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本編

前編(薫視点)

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「ねえ、薫ちゃん。アタシの練習台になってくれないかしら?」
「は?」

 夜の七時ちょっと前。伸びて鬱陶しくなった前髪や後ろを切ってもらい、細かい髪を落とすのにシャンプー台に寝かされて目にタオルをかけられた時、私の担当であるオネエのコウさんがそんなことを言った。
 このお店ではシャンプー台に寝てる時は目にタオルをかけてくれるから、どこを見ていいかわかんなくて視線をさ迷わせる必要がないのは助かる。コウさんと出会う前に行ってたとこはそんなサービスはなくて、たまに美容師さんの魅惑的な胸とか胸の谷間が目の前にあって困る時があったのだ。だからタオルをかけてくれるサービスは有難かった。
 そしてこの美容室は私が住んでるマンションからも近いし閑静な住宅街の中にある。彼曰く、自分が独立した時に実家の一階を美容室に改造したらしい。
 だからなのか、椅子はたった三つしかない。それでもやっていけるんだから、腕がいいんだろうなぁと思う。普通のパーマだけじゃなくデジパーもやってくれるから、昼間に美容室の前を通ると結構混んでるんだよね。
 ちなみに、彼の部屋はここではなく別にあるそうだ……お金があるってスバラシイヨネ。

「意味不明なんだけど」
「そのままの意味よ? わかるでしょ?」
「うーん……つまり、いつも最後にやってくれてる肩とか首とかのマッサージの練習ってこと?」
「それも含む、とだけ言っておくわ。もちろん、練習台になってくれたら今日のお代はナシよ」
「マジっすか! いくらでも練習して!」
「その言葉、忘れんじゃないわよ?」

 どんな表情をしてるのかわからないけど、クスリと笑ったコウさんの声に恐怖を覚えるものの、後の祭り。ズボラで面倒くさがりで枯れてる女の私が、まさかあんなことになるなんて、この時の私はこれっぽっちも思っていなかった。

「今更なんだけどね、相変わらずそんな格好してるのね」
「いいでしょ、別に。いろいろと楽だもの」
「楽って……アンタねえ。それでもシャツ一枚はないと思うの」
「……」

 コウさんの言葉に無言を貫く。というか、なんでシャツ一枚しか着てないことがバレたし。
 今日はたまたま着てないだけで、普段はパット付のキャミくらいは着てこの店に来てる。ブラは外出する時しかしないけどね。そして下はウエストゴムのロングスカート。
 家に帰ったらさっさと全部脱いで、Tシャツとスウェットのズボンに履き替えるのが楽だからこんな格好をしてますが、それが何か。家で翻訳の仕事する時はこの格好のほうが楽だしね。
 そんなことを言えば溜息をつかれた。

「しょうがないコねぇ。少しはお洒落くらいしなさいよ」
「嫌だよ、めんどくさい」
「めんどくさいとか言わないの」
「ズボラでめんどくさがりでいろいろと枯れてる、ある意味女を捨ててる私に何を期待しておいでで?」

 私の髪を濡らしながらコウさんとお喋りをする。ちゃんとした服がないわけじゃないけどおしゃれとか面倒だし、私はそういったセンスは皆無だ。それに洋服を買うにはお金がたくさんかかるじゃないか。一応化粧はするけど、それだって人と会う時だけだし。
 いいんだよ、外で会うのは結婚した友人だけなんだから。

「もう、本当に仕方ない子。シャンプーの途中だけど時間だから先に閉店作業してくるわ。悪いんだけどそのままでいてくれる? すぐに終わるから」
「はーい」

 また溜息をついたコウさんは、いつものように髪を濡らしたまま私を放置して閉店作業を始めた。ま、まあ、毎回閉店近くにくる私が悪いんだけどさ。タオルを取って彼の作業を眺めててもいいんだけど、髪が濡れてるから起き上がると服が濡れるし、それに、いつもの如く眠くてしょうがない。


 ――これが終わらないセックスの始まりであり、体力バカとか絶倫って意味を知ることになるとは、この時の私はそんなこと思いもしなかった。


 そんなことを考えてるうちにいつの間にか眠っていて、身体がゾクゾクした感じの甘い痺れで目が覚めた。なんだか身体中がスースーするし、柔らかい布団に寝てるような感じもする。それに乳房が揉まれているような感じがするし、アソコに何か埋まってような感じもするし、目隠しもタオルじゃなくなってるみたいだし……なんで?

「ぁん……」
「チッ……起きた?」

 ……何か今、舌打ちした?

「ふぇ……? ……あっ! ごめんなさい! どれくらい寝てました?!」
「二時間ちょっとくらいかしら。こっちこそごめんなさいね。金額があわなくてアタシがもたもたしちゃったのが悪いの。それに、起こしても起きないアンタをアタシの家に連れてきたり」
「ご、ごめ」
「大変だったけど、お風呂でアンタの全身を洗ってからDサイズはありそうな、柔らかいおっぱいを揉みながら乳首をしゃぶったり」
「んなさ…………え?」
「クリトリスや秘唇、蜜壺をたっぷり舐めたりと薫ちゃんをたくさん愛撫して、セックスをしてたの。これから三回目のセックスを始めようとおっぱいを愛撫し始めたら、アンタが起きたのよ。三回はヤれる計算だったのに、何で起きちゃったのかしら……」
「……え?! はうっ、あっ、ああんっ!」

 急に乳首を擦られながら胎内にあったらしいモノが動き、疼きが走った。そして動こうとしたら腕が上になっていることに気づいて、何でこんなことになっているのかわからなくて混乱する。

「あんっ、やっ、コウさ、何で……っ、あっ」
「一度アンタの腕を縛って、思う存分抱いてみたかったの。それに、練習だって言ったでしょ? ……尤も、練習はアンタをアタシの家に連れ込んで抱くための口実だったんだけど……眠ってくれてよかったわ」
「えっ!? あっ、ああっ!」

 言うが早いか乳房を激しく揉み始めた。胎内で動いているモノと相まって、乳首が硬くなってじんじんしてきたのがわかる。

「うふ、アタシの指の間から見えてる薫ちゃんの……薫の乳首がまた硬くなってきたわ」
「あぁっ、やめてっ、あんっ」
「嫌よ。蜜壺もおっぱいもどっちも気持ちいいもの……それに、アタシの肉竿と手にちょうどいいのよ、アンタの身体」
「あっ、あっ、コウさん、いやっ、ああっ」

 軽く拒否しても、乳房を揉むコウさんの手は止まらない。揉んでいた手が止まると、今度は手全体を使って乳首を擦り始め、彼のモノの動きも止まらない。

「あ……っ、はぅっ、ああ……っ」
「うふ、薫ったら乳首をこんなに硬くしちゃって……可愛い!」
「ひゃあっ、ああっ、あっ、は……っ」

 乳首を捏ねながら柔らかいものが乳房を這う。唇と舌だと思った時には痛いくらいに乳房を吸われていた。目隠しをされているせいか、その指使いと唇と舌が気持ちよくて、ひどく感じてしまう。

「ああ……、あぁん……、はぁ……っ」
「うふ、ホントにイイ声で啼くわよね、薫は……だから止められないのよ、アンタとのセックスは」
「どういう、意味……っ、ひゃんっ、あっ、ああっ」

 まるで何度も私とセックスをしているような言い方に疑問を持ち、それを聞こうとしたら唇が乳首に触れた。チュッと音をたてて吸われ、舌が乳首を舐めた。私でも硬くなっているとわかる乳首をなぶるかのように周りや先端をじっくり舐められて、さらに気持ちよくなっていく。

「あっ、は……、あん、ああ……っ」

 乳房を揉まれ、乳首を舐められ、抜き差しされる度にグチュ、ズチュ、と鳴る水音が聞こえてきて、恥ずかしくなってくる。

「やんっ、コウさん、やめて……っ、あっ」
「嫌だっていってるでしょ? それに、薫の肉壁は、アタシの肉竿を咥わえ込んで離さないじゃないの」
「ああんっ、あっ、ああっ!」

 まるで乳房を堪能するかのように、彼の唇と舌と手がゆっくりと這い、時々きつく吸われる。反対側の乳首にもキスをされてから舌で刺激されて、彼のモノを締め付けてしまう。
 グチュグチュと鳴る卑猥な水音と乳首を吸う音が耳に入る中で、口と掌で乳首を愛撫され、言葉とは裏腹に身体がさらに熱くなる。……もっとして欲しいと、身体が訴える。

「コウさ、やめっ、あっ、ああっ!」
「嫌だってば。薫を妊娠させてでもアタシに縛りつけておきたいのよ。だからこそ何度もアンタを眠らせて、そのたびに抱いてナカに射精したのに、ちっとも妊娠しないんだもの」
「ああっ、ひあっ、あぁぁぁぁぁっ!」
「んふ……イったわね」

 いきなり粒を触られて摘ままれ、そのあまりにも強い刺激に急激に快感が膨れあがり、視界が白く弾けた。

「あ、あ、あ、今、なんて……あぅっ」
「ふふ……お店で薫に出してる紅茶の中にね、二回目のシャンプー中に眠るよう、毎回睡眠薬を入れてたの。あとはヤってる最中に起きないよう、クロロホルムを嗅がせて寝ている薫を抱いて中に射精してね」
「あっ、ああっ、あんっ」
「多い時で二回抱かなかったせいか、妊娠はしなかったわ。けど、この三年間薫が毎月髪をカットしにくる度に必ず抱いて、アタシの愛撫と肉竿の太さ……そしてセックスの気持ちよさを身体に覚えさせたおかげで、アタシ好みの身体に調教できたし敏感な身体になったからいいわ。それに薫にバレちゃったことだし、これから毎日抱けばいいだけもの。だからね、クリをちょっと摘まんだだけで……」
「ひゃあぁぁぁっ! ああんっ!」
「く……っ、調教済みの薫の身体は、簡単にアタシの肉竿を締め付けてイく、ってわけ」

 楽しそうな声で話すコウさんにまた粒を摘ままれた途端に視界が白く弾け、彼のモノを締め付けてイった。

「はぁっ、はぁっ、あうっ、言って、くれれば、よかった、のに……っ、あんっ」
「え?」

 私の言葉に、彼の動きが止まった。

「コウさんが、何で女として終わってる私を妊娠させてまで縛りつけておきたいのか、抱きたがるのかわかんないよ。でもね、言ってくれれば睡眠薬なんか飲ませなくても、コウさんに抱かれたよ? 私を抱きたいというならいくらでも抱けばいいし、私もコウさんに抱かれるのは嫌じゃないから」
「薫……ふふっ、そう……いいわ、明日からお盆休みだし、アンタの言った通りこれからいくらでも抱くからね?」

 私の願望というか口が滑ったせいで、「覚悟しなさいね」なんてコウさんの楽しげな声がする。仕事はちょうど締切を終えたばかりだし、新しい翻訳の仕事は来月に入ってすぐだから問題ない。
 というか、なんで男が好きだと公言してるオネエな彼が私を妊娠させてまで側におきたがったり、抱きたがるのかわからないけど、火をつけられた身体と心が彼を求めて疼く。彼が愛撫して腰を動かすだけで、簡単に声をあげてしまう。

「あっ、あっ、あんっ、ああんっ!」
「ん……、起きて啼いてるほうが、断然可愛いわ……勿体ないことしちゃった……っ」
「やっ、ダメっ! イクっ、イっちゃう!」
「一緒にイきましょうねっ!」
「あんっ、ああっ! あぁぁぁぁぁっ!」

 いきなり早くなった腰の動きに、一緒にイったみたいで彼のモノを締め付けたら中出しされた。

「ああん! 薫とヤってる時の顔もエロいけど、イった顔も起きてるほうが断然エロ可愛いいわっ! ホントに勿体ないことしちゃった……。ふふ、もう一回ヤらせて。そのあとお風呂で一緒に汗を流して、またベッドで抱いてあげるわ」
「えっ?! ちょっ、あぁぁっ!」

 私も彼もイったばかりだというのに、私を愛撫し始めた途端に彼のモノはあっというまに元気になって、私を攻めたてる。
 確かに私自身は覚えてないけど、髪を切った日は必ずと言っていいほど美容室で寝ちゃってたし、すごく疲れてたりアソコに違和感があった。時々身体が疼いて熱くなって、何か変な病気になったのかと思ってたけど、まさかコウさんのせいだなんて思わなかった。

 この人は覚えているだろうか……友人の結婚式が終わったあと、ひどく酔っぱらっていた彼を介抱していた私を、何度も中出しして抱いたことを。

「あんっ、ああっ、あぁぁぁぁぁっ!」

 彼と一緒に登りつめてまた中出しされた。息を整える間もなく腕の拘束を解かれて抱き上げられ、目隠しされたままお風呂場へと連れて行かれた。

「薫、立てる? 立てるなら立ったまま足を広げて。手は壁……ココよ」
「あ……っ、は……、あん……」

 言われるがままにその通りにすると、立ったままの私の身体を、石鹸をつけたらしい彼の手が滑るように動く。洗ってるだけのはずなのに、両腕、両足、背中にお尻……それらを愛撫するように、彼の手が這う。

「ああっ、んっ、あっ、あっ」

 何も見えないせいか彼がどこを触るかわからず、でもさっきから抱かれているせいで――彼曰く、私の身体を調教したせいで本当に敏感になっているのか、それだけで身体が甘く痺れて疼き、秘部がまた痺れて濡れていくのがわかる。
 彼の掌がお腹を撫で、乳房全体と乳首を丹念に撫で回すと、子宮のあたりから甘い疼きが這い上がってくる。

「はぅ……、ああっ、あんっ!」
「薫ったら、もうびしょ濡れじゃない。これならココでもすぐにヤれるわね……身体を調教しといてよかったわ」
「やめっ、ああっ、ああぁぁぁぁっ!」

 乳首を摘ままれて捏ねられ、いきなり胎内に指を入れられて動かされ、粒も擦られてまたイかされた。私の性感帯を知っているようで、ピンポイントで感じる場所を攻められ、また身体が熱くなってくる。泡を流すシャワーでさえも、感じてしまう。
 片足を持ち上げられてその足が何かの上に乗せられた途端に、彼のモノが入りこんでくる。さっき抱かれた時よりも大きくて苦しくて、その熱くて硬いモノが胎内を圧迫するも、擦られるたびに気持ちよくなっていく。

「うぁ、おっきい、あっ、くるし……っ、はうっ、ああん!」
「あら、ありがと。頑張って薫をイかせるからね? あと、ずっと薫と立ちバックしたかったのよねえ……アンタのナカはすっごく気持ちいいし。ふふ……ねえ、薫……この状態のままアンタのクリと乳首を摘まんだらどうなるかしら?」
「ひうっ、やめっ! やぁぁぁぁっ! あぁぁぁぁぁっ!!」
「す、ごい、締め付け……っ! 堪んないわ……っ!」

 彼に貫かれて動かされながら粒と乳首を同時に摘ままれて捏ねられ、そのあまりの気持ちよさに視界がまた白く弾けてイってしまった。彼のモノをギュッと締め付けると、興奮したような彼の声が私の耳に届く。

 ずっと彼が好きだった。でも彼は男にしか興味のない人だった。だから諦めようとしたのに、なんの因果か彼が興奮しながら私を貫いていることが嬉しかった。

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