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北の国・スティーリア篇
キャドラングルのまちでしゅ
しおりを挟む え~、現在町の中を歩いているわけですが、めっちゃ注目を浴びてます……主に冒険者たちから。むしろ熱視線をくらってます……大人たちとスー兄様が。
だってねぇ……大人たちは冒険者スタイルだし、見慣れている顔も変えてるんだもん。しかもみんなSランク以上の超有名人。
そんな人たちの一人が幼児を抱っこしてるんだぜ~? そりゃあ注目を浴びるってもんさ。なにせコートがデフォルメされた真っ黒い狼だもんな……そっちにも注目が集まってるっぽい。
……視線がビシバシ刺さってる気がしなくもないが、認識阻害の魔法が発動中なので、私の容姿ではなく抱き上げているバトラーさんとコートに注目が集まっていると思われる。
そんな周囲の状況はともかく。現在冒険者ギルドに移動中であ~る。
一応宿も探してはいるみたいなんだけれど、下手な宿に行くよりは、冒険者推奨の宿に泊まったほうが安心らしい。あとは金持ちの商人や貴族が泊まるような、高級宿とか。
ただし、私の容姿から犯罪者ホイホイだけじゃなく貴族ホイホイにもなり兼ねないし、種族もバレる可能性があると判断され、ギルド推奨の宿に泊まるとこにしたみたい。
高ランク冒険者が泊まるような宿は安心安全だし、下手すると高級宿よりも口が堅い従業員が多いんだと。まあ、基本的にそういう宿は元冒険者や元ギルド職員がやっていることが多いそうで、守秘義務という意味でも安心らしい。
……ほんとかよ。
そのあたりはこの世界に詳しい大人たちに任せ、私はバトラーさんにしがみついたまま、この世界の町の雰囲気を味わっている。雑多な感じの雰囲気は、イスタンブールの市場に近いかなあ。
国境の町だからなのか多種多様の種族がいるし、屋台も食べ物の他にドライフルーツやスパイス、パンや飲み物まで売ってる。魚も売っているけれど、鮮魚じゃなく干物っぽい見た目だ。
貝もあるにはあるが、鮮度は大丈夫だろうかと心配になる。貝の見た目の模様はアサリで形はムール貝というもので、ホタテ焼きのように網焼きで売っていた。味が気になるところだけれど、今はギルドに行くのが先だね。
物珍しさからキョロキョロしているうちに、石造りの建物に着く。高さは三階建てのマンションくらいかな? 大きさとしてはよくわからない。
ぶら下がっている看板には剣と槍がクロスしているうしろに盾が描かれている。これは世界共通なのかな。このあたりのことも聞かないとなあ。
なんて考えているうちに建物の中へと入る大人たち。その途端に視線が突き刺さるも、大人たちは知らん顔というか思いっきりシカトしている。
さすがというかなんというか……。怖いからバトラーさんにギュッとしがみついたら、優しい手つきて背中を撫でられた。その手つきにホッとする。
それと同時に視線を遮るようセレスさんとテトさん、キャシーさんが動き、情報を聞きにセバスさんとスーお兄様がカウンターへと足を進めた。その間に私たちはカウンターへとゆっくり近づき、セバスさんと受付嬢のやり取りを聞く。
「幼児を保護、でございますか?」
「ああ。捨てられたのか攫われたのかは知らんが、見つけた時、かなり衰弱していてな。しかも服もボロボロで、話すこともできなかった」
「まあ……」
シレっと嘘をついてるよ、セバスさん。その話を真に受けて、受付嬢も近くにいて話が聞こえたらしい人も、痛ましそうな顔をしている。
しかも、話が聞こえたらしい冒険者たちですら眉間に皺を寄せているんだから、この世界基準でも相当酷い扱いなんだろう。……まあ、ある意味、森に捨てられていたから間違ってないとはいえ、酷い扱いをされたと認識されてんな、私(笑)
「大人を見て怯えるから、ここに連れてきたくはなかったんだが……」
「保護したとなれば、どのみちギルドに報告しないといけないでしょう?」
「そうですね。場合によっては、人探しで依頼が貼られる場合もございますから」
「ああ。それもあって旅の途中であちこち寄ってみたんだが、そういったものはなくてな」
小さく溜息をつく、セバスさんとスーお兄様。……そうかい、そういう設定なのかい、私の出自は。だから、セバスさんがいいというまで話すなと言った理由はそれかい。
「こちらではどうかと思って寄ったんだが、その様子だとなさそうだな」
「申し訳ございません。我がギルドにも、そのような依頼は来ておりません。もしかしたら他国にあるやもしれませんが……」
「そうか……やはりな。恐らくそうなるだろうと、我らパーティーで面倒を見ることに決めたから、この子のための証明書を作ってくれないか?」
「一度孤児院に連れて行ったんだけど、僕たちから離れないばかりか泣いちゃって」
「そうでございましたか。そうですね……セバス様のパーティーでしたら、なんら問題ありませんし、すぐに証明書をお作りいたします」
「すまない、ありがとう」
おお、なんだかよくわからないが、私の証明書なるものが発行されるようだ。宿に着いたらしっかり説明してもらわんとね。
とりあえず、セバスさんの話に合わせ、大人が怖いというフリをしてバトラーさんにしがみついたまま、プルプル震えてみる。私は子役、子役な女優よ!
そんなことを考えているうちに、セバスさんが受付嬢から差し出されたものに書き込んでいく。その様子を見ていたら、話すことができないから、本人に許可を得て鑑定したという体を装って名前と年齢を書いていると、盗聴されないための結界を張ってバトラーさんが教えてくれた。
他にも種族や使える魔法とスキルを書く欄もあるそうなんだけれど、種族はともかく三歳だとせいぜい属性魔法の適正が見れるかなあってくらいなので、書き込みは任意らしい。
まあ、私の場合、三歳児にしてはスキルと魔法、それに加えて称号欄がくっそヤバイ状態なので、適正魔法に風魔法があったと書くことにしているらしい。称号に関しては、バトラーさんの保護を受けているといった内容を書いているんだとか。
出来上がったら、証明書の説明がてら教えてくれるというので、それまで待つことにしよう。
そんな感じで待っていたらセバスさんが書き終わり、受付嬢に書類を渡す。受け取った彼女はその場で処理をして、プリンターのようなものに紙を通すと、そこからキャッシュカードサイズの大きさのものが出てきた。
なんとも不思議ー。
長方形の短いところに穴が開いているようで、そこに革紐を通した受付嬢は、カード状のものをセバスさんに渡す。
「ご確認いただけますか? その後、可哀想なのですが証明書に血を一滴垂らしてください。そのままこの子の身分証にも使えますので」
「わかった」
「冒険者、あるいは別のギルドに登録できるような年齢に達しましたら、そのまま使うことができます」
「なるほど、ありがとう。バトラー」
「ああ。……大丈夫、チクっとするだけだ」
やっぱりチクっとするんかーいっ!
や、まあ、私自身は注射は怖くないが、幼児の体になったから痛みがどうでるか、わからんのよ。それが怖いなあなんて思っているうちにさっさとセバスさんに手を取られ、右の人差し指を針でチクッとされてすぐカードに指が擦り付けられた。
同時にセレスさんが回復魔法をかけて血をハンカチでぬぐっている間に、カードが青く光ったあと消えた。それを確認したセバスさんと受付嬢は、ホッとした様子をみせていた。
どうやら、私が泣くかもしれないと思っていたみたい。
その後、カードはそのままバトラーさんが受け取り、セレスさんとキャシーさん、テトさんに囲まれたまま、建物の外へ出る。少し遅れてセバスさんとスーお兄様が合流し、ギルドから紹介されたという宿に向かった。
着いたところでセバスさんが部屋の空き状況を確認したものの、大部屋しか空いてないというので話し合った結果。別のところに行くのも面倒だし、隣国へ行く門が近いという理由で全員が頷き、そのままその宿に滞在することに。
部屋は二階の一番奥。そこに入ったらバトラーさんにカードを渡された。
「首にかけておくといい」
まだ話していいと言われていないので頭を動かして頷くと、フードを取って首からかけた。
よくわからないが、私の証明書、ゲットだぜ!
だってねぇ……大人たちは冒険者スタイルだし、見慣れている顔も変えてるんだもん。しかもみんなSランク以上の超有名人。
そんな人たちの一人が幼児を抱っこしてるんだぜ~? そりゃあ注目を浴びるってもんさ。なにせコートがデフォルメされた真っ黒い狼だもんな……そっちにも注目が集まってるっぽい。
……視線がビシバシ刺さってる気がしなくもないが、認識阻害の魔法が発動中なので、私の容姿ではなく抱き上げているバトラーさんとコートに注目が集まっていると思われる。
そんな周囲の状況はともかく。現在冒険者ギルドに移動中であ~る。
一応宿も探してはいるみたいなんだけれど、下手な宿に行くよりは、冒険者推奨の宿に泊まったほうが安心らしい。あとは金持ちの商人や貴族が泊まるような、高級宿とか。
ただし、私の容姿から犯罪者ホイホイだけじゃなく貴族ホイホイにもなり兼ねないし、種族もバレる可能性があると判断され、ギルド推奨の宿に泊まるとこにしたみたい。
高ランク冒険者が泊まるような宿は安心安全だし、下手すると高級宿よりも口が堅い従業員が多いんだと。まあ、基本的にそういう宿は元冒険者や元ギルド職員がやっていることが多いそうで、守秘義務という意味でも安心らしい。
……ほんとかよ。
そのあたりはこの世界に詳しい大人たちに任せ、私はバトラーさんにしがみついたまま、この世界の町の雰囲気を味わっている。雑多な感じの雰囲気は、イスタンブールの市場に近いかなあ。
国境の町だからなのか多種多様の種族がいるし、屋台も食べ物の他にドライフルーツやスパイス、パンや飲み物まで売ってる。魚も売っているけれど、鮮魚じゃなく干物っぽい見た目だ。
貝もあるにはあるが、鮮度は大丈夫だろうかと心配になる。貝の見た目の模様はアサリで形はムール貝というもので、ホタテ焼きのように網焼きで売っていた。味が気になるところだけれど、今はギルドに行くのが先だね。
物珍しさからキョロキョロしているうちに、石造りの建物に着く。高さは三階建てのマンションくらいかな? 大きさとしてはよくわからない。
ぶら下がっている看板には剣と槍がクロスしているうしろに盾が描かれている。これは世界共通なのかな。このあたりのことも聞かないとなあ。
なんて考えているうちに建物の中へと入る大人たち。その途端に視線が突き刺さるも、大人たちは知らん顔というか思いっきりシカトしている。
さすがというかなんというか……。怖いからバトラーさんにギュッとしがみついたら、優しい手つきて背中を撫でられた。その手つきにホッとする。
それと同時に視線を遮るようセレスさんとテトさん、キャシーさんが動き、情報を聞きにセバスさんとスーお兄様がカウンターへと足を進めた。その間に私たちはカウンターへとゆっくり近づき、セバスさんと受付嬢のやり取りを聞く。
「幼児を保護、でございますか?」
「ああ。捨てられたのか攫われたのかは知らんが、見つけた時、かなり衰弱していてな。しかも服もボロボロで、話すこともできなかった」
「まあ……」
シレっと嘘をついてるよ、セバスさん。その話を真に受けて、受付嬢も近くにいて話が聞こえたらしい人も、痛ましそうな顔をしている。
しかも、話が聞こえたらしい冒険者たちですら眉間に皺を寄せているんだから、この世界基準でも相当酷い扱いなんだろう。……まあ、ある意味、森に捨てられていたから間違ってないとはいえ、酷い扱いをされたと認識されてんな、私(笑)
「大人を見て怯えるから、ここに連れてきたくはなかったんだが……」
「保護したとなれば、どのみちギルドに報告しないといけないでしょう?」
「そうですね。場合によっては、人探しで依頼が貼られる場合もございますから」
「ああ。それもあって旅の途中であちこち寄ってみたんだが、そういったものはなくてな」
小さく溜息をつく、セバスさんとスーお兄様。……そうかい、そういう設定なのかい、私の出自は。だから、セバスさんがいいというまで話すなと言った理由はそれかい。
「こちらではどうかと思って寄ったんだが、その様子だとなさそうだな」
「申し訳ございません。我がギルドにも、そのような依頼は来ておりません。もしかしたら他国にあるやもしれませんが……」
「そうか……やはりな。恐らくそうなるだろうと、我らパーティーで面倒を見ることに決めたから、この子のための証明書を作ってくれないか?」
「一度孤児院に連れて行ったんだけど、僕たちから離れないばかりか泣いちゃって」
「そうでございましたか。そうですね……セバス様のパーティーでしたら、なんら問題ありませんし、すぐに証明書をお作りいたします」
「すまない、ありがとう」
おお、なんだかよくわからないが、私の証明書なるものが発行されるようだ。宿に着いたらしっかり説明してもらわんとね。
とりあえず、セバスさんの話に合わせ、大人が怖いというフリをしてバトラーさんにしがみついたまま、プルプル震えてみる。私は子役、子役な女優よ!
そんなことを考えているうちに、セバスさんが受付嬢から差し出されたものに書き込んでいく。その様子を見ていたら、話すことができないから、本人に許可を得て鑑定したという体を装って名前と年齢を書いていると、盗聴されないための結界を張ってバトラーさんが教えてくれた。
他にも種族や使える魔法とスキルを書く欄もあるそうなんだけれど、種族はともかく三歳だとせいぜい属性魔法の適正が見れるかなあってくらいなので、書き込みは任意らしい。
まあ、私の場合、三歳児にしてはスキルと魔法、それに加えて称号欄がくっそヤバイ状態なので、適正魔法に風魔法があったと書くことにしているらしい。称号に関しては、バトラーさんの保護を受けているといった内容を書いているんだとか。
出来上がったら、証明書の説明がてら教えてくれるというので、それまで待つことにしよう。
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なんとも不思議ー。
長方形の短いところに穴が開いているようで、そこに革紐を通した受付嬢は、カード状のものをセバスさんに渡す。
「ご確認いただけますか? その後、可哀想なのですが証明書に血を一滴垂らしてください。そのままこの子の身分証にも使えますので」
「わかった」
「冒険者、あるいは別のギルドに登録できるような年齢に達しましたら、そのまま使うことができます」
「なるほど、ありがとう。バトラー」
「ああ。……大丈夫、チクっとするだけだ」
やっぱりチクっとするんかーいっ!
や、まあ、私自身は注射は怖くないが、幼児の体になったから痛みがどうでるか、わからんのよ。それが怖いなあなんて思っているうちにさっさとセバスさんに手を取られ、右の人差し指を針でチクッとされてすぐカードに指が擦り付けられた。
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