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ドルト村編
第97話 料理教室
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ヘラルドの家にやってきた。従魔たちは全員森に遊びに行くと言って、私の傍にはいない。
ヘラルドの家に着くと集会所の玄関から入る。すると、ほとんどが来ていた。いない女性はエビータとイサベラくらいかな。
男性はデイブとゲレオン、ヘラルドの三人だ。ヘラルドは自分の家だからわかるけれど、本当に料理するのか? もと王太子と元宰相が。デイブも元貴族だし。
それはともかく、三人以外の男たちは畑仕事をしていたり、森に行っているらしい。まあ、冬に備えて備蓄を始めたばかりだからね~。手分けして集めるのは当然か。
で、レベッカたち女性陣によると、この村の住人たち全員が料理ができるそうだからね~。今日料理を覚えた人たちが、来れなかった人たちに教えるそうだから何の問題もないという。
……君たち、本当に元貴族? それとも、ここに来てから覚えたの?
そんな疑問を持ちつつ、材料とレシピが書かれている紙を用意。今回はミショの実を使ったものが中心になるから、ミショの実とすり下ろし器を大量に用意してきた。もちろん、全員にすり下ろしてもらうつもりだ。
来ていない人たちにはあとで配るか、各家庭でひとつということにするからいいとして。
まずはレシピを配ってからミショの実をすり下ろしてもらい、布で漉して醤油と味噌に分けてもらう。今回使っているのは一般的なミショの実だ。
念のため白と赤のミショの実も持ってきているから、それもしっかり説明し、赤ミショと白ミショもすり下ろしてもらう。
必要なのは料理酒とみりんだけど、味わってもらいたいからね。味噌は味比べのために、味噌を溶いただけの液体ともろきゅーにしよう。……もろみ味噌ではないが。
すり下ろしが終わったら、何を作るかをの説明。それが終わると味噌を溶いただけの液体ともろきゅーを食べてもらったあと、各自で材料を用意してもらう。
準備が整ったところで、料理開始だ。
今回作るのはリクエストが多かった野菜炒めとご飯の炊き方、フライパンで作る酵母のいらないパンと味噌汁。他に定番の肉じゃがと角煮、チャーシューとポテサラ、宴会の時も好評だったじゃがバター。
揚げ物関連はフライドポテトとポテトチップス、オークかつとミルフィーユかつ、鳥かつと唐揚げ。かつはかつ丼と味噌かつを作るつもりでいる。
じゃがいも単品に関しては、ポテトピザとポテトグラタンも用意するつもりだ。ポテトピザはフライパンで作れるものだから、石窯も生地もいらないしね。
ついでに、シーサーペントを使ってフィッシュアンドチップスもやってしまおうと思う。どれも時間がかかるけれど、今日一日使って料理をするんだから、大丈夫だろう。
もちろんこれは、私が作る。他にも照り焼きか蒲焼きにしてみるつもりだ。
そんなわけで、まずは揚げ物と煮物、フライパンとサラダを使うチームに分ける。一人一人に教えるよりも、チーム分けにしてそれぞれ作ってもらったほうが効率がいいというのもあるが、レシピを配っているうえに時間は有限なので、全部の料理を一人一人に教える時間もない。
だから四つのチームに分けた。
まずは揚げ物チーム。とっといてもらった脂身を錬成し、綺麗な油にする。今回は錬成したけれどみんな油にする方法を知っているようで、自宅で作る時はその方法を取ってもらうか、ディエゴに米油を持ってきてもらうように話した。
その後、パン粉を作ってもらう。
その次に煮物チーム。最初は時間がかかる角煮だ。
今回はオークのバラ肉を使うが、ボアの肉でも大丈夫だと教えた。もしかしたら他の肉でもできるかもしれないけれど、実験してないからね~。
そこは自分で試行錯誤してくれとお願いしたよ。
ネギや生姜、香りのいいハーブを束ねたものとバラ肉を大きな鍋に入れ、水を入れて下茹でする。もちろん、あく取りをするのだ。
串が通るくらいまで茹でたらまな板に載せ、3センチ幅に切る。下茹でした汁はスープにすると美味しいので、布で漉して残しておいてもらう。
今回はポトフにするつもりだけれど、ラーメンスープにしても美味しい。……かん水が欲しい。かん水があれば麺が作れるのに。
パスタがあるんだから、どうにでもなるんだろうけれど……塩と重曹がいるんだっけ? 重曹ってふくらしこにもなるはずだし、パンがあるんだから、もしかしたら売っているかも。
酵母があるから、もしかしたらないかもしれないが。
ないのなら、錬成してしまえ! ビバ、錬金術☆ 字余り。
おっと、今はそれを横に置いておくとして。
フライパンチームにはまずパン生地を作ってもらう。中に練り込むのは自分たちで作ったばかりだというボアのバラ肉を使ったベーコン、チーズ、くるみ、プレーンの四種類だ。
それぞれ別々の生地を作り、小さく丸めた生地をフライパンに並べてもらう。あとは様子を見ながら放置。
煮物チームには野菜を切ってもらう。皮に栄養があることを伝え、ニンジンなどの薄い皮はできるだけ剥かないようにしてもらった。さすがにじゃがいもと玉ねぎは皮を剥いてもらったが。
もちろん、芽と緑色の部分に毒があることを伝え、取り除いてもらうことも忘れない。一瞬で治るポーションや薬があるとはいえ、食中毒は怖いからね~。しっかりやってもらうとも。
順番に回りつつあれこれと教え、質問されれば答える。時間のかかるもの、冷めても美味しいものから作ってもらったからなのか、パンやサラダができ始めた。サラダは冷やすためにも貯蔵庫行きにし、煮物は一回魔法で冷やしてからまた温めてもらう。
不思議そうな顔をしていたから、味を染み込ませるための工程だと話すと、感心したように目を瞠ったのが印象的だ。
この世界だって、国が違えば料理も違うものね。私だって知らない料理が出てくればわくわくするし、どんな味なのか夢想して期待する。今度はカレーとタンドリーチキン以外の料理を教わることになってるからね~。今から楽しみだ。
それぞれのチームで作っていたものがどんどん出来上がってくると、宴会場のテーブルに並べられていく。料理の数が多いから四、五人前で作ってもらっている。
味見程度だからね、これで充分だ。
全部のチームを回りつつ作ったシーサーペントの料理もそこに並べ、角煮の下茹で液で作ったポトフと土鍋で炊いたご飯、取り皿とフォークやスプーンを全員分用意し、それぞれ一口ずつ皿に載せていく。
揚げ物はサクッと香ばしく、肉汁やチーズがじゅわ~。肉の甘さがたまらない。
煮物も味が染みて美味しいし、ポテサラもいい塩梅だ。
ポテトピザも底はカリっと、中はほくほく。チーズとの相性も抜群だ。もちろんそれはポテトピザにも言えることで、ほくほくのじゃがいもが本当に美味しい。
そして私は、試作の意味も込めてシーサーペントのフィッシュアンドチップスと、蒲焼きを作ってみた。
「お~、なんとも不思議な食感だな、シーサーペントは」
「ええ。ですが、噛めば噛むほどに味が出るというか……」
「癖になる噛み応えですよね」
ゲレオンとヘラルド、デイブが首を傾げながらシーサーペントを食べている。ただ、本人が思っていた以上に美味しかったんだろう……ずっともぐもぐしているのだ。
んー、もしかしたらジャーキーにしたら美味しいかも? 帰ったら試作してみよう。のちにジャーキーが一番美味しくて、男たちの間で酒の肴にぴったりだと流行るのだが、今はおいとくとして。
それぞれが味見をして、どれが気に入ったとか他の肉でアレンジしてみたいなどといろいろと意見を交わし、楽しそうにしている。気に入ってくれたならよかったと、そっと胸を撫で下ろした。
その後、途中で仕事を終えた他の住人たちも集まり、彼らにもレシピとすり下ろし器を渡すと自分たちもとミショの実をすり下ろし、気になったレシピを見て自分で作り始めたのは驚いた。
結局、家に帰ってからまた作るのは面倒だと言い出してあれこれ作り始めた。さすがに宴会になることはなかったがそれに近い状態となり、そのまま晩ご飯に雪崩れ込んだのは言うまでもない。
ヘラルドの家に着くと集会所の玄関から入る。すると、ほとんどが来ていた。いない女性はエビータとイサベラくらいかな。
男性はデイブとゲレオン、ヘラルドの三人だ。ヘラルドは自分の家だからわかるけれど、本当に料理するのか? もと王太子と元宰相が。デイブも元貴族だし。
それはともかく、三人以外の男たちは畑仕事をしていたり、森に行っているらしい。まあ、冬に備えて備蓄を始めたばかりだからね~。手分けして集めるのは当然か。
で、レベッカたち女性陣によると、この村の住人たち全員が料理ができるそうだからね~。今日料理を覚えた人たちが、来れなかった人たちに教えるそうだから何の問題もないという。
……君たち、本当に元貴族? それとも、ここに来てから覚えたの?
そんな疑問を持ちつつ、材料とレシピが書かれている紙を用意。今回はミショの実を使ったものが中心になるから、ミショの実とすり下ろし器を大量に用意してきた。もちろん、全員にすり下ろしてもらうつもりだ。
来ていない人たちにはあとで配るか、各家庭でひとつということにするからいいとして。
まずはレシピを配ってからミショの実をすり下ろしてもらい、布で漉して醤油と味噌に分けてもらう。今回使っているのは一般的なミショの実だ。
念のため白と赤のミショの実も持ってきているから、それもしっかり説明し、赤ミショと白ミショもすり下ろしてもらう。
必要なのは料理酒とみりんだけど、味わってもらいたいからね。味噌は味比べのために、味噌を溶いただけの液体ともろきゅーにしよう。……もろみ味噌ではないが。
すり下ろしが終わったら、何を作るかをの説明。それが終わると味噌を溶いただけの液体ともろきゅーを食べてもらったあと、各自で材料を用意してもらう。
準備が整ったところで、料理開始だ。
今回作るのはリクエストが多かった野菜炒めとご飯の炊き方、フライパンで作る酵母のいらないパンと味噌汁。他に定番の肉じゃがと角煮、チャーシューとポテサラ、宴会の時も好評だったじゃがバター。
揚げ物関連はフライドポテトとポテトチップス、オークかつとミルフィーユかつ、鳥かつと唐揚げ。かつはかつ丼と味噌かつを作るつもりでいる。
じゃがいも単品に関しては、ポテトピザとポテトグラタンも用意するつもりだ。ポテトピザはフライパンで作れるものだから、石窯も生地もいらないしね。
ついでに、シーサーペントを使ってフィッシュアンドチップスもやってしまおうと思う。どれも時間がかかるけれど、今日一日使って料理をするんだから、大丈夫だろう。
もちろんこれは、私が作る。他にも照り焼きか蒲焼きにしてみるつもりだ。
そんなわけで、まずは揚げ物と煮物、フライパンとサラダを使うチームに分ける。一人一人に教えるよりも、チーム分けにしてそれぞれ作ってもらったほうが効率がいいというのもあるが、レシピを配っているうえに時間は有限なので、全部の料理を一人一人に教える時間もない。
だから四つのチームに分けた。
まずは揚げ物チーム。とっといてもらった脂身を錬成し、綺麗な油にする。今回は錬成したけれどみんな油にする方法を知っているようで、自宅で作る時はその方法を取ってもらうか、ディエゴに米油を持ってきてもらうように話した。
その後、パン粉を作ってもらう。
その次に煮物チーム。最初は時間がかかる角煮だ。
今回はオークのバラ肉を使うが、ボアの肉でも大丈夫だと教えた。もしかしたら他の肉でもできるかもしれないけれど、実験してないからね~。
そこは自分で試行錯誤してくれとお願いしたよ。
ネギや生姜、香りのいいハーブを束ねたものとバラ肉を大きな鍋に入れ、水を入れて下茹でする。もちろん、あく取りをするのだ。
串が通るくらいまで茹でたらまな板に載せ、3センチ幅に切る。下茹でした汁はスープにすると美味しいので、布で漉して残しておいてもらう。
今回はポトフにするつもりだけれど、ラーメンスープにしても美味しい。……かん水が欲しい。かん水があれば麺が作れるのに。
パスタがあるんだから、どうにでもなるんだろうけれど……塩と重曹がいるんだっけ? 重曹ってふくらしこにもなるはずだし、パンがあるんだから、もしかしたら売っているかも。
酵母があるから、もしかしたらないかもしれないが。
ないのなら、錬成してしまえ! ビバ、錬金術☆ 字余り。
おっと、今はそれを横に置いておくとして。
フライパンチームにはまずパン生地を作ってもらう。中に練り込むのは自分たちで作ったばかりだというボアのバラ肉を使ったベーコン、チーズ、くるみ、プレーンの四種類だ。
それぞれ別々の生地を作り、小さく丸めた生地をフライパンに並べてもらう。あとは様子を見ながら放置。
煮物チームには野菜を切ってもらう。皮に栄養があることを伝え、ニンジンなどの薄い皮はできるだけ剥かないようにしてもらった。さすがにじゃがいもと玉ねぎは皮を剥いてもらったが。
もちろん、芽と緑色の部分に毒があることを伝え、取り除いてもらうことも忘れない。一瞬で治るポーションや薬があるとはいえ、食中毒は怖いからね~。しっかりやってもらうとも。
順番に回りつつあれこれと教え、質問されれば答える。時間のかかるもの、冷めても美味しいものから作ってもらったからなのか、パンやサラダができ始めた。サラダは冷やすためにも貯蔵庫行きにし、煮物は一回魔法で冷やしてからまた温めてもらう。
不思議そうな顔をしていたから、味を染み込ませるための工程だと話すと、感心したように目を瞠ったのが印象的だ。
この世界だって、国が違えば料理も違うものね。私だって知らない料理が出てくればわくわくするし、どんな味なのか夢想して期待する。今度はカレーとタンドリーチキン以外の料理を教わることになってるからね~。今から楽しみだ。
それぞれのチームで作っていたものがどんどん出来上がってくると、宴会場のテーブルに並べられていく。料理の数が多いから四、五人前で作ってもらっている。
味見程度だからね、これで充分だ。
全部のチームを回りつつ作ったシーサーペントの料理もそこに並べ、角煮の下茹で液で作ったポトフと土鍋で炊いたご飯、取り皿とフォークやスプーンを全員分用意し、それぞれ一口ずつ皿に載せていく。
揚げ物はサクッと香ばしく、肉汁やチーズがじゅわ~。肉の甘さがたまらない。
煮物も味が染みて美味しいし、ポテサラもいい塩梅だ。
ポテトピザも底はカリっと、中はほくほく。チーズとの相性も抜群だ。もちろんそれはポテトピザにも言えることで、ほくほくのじゃがいもが本当に美味しい。
そして私は、試作の意味も込めてシーサーペントのフィッシュアンドチップスと、蒲焼きを作ってみた。
「お~、なんとも不思議な食感だな、シーサーペントは」
「ええ。ですが、噛めば噛むほどに味が出るというか……」
「癖になる噛み応えですよね」
ゲレオンとヘラルド、デイブが首を傾げながらシーサーペントを食べている。ただ、本人が思っていた以上に美味しかったんだろう……ずっともぐもぐしているのだ。
んー、もしかしたらジャーキーにしたら美味しいかも? 帰ったら試作してみよう。のちにジャーキーが一番美味しくて、男たちの間で酒の肴にぴったりだと流行るのだが、今はおいとくとして。
それぞれが味見をして、どれが気に入ったとか他の肉でアレンジしてみたいなどといろいろと意見を交わし、楽しそうにしている。気に入ってくれたならよかったと、そっと胸を撫で下ろした。
その後、途中で仕事を終えた他の住人たちも集まり、彼らにもレシピとすり下ろし器を渡すと自分たちもとミショの実をすり下ろし、気になったレシピを見て自分で作り始めたのは驚いた。
結局、家に帰ってからまた作るのは面倒だと言い出してあれこれ作り始めた。さすがに宴会になることはなかったがそれに近い状態となり、そのまま晩ご飯に雪崩れ込んだのは言うまでもない。
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