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番外小話

怪談?

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『おー、ジッタ坊が戻って来たぞい』
『お帰り、ジッタ坊』
「は……?」

 ひばりと結婚して百里基地の官舎に住み始め、戻って来た早々。久しぶりに見たF-4EJファントムを眺めていた。
 今日から空に上がるからとハンガー内に入り、その鼻っ面を撫でていたら、そんな声が聞こえたのだ。

「おーい、誰か何か言ったか?」
「いや?」

 そう聞いたものの、皆否定した。キーパーたちに聞いても、誰も何も言ってないという。

「気のせい、か……?」

 こんなにはっきり聞こえたのにと首を傾げた時だった。

『ジッタ坊は操縦が丁寧じゃからのう、儂らは助かるのう』
『そうじゃのう。下りる時もふわーっと着地するしのう』
『『うんうん』』
『ふふーん、今日は儂に乗るんじゃ! いいじゃろう!』
『『ずるいぞい!』』
「……」

 ……やっぱり何か聞こえる気がする。
 ひばりにベッドの上であれこれしたせいで、疲れてんのかな……いやいや、俺は元気いっぱいだし……なんて考えてるうちに全員と挨拶を交わし、空へと上がる準備をする。準備をしている間に先ほどのことは忘れてしまっていた。

『~~♪』

 しばらくすると、どこからか鼻歌が聞こえて来た。それに俺はすでにコックピット内にいて、キャノピーも閉めているのだ。しかも今はタキシングをして移動中だというのに、だ。管制官の誰かが歌っているのが無線から聞こえているんだと思っていたんだが……。

「……なあ、鼻歌が聞こえないか?」
「ああ……ジッタにも爺さんたちの声が聞こえるのか……」
「は?」

 後ろにいた相棒に話しかけて聞いてみると、彼にも鼻歌が聞こえるらしい。彼曰くこの鼻歌は管制官ではなく、このF-4EJ爺さんが歌ってるものらしい。

「え?! 戦闘機って喋るのか?!」
「そこはわからんが、たまーに話し声が聞こえるんだよな……向こうからの一方通行だが」
「はあっ?!」

 ?!( ゚д゚)?!

 その話を聞いて、きっと俺は今、こんな顔になっているに違いない。
 毎回ではないが、たまーにF-4EJ爺さんから話し声が聞こえるそうだ……それも、複数のF-4EJ爺さんから。

 ……どんな怪談だよ、これ。


 でもまあ、日本には無機物が神様になる付喪神の話があるくらいだし、大事に使っていることからきっと爺さんたちもそうなりつつあるんだろうなあ……なんて思った朝だった。

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