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『編み物男子部』?ができるまで。
183 楽しい日曜日 16
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「俺から見ても仲のいい夫婦に見えるから、気にしなくていいと思うんだけど」
そう俺が思っても不思議じゃないくらい、息ピッタリで仲がいい。
別に羨ましいなんて思っていないけど、わざわざ耳に入ってくるのがそう、坂口君や相沢君から俺の耳に入るのが……嬉しくない。
「ごめんね。相沢君が自由すぎで。唐揚げといい、本当に君ったら……」
「う、うるせー」
相沢君は坂口君に咎められ、少し頬が赤く染めていた。
「俺には……智さんがいるし……」
俺のその言葉に部屋がシーンとしてしまった……
え?どうして向こうの三人がその言葉を聞いているの?
さっきまで焼きそば作りながら仲良く話をしていたよね?
「もう、焼きそば出来たんだよね?相沢君、ちょっと手伝ってくれるかな?」
俺はこの状況を無視するように相沢君の腕を取って台所へ消えて行くことにした。
相沢君は俺に腕を掴まれ、ちょっと戸惑っていた。
台所についたら直ぐに相沢君に炊き上がった豆ごはんを見せることにした。
分量を入れたのは俺だけど炊き上げたのは炊飯器だというのに、相沢君の豆ごはんを見る目はハートだった。
「米四合に豆二合入れたんだ。豆が多い方が美味しいかなと思って……どうかな?」
「めっちゃ美味そうじゃん!な、な、混ぜて混ぜて!」
豆びっしりで米が全然見えない炊飯器の中を見ながらワクワクしてる相沢君。まるで子供のようだ。
俺はお茶碗を四つ取り出し、お盆も用意してから豆ごはんをしゃもじでそっと交ぜていった。
台所中に豆ごはんの美味しい匂いが立ち込めていたけど、しゃもじで交ぜるとその豆ごはん独特の匂いが何倍も充満していく。
「うわっ!なにこれ?ヨダレ出てくるわ……」
相沢君は早く食べたそうに口に手をやっている。
そして不意に俺に聞いてきた。
「なぁ、鳴海……こういうごはん、みんなで一緒に食べるの、いいよな?なんか俺……またしたい。ダメか?鳴海が作った鶏の唐揚げ……初めて食べた味で、信じられないほど美味かった……ありがとな」
一気に色んなことを言う相沢君はいつのまにか首の方まで赤くなっていた。
もう……そんなキャラに見えないのに。
相沢君のギャップが……俺、めっちゃハマりそうなんだけど?
「うん。こういうの、楽しくていいよね?みんなにあとで聞いてみようよ。俺も相沢君の作る料理食べてみたい!」
ちょっと意地悪な言葉を振ってみたら……俺が思うような、というかそれ以上のリアクションをしてくれる相沢君。
「うん!……は?え?……あれ?……はぁああああああ?」
思わず頷いたことに失敗した!っていう顔になってる。
あー楽しい!
坂口君が相沢君で遊ぶ気持ち、わかる気がするよ……。黙ってるけど。
俺は百面相をしている相沢君を放置して次々豆ごはんを装っていった。
お茶碗四つ分装って、お盆の上にそれらを乗せ相沢君に笑顔で渡した。
「はい!もう顔面相おわったの?これ豆ごはん、みんなのところへ持って行ってくれる?弟と俺の分はあとで持っていくからよろしくね!」
相沢君は素直に持って行ってくれた。
俺と颯汰の分は、味噌汁椀に装う事になっている。
実は鳴海家では全てのお椀お皿が四つずつしかないのである。
俺は味噌汁椀に豆ごはんを装い、大きめのお皿に筍のおかか和えを装った。
お盆を貰いにみんなのところへ行ったら……またも相沢君がフライングしていた。
俺は豆ごはんを頬張っている相沢君に対し、さすがにもうなにも言わないでいた。
俺は自分と弟の分の豆ごはんと筍のおかか和えを運んだ。
席は横に相沢君と坂口君。反対側に朔田君と神崎川。両端に俺と颯汰で俺たちは補助椅子に座ることに。
ようやく全てが揃った。
揃った?
あ……
作ろうと思っていた味噌汁……。
忘れていたことは、もちろん内緒にした。
そう俺が思っても不思議じゃないくらい、息ピッタリで仲がいい。
別に羨ましいなんて思っていないけど、わざわざ耳に入ってくるのがそう、坂口君や相沢君から俺の耳に入るのが……嬉しくない。
「ごめんね。相沢君が自由すぎで。唐揚げといい、本当に君ったら……」
「う、うるせー」
相沢君は坂口君に咎められ、少し頬が赤く染めていた。
「俺には……智さんがいるし……」
俺のその言葉に部屋がシーンとしてしまった……
え?どうして向こうの三人がその言葉を聞いているの?
さっきまで焼きそば作りながら仲良く話をしていたよね?
「もう、焼きそば出来たんだよね?相沢君、ちょっと手伝ってくれるかな?」
俺はこの状況を無視するように相沢君の腕を取って台所へ消えて行くことにした。
相沢君は俺に腕を掴まれ、ちょっと戸惑っていた。
台所についたら直ぐに相沢君に炊き上がった豆ごはんを見せることにした。
分量を入れたのは俺だけど炊き上げたのは炊飯器だというのに、相沢君の豆ごはんを見る目はハートだった。
「米四合に豆二合入れたんだ。豆が多い方が美味しいかなと思って……どうかな?」
「めっちゃ美味そうじゃん!な、な、混ぜて混ぜて!」
豆びっしりで米が全然見えない炊飯器の中を見ながらワクワクしてる相沢君。まるで子供のようだ。
俺はお茶碗を四つ取り出し、お盆も用意してから豆ごはんをしゃもじでそっと交ぜていった。
台所中に豆ごはんの美味しい匂いが立ち込めていたけど、しゃもじで交ぜるとその豆ごはん独特の匂いが何倍も充満していく。
「うわっ!なにこれ?ヨダレ出てくるわ……」
相沢君は早く食べたそうに口に手をやっている。
そして不意に俺に聞いてきた。
「なぁ、鳴海……こういうごはん、みんなで一緒に食べるの、いいよな?なんか俺……またしたい。ダメか?鳴海が作った鶏の唐揚げ……初めて食べた味で、信じられないほど美味かった……ありがとな」
一気に色んなことを言う相沢君はいつのまにか首の方まで赤くなっていた。
もう……そんなキャラに見えないのに。
相沢君のギャップが……俺、めっちゃハマりそうなんだけど?
「うん。こういうの、楽しくていいよね?みんなにあとで聞いてみようよ。俺も相沢君の作る料理食べてみたい!」
ちょっと意地悪な言葉を振ってみたら……俺が思うような、というかそれ以上のリアクションをしてくれる相沢君。
「うん!……は?え?……あれ?……はぁああああああ?」
思わず頷いたことに失敗した!っていう顔になってる。
あー楽しい!
坂口君が相沢君で遊ぶ気持ち、わかる気がするよ……。黙ってるけど。
俺は百面相をしている相沢君を放置して次々豆ごはんを装っていった。
お茶碗四つ分装って、お盆の上にそれらを乗せ相沢君に笑顔で渡した。
「はい!もう顔面相おわったの?これ豆ごはん、みんなのところへ持って行ってくれる?弟と俺の分はあとで持っていくからよろしくね!」
相沢君は素直に持って行ってくれた。
俺と颯汰の分は、味噌汁椀に装う事になっている。
実は鳴海家では全てのお椀お皿が四つずつしかないのである。
俺は味噌汁椀に豆ごはんを装い、大きめのお皿に筍のおかか和えを装った。
お盆を貰いにみんなのところへ行ったら……またも相沢君がフライングしていた。
俺は豆ごはんを頬張っている相沢君に対し、さすがにもうなにも言わないでいた。
俺は自分と弟の分の豆ごはんと筍のおかか和えを運んだ。
席は横に相沢君と坂口君。反対側に朔田君と神崎川。両端に俺と颯汰で俺たちは補助椅子に座ることに。
ようやく全てが揃った。
揃った?
あ……
作ろうと思っていた味噌汁……。
忘れていたことは、もちろん内緒にした。
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