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第四章『狂愛』

一匹の雄による、懐胎への飽くなき執念

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人払いが済まされた煌びやかな大聖堂に、荒々しい男の息遣いと、ぱん、ぱん、ぱん、という一定のリズムで刻まれる小さな破裂音、そして、ひっきりなしに溢れる艶やかな嬌声が響き渡る。祭壇に縋り付いて足をガクガクと震わせ、男の猛攻をその身に受けている片方の男は、下半身がはだけきり、荘厳な衣装を上半身のみで纏め上げているが。その男の尻たぶが真っ赤になる程に自らの腰を打ち据えている一方の男は、ベルトを外し、ズボンの前を寛がせて、自分の怒張のみを外へと出しているだけで、衣類にこれという乱れた様子はなかった。


その姿は、その雄としての性分に忠実な男が、幼い日に見た、母親と鬼畜を絵に描いた様な司祭との間にあった、修行という名の元に行われていた残忍な行為を忠実に再現しているのだという事に、男本人は気が付いていない。


「この教会は、数ある教会の中でも、結婚式場としても有名らしいですね。建物全体が全面強化ガラスで出来てるから外の森林が360度丸見えで、見る目に爽やかで……こんな開放感のある場所で、教祖であらせられる貴方とこうして睦み合えるなんて、最高です」


恍惚とした、それでいて残虐な笑みを浮かべながら、『つまりいま貴方は、こんな厳かな場所で俺に青姦されているのも同然なんですよ』と、猛攻を受ける男の耳元で囁く。すると、あまりに強い快楽から頭を真っ白にしていた雌役の男が、蜂蜜色の髪を振り乱して『いやぁッ、言わないでぇ』と、喘ぎ声の合間を縫って悲鳴を上げた。


「貴方が御方となってから、何人のカップルが、ここで貴方に向けて永遠の愛を誓ってきたんでしょうね。それに拍手喝采を送る人達も沢山いたでしょうし。なのに、俺達にとってこの場所は、超最高なロケーションのモーテルでしかない……ふふ、いま、お腹の中、きゅんって締まりましたね。興奮しましたか?雅之さん」

「やぁ……ッしてないっ、やだ、こんな場所で、もう、これ以上は……ッッ」


この場所の神聖性や本来ある使用目的を、自分達のセックスのスパイスにしている男に雌役が強く反抗すると、雄役の男の腰使いが更に深く、激しいものとなっていった。バチュッバチュッ、とずんぐりと肥え太った丸い陰嚢を雌役の尻たぶに激しく打ち当て、最上級の種付け専用馬の持つソレの様に太く長く、腹に向けて淡く反り返ったドス黒い怒張でもって、淡い反抗をしてみせた雌役を激しく責め立てていく。雄役は、雌役の秘孔の媚肉が軽く捲れ上がるまで、その先端部を引き出すと、再び最深部を抉る様にして穿つのを繰り返していった。そして、通常の男が持つソレでは絶対に到達不可能なS状結腸の入り口に亀頭の先端を潜り込ませると、今度はそこを掘り進める勢いで、激しく腰を打ち据えていった。


「ひ……?!ぎぃ……ッッぁ、…そこぉ……だめ、だめ………はいら、ないでって、いつも……言うのにぃ……ぁ、………ぃく、…ッッイクっ、いっ……」

「何言ってるんですか。貴方が涎を垂らして一番悦ぶのが、この『子宮責め』でしょう?ずっと雌イキしっぱなしで、その度に、深く深くイクから、ずっと『膣』が痙攣しっぱなしになって。嗚呼、ほら、またイッた」

「ァッ、……く……ひ、ぃ……いっ……アッァッ」

「素直になって下さいよ、雅之さん。こうして、奥の奥まで愛してあげないと満足出来ない身体になったの、自分でも認めて……ね?」


バヂュッッ、ぱんっ、ぱんっ、グヂュッッ、ズヂュ……ッッ!!


「……ぃ、……や……ッ、く、ァア……ッッい、く……ぁ、だめ、また……い、……ッッ!!」

「ふふ、ほら、またイッてる。イキながらイッちゃうの、これで何回目ですか?俺以外に男を知らないのに、あっという間に、こんなに厭らしい身体になって……可愛い。本当に、頭がおかしくなるくらいに、可愛い」

「こひ、こひ、とめれ……ッッとまんらいの、イクの、とまんらいっ……ぃ、ッッ?!ァ……ッッ……ぅ……ッッ」

「嗚呼、もう。深くイクと声が出なくなっちゃうの、俺、本当に好きです。ぞくぞくする……貴方が可愛過ぎる所為で、腰が全然止まりません。それにしても、どうしてこれだけ交尾してるのに、全然孕まないんでしょうね。毎回毎回、子宮の中に直接精液を飲ませてるのに。不思議ですよね。そう思いませんか、雅之さん」


雌役の持つ直腸部分を『膣』に、直腸S状部を『子宮口』に、その先にあるS状結腸を『子宮』そのものに見立ててセックスを繰り返している雄役の男にとって、このセックスはただの快感を得る為だけの行為ではない。本当の雄と雌が子作りをする時に行う『交尾』そのものであると考えているし、その考え方を身体に叩き込む様な交尾を雌役に対して徹底して繰り返し行なっている。


その為、雌役はいつしか本当に雄役の男の子供を妊娠したいと思う様になり、いまでは、激しい交尾の後に、『ある事』をする中で、その0以下の妊娠確率を引き上げようと努力していた。勿論、雄役である男の一種の洗脳に近い行為ではあるのだが、雄役に雌として、また生物として完全に屈服されてしまった雌役としては、その行為そのものに準じる事こそが悦びだった。


「だけど、沢山のカップルが愛を誓い合うこの大聖堂なら可能性があるかもしれませんから、俺、いつもより張り切ってるんです。ふふ、この為に一週間オナニーも交尾もしないで精液を貯めてきたんですよ。だから、全部全部、一滴残らず子宮の中に撃ち終えるまで、今日は頑張って子作りしましょうね……苦しかったです、貴方に触れられなかった一週間は。だから、俺の愛を、全部その身体で受け止めて下さい」


一週間ぶりに自らの主人でもある雌役の男に触れられた喜びに、雄役の男は感極まって涙ぐみながら、汗ばむ雌役である主人の首元に、禁じられている薔薇の花弁を一枚落とした。職務に差し支えるからと、絶対に目立つ場所には付けないで欲しいと再三に渡り雌役である主人に言われていたのだが、今日ばかりはどうしても我慢できなかったのだ。


主人の尊い御身は、雄役の男の類稀な献身によって日頃からぴかぴかに磨き抜かれている。にも関わらず、雄役であり自らの齎す愛の下僕でもあるその男がそんな事をしてきたので、主人である雌役は飛びかけていた意識をはたりと取り戻し抗議しようとした。しかし。


「ちょ、真司……ッッ?!……ぁ、アぁあッッ」


雄役の男の、子作りの為の交尾が本格的に始動する。今までの行為は全て『前戯』であると言わしめるかの様な本腰を入れた腰使いに、雌役は祭壇にしがみつき、嬌声の合間を縫って命からがら呼吸をするしか他に取れる手立てがなかった。


「雅之さん、凄い。まだ始まったばかりなのに、俺もう一回目が出そうです。やっぱり、『前戯』で温めておいた貴方の身体は極上だ。そんな貴方の初めての男になれて、そして、これから先もずっと俺の為だけにその身体を開いてくれる事が、嬉しくて堪らないです。こんなに奥まで俺を迎え入れてくれる様になって、こうして本気で泣いてしまうくらいに、嬉しい……」

「し…ッん、じぃ……しんじゃ、こし……とめッッ……あっあっ、くる、きちゃ……んぐ、……ッッ」

「出して下さい、潮でしょう?分かってます、そろそろかなって思ってましたから。さっき射精も三回くらいはしていましたものね。だから一回、潮噴いて休憩を挟みましょう。今日は全部、おちんちん触らずに頑張りましたね。仕事が全部終わったら、ホテルに返ってからも、口でずっと可愛がってあげる。そして、その後も、ずっとずっと……朝までじっくり愛し合いましょうね」


至福を絵に描いたような笑みを浮かべ、目尻に涙を滲ませながら、後頭部や先程付けた首元の薔薇の花弁、衣類がはだけて見えた肩甲骨に唇を落とし、潮を噴くという状態を休憩だと言わしめる男の狂気に、雌役の心の中にじわじわと恐怖が広がっていく。そして、一番恐ろしいのが、まだ雄役が一度も達していないという事実だった。この恵まれた肢体と持続力を誇る男が満足するのに、あとどれだけ付き合えば良いのか、雌役には皆目検討がつかない。強過ぎる快楽は拷問にも程近く、雌役は息も絶え絶えになりながら、雄役に縋る様な眼差しを向けた。


「出してっ、もう、奥に出して欲しいのぉ……これ以上されたら、今日この後のお仕事出来なくなっちゃう。だから、お願い。はやく俺で気持ちよくなって?部屋から湖が見えるホテルに帰ったら、玄関でも、部屋付きの露天風呂でも、ベッドの上でも、時間が許す限り、君の気の済むまでしていいからぁ……」


愛しくて堪らない雌が、自分の子種を求めるその姿に、雄役は簡単に煽られた。職務後に待つ甘いひと時に馳せた妄想が頭の中を駆け巡り、ごくり、と生唾を飲み込む。今回は雌役である主人の慰安も兼ねた遠征だったので、四日間用意されている日程のうち、仕事は二日しか予定がない。それも、午後にほんの数時間のみで、主人の顔を知る数少ない幹部一人との会食が主な仕事内容だった。つまり、それ以外の日程を、全て自分との時間に使っていいとのお達が主人の口から下されたのだ。その目眩く甘いひと時の妄想に、雄役の肉欲と愛欲は止まるところを知らず、怒張に興奮が伝達して、あっという間に雄役の限界が訪れた。


「雅之さん、雅之さん……あぁ、夢みたいだ、貴方をずっと独占出来るなんて……怖いくらい幸せです」

「ふ、ふふ……一緒に住んで、いつだって……独占してる、のに?」

「それでも足りないんです。全然足りない。ねぇ、今回の遠征中に、一日中セックスだけをする日を作りませんか?もしそれが気に入ったら、前からずっと打診していた、一カ月のうち一日くらいはそんな日を作る話を、本気で考えて欲しいんです」

「……じゃあ、今回の遠征で俺を満足させられたら、帰ってからも一カ月に一度のその日を作るか考えてあげる。だから、今回の俺の慰安に、最後まできちんと付き合ってね?」


あまりにも魅力的な提案に感極まり、雄役はいつの間にか腰を振るのを辞めていたのに、一気に射精の事前準備に入り掛けた。びくんッびくんッと怒張が痙攣し、後から後から溢れ出す先走りを、どくどくと主人の体内に送り込む。主人も雄役のその様子を身体で感じ取った様で、婀娜っぽい眼差しを雄役に配せながら、自ら尻たぶを両手で割り開いていった。そして、厭らしい媚肉を露わにして、怒張を咥え込んだ場所を見せびらかす様に、緩やかに尻を振った。


「だから、早く……一週間貯めてた濃くてとろとろの精液、俺の中に、いっぱい出して?」


教祖としての法衣を身に纏い、下半身だけを露出させ、祭壇に向けて自分の放った精液の栗の花の香りを芳しい程に匂わせながら、殆ど青姦に近い場所で雄役を誘う自らの主人に、雄役は我慢の限界を迎えた。


主人の細い腰をがしりと両手で掴み、しっかりと固定してから、怒張の侵入を防がんとするヒューストン弁をものともせずに、最深部をがつ、がつ、がつ、と繰り返し穿つ。肉と肉がぶつかり合う激しい打撃音を、自然との調和を見事に果たしている荘厳で厳格な空気で満ちた大聖堂に響き渡らせながら、雌役の身体の一番奥深くに自分の子種を撃ち込む為だけに、雄役、否、その雄は、ひたすらに腰を打ち続けた。


『絶対に、今日こそは、孕ませる』


という願い、いや、執念すら感じさせる本日最初の一回目の射精は、これまで愛しい雌の体内に撃ち込んできたソレとは比べ物にならない程の質と量を兼ね備えた一級品であろう事は目に見えていた。他の誰の前でも絶対に反応しなくなった恵まれた肢体を持つ雄にとって、ただ唯一の雌であると認知され続けているその主人は、長く舌を伸ばしてあっ、あっ、あっ、とスタッカートを聞かせて甲高い嬌声を上げた。犯される恐怖より、抱かれる嬉しさより、背後から猛攻する、ただただ己が主人だけを愛し尽くす雄の懐胎に寄せる執念に煽られて。主人は、雌として生まれた自分の本性への悦びに打ち震えていた。


「雅之さん、……愛してるッ、子宮の中に出すよ……ッだから、全部飲み干して……っ」

「あっ、ぁっ、あぁッアッ……はぁ、んぅッッ」


ドビュクッッ……ドピュッッ……どぷぷッッ……ビュククッッ!!


この日の為に雄が貯めに貯めておいた、濃厚で粘度の高い子種を、雌の子宮……S状結腸の入り口の先に向けて、二度、三度と、土砂の様に浴びせながら放出していく。そして雄は、激しい射精の余韻に浸る怒張をビクンッビクンッと引き攣らせながら、着床を促す深いストロークで解き放った子種を最深部になすり付けていった。


「あぁ……ん、ふぁ、あ……あん、おく、すりすり、だめぇ、ダメなのぉ……」


亀頭を深々と最深部に潜り込ませてから達したので、もし何も考えずに怒張を引き抜いても子種が直ぐに出てくる心配はしなくて済みそうだ。そうと確認した雄は、達てもなお猛りきったままの怒張を一度も引き抜かずに、そのまま着床を促す丹念な腰使いを、たん、たん、たん、と繰り返し行なっていった。交尾の仕上げとも呼べるその行為は、雄にとって義務とも責務とも呼べる行為でもある。そして、直腸の奥深くに入念に、それでいて無慈悲に子種を擦り付けると、雄役は愛しくて堪らない自分だけの雌である主人の身体を、漸く自分の腕の中から手離した。


「まだ座り込まないで下さいね……いつもの『アレ』、まだしていないでしょう?」


いつもの『アレ』という言葉に反射的にぴくりと反応し、それを使われた時の記憶が蘇ったのか、主人は、あ……と小さく恐怖に彩られた声を上げてから、かたかたと震え始めた。しかし、その目に宿る感情は恐怖だけではなく、混じり気のない興奮も宿っている。遠征先にある大聖堂での交尾の後は決まって『アレ』を身につける流れが習慣化されているので、雄にとって、雌であり主人でもその人物は、こくっ、と喉を鳴らし、自分の可愛い愛妾でもあり、自分の齎らす愛の下僕でもある雄の機嫌を頗る良くしてあげられる『お決まりの流れ』を口にしていった。


「や、いやだ……アレだけはっ……もう……」

「ふふ、何言ってるんですか。アレがないと、折角俺が貴方のお腹の中に撃ち込んだ精液が、ちゃんと着床する前に身体から漏れて来ちゃうでしょう。だから、我儘を言わずに、きちんと奥まで『咥え込んで』下さいね」


雄は大聖堂の長椅子に置いてある自分の鞄の近くまで行くと、そのチャックを開けて、真っ黒な袋に包まれた、まるで棍棒の様なシルエットをしたそれを取り出した。それを視界に写すだに、顔を真っ青にした主人は、イヤイヤ、と頭を振った。これも勿論、半分くらいは演技である。本当は、それを自分の身体に装着する時の、愛しい雄のギラついた眼差しが見たくて堪らないのだが、そんな様子を愛しい雄であり、自らが齎す愛の下僕でもあるその男に悟らされる様な愚かな真似はしなかった。


「ヤダっ、それ、見せないで……俺に、ソレを使わないで……」


静止する言葉や態度に臆する事なく、雄は上機嫌に、くすくすと邪気なく笑いながら、袋からそれを取り出した。それは、真っ黒で長大な、馬のペニスを模したディルドだった。人間のペニスとは違い、亀頭が若干平べったく作られている。ずんぐりとして太く長く、何処までも卑猥な見た目のソレは、勃起した雄役のペニスにも見た目の印象がそっくりだ。つまり、これを雌に装着させさえすれば、いつ如何なる時であろうとも、雄が持つ雌に向けた迸る愛を、雌の身体に教え込む事が出来るのだった。


「前から使っていた奴のグレードアップ版が出たので買ってみました。前の物より更に長くなって、亀頭部分も大きくなったみたいです。俺のに本当に良く似てきましたよね。なんだか、嫉妬しちゃいます」


自分が用意したディルドに嫉妬しながらディルドの説明をする雄に、雌は買ったばかりのおもちゃを自慢する子供を重ねて、雄には分からない角度で引き攣る様にして笑った。雌のそんな様子には全く気が付かない雄のディルドの説明は止まらない。このディルドの特筆すべき点は、その見た目からくるインパクトだけには止まらないのだと。


雄はディルドが入っていた袋から、もう一つの小さな機械を取り出した。PCの専用マウスを限り無く細くした様な見た目で、ボタンと指先で強弱が指定できる突起がついている。ボタンは稼働するスタイルを、強弱は振動を操れる。そして、コードなどで本体であるディルドと繋がっている様子は見当たらない。つまり、このディルドは、これだけ醜悪な見た目をしていながら、遠隔操作で雌の秘孔を徹底的に陵辱出来る代物だったのだ。


「充電もバッチリしましたから、今日の夕方まで充分使えます。電池切れの可能性はないので、たっぷり楽しんで下さいね?……ニューモデルですから、貴方の身体の中でどんな風に動くのか、一応、起動させて見てみましょうか」


視界にソレを写した主人は、ディルドの説明を聞く前までは、少しだけ胸の内に持っていたはずの余裕が次第に無くなっていく実感を得ながら、今度こそ本気で恐怖を感じ、顔を青褪めて、やだやだ、と頭を降った。しかし、雄はそんな主人の反応には構わず、両眼を爛々と輝かせながら、起動したディルドの音を主人の耳元で聞かせた。


ぐねぐねと、軟体動物の触手の様に全体をくねらせるモードと、収縮と反発を繰り返し、最深部を突き上げる動きをするモードがあり、それぞれにバイブレーションまで付与させられる。ただ震わせるだけのモードもあるが、その際に選べる振動は、他のモードの中で最も強力なものとなる。雌の体内を蹂躙する為だけの機能に特化したソレを見て、雄は満足気に、にたり、と口元を吊り上げた。


「これで貴方の秘孔に蓋をして、俺の代わりに中に注いだ精液をたっぷり子宮に擦りつけて貰いましょうね。そして、他に予定が無い明日は、朝から次の日の朝まで一日中子作りをして、貴方がきちんと妊娠するまで、徹底的に『交尾』しましょう」

「そんな、こわい、真司、やだ……いやぁっ」


ディルドの説明を受けている内に、結局腰が抜けてしまった主人は、情けなくも祭壇に縋り付いて、どうにか思い止まってくれる様にと雄に哀願した。しかし、獲物を追い詰めていく獣じみた眼差しを雌に向けた雄は、同じく自分の鞄から取り出したシリコン系のローションを、無慈悲にも、雌の主人の目の前でディルドにどろどろと纏わせていった。


「前のバージョンの奴も気に入ってたみたいで、奥まで入れただけで雌イキしましたよね。それに、前のは振動しかしなかったのに。今回はもっと凄いから、どうなるかな」

「いや、……ッッ思い出させないで……っ」

「……上手に咥えられたら、ディルドが落ちてこないように専用のゴム下着付けましょうね。おちんちんだけ外に丸出しになるエッチなアレ。ディルドの刺激でイキそうになったら、その都度トイレに連れて行って、しゃぶって出させて差し上げます。ですから、安心して気持ちよくなって下さいね」


安心できる理由が何一つとしてない台詞を口にしてから、雄は雌の尻たぶの中心にある秘孔を指で広げて、その凶悪なディルドを、何の躊躇いもなく、ずぶぶぶぶ……ッッと一気に根本まで挿入した。その途端、雌の花芯から、ぴゅっ、ぴゅくっ、と微かに潮が放出されたのを見て、雄の口元に浮かべていた残酷で綺麗な笑みは、より深いものとなっていった。


「………ッヒィ……?!ぁ、ァア……ふとい、よぉッッ」

「嗚呼、やっぱり直ぐにイッちゃいましたね。まだスイッチも入れずに挿入しただけなのに。貴方は本当の本当に、何処までも愛らしい人ですね」


自らの主人の顔中にキスを落として、うっとりと目を細めた雄は、愛しい自分の雌の首元に飾った薔薇の花弁に最後に唇を落としてから、身体を離した。


「じゃあ、一回起動してみますね」


ボタンを一回押すと、微かな起動音を立てながら、ディルドが雌の直腸の中でうねうねと動き始めた。外からは分からないが、雌に与える快楽はとても強いらしく、『あん、あぁん、やぁッ』と涎を垂らしながらはしたなく腰を振って悦んでいる。どうやら見た目では分からないまでも前立腺にも刺激が加えられている様で、強制的に雌の花芯の勃起が誘発させられていった。


「おちんちん勃ってきましたね。だんだん腰も揺れてきて……こんな調子で、本当にお仕事できるかな。雅之さん、もしも、今日会食するおっさんの前で、おちんちんぴくぴくさせながらアンアン言ったら……その身体が、明日使い物にならないくらい折檻しますからね」

「やら……っ、がんばる、がんばるからぁっ」

「……なら、その言葉が信じられるように、振動をもっと強くしますね」


雄としては、どうせ我慢できても出来なくても、同じだけの折檻はするつもりでいる。『折檻』という言葉が『イイコイイコしてあげる』という言葉に変換されるだけなのだから。


「まっ、?!……くぅッッ……い、ひぃッッあっ、ぁあッッやぁん、だめぇ、イク、イッちゃうよぉッッ」 


外に起動音が漏れない程度にまで振動を強くすると、雌はビクッビクンッッと身体を痙攣させて、呆気なく吐精を果たした。しがみ付いている祭壇の側面に、ピピっ、と雌が放った精液が飛び散っていくのを視認して、雄は生唾をごくりと飲み込んだ。


これが見たくて、雄は起動実験を行なったのだ。誰しもがこの祭壇の前で信仰を捧げ、御方であるその人に生涯の信仰と愛を誓ってきた。その信仰の先にいる教祖……雄の主人であり、いと尊き身分である御方は、自分の手で与えた強制的な快楽を貪り、神聖な祭壇に縋り付いて可愛らしい花芯を震わせながら祭壇に向けて射精を果たしている。雄である谷川 真司という名前の男は、そんな淫らな主人を見ているだけで、二度目の絶頂を迎えそうだった。


「うねうねする度に、貴方の秘孔から卑猥な音が聞こえてきちゃいますね……これだと流石に人にバレちゃうかな……なら、こっちはどうですか?」


そう言って雄は、絶頂を迎えて息も絶え絶えになった主人のその身体を休ませる事なく、ディルドの設定を変えて、今度は突き上げるモードに移行していった。ウィンウィンという微かな起動音を立てながら雌の最深部を、馬の亀頭の形をした先端部で押し潰していく。機械の為、疲労を感じる事はないので、ディルドは一秒に二回のペースで雌の最深部を穿ち続けた。  


「ひぎっ……ぁ……ひぃ、ッッおく、だめ、だめぇ……ずんずん、やらぁっ……おかひくなっちゃ……ッッとめ、ひぃんッッ……く、あ、イッくぅ……いく、いくぅ……ッッ」

「嗚呼、もう、本当に可愛い。呂律が回らないくらいに雌イキ決めまくって。こんな状態で、本当に会食出来ますか?身体も、声も、顔も、全部、愛らしくて堪らない。こんな姿、絶対に誰にも見せたくない。貴方を部屋に閉じ込めて、ずっとお互いだけを感じていたい……」


こんな姿を他の誰にも見せたくないので、ディルドのモードを設定したりするのは出来るだけしないでおこうと雄は決めた。必要以上にボディタッチが多い色ボケジジイを相手にしようとした時だけ、『それ以上近寄るな』という警告をする為に振動はさせるつもりでいるが、こんな雌の愛らしい姿を、雄は片鱗でも他人には見せたくなかった。


ディルドに送っていた全ての起動を解除する。すると、糸が切れた操り人形の様に、主人がっくりとその場に崩れ落ちそうになったので、雄は慌てる事なく想定内の事態に対応した。


「俺以外に色目を使ったり、必要以上に危ない人間に近づく様な場面に遭遇したら、周りに誰がいてもこうですからね?分かって、雅之さん。心配なんだ……俺以外に、貴方を触れさせないで」


脂汗が浮いた額に口付けを落とし、全身を撫で回してから、深く唇を合わせる。そして、長々と舌を口内に差し入れて唾液を啜り、最後にフレンチキスを二、三度送ってから、愛しくて堪らないという気持ちを込めた眼差しで、雄は自らのたった一人の雌である主人をうっとりと見つめた。


「もしもディルドで気持ち良くなり過ぎてお仕事中にイキそうになったら、隣にいる俺だけに分かる合図を送って下さい。ちゃんとトイレまで連れて行きますから」

「わ………わかった……」


主人の素直な反応に気を良くして、雄は自分のスーツの懐にしまっておいたゴム性の下着を取り出した。男性用の水着の様な見た目ではあるが、装着すると肝心の男性器が、奥にある陰嚢まで全て丸出しの状態になってしまう。それもその筈、この下着は雌役や女の秘孔に挿入したディルドを落ちてこない様に固定する為だけに開発されたものなのだった。女であればこの下着を付けたまま膣に挿入が出来るし、男であれば男性器を弄ぶ事が可能となる。というか、どちらかというと男性に向けて作られた下着なので、見た目も程よくシャープだった。それを、教祖としての荘厳な礼服を着ている雌役の主人に装着させると、顔を紅潮して恥ずかしがる自分の愛しい雌を見て、雄は満足気に頷いた。


「豪華で威厳があって格式もある法衣の下に、こんなにエッチな下着を付けて、馬のペニスの形をしたディルドまで咥え込んでいるなんて、誰も想像していないでしょうね。そして、仕事をしたり、会食してる間にも、貴方のお腹の奥には、ずっと、貴方を妊娠させるために撃ち込んだ元気に泳ぎまくってる俺の精液が……あぁ、堪らないです。想像しただけで、こんなに勃っちゃいました。こんなんじゃ、俺の方が仕事になりません」


想像を働かせただけで、ズボンの中には収まりきらない怒張が生地をぱつぱつに張り詰めさせている。自分が生涯の愛を誓った雌であり、自分の主人でもある雅之相手だと、すぐにこうだ。主人以外には全く身体が反応しないので普段は鳴りを潜めているが、主人を相手にすると、際どい部分の素肌が偶然チラリと見えただけでも、こんな風にして、すぐに勃ち上がり臨戦体制を取ってしまう。だからそれが、雄である真司の目下の問題でもあった。


「真司、ごめんね。そろそろ掃除してここを出ないと時間が……だから、これ以上は、君の相手はしてあげられないんだ」

「分かっています。すぐに収めますから。掃除をしているうちに、大人しくなると思います。雅之さんは、長椅子に座っていて休んでいて下さい」


雄は、自分の怒張とディルドによって強制排泄させられた主人の祭壇に飛び散った精液の量を確認しながら掃除をして行った。どうやら、思っていた以上の量は排泄されていない。なら、今晩も、雅之本人の打ち止めをあまり気にする事なく、たっぷりと楽しむ事が出来そうだ。これでいて雌である雅之も、雄である真司と同じ様に絶倫体質である。あとは時間さえ経てば、また新しい精液が雅之の身体の中で生成されるだろう。


真司は、その全てを自分の手で好きな様に出来る今日の夜から次の日の夜までの目眩く妄想を頭の中で描きながら、口の端をにたり、と吊り上げ、その美麗な顔を歪ませて、妖しい笑みを浮かべた。
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