんだ……

小指……

今日もオレから手を伸ばす。

彼女に伸ばした手は
暫くしたら、小指だけになってしまう。

うーん。

約束みたいで
それはそれでいいんだけど

オレってまだまだだなって
思ってしまうほど残念なオレ。

彼女ははにかみながら
モジモジしながら
そっと小指をオレに差し出してくれる。

でも、その距離

何センチ離れているんだろう?

うん。
わかってる。

キミが恥ずかしがり屋さんだって
これでも頑張っているんだって

だから

暫くその距離を眺めてから
オレは彼女の小指とオレの小指を自分から絡める。

そして明後日の方角を向いて
ぶっきらぼうに言うんだ。

「帰ろっか……」

見えないけど
見たいけど我慢するオレ。

絶対嬉しそうなとっても眩しい笑顔で

「うん!」

っていうんだ。

そしてオレたちは歩き出す。

ゆっくりゆっくり。

まだ始まったばかりの恋。
俺たちなりにゆっくり歩む。

それはちょっと甘酸っぱくて
それでいて甘さが際立っていて

小指から彼女の肌から熱を感じて
敏感になってしまう。

小指だから?

「ゆびきりげんまん」みたいだから?

約束したわけじゃない。

だけど……未来も一緒にいる約束を
しているような

勝手な妄想までしてしまうオレ。

歩きながら無言のオレたち。
オレが先にあるいて
彼女がついてくる。

まだ一緒には歩いてくれない。

オレがとまりかけると彼女もとまりかける。
まだオレの隣は無理みたい。
だからちょっと離れて歩くのがオレたち。

でも、いいんだ。

オレはこの状況を楽しむことにしている。
キミが好きだから。

もっと好きになって欲しいから。

きっとキミは知らない。

オレだって……顔には出なくっても
オレの心はキミでいっぱいいっぱいで

真っ赤なんだよ。

見せないけどね。
 
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