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ファウルハーバー領編
第189話 領主邸到着
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「さあ、着いた。ここが我が家だ」
「「「…………」」」
領都に着いたのは、翌日のお昼ごろだった。帝都ほど大きいわけではないが、それでも領地の中心地だ。
かなり栄えているし、人の往来があって活気に満ちている。
四方に延びる街道は石畳。町の中ももちろん整備されていて、馬車が通るような道はきちんと舗装させていた。
帝都もそうだったが、路地裏は土がむき出しだ。それでもしっかりと固められていて、歩きやすそうに見える。
商店街と思しき場所には屋台も出ているし、籠を持った人々が買い物をしている様子も見える。途中に公園もあるようで、そこで遊んでいる子どもや見守る大人たち、巡回しているのか、騎士服を着た者たちも見受けられた。
ぶっちゃけた話、帝都よりも治安がよさそうだ。しかも、帝都よりも臭いがしない!
絶対に何かしただろ、ルードルフ。確実に下水は敷いているはずだ。
自重しろと言いながら、自分もしてねえじゃん! と内心で突っ込みを入れつつ領都内を走り、着いた場所には豪邸が。豪邸というより、小さな城だよ、城。
ヤミンとヤナ、私の三人でポカーンと口を開けつつ眺めていると、すぐに門が開けられて中へ通される。さらにそこから十五分も走ると、ようやく玄関へと辿り着いた。
どんだけ広いんだよ! どんだけ偉いんだよ!
ああ、元王子で公爵様だったね! そりゃあ偉いよね!
などとブツブツ文句を言いながら、玄関前で停まった馬車に続き、停める。そして中にいた従魔たちと、ヤミンとヤナが出るとリコをハーネスから外し、馬車をポーチにしまった。
騎士たちがギョッとしたけどキニシナーイ。リコが小さくなったところで玄関扉が開き、中から執事服を着た人が出てきた。
「旦那様、奥様。お帰りなさいませ」
「「ただいま」」
正しくこれぞ貴族! といった出迎えだ~。何せ、ちらりと見える玄関ホールのところには、メイド服や執事服を着た人間がずら~っと並んでるんだぜ?
こういうところはさすがお貴族様だなあと痛感する。できれば、こんな場所に泊まりたくはないが、これから工場を建てたり、甜菜とビーツを栽培してくれそうな村に行ったりと、ルードルフと行動しなければならないことが増える。
なので、町で宿に泊まるのは却下されるだろう。できれば、庭の片隅にテントを張って生活するか、離れがあるのであれば、そっちがいいとは思う。
そこはルードルフと要相談だね。
そんなことを考えている間に執事に紹介され、挨拶を交わす。とはいえ、私たちはこれから冒険者ギルドに行って、護衛依頼達成を報告してこないといけない。
なので、ルードルフに断ってからサインしてある達成票をもらい、公爵邸を出ることに。
「アリサ、ヤミン、ヤナ。部屋を用意しておく。話もあるし、戻ってきてほしい」
「あ~……。もちろん戻ってくるけど、できれば離れか、裏庭の片隅にテントを張りたいんだけど」
「なら、離れを用意しよう。戻ってきたら、誰かに案内させる」
門番にも伝えておくというので頷き、従魔たちとヤミンとヤナを連れ、冒険者ギルドへと向かう。とはいえ、ゆっくりと歩いていたら日が暮れてしまうので、走って門まで行ったあとはマップを頼りに移動。
近くまで行ったら徒歩でギルドに向かった。
そこまでで小一時間。一番遠かったのが屋敷から門までの距離なのが、ある意味笑えたが。
さらに十五分ほど歩くとギルドに着いたので、達成票と一緒に三人でギルドタグを出し、報酬は三等分してもらい、それぞれ貯金したり現金を持ったりする。特に絡まれることなくギルドから出ると、しばらく通りを歩く。
「アリサ、ボクたちも従魔が欲しいんだけど、従魔屋に寄ってもいい?」
「俺も。できれば馬タイプの従魔が欲しいよな」
「うん」
「時間はあるし、いいわよ。ただ、レベル上げはルードルフの依頼が終わってからね。そのあとだったら、ダンジョンでレベル上げしてもいいし」
「「やった!」」
喜ぶヤミンとヤナを諫め、マップで従魔屋を探す。マップを見る限り、ルードルフの屋敷に戻る途中にあるみたい。
それなら戻りがてら散策しつつ、従魔屋へと行く。屋台は一角兎の串焼きが多く、スープは野菜たっぷり。他には別の領地や多国から来たのか、行商人が店をひろげていた。
新たにダンジョンが見つかった影響もあるんだろう。とても活気がある町だし、住民たちも笑顔が絶えない。
そこは、ルードルフなり前領主なりの采配がうまくいっているであろうことは伺えた。そうこうするうちに従魔屋に着いたので、中へと入る。
建物自体は他の店舗と変わらないが、裏は広くなっていて、バトルホースやフォレストウルフが走ったり、草を食んだり寝転がったりしているのが見える。
「いらっしゃいませ」
「あの、ボクたち従魔が欲しいんです」
「できれば馬種と、雷が使える種族のものがいいです」
「そうですね……。馬種ですとバトルホース。雷が使えるとなると……当店ではサンダーバードしかおりませんが、よろしいですか?」
「「はい!」」
「では、こちらにどうぞ」
店員に連れられ、まずは店内の奥へ。そこには何種類かの魔鳥が檻の中に入れられている。
彼らの声を聞く限り、劣悪な環境にいるわけでもなく、店主や店員たちに可愛がられ、大事にされているようだ。うん、いいことだ。
「そちらのお嬢様はどうされますか?」
「私はたくさんいるからいいわ。二人のために相性のよさそうな子をお願い」
「かしこまりました」
ノンたちレベルが高い従魔がいるからなのか、中には怯えている子もいる。さすがに可哀想なのでレジがある場所へと移動して、そこにいる店員にどんな種族を扱っているのか、別の場所はここと同じなのかを聞いてみた。
基本的に、従魔にしやすい、あるいはなりやすい種族は決まっているそうだ。ただ、中にはテイムしないといけない種族も存在していて、一概に「この種族です」という決まりはないらしい。
あと、国によって棲息している魔物も違うことから、そのあたりはお国柄が出るんだそうだ。
帝国はスレイプニルやバトルホース、サンダーバードやフォレストウルフなど、ヒトに懐きやすい魔物や森に棲息している魔物が従魔になりやすいという。あとはリス系統の小動物の魔物がペットとして飼われることもあるそうだ。
もちろん、純粋な動物である猫や犬は、言うまでもない。
たまにスライムをテイムしている魔物使いもいるが、それは癒し枠としてテイムするというんだから、なんとも……。
そんな話をしていると、ヤミンとヤナが戻ってくる。二人とも無事にバトルホースとサンダーバードを従魔にすることができたようだ。
カウンターで従魔の証であるリボンと首輪も一緒に購入し、さっそく自分の従魔につける二人。
「ありがとうございました!」
店員の声を背中に、店を出る。
「アリサ。リコが着ているような、鞍と馬着も欲しい」
「俺も。どこで買ったんだ?」
「これ? 実は自作。屋敷に帰ったら作ってあげるから、それまでに鞍の革を選んでおくといいわよ」
「「ありがとう! やったー!」」
自分が持っている素材で、どれがいいかとあれこれ悩みながら歩くヤミンとヤナ。転ばないように気をつけてと声をかけ、屋敷に向かって歩く。
そんな中、従魔たちはといえば、ノンを中心に挨拶をしていて、なんともほのぼのとした空気が漂っている。レベル差があるとはいえ、同じ従魔仲間だ。
彼らの話を聞く限り、私の従魔たちと一緒に戦闘訓練をすることで、ヤミンとヤナの従魔たちのレベルを上げることが可能らしい。なので、屋敷に帰ったら迷惑のかからない範囲で訓練しようと張り切っている。
やり過ぎないようにと釘を刺し、みんなで話をしながらルードルフの屋敷に戻った。
「「「…………」」」
領都に着いたのは、翌日のお昼ごろだった。帝都ほど大きいわけではないが、それでも領地の中心地だ。
かなり栄えているし、人の往来があって活気に満ちている。
四方に延びる街道は石畳。町の中ももちろん整備されていて、馬車が通るような道はきちんと舗装させていた。
帝都もそうだったが、路地裏は土がむき出しだ。それでもしっかりと固められていて、歩きやすそうに見える。
商店街と思しき場所には屋台も出ているし、籠を持った人々が買い物をしている様子も見える。途中に公園もあるようで、そこで遊んでいる子どもや見守る大人たち、巡回しているのか、騎士服を着た者たちも見受けられた。
ぶっちゃけた話、帝都よりも治安がよさそうだ。しかも、帝都よりも臭いがしない!
絶対に何かしただろ、ルードルフ。確実に下水は敷いているはずだ。
自重しろと言いながら、自分もしてねえじゃん! と内心で突っ込みを入れつつ領都内を走り、着いた場所には豪邸が。豪邸というより、小さな城だよ、城。
ヤミンとヤナ、私の三人でポカーンと口を開けつつ眺めていると、すぐに門が開けられて中へ通される。さらにそこから十五分も走ると、ようやく玄関へと辿り着いた。
どんだけ広いんだよ! どんだけ偉いんだよ!
ああ、元王子で公爵様だったね! そりゃあ偉いよね!
などとブツブツ文句を言いながら、玄関前で停まった馬車に続き、停める。そして中にいた従魔たちと、ヤミンとヤナが出るとリコをハーネスから外し、馬車をポーチにしまった。
騎士たちがギョッとしたけどキニシナーイ。リコが小さくなったところで玄関扉が開き、中から執事服を着た人が出てきた。
「旦那様、奥様。お帰りなさいませ」
「「ただいま」」
正しくこれぞ貴族! といった出迎えだ~。何せ、ちらりと見える玄関ホールのところには、メイド服や執事服を着た人間がずら~っと並んでるんだぜ?
こういうところはさすがお貴族様だなあと痛感する。できれば、こんな場所に泊まりたくはないが、これから工場を建てたり、甜菜とビーツを栽培してくれそうな村に行ったりと、ルードルフと行動しなければならないことが増える。
なので、町で宿に泊まるのは却下されるだろう。できれば、庭の片隅にテントを張って生活するか、離れがあるのであれば、そっちがいいとは思う。
そこはルードルフと要相談だね。
そんなことを考えている間に執事に紹介され、挨拶を交わす。とはいえ、私たちはこれから冒険者ギルドに行って、護衛依頼達成を報告してこないといけない。
なので、ルードルフに断ってからサインしてある達成票をもらい、公爵邸を出ることに。
「アリサ、ヤミン、ヤナ。部屋を用意しておく。話もあるし、戻ってきてほしい」
「あ~……。もちろん戻ってくるけど、できれば離れか、裏庭の片隅にテントを張りたいんだけど」
「なら、離れを用意しよう。戻ってきたら、誰かに案内させる」
門番にも伝えておくというので頷き、従魔たちとヤミンとヤナを連れ、冒険者ギルドへと向かう。とはいえ、ゆっくりと歩いていたら日が暮れてしまうので、走って門まで行ったあとはマップを頼りに移動。
近くまで行ったら徒歩でギルドに向かった。
そこまでで小一時間。一番遠かったのが屋敷から門までの距離なのが、ある意味笑えたが。
さらに十五分ほど歩くとギルドに着いたので、達成票と一緒に三人でギルドタグを出し、報酬は三等分してもらい、それぞれ貯金したり現金を持ったりする。特に絡まれることなくギルドから出ると、しばらく通りを歩く。
「アリサ、ボクたちも従魔が欲しいんだけど、従魔屋に寄ってもいい?」
「俺も。できれば馬タイプの従魔が欲しいよな」
「うん」
「時間はあるし、いいわよ。ただ、レベル上げはルードルフの依頼が終わってからね。そのあとだったら、ダンジョンでレベル上げしてもいいし」
「「やった!」」
喜ぶヤミンとヤナを諫め、マップで従魔屋を探す。マップを見る限り、ルードルフの屋敷に戻る途中にあるみたい。
それなら戻りがてら散策しつつ、従魔屋へと行く。屋台は一角兎の串焼きが多く、スープは野菜たっぷり。他には別の領地や多国から来たのか、行商人が店をひろげていた。
新たにダンジョンが見つかった影響もあるんだろう。とても活気がある町だし、住民たちも笑顔が絶えない。
そこは、ルードルフなり前領主なりの采配がうまくいっているであろうことは伺えた。そうこうするうちに従魔屋に着いたので、中へと入る。
建物自体は他の店舗と変わらないが、裏は広くなっていて、バトルホースやフォレストウルフが走ったり、草を食んだり寝転がったりしているのが見える。
「いらっしゃいませ」
「あの、ボクたち従魔が欲しいんです」
「できれば馬種と、雷が使える種族のものがいいです」
「そうですね……。馬種ですとバトルホース。雷が使えるとなると……当店ではサンダーバードしかおりませんが、よろしいですか?」
「「はい!」」
「では、こちらにどうぞ」
店員に連れられ、まずは店内の奥へ。そこには何種類かの魔鳥が檻の中に入れられている。
彼らの声を聞く限り、劣悪な環境にいるわけでもなく、店主や店員たちに可愛がられ、大事にされているようだ。うん、いいことだ。
「そちらのお嬢様はどうされますか?」
「私はたくさんいるからいいわ。二人のために相性のよさそうな子をお願い」
「かしこまりました」
ノンたちレベルが高い従魔がいるからなのか、中には怯えている子もいる。さすがに可哀想なのでレジがある場所へと移動して、そこにいる店員にどんな種族を扱っているのか、別の場所はここと同じなのかを聞いてみた。
基本的に、従魔にしやすい、あるいはなりやすい種族は決まっているそうだ。ただ、中にはテイムしないといけない種族も存在していて、一概に「この種族です」という決まりはないらしい。
あと、国によって棲息している魔物も違うことから、そのあたりはお国柄が出るんだそうだ。
帝国はスレイプニルやバトルホース、サンダーバードやフォレストウルフなど、ヒトに懐きやすい魔物や森に棲息している魔物が従魔になりやすいという。あとはリス系統の小動物の魔物がペットとして飼われることもあるそうだ。
もちろん、純粋な動物である猫や犬は、言うまでもない。
たまにスライムをテイムしている魔物使いもいるが、それは癒し枠としてテイムするというんだから、なんとも……。
そんな話をしていると、ヤミンとヤナが戻ってくる。二人とも無事にバトルホースとサンダーバードを従魔にすることができたようだ。
カウンターで従魔の証であるリボンと首輪も一緒に購入し、さっそく自分の従魔につける二人。
「ありがとうございました!」
店員の声を背中に、店を出る。
「アリサ。リコが着ているような、鞍と馬着も欲しい」
「俺も。どこで買ったんだ?」
「これ? 実は自作。屋敷に帰ったら作ってあげるから、それまでに鞍の革を選んでおくといいわよ」
「「ありがとう! やったー!」」
自分が持っている素材で、どれがいいかとあれこれ悩みながら歩くヤミンとヤナ。転ばないように気をつけてと声をかけ、屋敷に向かって歩く。
そんな中、従魔たちはといえば、ノンを中心に挨拶をしていて、なんともほのぼのとした空気が漂っている。レベル差があるとはいえ、同じ従魔仲間だ。
彼らの話を聞く限り、私の従魔たちと一緒に戦闘訓練をすることで、ヤミンとヤナの従魔たちのレベルを上げることが可能らしい。なので、屋敷に帰ったら迷惑のかからない範囲で訓練しようと張り切っている。
やり過ぎないようにと釘を刺し、みんなで話をしながらルードルフの屋敷に戻った。
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