18 / 280
子猫の雨月と男の子の雨月
13
しおりを挟む
ため息をひとつついて、私は男の子の両手を持って手と手のひらを合わせるようにした。
そしてもう一度
「いただきます!」
と言ってご飯を食べ始めることにした。
お味噌汁椀を持って味噌汁を一口飲み男の子……横にいる雨月の方を見てみると……左手はお茶碗の中でご飯を掴み、右手には焼き鮭の端っこを持ち上げているところだった。
食べられることが嬉しそうでお目目がキランキランしながら揺れる焼き鮭を見ている。
もちろん……両方は素手である。
「ぎゃあああ!待って待って!そんな風に食べないで!お願いだからぁああ!」
男の子は口の中に入れかけた焼き鮭とご飯をそのままにして動かないでくれていた。
今の言葉は、何となくダメだって理解してはくれたのかな?
そう思ってるのも束の間、口の中に焼き鮭はパクッと一口分消えていった。
「雨月!待って。私をみてくれる?」
雨月が左手のご飯を口に入れるのをやめて私の方を向いてくれた。
この言葉は、通じているのね?
はぁあああ。ひとまず安心!
「雨月……あなたはもしかして『お箸』を使えないの?」
そう言いながら、私は右手に箸を持って動かしてみる。
雨月は首を傾けて何のことか全然わからないとでも言うように全く動こうとしない。
もしかして……『お箸』自体わからないのかも……なんてちょっと想像しがたいことになってきた。
だけどさぁ……見た目はどう見ても小学生くらいの男の子だもん。
お箸使えるって思うじゃない。
もし……本当に子猫の雨月が男の子になっちゃったんだとしたら?
お箸どころか、何一つ出来ないんじゃないの?
だって……子猫?……だったんだよ?
信じたら……。
ごめんなさい、まだ全然信じてないんだけど。
この状況を鑑みれば明らかなんだけど……。
私の心はそれを拒否ってる。
本当に本当にどうしたらいいの?
すがれるものなら誰かにすがりたいんだけど。
ダメダメ!
私が子猫……雨月を拾ったんだからぁ!
赤子のように手がかかる男の子の雨月とこの先どうやって過ごしていけばいいの?
本当に、参っちゃうよ……。
時計とにらめっこしながら過ぎ行く時間が気になって仕方がなかった。
そしてもう一度
「いただきます!」
と言ってご飯を食べ始めることにした。
お味噌汁椀を持って味噌汁を一口飲み男の子……横にいる雨月の方を見てみると……左手はお茶碗の中でご飯を掴み、右手には焼き鮭の端っこを持ち上げているところだった。
食べられることが嬉しそうでお目目がキランキランしながら揺れる焼き鮭を見ている。
もちろん……両方は素手である。
「ぎゃあああ!待って待って!そんな風に食べないで!お願いだからぁああ!」
男の子は口の中に入れかけた焼き鮭とご飯をそのままにして動かないでくれていた。
今の言葉は、何となくダメだって理解してはくれたのかな?
そう思ってるのも束の間、口の中に焼き鮭はパクッと一口分消えていった。
「雨月!待って。私をみてくれる?」
雨月が左手のご飯を口に入れるのをやめて私の方を向いてくれた。
この言葉は、通じているのね?
はぁあああ。ひとまず安心!
「雨月……あなたはもしかして『お箸』を使えないの?」
そう言いながら、私は右手に箸を持って動かしてみる。
雨月は首を傾けて何のことか全然わからないとでも言うように全く動こうとしない。
もしかして……『お箸』自体わからないのかも……なんてちょっと想像しがたいことになってきた。
だけどさぁ……見た目はどう見ても小学生くらいの男の子だもん。
お箸使えるって思うじゃない。
もし……本当に子猫の雨月が男の子になっちゃったんだとしたら?
お箸どころか、何一つ出来ないんじゃないの?
だって……子猫?……だったんだよ?
信じたら……。
ごめんなさい、まだ全然信じてないんだけど。
この状況を鑑みれば明らかなんだけど……。
私の心はそれを拒否ってる。
本当に本当にどうしたらいいの?
すがれるものなら誰かにすがりたいんだけど。
ダメダメ!
私が子猫……雨月を拾ったんだからぁ!
赤子のように手がかかる男の子の雨月とこの先どうやって過ごしていけばいいの?
本当に、参っちゃうよ……。
時計とにらめっこしながら過ぎ行く時間が気になって仕方がなかった。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
わけあって、ちょっとお尻周りがふっくらしているんです。【日常生活でおむつは欠かせません!】
ろむ
大衆娯楽
前代未聞、
おむつ男子の70%ノンフィクションストーリー⁈
"レポート"では無くちょっと変わったリアルな日常の様子をお届け。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる