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if~もしも相手が○○だったら~
もしも相手が小野だったら 前編
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あらすじの通り、泪と出会う前となります。
もしも、在沢室長が圭を勧めていたら。
こうなりました。
*******
「あっ……はあっ……やぁ……っ」
「貴女は敏感なんですね……。その上、胸が弱いんですよね。……嬉しいですよ」
濡れた帯をほどき、伊達絞めもほどいてはだけさせ、袂から手を入れてその身体の小ささに似合わぬ大きな胸を掴み、乳首を擦り、指に挟んで捏ね回し、揉んで行く。
長年の片思いに終止符を打ち、やっと手に入れた恋人は自分の腕の中で喘ぎ、甘い声をあげながら快感にうち震えている。
そんな彼女を愛撫しながら、彼女と初めて会った日のことを思い出していた。
***
彼女と初めて会ったのは、五年前の春先だった。社長に頼まれた書類を小田桐に提出した帰りに、社長の個人的なお願いをするべく、秘書課に寄った時だった。
「お? 圭、すまんな」
「いえ」
室長である在沢 保と話している時にコーヒーを持ってきてくれた彼女は、どうみても中学生くらいの身長しかなかった。
「在沢さん、そこを何とか……」
「いくら親会社の社長の頼みでも、こればっかりは頷くわけには行きません。それに、僕はこの場所を気に入っているんです。小田桐社長がうんと言わないかぎり、ここを動きませんよ」
「ですが、貴方以上に秘書の仕事が出来る方を、私も社長も知りません」
一旦言葉を切り、差し出されたコーヒーを一口啜る。
(……美味しい……!)
思わず目を見開くと、それを見ていたのか
「彼女の入れたコーヒー、美味しいでしょう?」
と、在沢室長に嬉しそうに話しかけられた。
「彼女の入れたコーヒーは格別でね。僕も気に入っていますよ」
「本当に美味しいですね。私もコーヒーが好きで自分で入れますが、ここまでは……」
「でしょう? ここだけの話、圭……彼女はコーヒープランナーの資格を持っていますから」
(コーヒープランナー?)
どんな資格なのか聞こうとして口を開けた途端、流暢なスペイン語が聞こえて来た。驚いてその声の主を見ると、先ほどコーヒーを持って来てくれた彼女だった。
「あ、そうだ! 僕の代わりに彼女はどうでしょう?」
「え?」
そんな自分の様子を見ていたのか、在沢室長に突然そう声をかけられて彼のほうを向くと、彼は徐に立ち上がって何かのファイルを持って来た。
「まだまだ若輩者で申し訳ありませんが……資格の数から言えば、僕なんて足元にも及びませんよ。ご覧になりますか?」
手渡されたのは、自分や社長が欲しがっている在沢 保を凌ぐ程の資格の数々だった。語学の資格は言うに及ばず、速記も、簿記も、文句なしだった。
名前は在沢 圭。そして、仕事が忙しく、自分が未だに取りに行けずにいる秘書検定は、二十歳と言う若さにも関わらず、既に一級だった。
「在沢さん、と仰るのですか。あの若さで……凄い……」
「凄いでしょう?」
「失礼ですが、在沢室長と同じお名前のようですが……?」
「ああ。お恥ずかしながら、私の娘なんです」
その言葉になるほど、と頷く。
「如何ですか?」
「社長に相談しないと何とも言えませんが……。このファイル、お借りしても宜しいですか?」
「ファイルはお貸し出来ませんが、履歴書や資格欄のコピーでよろしければ」
「構いません」
在沢室長からコピーをもらい、その日は小田桐をあとにした。そのまま会社へ戻り、社長に在沢室長の言葉と彼女の資料を渡すと、社長はすぐに頷いてGOサインを出したのには驚いた。
「二十歳という若さでこれだけの資格があり、しかもスペイン語を流暢に喋るんだろう? あの在沢 保が勧めるくらいだから即戦力にはなるだろうし、お前も語学が堪能な補佐がほしいと言っていたじゃないか」
俺は構わない。そう言ってくれた社長に感謝をし、彼女を口説き落とすべく、その翌日から週に一度彼女に会いに出かけた。
最初は彼女を穂積に誘っていた。誘うたびに若輩者であることと、足が悪いから自分のように精力的には動けないことを告げられた。
けれど、自分は諦めずに彼女を誘い続け、いつしかそれに加えて彼女が入れてくれるコーヒーを楽しみにするようになり、それとは別に次第に彼女に会うのが楽しみになった。
結局彼女に穂積行きを承諾させるのに半年かかった。
彼女が穂積に来てから、自分の部下として彼女と話すうちに、趣味が似ていることに気がついた。コーヒーも、読む本も、映画も、カクテルが好きなことも。
そんな彼女に惹かれるのに時間はかからず、ある日、普段は無表情な彼女が、ふとした瞬間に見せた彼女の笑顔を見て、自分は彼女に恋をしていると自覚した。
そこからは素早かった。お互いに忙しく、既にギクシャクしていた女と円満に別れ、彼女を口説きにかかった。映画に行ったり、食事に誘ったり、ドライブに誘ったり。ゆっくりと、確実に。
けれど彼女は鈍感だったためにアプローチしても気付いてはもらえず、なんだかんだと三年近く片思いをしていた。
そんなある日の週末、サイフォンを手に入れたので彼女を自宅に誘った――彼女に告白するために。何処かで食事をして行こうと言った自分に、どうせ自宅に行くなら作ります、と言ってくれた彼女に狂喜乱舞したのは内緒だ。
「すまない。さっぱりわからなくて……」
「構いませんよ。じゃあ、私の言う通りにやってみてください」
料理をしながら自分に指示を出す彼女。操作を間違えてはお互いに笑ったりしたが、なんとか操作を覚え、コーヒーを入れることが出来た。
一段落したのか、彼女は洗い物をしていたので、後ろからそっと彼女を抱き締める。
「小野……さん?」
「貴女が好きだ。結婚を前提に、私と付き合ってくれませんか?」
「……はい。私も……小野さんが好き……んっ」
彼女の言葉が嬉しかった。彼女が自分を好きでいてくれたことに驚きもしたが、嬉しかった。
やっと手に入れた……。
そんな思いと愛しさが溢れ、思わず彼女の顎を捕らえてキスをする。上顎を舐め、歯列をなぞり、舌を絡めるキスをしながら服の裾から手を入れて下着の上から胸を鷲掴んでそっと揉み始める。
見た目以上の大きさにびっくりしたものの、あまりの柔らかさと吸い付くような肌触りに嬉しくなり、すぐに夢中になった。
「んっ……、んぁ……、んん……」
下着を少しずらして乳首を摘まむと、ゆっくりと捏ね回す。しばらくすると乳首がつん、と起ち上がったので、それを指で挟んで胸を鷲掴む。指を動かしながらゆっくりと揉み始めると、胸が……特に乳首が弱いのか、すぐに喘ぎ始めた。
「んん……っ、んあっ……、あん……っ、小野、さ……あっ」
「圭……貴女が欲しい」
「小野、さん……待って……あっ」
「待てません」
「あん……、お願い、待って……」
彼女にそう懇願され、しぶしぶ胸から手を離す。そうして聞かされたのは彼女の足が悪い理由と、全身に傷があることを告げられ、夏でも長袖を着ている服の袖を捲って腕の傷の傷を見せてくれた。
あまりの痛ましさに顔を歪めると彼女は悲しげな目をした後で目を伏せる。
「……そう、ですよね……。全身にこんな傷がある女なんか、嫌、ですよね……」
ポツリと呟いて辛そうに目を伏せた。勘違いさせたと気付いて慌てて否定する。
「違う! 圭、違います!」
「……いいんです。私は小野さんが好きだけど、でも……。嫌われても仕方ないから。好きだ、と言ってもらえて嬉しかったです。……帰りますね」
待って、と言う言葉を遮るように吹き出した鍋に、慌てて火を止めに行く。その間に彼女は帰ってしまい、慌てて追いかけると彼女はタイミングよく来たタクシーに乗り込んで行ってしまった。
「圭……」
ギュッ、と拳を握る。勘違いさせた。彼女を傷つけた。
せっかく好きだと言ってくれたのに……やっと両思いになれたのに。彼女が自分から離れて行くのが怖かった。他の男に渡すなど、もっての他だった。
翌日、彼女が住むマンションに出かけると彼女を傷つけたことを詫び、何故顔を歪ませたのかきちんと説明した上で彼女を納得させる。もう一度彼女に告白をしたあとで彼女をギュッと抱き締め、泣いていた彼女に腰が砕けるまでキスをした。
もしも、在沢室長が圭を勧めていたら。
こうなりました。
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「あっ……はあっ……やぁ……っ」
「貴女は敏感なんですね……。その上、胸が弱いんですよね。……嬉しいですよ」
濡れた帯をほどき、伊達絞めもほどいてはだけさせ、袂から手を入れてその身体の小ささに似合わぬ大きな胸を掴み、乳首を擦り、指に挟んで捏ね回し、揉んで行く。
長年の片思いに終止符を打ち、やっと手に入れた恋人は自分の腕の中で喘ぎ、甘い声をあげながら快感にうち震えている。
そんな彼女を愛撫しながら、彼女と初めて会った日のことを思い出していた。
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「お? 圭、すまんな」
「いえ」
室長である在沢 保と話している時にコーヒーを持ってきてくれた彼女は、どうみても中学生くらいの身長しかなかった。
「在沢さん、そこを何とか……」
「いくら親会社の社長の頼みでも、こればっかりは頷くわけには行きません。それに、僕はこの場所を気に入っているんです。小田桐社長がうんと言わないかぎり、ここを動きませんよ」
「ですが、貴方以上に秘書の仕事が出来る方を、私も社長も知りません」
一旦言葉を切り、差し出されたコーヒーを一口啜る。
(……美味しい……!)
思わず目を見開くと、それを見ていたのか
「彼女の入れたコーヒー、美味しいでしょう?」
と、在沢室長に嬉しそうに話しかけられた。
「彼女の入れたコーヒーは格別でね。僕も気に入っていますよ」
「本当に美味しいですね。私もコーヒーが好きで自分で入れますが、ここまでは……」
「でしょう? ここだけの話、圭……彼女はコーヒープランナーの資格を持っていますから」
(コーヒープランナー?)
どんな資格なのか聞こうとして口を開けた途端、流暢なスペイン語が聞こえて来た。驚いてその声の主を見ると、先ほどコーヒーを持って来てくれた彼女だった。
「あ、そうだ! 僕の代わりに彼女はどうでしょう?」
「え?」
そんな自分の様子を見ていたのか、在沢室長に突然そう声をかけられて彼のほうを向くと、彼は徐に立ち上がって何かのファイルを持って来た。
「まだまだ若輩者で申し訳ありませんが……資格の数から言えば、僕なんて足元にも及びませんよ。ご覧になりますか?」
手渡されたのは、自分や社長が欲しがっている在沢 保を凌ぐ程の資格の数々だった。語学の資格は言うに及ばず、速記も、簿記も、文句なしだった。
名前は在沢 圭。そして、仕事が忙しく、自分が未だに取りに行けずにいる秘書検定は、二十歳と言う若さにも関わらず、既に一級だった。
「在沢さん、と仰るのですか。あの若さで……凄い……」
「凄いでしょう?」
「失礼ですが、在沢室長と同じお名前のようですが……?」
「ああ。お恥ずかしながら、私の娘なんです」
その言葉になるほど、と頷く。
「如何ですか?」
「社長に相談しないと何とも言えませんが……。このファイル、お借りしても宜しいですか?」
「ファイルはお貸し出来ませんが、履歴書や資格欄のコピーでよろしければ」
「構いません」
在沢室長からコピーをもらい、その日は小田桐をあとにした。そのまま会社へ戻り、社長に在沢室長の言葉と彼女の資料を渡すと、社長はすぐに頷いてGOサインを出したのには驚いた。
「二十歳という若さでこれだけの資格があり、しかもスペイン語を流暢に喋るんだろう? あの在沢 保が勧めるくらいだから即戦力にはなるだろうし、お前も語学が堪能な補佐がほしいと言っていたじゃないか」
俺は構わない。そう言ってくれた社長に感謝をし、彼女を口説き落とすべく、その翌日から週に一度彼女に会いに出かけた。
最初は彼女を穂積に誘っていた。誘うたびに若輩者であることと、足が悪いから自分のように精力的には動けないことを告げられた。
けれど、自分は諦めずに彼女を誘い続け、いつしかそれに加えて彼女が入れてくれるコーヒーを楽しみにするようになり、それとは別に次第に彼女に会うのが楽しみになった。
結局彼女に穂積行きを承諾させるのに半年かかった。
彼女が穂積に来てから、自分の部下として彼女と話すうちに、趣味が似ていることに気がついた。コーヒーも、読む本も、映画も、カクテルが好きなことも。
そんな彼女に惹かれるのに時間はかからず、ある日、普段は無表情な彼女が、ふとした瞬間に見せた彼女の笑顔を見て、自分は彼女に恋をしていると自覚した。
そこからは素早かった。お互いに忙しく、既にギクシャクしていた女と円満に別れ、彼女を口説きにかかった。映画に行ったり、食事に誘ったり、ドライブに誘ったり。ゆっくりと、確実に。
けれど彼女は鈍感だったためにアプローチしても気付いてはもらえず、なんだかんだと三年近く片思いをしていた。
そんなある日の週末、サイフォンを手に入れたので彼女を自宅に誘った――彼女に告白するために。何処かで食事をして行こうと言った自分に、どうせ自宅に行くなら作ります、と言ってくれた彼女に狂喜乱舞したのは内緒だ。
「すまない。さっぱりわからなくて……」
「構いませんよ。じゃあ、私の言う通りにやってみてください」
料理をしながら自分に指示を出す彼女。操作を間違えてはお互いに笑ったりしたが、なんとか操作を覚え、コーヒーを入れることが出来た。
一段落したのか、彼女は洗い物をしていたので、後ろからそっと彼女を抱き締める。
「小野……さん?」
「貴女が好きだ。結婚を前提に、私と付き合ってくれませんか?」
「……はい。私も……小野さんが好き……んっ」
彼女の言葉が嬉しかった。彼女が自分を好きでいてくれたことに驚きもしたが、嬉しかった。
やっと手に入れた……。
そんな思いと愛しさが溢れ、思わず彼女の顎を捕らえてキスをする。上顎を舐め、歯列をなぞり、舌を絡めるキスをしながら服の裾から手を入れて下着の上から胸を鷲掴んでそっと揉み始める。
見た目以上の大きさにびっくりしたものの、あまりの柔らかさと吸い付くような肌触りに嬉しくなり、すぐに夢中になった。
「んっ……、んぁ……、んん……」
下着を少しずらして乳首を摘まむと、ゆっくりと捏ね回す。しばらくすると乳首がつん、と起ち上がったので、それを指で挟んで胸を鷲掴む。指を動かしながらゆっくりと揉み始めると、胸が……特に乳首が弱いのか、すぐに喘ぎ始めた。
「んん……っ、んあっ……、あん……っ、小野、さ……あっ」
「圭……貴女が欲しい」
「小野、さん……待って……あっ」
「待てません」
「あん……、お願い、待って……」
彼女にそう懇願され、しぶしぶ胸から手を離す。そうして聞かされたのは彼女の足が悪い理由と、全身に傷があることを告げられ、夏でも長袖を着ている服の袖を捲って腕の傷の傷を見せてくれた。
あまりの痛ましさに顔を歪めると彼女は悲しげな目をした後で目を伏せる。
「……そう、ですよね……。全身にこんな傷がある女なんか、嫌、ですよね……」
ポツリと呟いて辛そうに目を伏せた。勘違いさせたと気付いて慌てて否定する。
「違う! 圭、違います!」
「……いいんです。私は小野さんが好きだけど、でも……。嫌われても仕方ないから。好きだ、と言ってもらえて嬉しかったです。……帰りますね」
待って、と言う言葉を遮るように吹き出した鍋に、慌てて火を止めに行く。その間に彼女は帰ってしまい、慌てて追いかけると彼女はタイミングよく来たタクシーに乗り込んで行ってしまった。
「圭……」
ギュッ、と拳を握る。勘違いさせた。彼女を傷つけた。
せっかく好きだと言ってくれたのに……やっと両思いになれたのに。彼女が自分から離れて行くのが怖かった。他の男に渡すなど、もっての他だった。
翌日、彼女が住むマンションに出かけると彼女を傷つけたことを詫び、何故顔を歪ませたのかきちんと説明した上で彼女を納得させる。もう一度彼女に告白をしたあとで彼女をギュッと抱き締め、泣いていた彼女に腰が砕けるまでキスをした。
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