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ドルト村編
第82話 村を大改造 3
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翌朝、村人全員でディエゴたちを見送り、それぞれがするべきことをやり始める。二十五人程度の人数でワイン樽を三樽も空けたのに、魔族たちをはじめとしたこの村の住人たちがケロッとしていたのが恐ろしい。ザルどころか枠かよ。
さすがにディエゴたちはつらそうだったが。
私は成人したばかりだからと断り、ひたすら果実水を飲んでいた。比べたらダメなんだけどさ……美味しくないんだよ、この世界のワインって。
貴族が飲むようなワインは買っていないから味がわからないけれど、庶民向けのは材料がよろしくないか、薄めているかのどっちかなんだろう。今のところ酒造りをするつもりはないが、いいワインが手に入ったらサングリアにしてもいいかもしれん。
ディエゴたち五人を見送ったあと、まずは村長の家の改築だ。今度はレベッカも交えて話をし、図面を起こしていく。やっぱりお風呂が欲しいと言われた。あと、診療所も。
「じゃあ、こんな感じにするわ。改築をしている間はどうするの?」
「隣の家にいることにするわ」
「住人は大丈夫?」
「大丈夫よ、住んでいないから」
「え? は? ちょっと待って!?」
住んでないってなにさ!
詳しく話を聞くと、豆腐建築故に、どうしても痛むのが早いという。だからどこかが痛み始めたら――雨漏りし始めたらまた豆腐建築をして、そこは朽ちるに任せているんだとか。
あ~、だから人数が少ない割に家が多いのか納得した!
「だったら、そのいらない家は全部解体して、家自体を広く作ろうか」
「いいのかい?」
「もちろん! あの木材を使うし付与も施すから、よっぽどのことがない限り家が壊れることもないわ」
「そうか。なら頼む。その間は隣のぼろい家にいるから」
「わかった。あと、このあたりの雪の事情を教えてくれる?」
山の中腹とはいえ、山頂にかなり近い場所にある村だ。真夏だというのに、曇っていたり日影にいると肌寒いし、夜は長袖か上にもう一枚着ないといけないくらいに冷え込む。
万年雪のこともあるし、場合によっては豪雪地帯並みに降るんじゃなかろうか。そんなことを考えて質問すれば、雪はかなり降るし、魔族の身長並みに――二メートル近く積もるという。
だったら、雪の重さに耐えられるような建築にしないと、絶対に重さで家が潰れるのは間違いなしだ。身内にいろいろと質問したり、古民家を見たりしておいてよかったよ。
問題は屋根の形と、何を素材にするかだ。リュミエールからは150年前後は生きるって言われているから、瓦でもいいかなあ。だけど、私が死んだあとのことを考えるのであれば、獣人たちに教えてきた方法か藁葺き屋根のほうがいいかも。
そうすると虫よけに囲炉裏が必要とかいろいろ出てくるしなあ。虫よけの薬を染み込ませてから状態維持をかけるつもりではいるけれど、成功するとは限らないし、一応希望を聞いてみるか。
「屋根はどうしたい? というか、魔族の国の家ってどうなっていたの?」
「藁葺き屋根でしたよ。平屋で、畳や囲炉裏というものもありました」
「おおう、先にそっちの情報を聞いておけばよかった! もしかして、炭炬燵っていうのもあった?」
「よくご存じですね。ええ、ありましたよ」
「マジか!」
魔族は日本家屋的な家に住んでいたことに、驚きを隠せない。よし、なら囲炉裏と炭炬燵も作ってしまえ! 畳はイグサを見たことがないからそれは後回し。そして掘り炬燵的な感じの炭炬燵にしてみようかな。
図を描いて説明するとこの炬燵のほうがいいと言ったので、新たに図面の引き直しだ。囲炉裏の場所と厨房は近いところにしたついでに、トイレやお風呂などの水周りもできるだけ近いところにした。
隣の部屋に炭炬燵を置き、昨日のような宴会があれば村人が集まってくるというので三十畳ほどの広さの場所と、レベッカの診療所を作る。もちろん、宴会場となる部屋には、空間拡張を施すつもりだ。
二階に夫婦の寝室と執務室、レベッカは薬の他にもポーションを作るというので、その作業部屋と子どもたちの部屋を用意。各部屋には押し入れをつける。
ディエゴたちが来て泊まる場合は、宴会場に泊まってもらうつもりだという。
外には庭と納戸が欲しいというのでそれも敷地内に作り、隣の家との境界は樹木を植えることになった。
隣のぼろい家も壊して大きくしたいからと別の空き家で待機してもらい、まずはリコに地ならしをしてもらってから土台を作る。雪対策のために少し高めにしてもらった。
自宅予定の家もあとで高くしてもらわないとなあ。
その横にダンジョン産の樹を置いて乾燥させたあと、柱と梁、ある程度の板や木材を積み上げていると、村人が興味深そうに視線を向けてくる。
順番に待ってろ、みんなにもちゃんとした家を作るから。
そんなことを考えながら、無心でどんどん作業を進めていく。途中で休憩やお昼を挟み、DIYのスキルと錬金術を駆使して、一日でヘラルドたちの家を完成させた。
『…………』
完成した家を見て、ヘラルドを含めた村人全員、顎が外れるんじゃないかってくらい口を開け、ポカーンとした顔をしている。さすがは村長、真っ先に我に返ったのはヘラルドだった。
「あ、アリサ……さすがに出来上がるのが早すぎないかね⁉」
「そりゃあ建築関連のスキルを持っているもの、当然じゃない」
『当然じゃないから! 持っててもそんなに早く出来上がらないから!』
ヘラルドを含めた全員から突っ込みをいただきました。
「え~? 別にいいじゃん、早くできる分には困らないし」
「そうですけど、もう少し自重を……!」
「しません。言ったじゃない、好きなことをして、好き勝手に生きるって」
「……」
そこで黙るんじゃない、ヘラルドさんや。
とりあえず中を確認してもらわないといけないからと、ヘラルドとレベッカにそれぞれ確認してもらう。家具は一切入っていないし、畳もまだの状態だ。
畳に関しては種があるし、畳職人がいるとのことなので、あとで緑の手で増やそうと思う。冬までにできればいいんだから、今はフローリングのままだ。
玄関は雪を考慮して五段ほどの階段を作り、そこから玄関へ。
炭が入っていない二十畳ほどの広さの囲炉裏と、西側に八畳ほどの広さの炬燵部屋、その隣には外からは想像もできないほど広い宴会場は、外からも入れるようにしてある。囲炉裏の北側にあるキッチンもできるだけ使いやすいような形にしているし、あとからコンロ型の魔道具を入れても大丈夫なよう、竈は簡易にした。
場合によってはパンを焼く窯を作ってもいいし。
囲炉裏の東側には診療所となる部屋があり、広さは八畳ほどしかないけれど、狭いと感じたならあとで空間拡張を施してもいいと話した。もちろんここも入口が二ヵ所で、自宅からと患者用の入口が設置してある。
当然のことながら、待合室も作った。
二階に上がる階段はL字にして、できるだけ囲炉裏の煙が上に行くようにしているし、部屋も廊下を繋ぐ形でずらっと並んでいる。角部屋は六畳ほどあるレベッカの作業部屋で、薬草を陰干しするからと窓がない部屋と隣接しているが、風通しだけはよくしている。
その隣にヘラルドの執務室、その隣に夫婦の寝室。間に納戸を作って息子たちの部屋がふたつ並ぶ形だ。
村人総出でぞろぞろと村長の家を見学している光景は、なんだかオープンハウスみたいだ。
お風呂とトイレもしっかりあるし、トイレは水洗だ。もちろん、下水となるものは魔石を利用した浄化装置を作り、土の中に放出する形だ。
スライムのほうが実用的なんだけれどこの周辺にはいないし、わざわざ捕まえるのも大変だしで、結局魔石を使ったものしたのだ。
浄化して綺麗にしてからじゃないと、近くにある湖や井戸の水質に関わるからね。この村も例外なく井戸水を利用しているから、それを怠ると水が飲めなくなる可能性があるのだ。
まあ、錬金術なんて便利なものがあるから、捻ればお湯と水が出る蛇口を作った。帝都で買った水属性と火属性の魔石を使って作ったから、大丈夫だろう。
温泉があるのであればそれを引っ張ってこれたんだが、どうもここにはないみたいだしね。もし近くに見つけたら、パイプを作って引っ張ってこよう。
なーんて考えていたら、見学を終えたヘラルドが私の目の前に来て、ガシッ! と肩を掴む。その目がめっちゃ怖いんですが!
「……アリサ」
「なに?」
「技術の無駄遣いだ!」
「いいじゃない、別に。この村の住人にしてくれたお礼だと思えば」
「いくら依頼したとはいえ、これではもらいすぎだ!」
「そう? だって私はかなり広い土地をもらっているのよ? 家付きで買ったのであれば、同じくらいはするんじゃないの?」
「それは……」
口ごもったヘラルドに、やっぱりかと思う。かなり広い土地だからね、自宅と庭になるところは。土地と建物込みの値段にすると、恐らく同じ金額になるだろう。
それくらい広いんだよ、この世界にしてみればね。
「医療器具はともかく、家具も炭も、ましてや畳もない状態だし、屋根も藁がないから完全じゃないの。そんなに心配なら、藁の用意をしてくれないかしら」
「はあ……、全く。藁と畳はともかく、依頼として出したんだから、多少のお礼はもらってください」
「……わかったわ」
「なら、商業ギルドの依頼として出しておくわ。もちろん、全員の家をやってくれるんだろ?」
「ええ。どんな室内にしたいか希望を聞くから、その広さに合わせた報酬にしてね」
「あいよ!」
途中でエビータが口を挟み、ギルドとして出した依頼にしてくれるという。それならば他の住人も安心できるからと。
報酬はお金でもいいし現物でもいいと話すと、村人が喜んだ。ディエゴと物々交換していたものね。そんな気がした。
*******
拙作「転移先は薬師が少ない世界でした」について、お知らせがあります。
詳しくは近況ボードにて。
さすがにディエゴたちはつらそうだったが。
私は成人したばかりだからと断り、ひたすら果実水を飲んでいた。比べたらダメなんだけどさ……美味しくないんだよ、この世界のワインって。
貴族が飲むようなワインは買っていないから味がわからないけれど、庶民向けのは材料がよろしくないか、薄めているかのどっちかなんだろう。今のところ酒造りをするつもりはないが、いいワインが手に入ったらサングリアにしてもいいかもしれん。
ディエゴたち五人を見送ったあと、まずは村長の家の改築だ。今度はレベッカも交えて話をし、図面を起こしていく。やっぱりお風呂が欲しいと言われた。あと、診療所も。
「じゃあ、こんな感じにするわ。改築をしている間はどうするの?」
「隣の家にいることにするわ」
「住人は大丈夫?」
「大丈夫よ、住んでいないから」
「え? は? ちょっと待って!?」
住んでないってなにさ!
詳しく話を聞くと、豆腐建築故に、どうしても痛むのが早いという。だからどこかが痛み始めたら――雨漏りし始めたらまた豆腐建築をして、そこは朽ちるに任せているんだとか。
あ~、だから人数が少ない割に家が多いのか納得した!
「だったら、そのいらない家は全部解体して、家自体を広く作ろうか」
「いいのかい?」
「もちろん! あの木材を使うし付与も施すから、よっぽどのことがない限り家が壊れることもないわ」
「そうか。なら頼む。その間は隣のぼろい家にいるから」
「わかった。あと、このあたりの雪の事情を教えてくれる?」
山の中腹とはいえ、山頂にかなり近い場所にある村だ。真夏だというのに、曇っていたり日影にいると肌寒いし、夜は長袖か上にもう一枚着ないといけないくらいに冷え込む。
万年雪のこともあるし、場合によっては豪雪地帯並みに降るんじゃなかろうか。そんなことを考えて質問すれば、雪はかなり降るし、魔族の身長並みに――二メートル近く積もるという。
だったら、雪の重さに耐えられるような建築にしないと、絶対に重さで家が潰れるのは間違いなしだ。身内にいろいろと質問したり、古民家を見たりしておいてよかったよ。
問題は屋根の形と、何を素材にするかだ。リュミエールからは150年前後は生きるって言われているから、瓦でもいいかなあ。だけど、私が死んだあとのことを考えるのであれば、獣人たちに教えてきた方法か藁葺き屋根のほうがいいかも。
そうすると虫よけに囲炉裏が必要とかいろいろ出てくるしなあ。虫よけの薬を染み込ませてから状態維持をかけるつもりではいるけれど、成功するとは限らないし、一応希望を聞いてみるか。
「屋根はどうしたい? というか、魔族の国の家ってどうなっていたの?」
「藁葺き屋根でしたよ。平屋で、畳や囲炉裏というものもありました」
「おおう、先にそっちの情報を聞いておけばよかった! もしかして、炭炬燵っていうのもあった?」
「よくご存じですね。ええ、ありましたよ」
「マジか!」
魔族は日本家屋的な家に住んでいたことに、驚きを隠せない。よし、なら囲炉裏と炭炬燵も作ってしまえ! 畳はイグサを見たことがないからそれは後回し。そして掘り炬燵的な感じの炭炬燵にしてみようかな。
図を描いて説明するとこの炬燵のほうがいいと言ったので、新たに図面の引き直しだ。囲炉裏の場所と厨房は近いところにしたついでに、トイレやお風呂などの水周りもできるだけ近いところにした。
隣の部屋に炭炬燵を置き、昨日のような宴会があれば村人が集まってくるというので三十畳ほどの広さの場所と、レベッカの診療所を作る。もちろん、宴会場となる部屋には、空間拡張を施すつもりだ。
二階に夫婦の寝室と執務室、レベッカは薬の他にもポーションを作るというので、その作業部屋と子どもたちの部屋を用意。各部屋には押し入れをつける。
ディエゴたちが来て泊まる場合は、宴会場に泊まってもらうつもりだという。
外には庭と納戸が欲しいというのでそれも敷地内に作り、隣の家との境界は樹木を植えることになった。
隣のぼろい家も壊して大きくしたいからと別の空き家で待機してもらい、まずはリコに地ならしをしてもらってから土台を作る。雪対策のために少し高めにしてもらった。
自宅予定の家もあとで高くしてもらわないとなあ。
その横にダンジョン産の樹を置いて乾燥させたあと、柱と梁、ある程度の板や木材を積み上げていると、村人が興味深そうに視線を向けてくる。
順番に待ってろ、みんなにもちゃんとした家を作るから。
そんなことを考えながら、無心でどんどん作業を進めていく。途中で休憩やお昼を挟み、DIYのスキルと錬金術を駆使して、一日でヘラルドたちの家を完成させた。
『…………』
完成した家を見て、ヘラルドを含めた村人全員、顎が外れるんじゃないかってくらい口を開け、ポカーンとした顔をしている。さすがは村長、真っ先に我に返ったのはヘラルドだった。
「あ、アリサ……さすがに出来上がるのが早すぎないかね⁉」
「そりゃあ建築関連のスキルを持っているもの、当然じゃない」
『当然じゃないから! 持っててもそんなに早く出来上がらないから!』
ヘラルドを含めた全員から突っ込みをいただきました。
「え~? 別にいいじゃん、早くできる分には困らないし」
「そうですけど、もう少し自重を……!」
「しません。言ったじゃない、好きなことをして、好き勝手に生きるって」
「……」
そこで黙るんじゃない、ヘラルドさんや。
とりあえず中を確認してもらわないといけないからと、ヘラルドとレベッカにそれぞれ確認してもらう。家具は一切入っていないし、畳もまだの状態だ。
畳に関しては種があるし、畳職人がいるとのことなので、あとで緑の手で増やそうと思う。冬までにできればいいんだから、今はフローリングのままだ。
玄関は雪を考慮して五段ほどの階段を作り、そこから玄関へ。
炭が入っていない二十畳ほどの広さの囲炉裏と、西側に八畳ほどの広さの炬燵部屋、その隣には外からは想像もできないほど広い宴会場は、外からも入れるようにしてある。囲炉裏の北側にあるキッチンもできるだけ使いやすいような形にしているし、あとからコンロ型の魔道具を入れても大丈夫なよう、竈は簡易にした。
場合によってはパンを焼く窯を作ってもいいし。
囲炉裏の東側には診療所となる部屋があり、広さは八畳ほどしかないけれど、狭いと感じたならあとで空間拡張を施してもいいと話した。もちろんここも入口が二ヵ所で、自宅からと患者用の入口が設置してある。
当然のことながら、待合室も作った。
二階に上がる階段はL字にして、できるだけ囲炉裏の煙が上に行くようにしているし、部屋も廊下を繋ぐ形でずらっと並んでいる。角部屋は六畳ほどあるレベッカの作業部屋で、薬草を陰干しするからと窓がない部屋と隣接しているが、風通しだけはよくしている。
その隣にヘラルドの執務室、その隣に夫婦の寝室。間に納戸を作って息子たちの部屋がふたつ並ぶ形だ。
村人総出でぞろぞろと村長の家を見学している光景は、なんだかオープンハウスみたいだ。
お風呂とトイレもしっかりあるし、トイレは水洗だ。もちろん、下水となるものは魔石を利用した浄化装置を作り、土の中に放出する形だ。
スライムのほうが実用的なんだけれどこの周辺にはいないし、わざわざ捕まえるのも大変だしで、結局魔石を使ったものしたのだ。
浄化して綺麗にしてからじゃないと、近くにある湖や井戸の水質に関わるからね。この村も例外なく井戸水を利用しているから、それを怠ると水が飲めなくなる可能性があるのだ。
まあ、錬金術なんて便利なものがあるから、捻ればお湯と水が出る蛇口を作った。帝都で買った水属性と火属性の魔石を使って作ったから、大丈夫だろう。
温泉があるのであればそれを引っ張ってこれたんだが、どうもここにはないみたいだしね。もし近くに見つけたら、パイプを作って引っ張ってこよう。
なーんて考えていたら、見学を終えたヘラルドが私の目の前に来て、ガシッ! と肩を掴む。その目がめっちゃ怖いんですが!
「……アリサ」
「なに?」
「技術の無駄遣いだ!」
「いいじゃない、別に。この村の住人にしてくれたお礼だと思えば」
「いくら依頼したとはいえ、これではもらいすぎだ!」
「そう? だって私はかなり広い土地をもらっているのよ? 家付きで買ったのであれば、同じくらいはするんじゃないの?」
「それは……」
口ごもったヘラルドに、やっぱりかと思う。かなり広い土地だからね、自宅と庭になるところは。土地と建物込みの値段にすると、恐らく同じ金額になるだろう。
それくらい広いんだよ、この世界にしてみればね。
「医療器具はともかく、家具も炭も、ましてや畳もない状態だし、屋根も藁がないから完全じゃないの。そんなに心配なら、藁の用意をしてくれないかしら」
「はあ……、全く。藁と畳はともかく、依頼として出したんだから、多少のお礼はもらってください」
「……わかったわ」
「なら、商業ギルドの依頼として出しておくわ。もちろん、全員の家をやってくれるんだろ?」
「ええ。どんな室内にしたいか希望を聞くから、その広さに合わせた報酬にしてね」
「あいよ!」
途中でエビータが口を挟み、ギルドとして出した依頼にしてくれるという。それならば他の住人も安心できるからと。
報酬はお金でもいいし現物でもいいと話すと、村人が喜んだ。ディエゴと物々交換していたものね。そんな気がした。
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