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『編み物男子部』?ができるまで。
35 新しい部員 1
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編み物部を作ろうと動き始めてから一週間程経過した。
そんなある日の始業時間前に、俺のところにクラスメイトの堀君が別のクラスの生徒と一緒にやって来た。
「おはよう。堀君」
「鳴海君おはよう。ちょっといい?」
「改まってどうしたの?」
堀君とは勧誘した時に一度話をしただけだから、別に仲がいいって訳でもない。
「僕から話すよ。堀、一緒に来てくれてありがとな」
知らない生徒が堀君の肩を叩いて俺の方を向いた。
「わかった。がんばれ!」 後押しをする堀君。
「はじめまして。C組の名塚といいます。堀は中学からの親友です。あ、あの……堀から教えてもらったんだ。編み物部っていうのがあるって。僕、入部希望なんです!」
ハキハキとした声で彼が俺に話しかけてきた。
名塚くんかぁ……。なんか、嬉しい!もう誰も入ってくれないと思ってたから。
「名塚君、はじめまして!鳴海です。一緒に編み物が出来るだなんて嬉しいよ!こちらこそヨロシク!」
名塚君の手を掴んで両手で握りしめた。嬉しくて縦にブンブン振ってしまう。
「あ、ごめん。名塚君、もしよかったら入部理由聞いていい?」
相沢君みたいな冷やかし入部はちょっと引ける。
純粋に編み物がしたいって思ってくれてるといいな……なんて思いつつ。
「全然いいよ。僕、セーターが編めるようになりたいんだ」
頬を染めながらはっきり言う。
さすがの俺も驚いてしまい間の抜けた顔をしてしまった。さすがにセーターは想像の範囲外。いくら想像してみてもセーターって難易度高過ぎ!純粋な入部希望だ。
「俺、初心者に近いんだけど……」
さすがにちょっと申し訳なくなって遠回りに「教えられる技量はない」と伝えた。
「そうなの?でも、鳴海君は編み物するんだよね?だったら一緒に上達すればいいだけの話だから。問題ないんじゃないかな?」
なんかこのはっきりものを言う名塚君に好感を持てた。
「そういってくれて嬉しいよ!本当に入部してくれてありがとう!」
あ、突然思い出してしまった。新しい部の申請は四月末。十名を確保しなければならないってことを!
「あ、ごめんね。先走っちゃった。実はまだ『編み物部』はないんだ」
「どういうこと?」
話始めようとした時に、始業のチャイムが鳴った。
「あとで詳しく話すよ。今日の午後空いてる?」
「うん」
「じゃあ、放課後理科室に来て。そこで話をするから!」
「わかった。じゃあ、放課後ね!」
俺たちは約束をして別れた。
「堀君!ありがとう!」
「ん?いいよ。大したことしてないし。あいつ、人見知りしないくせにさすがに初対面で声を掛け辛いっていうからさ」
「うん。彼、いいね!」
「だろ?親友だけじゃなく、俺の妹とつきあってるんだ」
そう言って堀君は自分の席に足早く去っていった。
そっかぁ……もしかしたら、その子にセーターつくってあげたいのかな?
想像が膨らんで編み物部の楽しみがますます増えた気がした。
神崎川が傍に来ていないことに気がつかない程、俺は浮かれていた。
そんなある日の始業時間前に、俺のところにクラスメイトの堀君が別のクラスの生徒と一緒にやって来た。
「おはよう。堀君」
「鳴海君おはよう。ちょっといい?」
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堀君とは勧誘した時に一度話をしただけだから、別に仲がいいって訳でもない。
「僕から話すよ。堀、一緒に来てくれてありがとな」
知らない生徒が堀君の肩を叩いて俺の方を向いた。
「わかった。がんばれ!」 後押しをする堀君。
「はじめまして。C組の名塚といいます。堀は中学からの親友です。あ、あの……堀から教えてもらったんだ。編み物部っていうのがあるって。僕、入部希望なんです!」
ハキハキとした声で彼が俺に話しかけてきた。
名塚くんかぁ……。なんか、嬉しい!もう誰も入ってくれないと思ってたから。
「名塚君、はじめまして!鳴海です。一緒に編み物が出来るだなんて嬉しいよ!こちらこそヨロシク!」
名塚君の手を掴んで両手で握りしめた。嬉しくて縦にブンブン振ってしまう。
「あ、ごめん。名塚君、もしよかったら入部理由聞いていい?」
相沢君みたいな冷やかし入部はちょっと引ける。
純粋に編み物がしたいって思ってくれてるといいな……なんて思いつつ。
「全然いいよ。僕、セーターが編めるようになりたいんだ」
頬を染めながらはっきり言う。
さすがの俺も驚いてしまい間の抜けた顔をしてしまった。さすがにセーターは想像の範囲外。いくら想像してみてもセーターって難易度高過ぎ!純粋な入部希望だ。
「俺、初心者に近いんだけど……」
さすがにちょっと申し訳なくなって遠回りに「教えられる技量はない」と伝えた。
「そうなの?でも、鳴海君は編み物するんだよね?だったら一緒に上達すればいいだけの話だから。問題ないんじゃないかな?」
なんかこのはっきりものを言う名塚君に好感を持てた。
「そういってくれて嬉しいよ!本当に入部してくれてありがとう!」
あ、突然思い出してしまった。新しい部の申請は四月末。十名を確保しなければならないってことを!
「あ、ごめんね。先走っちゃった。実はまだ『編み物部』はないんだ」
「どういうこと?」
話始めようとした時に、始業のチャイムが鳴った。
「あとで詳しく話すよ。今日の午後空いてる?」
「うん」
「じゃあ、放課後理科室に来て。そこで話をするから!」
「わかった。じゃあ、放課後ね!」
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「堀君!ありがとう!」
「ん?いいよ。大したことしてないし。あいつ、人見知りしないくせにさすがに初対面で声を掛け辛いっていうからさ」
「うん。彼、いいね!」
「だろ?親友だけじゃなく、俺の妹とつきあってるんだ」
そう言って堀君は自分の席に足早く去っていった。
そっかぁ……もしかしたら、その子にセーターつくってあげたいのかな?
想像が膨らんで編み物部の楽しみがますます増えた気がした。
神崎川が傍に来ていないことに気がつかない程、俺は浮かれていた。
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