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女人禁制の☆あみだん☆開始!
27 自己紹介 4
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「鳴海君ありがとう……。あ、相沢君も……み、みんなも……」
やっと顔を上げられるようになった朔田君を見てホッとした。
「俺なんか、大したこと言ってないよ。相沢君の方が朔田君の気持ちを汲んで後押ししてたでしょ?俺はそこまではしてないから」
相沢君は俺が「僕」という言葉を使ったことに動揺していたのにも気がついて話を反らしてくれたような気がした。
そんな気遣いが出来るんだなんて思いもしなかったから殊更あたたかい気持ちになった。
「そー!そー!俺が後押しって……そ、そこまで別にしてねーし?なーなーそれよりもスルーされてね?俺、鳴海が編んだマフラー欲しいって言ったんだけど?」
「また自分勝手なことを……」
坂口君が疲れた感じで呟くのを耳にしたので俺は話を受け取ることにした。
「その話はあとにしない?相沢君、ちゃんと答えるから。自己紹介の続きしよう?次は……坂口君だったよね?相沢君はその次だから」
「これって……入部した順番?」
「そうだよ!坂口君。坂口君も壇上に上がって自己紹介してくれるかな?」
「うんわかった」
「後でぜってーだかんな!」
相沢君は引いてくれた。
椅子を引いて立ち上がった坂口君は周囲に頭を下げてから壇上に上がって話し始めた。
孤立しそうになっていた小学生時代を知っている俺は坂口君の変貌ぶりをとても嬉しく誇らしかった。
「は、はじめまして。坂口友哉っていいます。1月11日の山羊座です。鳴海君が部活することをポスターで知り、入部することにしました。も、もちろん編み物をするのなら……彼女とお揃いのマフラーを編んでペアにしようかな?って思っています。鳴海君とまた一緒に過ごせることが出来て本当に嬉しいんです。鳴海君とまた仲良く出来るだなんて……夢みたいで……。でも、みんなとも仲良くしていきたいです。よろしくお願いします!」
坂口君の自己紹介はハキハキとしていてわかりやすかった。
俺にも言っていたように彼女とのマフラーを目標にしていた。
していたんだけど……?
俺が部活動をするのを知って入部したと言っていたよね?
そっちが優先順位のような言い方をしたよね?
俺は坂口君にそこまで思われていたことにはじめて気がついたんだ……。
円バレだけの仲じゃあ……なかったんだ。
友達だって……ずっとずっと……思ってくれてたんだ……。
中学時代に止まっていた刻が動き出していた実感はあった……。
でも、俺の想いだけじゃない……。
みんなと仲良くすることさえ受け入れられずにいた中学時代は……
止まっていた歯車の動きを……刻が動き出したのを……
そうなんだ……。
本当にあの冬の時代は終わりを告げた?
……。
夢みたい……?
俺の方が夢みたいだよ……坂口君。
「鳴海君、改めて……握手、して……くれるかな?」
「ありがとう!坂口君。俺の方こそ夢みたいだよ、これからも仲良くしようね!」
ああ……本当に!同好会でも認可されてよかったって……そう思ったのはいったい何度目なんだろう?
心の底からジンと来つつ、出された手に握手をして……思わず坂口君を引き寄せて抱きしめた。
「ありがとう!こんなにも思ってくれて……忘れずにいてくれて……」
感謝を腕に込めながら坂口君の体温を感じていた。
またしても涙が流れそうになったのを堪える俺。
「うん、おかえり……僕たちの鳴海君……」
回した腕に力を込めた坂口君は誰にも聞こえないように俺の耳元で小さく囁いた。
やっと顔を上げられるようになった朔田君を見てホッとした。
「俺なんか、大したこと言ってないよ。相沢君の方が朔田君の気持ちを汲んで後押ししてたでしょ?俺はそこまではしてないから」
相沢君は俺が「僕」という言葉を使ったことに動揺していたのにも気がついて話を反らしてくれたような気がした。
そんな気遣いが出来るんだなんて思いもしなかったから殊更あたたかい気持ちになった。
「そー!そー!俺が後押しって……そ、そこまで別にしてねーし?なーなーそれよりもスルーされてね?俺、鳴海が編んだマフラー欲しいって言ったんだけど?」
「また自分勝手なことを……」
坂口君が疲れた感じで呟くのを耳にしたので俺は話を受け取ることにした。
「その話はあとにしない?相沢君、ちゃんと答えるから。自己紹介の続きしよう?次は……坂口君だったよね?相沢君はその次だから」
「これって……入部した順番?」
「そうだよ!坂口君。坂口君も壇上に上がって自己紹介してくれるかな?」
「うんわかった」
「後でぜってーだかんな!」
相沢君は引いてくれた。
椅子を引いて立ち上がった坂口君は周囲に頭を下げてから壇上に上がって話し始めた。
孤立しそうになっていた小学生時代を知っている俺は坂口君の変貌ぶりをとても嬉しく誇らしかった。
「は、はじめまして。坂口友哉っていいます。1月11日の山羊座です。鳴海君が部活することをポスターで知り、入部することにしました。も、もちろん編み物をするのなら……彼女とお揃いのマフラーを編んでペアにしようかな?って思っています。鳴海君とまた一緒に過ごせることが出来て本当に嬉しいんです。鳴海君とまた仲良く出来るだなんて……夢みたいで……。でも、みんなとも仲良くしていきたいです。よろしくお願いします!」
坂口君の自己紹介はハキハキとしていてわかりやすかった。
俺にも言っていたように彼女とのマフラーを目標にしていた。
していたんだけど……?
俺が部活動をするのを知って入部したと言っていたよね?
そっちが優先順位のような言い方をしたよね?
俺は坂口君にそこまで思われていたことにはじめて気がついたんだ……。
円バレだけの仲じゃあ……なかったんだ。
友達だって……ずっとずっと……思ってくれてたんだ……。
中学時代に止まっていた刻が動き出していた実感はあった……。
でも、俺の想いだけじゃない……。
みんなと仲良くすることさえ受け入れられずにいた中学時代は……
止まっていた歯車の動きを……刻が動き出したのを……
そうなんだ……。
本当にあの冬の時代は終わりを告げた?
……。
夢みたい……?
俺の方が夢みたいだよ……坂口君。
「鳴海君、改めて……握手、して……くれるかな?」
「ありがとう!坂口君。俺の方こそ夢みたいだよ、これからも仲良くしようね!」
ああ……本当に!同好会でも認可されてよかったって……そう思ったのはいったい何度目なんだろう?
心の底からジンと来つつ、出された手に握手をして……思わず坂口君を引き寄せて抱きしめた。
「ありがとう!こんなにも思ってくれて……忘れずにいてくれて……」
感謝を腕に込めながら坂口君の体温を感じていた。
またしても涙が流れそうになったのを堪える俺。
「うん、おかえり……僕たちの鳴海君……」
回した腕に力を込めた坂口君は誰にも聞こえないように俺の耳元で小さく囁いた。
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