上 下
7 / 39
第一章『邂逅』

初めての『交尾』。愛のある凌辱。絶頂に次ぐ絶頂。繰り返し繰り返し、身体の一番奥深くに……

しおりを挟む


指の二、三本が入る程度では、俺の怒張の先端が潜り込む段階で確実に入り口が裂けてしまう。ロサ・フェティダさんは経験が豊富そうだったから多少なり融通は効きそうだと思っていたけれど、思っていた以上に入り口を柔らかくする工程は難航を極めた。まるで、まるっきりの処女を相手にしている様に手こずってしまう。俺が思っている以上に、ロサ・フェティダさんは経験が少ないのかもしれないなと認識を改めて、俺はその胸に湧いた疑問をロサ・フェティダさんに投げかけた。


「すみません、決して悪い意味で聞いてるんじゃないんですが。ロサ・フェティダさんって、もしかして俺の思っているよりも、交配の経験が少なかったり……します、か?」


ドキドキと、胸が高鳴っていく。こんな直接的な質問を好きな人を相手にした事がなかったから、聞いている自分の方が恥ずかしくなってしまった。


「なにそれ、経験人数が少ない方が嬉しいな、とか?……最低だね」

「いや、そんなつもりは……」

「処女だよ」

「………は?」


耳を疑う、とは、まさにこの事で。


「いや、だって、……なら、御方は?」

「御方が、僕に?そんな事があるわけがないでしょう。そんな夢みたいな事があったら、その場で死んでるよ、僕」

「………すみません」


これだけ、ロサ・フェティダさんが気持ちを一心に傾けているというのに、御方は、その気持ちに、全く応えていないというのか?俺の中にある御方への憎悪が、より一層の激しさを増していく。しかし、それ以上に、御方が一体何を考えているのかまるで分からなくなって。ロサ・フェティダさんとの間に一体どれだけの事があれば、ロサ・フェティダさんがこれだけの献身を傾ける様になるのかが、知りたくて堪らなくなった。


「あの、ロサ・フェティダさん。御方と貴方の間には、一体何が……」

「それ以上、御方と僕の関係性に踏み込むなら、お前のデカブツ噛みちぎってやるからな」

「すみません……何でもないです」


二人の間に何があったのかは、いまはまだ聞けそうにないなと判断して、再び秘孔の拡張作業に移る。しかし、ロサ・フェティダさんが処女だなんて、俄かには信じられない。こんなにも、『雄花』を惑わす色香をたっぷりと纏わせた人が、まだ男性未経験者だなんて。いや、全くの未経験とは言えないのかもしれないけれど。そう、この俺の様に。


「処世術ってやつですか?今までは、それで?」

「うん。まぁ……それにほら、僕は身分を隠しているとはいえ、花園の管理側の人間だから。実際に僕には、マッチングの話は来ない様になってるんだよ。偶に、空気の読めない人が特攻してくる時もあるけど、その時は、ちょっと手や口使ってスッキリしてくれれば、気持ち良くさようならしてくれるから」

「そんな……危ないじゃないですか。約束だって本当に守るとは決まって……」

「そんな時の為の、カメラだよ。まぁ、それだけじゃなく他にも色々、試行錯誤はなされてるし、なんて言っても、薔薇や薔薇の蕾達は、須く御方の持ち物だからね。花園の薔薇に無体を働いたら、それこそ大事になってしまう。いくら性欲が強くても、今までの生活基盤を失うのと天秤に掛けるような真似はしないよ」


それだけの影響力を保有する『御方』とは、本当に一体何者なのだろう。俺の事を知っている素振りを見せ、自分の事を思い出せと難題を振っかけ、こうして俺を試そうとまでしてくる。そして、その疑問を解消したければ、自分を唸らせるだけの薔薇になって目の前に現れろ、と上から目線で物言いをしてもくる。はっきりと苦手な人物だと言い切れるけれど、ロサ・フェティダさんが心酔するに値するだけの人物であることは間違いないのだ。ロサ・フェティダさんの気持ちに応えないのも、本人なりに考えがあっての事かもしれないし。身体を捧げさせる事で心身を縛りつけようという意思が感じられない分、全くの悪人として決めつけるのもどうかという気持ちになってくる。それに、もしかしてだけど。


「ロサ・フェティダさん、もしかして、御方は、ロサ・フェティダさんと同じ……」

「……うん、そう。御方は僕と同じ趣向の方なんだ。だから、御方は僕にそうした興味を抱いてくれない。だからと言って、他の『雄花』や集めた人材に手を出す様な人でもないけれどね」


寂しげに語るロサ・フェティダさんの気持ちに、ギュッと胸が押し潰されそうになる。こんな悲しい結末があっていいのだろうか。どれだけ愛していても、身体を介して愛情を伝える事が出来ない苦しみ。この人はずっと、こんなにも深い孤独や絶望を抱えて生きてきたのか。


「ロサ・フェティダさん、俺は、貴方の孤独を癒したい。今まで貴方の中で鬱屈していた感情を、俺にぶつけて下さい。俺はそれを全部受け止めます。だから、今この時だけは、何も考えずに、俺だけを感じてくれませんか?」

「………君って、馬鹿だね」

「はい。貴方に出会った時から、ずっとそうです」 


にこり、と毒のない笑顔を浮かべてから、秘孔に挿入している指を一気に四本に増やす。あぐ、と苦しげに呻いたロサ・フェティダさんの汗の滲む額にキスを送ってから、上半身に唇を落としつつ下半身にまで頭を下げていき、花芯の周囲にも音を立てて唇を落としていった。唇が落とされる度に、あ、あ、とロサ・フェティダさんの口から小さく可愛らしい喘ぎ声が漏れる。胸の中にある、ロサ・フェティダさんに向けた愛しさを伝える様に、まだ完全には勃起が完了していない花芯の先端部に、むちゅ、むちゅ、と唇を押し当ていく。そして、気が済むまで唇を介して愛しさ伝えていくと、俺はロサ・フェティダさんの蟻の門渡りに、べたりと舌を這わせていった。


産毛の一本すら纏っていないぷりんとした陰嚢をベロッと下から舐め上げると、そのまま二つの睾丸を口に頬張り、ころころと飴玉を転がす様に刺激を加えていく。皮をほんの少しだけ被っている亀頭から先走りの蜜が溢れ、花芯の先端をたらたらと濡らしていく様を至近距離からうっとりと眺めながら、睾丸を揉みしだく様に舌全体を使ってマッサージを加え、先走りの分泌を促すように、執拗にそこを舐めしゃぶった。


「あ、はぁ……っん、や、……ぁあ、っ」


このまま睾丸に対する刺激のみで玉イキさせたい気持ちはあったけれど、殆ど経験の無いロサ・フェティダさんには難しいだろう。先走りでしとどに濡れた花芯がてらてらと鈍い光を放ち始めた所で、ぬぽっ、と二つの睾丸を口の中から取り出すと、竿の根本から裏筋までをひと舐めし、尖らせた舌先を尿道口にぐりぐりと押し当て、柔らかい亀頭の割れ目から裏筋までをびちゃびちゃと音を立てて舐め上げた。


「い、ひぃん、……あ、っあ、ン……っ」


くぱくぱと開閉する尿道からとろとろ漏れ出る塩味のある先走りを、思う存分味わう。完全に勃起した花芯の先端部は、良く熟れた杏の様に真っ赤で、興奮した俺は、あんぐりと口を開け、その花芯の先端部にむしゃぶりついた。


「……ッん、……?!くぅッ……ぁあッッやら、おちんちん、たべないで…ッッ」


必死に静止するロサ・フェティダさんには構わず、花芯を根本まで咥え込み、裏筋に舌を這わせたまま、口内を真空の状態にする。そして、敏感な雁首を擦り上げる様にして頭を上下に動かして、じゅるじゅると下品な音を立てて花芯を舐めしゃぶった。


「い、……やらぁ……ッらめ、だめ、でちゃう、……いく、のぉ……くち、はなしてぇ……ッッぁっ、あっあぁッッ」


秘孔に差し入れた指先で前立腺をこりこりと刺激しながら口淫を続け、雁首が完全に競り上がり、亀頭が全てその姿を見せ、絶頂の寸前になったところで、ぬぽっ、と口内から花芯を取り出した。絶頂の寸前で刺激が失われた事で、駄々を捏ねる様にロサ・フェティダさんの花芯がびくんびくんと震えている。俺は、興奮を隠さない鼻息の荒さでその様子を眺めながら、絶頂に向けて準備運動をし、ぱつぱつに張り詰めた睾丸を一頻りべろべろと舐めて弄び、裏筋をゆっくりと下から舐め上げてから、亀頭に割って入っている裏筋と尿道口までを、舌先でぴちゃぴちゃとあやした。絶頂するかしないかのぎりぎりの状態を保ち、一番気持ちの良い時間をじっくりと継続していくと、ロサ・フェティダさんは生理的な涙をぽろぽろ溢しながらよがり狂った。


「……ッぅ、ぁあ、……ッひん、…やらぁ、も、ゆるし、……ッッぁあ…ん、く、ふぅ……ッ」

「前立腺刺激されながらですから、堪らないでしょう?童貞だからって甘く見たら駄目ですよ。身体がきちんと使えなかっただけで、オンナを泣かした経験はこれでも多いんですから」

「……ぃ、く、ぁ、あぁあ、ッやっやぁ、出ちゃう、いくぅ、……ッ」

「勉強を教えてくれてた時も、手取り足取りマナーや作法を教えてくれた時も、ずっとずっとこうしたいと思ってた。そんな風に思えたのは、貴方が初めてだったんです。だから、本気を出した俺に潰されない様に、今から祈っていて下さいね」


無駄口をやめ、再び花芯を根本まで一気に頬張る。ぬめぬめと裏筋を舌根まで使って刺激し、上顎と喉を使って亀頭を絞り込む様に虐め抜いていき、絶頂に向けてのラストスパートを掛けていった。秘孔に挿入した指はぎちぎちと千切れんばかりに咥え込まれていたけれど、前立腺を押し潰す様にして刺激を加えていくと、ロサ・フェティダさんの秘孔は、指を奥へ奥へと飲み込む様な動きを見せ始めた。卑猥な光景と、五感で得る想い人の痴態に、俺の限界もすぐそこまで来ていた。


「あッアァ、………ッ!?」


ビクビクと、絶頂に向けて律動を始めた花芯を再び口から取り出す。そして、陰嚢を親指と人差し指で挟み込み、秘孔に向けてグッと下に引き下げた。絶頂するかしないかのタイミングでこれをすると、射精の一歩手前の段階で踏み止まり易くなるのだ。そのまま、陰嚢をしっかりと握って下に押し下げ、射精をコントロールしたまま、根本から亀頭に掛けてまでをぐっちゅぐっちゅと音を立てて抜き上げていく。その度に、ビクッ、ビクンッッと身体を痙攣させるロサ・フェティダさんを見て、興奮した俺は、荒くなった息で乾燥した唇を、べろりとひと舐めした。


「……ッふ、……ぁ、あ…ッッぁ、あっあ、…ぃ、ッッ」

「イきたいですか?苦しいですもんね、この寸止め。俺はやられた事ないですけど……イけそうでイけないし、射精そのものもコントロールされてるし」

「…ッぃ、ぁ、…あ、くっ…ひぃ、く、い、ぁッ」

「イきたいなら、カメラの前で四つん這いになって顔を写して。そしたら、貴方の痴態を見てギンギンになってる俺のコレを、後ろから思う存分ぶち込んで、貴方の可愛らしいココを、一晩で俺の形にしてあげる。そして、カメラの向こうにいる御方とやらに向かって、盛大にぶち撒けて下さいよ」

「やだ、やぁッ……そんな、の、出来ない、よお……ッ入れないで、僕は、誰も受け入れたくない……ッ、口と手で頑張るから、許してッ!!」

「……興奮させたくないですか、御方の事」


耳元で俺が囁くと、ぐずってばかりいたロサ・フェティダさんの泣き噦る声が、ぴたりと止まった。


「貴方の痴態を見て、雌花である御方がもし反応してくれたら、それって、貴方にとって、何よりも得難い経験なんじゃないですか?」

「リリー……君、は……何を考えて」


唖然として俺を見つめるロサ・フェティダさんに、俺は、悪魔の囁きを繰り返した。


「気に入らないんですよ、御方とかいう人が。自分を思い出せといいながら顔の一つすら見せず、自分に会いたいなら薔薇になってから来いと偉そうに言って……偶然俺が自分の昔馴染みだったからって、どうしてこんな目に遭わなくちゃいけないんですか。知らないうちに恨みを買う様な真似をしてしまったなら、それは謝ります。でもだったら、余計に会いにくるべきでしょう。それに何より、貴方の愛を一身に受けている癖に、貴方に指一本触れないような人間なんて、どれだけ地位があって、貴方が崇拝するに値する様な高潔な人間であろうとも、好きにはなれません。そんな人間の鼻を明かしてやりたいと考えるのは、当然の流れじゃありませんか?」


まずは自分の立場を表明する。俺は決して、御方とかいう人物の意思には屈しないと。そして、御方がどれだけの興味を俺に向けていたとしても、俺にとってお前という人間は、記憶の端にも残らない様な人間でしかないのだと言う事実を、遠回しに訴えた。これで、俺はもう花園という場所からは除籍されるかもしれない。けれど、それでもいい。


俺は、俺の生きたい道を行く……ロサ・フェティダさんの手を、握り締めて。


「性の対象ではないと切り捨てた貴方の痴態に反応した御方が、今まで貴方に触れて来なかった事実を後悔するんです。そして、俺の手で『雌花』としての本当の悦びを知った貴方に、どうか自分の元に帰ってきて欲しいと哀願する。唆られる話じゃないですか?」

「ふふ、君は……凄い発想をする男だね。怖いものなんて、まるで無いみたいな生き方だ。僕とは正反対だな。僕は、御方に僕の存在が否定されてしまう事が何よりも恐ろしいし、御方の変わらぬ愛が欲しいと願い続けている……だから、御方の愛を一身に受けている君が、憎い」

「ロサ・フェティダさん……」


好きな人から憎まれるというのは、どこまでも深く胸が痛む。だけど、ここまできておいて、傷付きました、だから諦めます、とはならない。


俺は絶対に、この人を諦めたくない。


「だけど、そうだね。御方が、あの人が、もしも僕の中に色を見つけてくれたなら……この心が朽ち果てても、僕に未練はないよ」

「ロサ・フェティダさん、もしも今日、俺達がこのまま結ばれて、貴方がその中に少しでも生の喜びを見出してくれたなら……俺と一緒に、生きてくれませんか?」

「リリー……それは、でも……」

「俺を憎んだままでもいい。貴方の分まで、俺が貴方を愛します。だから、どうか俺の手を取って下さい」


ロサ・フェティダさんの左手を取り、その薬指に唇を落とす。そして、目と目を見つめ合いながら、惹かれ合う様にして、深い口付けを交わしていく。全身を撫で上げながら、最後に秘孔にその指を持っていき、その縁をぐるりと指の腹で辿ってから、つぷり、と指を差し入れた。よく解れている。これでローションを足していけば、このまま繋がることは可能かもしれない。


深く舌を差し込み、甘い唾液を啜りながら口付けを交わして、使い切りローションの二袋目を塗りたくった指で秘孔の入り口を解す。そして、キスをしている間も完全に熱り立って萎える様子の無かった自分自身の怒張にもローションを纏わせてから、ロサ・フェティダさんに目配せをした。


ロサ・フェティダさんは、こくり、と小さく頷いて、ベッドを正面から捉えて撮影しているカメラの前に顔が来る様に移動して、四つん這いの格好になった。白くて丸い愛らしいお尻が俺の目の前に晒される。その中央にある慎ましい秘孔の縁は、度重なる刺激を受けてふっくらと充血していて、『雄花』である俺をどこまでも煽った。


「ごめんなさい、ごめん、なさい……許して。僕は貴方のものだから、だから、これは、違うの。お願いだから、僕を見て、僕を……」


その、御方に捧げる、懺悔の様な台詞を耳にした途端。俺の中にある理性の糸が、音もなく焼き切れた。


ロサ・フェティダさんの細い腰骨を片手でがっしりと押さえ、空いている方の手を使い後頭部をベッドに押さえつける。目を白黒させて困惑しているその『雌花』の身体をがっちりと固定し、そして、まるで最上級の種馬の様に長大なそれの、丸々と太った亀頭の先端部を秘孔に向け、ぬちゃり、と照準を合わせる。そして。


穿つ。


「……ッッぁ、……ッっ、か、……ぁ゛ッ?!」


穿つ。穿つ。穿つ。


「う、……ッぁ、……かはっ、……ぃ、いッッ」


何層にも渡る直腸内にある弁が、怒張の侵入を阻む様にその存在を主張しようとするも、その努力や敵わず。それどころか、蹂躙する怒張に更なる刺激を加えて、その怒張の凶暴性をより一層引き立てていた。きちんと測ったことはないけれど、俺の怒張の勃起時の長さは、見た目からくる印象としては、子供の頃学校でよく使用した竹製の物差しよりかは大人の指の関節二個分短いかどうか程度。直腸S状部という、男性に取っての深い快楽を得られる場所を難なく開発出来る程度の長さは確実に保持している。


太さも申し分なく、右にも左にも逸れておらず、どちらかと言うと上向きに反り返っているので、浅いストロークであれば前立腺を、深いストロークであれば直腸S状部を易々と刺激でき、そのまま少し腰をグラインドするだけで、『ごく一般的』にいう結腸イキを繰り返し雌花に行わせる事ができる。何たる宝の持ち腐れかと、今までは溜息を吐いてばかりいたけれど、今日この日を迎えた俺は、この日この人の処女を散らす為に、潔白でい続けたのだと、深い納得を得ていた。


ねぇ、ロサ・フェティダさん。こんなもの、運命でしかないでしょう、俺達。


「やめ……ひ、ぁあ、……こわ、だめ、らめて…ぇ…ッッおなか、おぐ、ずんずん、ひないれぇ……ッッ」

「呂律回ってないの、本物に可愛い……ここ、三つくらい弁のあるところ、行ったり来たりするだけで、身体全体がビクビクしてますね。だけど、そんなに怖がらないで下さいよ、こんな序盤で。言っておきますけど、俺はまだ、全部入れてませんからね」

「やだ、こわ、全部入れないで……ッッ奥入らないで、……もう、こわれちゃ……っ」


三壁あるという、刺激する雄にも、刺激される雌にも快感を与えるヒューストン弁を、大きく雁首の張り出した鍵状の亀頭で、グボッグボッと難なく蹂躙し、更に奥へと突き進む。そして、ロサ・フェティダさんの肩をがっちりと掴み、『雌花』が本能的に逃げの一手を取らないよう拘束してから、ヒューストン弁のその先にある、男体の、否、人体の内、最も深い快楽を得られるとされている直腸S状部に、ズグンッ、と亀頭を潜り込ませた。


「……ひっ……ぃい、?!ッッぁ………ッアッッ」

「……は、すご、……俺の亀頭の先、キュッキュッて締め付けて……お強請り上手だね。心配しなくても大丈夫だよ、沢山沢山、突いてあげるから」

「……や、…やめ、……も、やめ…ッぃ、いぁ…」


一旦、入り口付近まで、ずるぅ……怒張を引き抜き。強過ぎる快楽に怯えるその『雌花』の、目の前の憎くて堪らない男に屈したくないという心を粉々に打ち砕く様に。


「……ぁ、……ッぁ、あぁ……ッッやめ、も、それダメ、いっちゃうの、一回されただけで、イク、イクのぉ……も、イキたくな……ッッ」


深い、深いストロークで。
犯す。


「本当だ。一回奥までグチュってするだけで、またイッちゃいましたね」

「い゛ぃ……ッッ?!か、ぁ、……ッッあ゛ッッ」


犯す。


「凄くいい声。もっと、もっと俺の為だけに、鳴いて」

「あっ、あっぁ、…あんッ……ひぃ…ア、ゥッッ」


犯す。


「気持ちいいね、ロサ・フェティダさん。可愛い……本当に可愛い」

「…ァアッッ?!……ま、まっで、…腰、とめ……ひぃ、…ぁっあ、ッッぁあ……くぅ…ンッッッ」

「あー………いま、深くイきましたね。凄いですよ、なか。信じられないくらい、痙攣してる」

「………ぁ、……ぁう、……く、…はあ、っ」

「休まない、の」

「ひ……ッッぃいっ?!だ、やぁ……いまされ、たらぁ……ッッやぁあ、ん……ッッ」

「あれ、潮だ。あぁ、もう……本当に可愛い。何処まで俺を夢中にさせたら気が済むんですか」


透明な液体を花芯の先からびしゃびしゃと放出させ、髪を振り乱して強過ぎる快楽から逃れようとするロサ・フェティダさんに、背筋がぞくり、とする。可愛い。可愛くて、愛しくて、堪らない。だけど、もっと。もっと知りたい、貴方を。


「ロサ・フェティダさん、奥、分かります?ペチャってなってるとこ。ほら、亀頭でツンツンしてる場所。多分この先が、身体の中で最も深い快楽が得られるって話に聞いていたS状結腸だと思うんですけど……ねぇ、これ割っていいですか?」

「ひぃッッ……あ、あぁ、ぐりぐりしない、れ…ひ、ぁ……ッッ?!……っくぅ……んッッッ」


上から肩を押さえつけている身体が、ビクビクッッと痙攣する。その度に、勃起した可愛らしい花芯から、とろとろと先走りが漏れ、潮を撒き散らして水浸しになっていたシーツに滴っていく。最初の方で行ったヒューストン弁を責め立てた際にも、一突きで雌イキを果たした優秀な『雌花』は、俺が深いストロークで腰を動かし、何層にも渡る弁を嬲りながら直腸S状部を捏ね回す度に、花芯の先から子種を出さない雌イキを繰り返し、連続した絶頂を繰り返していた。その様を見ているだけで、腹の底から喜悦と興奮が沸き起こってきて。口の端を釣り上げて、カメラを睨み付け、にやり、と勝ち誇った笑みを浮かべた。


見ろ。この人は俺の物だ。俺の、俺だけの人だ。お前が目もくれないというなら、俺にこの人を寄越せ。誰よりも大切にしてみせる。誰よりも幸せにしてみせる。


お前の喉元を、噛み切って。


「ゆっくり揉んでるうちに、段々開いてきたみたいですね。貴方の身体は入っても良いよって言ってるみたい。俺も、もっと深く貴方と繋がりたいから、うんって言って、ロサ・フェティダさん。それで、俺の……俺だけのひとになってよ」

「だめ、ぼくは……あの人の、」

「舌出して涎垂らしてる人が何言ってるんですか?もっと素直になって下さいよ。大丈夫、俺がついてる。ずっとずっと、一緒にいるから……」

「あ、ぁあ、リリー……僕、ぼく、もう、」

「うん……」

「ごめんなさい、許して、僕は、貴方しか、だから、違うんです、でも、でも僕」 


強過ぎる快楽を立て続けに与えられ、混乱し、動転しているうちに言質を取ろうとしていたけれど、寸前のところで自分が何を口走ろうとしているのか、はたりと気が付いたロサ・フェティダさんが、言い訳がましく言い募り始めた。まだ落とすのには早かったかと、チッと舌打ちをした俺は、正攻法はかなりぐり捨てて、アプローチの仕方を変えてみる事にした。


「大丈夫、大丈夫ですよ、ロサ・フェティダさん。あの人を振り向かせるためなんでしょう?なら、裏切りには入りませんよ。貴方を俺だけの人にしたいけど、貴方が頑張って、あの人を振り向かせる努力をする手伝いが出来るだけで、俺は本望ですから」 

「……ぁ、り、リリー……本当、に?」

「うん。貴方が俺との交配で、自分を保ち続けられれば、問題ないですよ。御方だって、分かってくれます。貴方の気持ちに、違いはないんだって」


そう、自分を保ち続ける事が出来ればね。


今日この日、俺は絶対に、この人から俺を求めさせてみせる。そして、この人の心も身体も、絶対に全て手に入れてみせる。


「あっあ、…………おく、奥まで、きて……辛いんだ、身体が、熱い……だから、ごめんなさい、ごめんなさい、御方……許して下さい、許して……」


その言葉を聞くが否や、俺はロサ・フェティダさんの腰骨を両手でがっしりと掴み、腰をより深く進ませ、直腸S状部の先にある開きの甘いS状結腸部に、亀頭の先端をごぷんッッと潜り込ませた。


「ぃいッッ?!あ゛、ッぁ、あ…ッッ!!は、ひ…ッッ……ぁあ、んぅ……ッッくぅっ!!」


ぱちゅんっ、ぱちゅんっ、と尻たぶに肉がぶつかる小さな破裂音をひっきりなしに立てながら小刻みに腰を動かし、自分の怒張が潜り込める最深部を只管に穿ち続ける。人体にあって、最も深い快楽を与える前人未到の場所であるS状結腸部に、自分の肉棒を深々と侵入させた事で、俺の中にある征服欲と支配欲は存分に満たされ、口元には自然と、満足げな笑みが浮かんでいた。


「貴方の身体、初めてなのに、こんなに奥までずっぷり咥え込んで……本当に凄い。俺とのセックスの為にあるみたい」


ぱちゅんっ、ぱちゅんっ……ッぬぢゅっ、ちゅぐッ……


「……ッッやぁ、……言わないでぇ……ッッぁ、っあっあ、…い、や、イク、もう、イクの、イクぅッッ」

「偉いね、ちゃんと自分も気持ち良いよって教えられて……そんなに気持ちいいなら、もっともっと、奥まで責めてあげる」


ぐぢゅッ……ヂュッ……ぱんッぱんッ……ぱちゅんっ……ぐじゅう…ッッ


「だめ、……ッッしん、しんじゃう、きもちよすぎて、……しんじゃ、アァッ……ッッぁあっひ、ヒィ……ッッ?!」


激しい律動に、ロサ・フェティダさんの身体が前に前にと押し出されていく。俺は、ロサ・フェティダさんの腰をがっしりと掴んで尻を高く上げさせて、より深く怒張を挿入できるように身体を固定すると、自重を乗せて垂直に腰を打ち据えた。


ばつんっ、ばつんっ、という、肉と肉が打つかる激しい打撃音と、ローションと先走りが絡み合ったぬぢゅっぬぢゅっという卑猥な水音が混ざり合い、この空間にあって五感で感じるその全てが、あまりに淫猥な韻律を奏でている。愛する人の本性を己が手で開花させていく雄花としての悦びに打ち震え、俺は一心不乱に腰を動かした。


「……っぁ………ッッィ、……く、ぅ……ッッ」 


びくん、びくん、と跳ねる身体。殆ど声にならない絶叫。壊れた蛇口の様に、勢いなく、たらたらと白濁を垂れ流す花芯。


「また、深くイッたね……気持ち良過ぎて声になってないの、堪らなく可愛い。可愛過ぎて、頭がくらくらします」

「………ッッ……く……ぅッ……ぁ……っ、ぁ、」

「嗚呼、お漏らしみたいな射精、興奮するなぁ……」


身体の奥から押し出される様にして、ロサ・フェティダさんは深い快楽をじっくりと感じながら長い長い射精を果たしていた。俺はロサ・フェティダさんの花芯に手を伸ばし、残滓まで出し切ろうと、根元から牛の乳搾りをする様にゆっくり抜き上げていった。そして、腰を浅くとんとんと動かして、前立腺を中から刺激し、速やかな射精が行えるように促していった。


「このままじゃ、辛いですよね。俺がちゃんと出させてあげる」

「まッッ、やら、……ひぃ、だめ、でてる、でてるからぁ、……あん、あぁ、おちんちん、だめぇ」


勃起してきちんと外に出た亀頭を、ぐちゅぐちゅと揉み上げる様にして刺激しながら、前立腺を丸々と肥え太った怒張の先端で抉っていく。すると、本来排出される必要の無い透明な液体がまた花芯の先端からぴゅくぴゅくと飛び出していった。前立腺の刺激により、何度目かも分からない雌イキも果たし、雄雌両方の絶頂を迎えたロサ・フェティダさんは、舌を長々と放り出して、あ゛、あ゛、と断続的な呻き声を上げた。


「……ぁ、…あ゛、……あ゛っ、……ぁあ゛……」

「イキながらイッてるんですね……凄いなぁ」

「……ひぃ、……っう、ぁあ……だめ、でる、また、出ちゃう……あぁ、……ッッ」

「ふふ、ずっと出しっ放しだから、大丈夫ですよ。そのまま潮もザーメンも、空っぽになるまで全部出して下さい。空イキ繰り返しておちんちんふにゃふにゃになったら、ふやけるまでしゃぶってイイコイイコしてあげるね」


前立腺に刺激を加える為に、とんとんとリズミカルに腰を動かし、残滓まで搾り出す様にして花芯を扱き上げながら、断続的な射精を促す。くぅん、くぅん、と仔犬が飼い主に甘える様な独特の喘ぎ声を上げて、射精する度にビクッ、ビクンッ……と身体を痙攣させる愛しい人を、俺は恍惚とした笑みで見つめた。


「ひ……ぁ、くぅん……やぁ……ッッあ、んぅ……くぅッッ」

「もう、そろそろ終わりかな?頑張りましたね。本当に、いい子」


そして、残滓すらも、もう殆ど出て来なくなってきたかな、というところで。


「……ッ?!ぁ、……ァアッッ!!ひ、ぃ…ぃぅ……ッくぅ……ッ」


再び最深部まで、ずっぷりと怒張を挿入した。


ずんぐりとした暴力的な大きさの亀頭を、みちみちと締め付ける最深部。そこを解すようにしてぬちゅぬちゅと執拗に捏ね回していくと、次第にその質量に慣れ始めたのか、腰の可動域が少しずつ広がっていった。潮混じりの先走りを花芯の先端から振り撒きながら、お利口に俺の怒張を咥え込んでいくロサ・フェティダさんが愛おしすぎて。俺は思わず熱い息をほぅ、と吐いた。


「もう、こんなに上手に飲み込める様になったんですね。なら、ご褒美に、俺も本気で腰使ってあげる。御方に見せてあげましょうよ、俺達の本気の子作り……ね?」

「……ッア、ぁあ、ッッあぁあッッ……っ?!」


最深部まで挿入していた怒張を入り口付近まで、ぬろぉ……と抜き出し、間髪入れずに、再び最深部まで、ごぢゅんッッ、と一気に貫く。弁が怒張に絡みつき、一般的ではない、更に深い快楽を得る結腸責めを受け続けた最深部は蠢く様にして亀頭を包み込み、子種を絞り取ろうとする雌の肉壺の動きで、ロサ・フェティダさんの秘孔は俺を翻弄した。あまりの快楽に歯の根が合わず、嗚呼、という母音が口の端から漏れ出ていく。一瞬真っ白になった視界と頭。腰骨から伝わる強い快楽を、俺はブルっと身体を震わせて外へと逃した。


「ロサ・フェティダさん……凄い、貴方って、本当に凄いです。こんなの、信じられない。俺達、二人共初めてなのに、こんなの運命でしかないじゃないですか」

「あ、ぁあ……リリー、僕も、ぼくだって……こんなの、信じられない」


いつの間にか、二人共泣いていた。どんな感情からくる涙なのかは、俺には分からなかった。だけど、悲しみから来る涙でない事は確かで。だから、俺達二人は、お互いに深く繋がり合いながら、長旅を労りあう様にして抱き締め合い、キスをして、激しく求め合い、そして。


「……ロサ・フェティダッ、俺もう、……このまま、貴方の中に……ッッ」

「あぁっ、だめ、……リリー、お願い、中は、中にだけは、やめて……ッ外に、外に出してぇ……あの人を、裏切りたくないのぉ……ッ!!」

「あー……っぁ、……はっ……クる……ッ、奥に……一番奥に、出すよッッ」

「いやぁ、……ッッ、だめぇ……ッッぁ、ぁ、ァア……」


ロサ・フェティダさんの必死の静止を振り切り、腰骨をぴったりと隙間なく尻たぶに押し当て、下生えをざりざりと尻たぶに擦り付けながら、二度、三度に分けて、ビュクッビュククッッ、ビュルッッ……と大量の子種をS状結腸部のその先にある最深部目掛けて解き放つ。繰り返し繰り返し責め続けられたロサ・フェティダさんの直腸S状部と、更にその奥にあるS状結腸は蠢く様にして怒張にへばりつき、俺の子種をもっともっととせがむ様に淫猥な動きを見せた。全身に電流が流れた様に強い快楽を得ながら、ビクンビクンッ、と痙攣する怒張が、俺の意思に呼応して、その残滓までもロサ・フェティダさんの体内の奥深くに送り込もうと目論む。射精を果たしても怒張を深々と突き刺したまま、絶対に不可能な懐胎に寄せる強い執着を見せる俺の執拗な腰使いに、ロサ・フェティダさんは涙を流して恐怖していた。


「ほら、俺の濃いザーメン、お腹の一番深い所で、ごくごく飲み込んでますよ。ぜーんぶ……ふふ、まだ足りないって言ってるみたい」

「いやぁ………ッやめて、やだって言ったのに、なんで、どうして、……酷いよ、なんで中に出したの……こんなの嘘だぁ……」


『雌花』とはいえロサ・フェティダさんは男性なのだから、中に出されたところで、何がどうなるわけでもない。けれど、外に出されるのと中に出されるのとでは、気の持ちようが違うのだろう。目の前の雄花に、完全に屈服されたという感覚を覚えたとしてもおかしくはないのだ。だから、俺は背筋がゾクゾクする程の強烈な興奮を覚えた。


「嘘じゃないですよ。全部現実です。ほら、俺の先っぽ、ちゅっちゅって吸ってる。身体はもっとしっかり子作りしたいって言ってくれてます。大丈夫、ちゃんとあげますからね……何も出なくなるまで、今日は離してあげないから安心して」 

「そんなの、いやだぁ……僕、おかしくなっちゃうよ、ぉ……ッッ」

「おかしくなって。殺したいくらい憎い、俺の手で。俺は、どんな貴方も、愛してみせる」


四つん這いの格好を……いや、潰れた蛙の様な体勢を維持していたロサ・フェティダさんの身体をひっくり返し、秘孔に怒張が繋がったまま対面座位の格好に持っていく。そして、むしゃぶり尽くすかの様なキスを送りながら、ロサ・フェティダさんの蠢く体内の動きに呼応する様に、萎えた様子のまるでない衰え知らずの怒張で、ロサ・フェティダさんの腹の奥底に、まるで交尾した雄が雌の着床を促す様にして、執拗に子種を最奥に擦りつけた。


「ひぃ、や……だめ、そんな、されたら……あかちゃん、できちゃ……ッッ」


ありもしない懐胎の予感に恐怖する愛しい雌に、これ以上ないまでに煽られて。俺は、ごぷり、と怒張の先端から大量の先走りが溢れ出るという信じられない感覚を拾った。


「想像しました?良かった……貴方にそんな気持ちになって欲しくてしてたんですよ?……怖がらないで、大丈夫。もし妊娠しても、絶対に幸せにするから」

「やらぁ、ッッ……きみの、君の赤ちゃんなんて、ッ」

「あぁ、まだ二人きりで生活する時間が欲しい?……なら、残念だけど、『一回目』は、これくらいで勘弁してあげる。だから、その代わり、今日は俺が満足するまで付き合って下さい……ね?」


駄々を捏ねるロサ・フェティダさんの膝を抱え、ベッドのスプリングを利用して、下から、がつんッと激しく突き上げる。舌を伸ばして声にならない絶叫を上げるロサ・フェティダさんに構わず、俺はそのまま抜かずの二回戦に縺れ込んだ。


「………ッ、ぃ……ッぁ……ッ……ッッア」

「飛ばないで、戻ってきて、ロサ・フェティダさん。ちゃんと、俺にしがみ付いて」


だらん、と力無く項垂れて、がくがくと揺さぶれるだけの肉穴に成り果てそうになる所を、キスをする事で意識を呼び起こす。舌を絡めて唾液をすすり、舌の裏側の性感帯をヌメヌメと嬲っていくと、ロサ・フェティダさんは漸く意識を取り戻した。そして、俺にしがみ付いて、否、俺を引き離そうと腕に力を込め、俺の背中や肩に爪を立ててがりがりとその身を引っ掻き始めたので、俺は口角をにやり、と吊り上げた。


嗚呼、貴方がくれる物ならば、痛みですら愛おしい。


「ふ……ッッぁ、…だめぇ……凄い、ずっと、ずっとイッてる、イッてるのぉ、ぁん……ゆるして、おしりが、きみの、おちんちんの形に、なっちゃうよぉ……っ、もう、ずんずん、しないれぇッ」


その煽り文句に、カッと、下半身に熱が篭り、怒張に血が巡って、血管がビキビキと浮き出していく。この人は、雄の煽り形を、ごく自然に熟知している。そんな歩く雄の公害ですらあるロサ・フェティダさんを折檻する様に、膝を抱えた状態から背中の筋力と腕力だけでその身体を持ち上げ、そそり立つ怒張に向けて杭を打ち込む様に、その身体を落とした。


「ほら、しっかり足に力入れて踏ん張って」

「あ゛……ッ、ぁあ、……ひ、……ぃッ、ぁ」 

「ねぇ、何だか自分から腰落としていってませんか?奥までずんずんされたくないんでしょう?しっかり踏ん張らないと。また一番奥に出しちゃいますよ」


完全に腰が抜けている為に、足に力を込めるなんて出来ない事を知りながら、俺はロサ・フェティダさんの身体を持ち上げては落とし、持ち上げては落としを繰り返していった。抗う事すら出来ずに、自らの自重によって快楽を得ていくロサ・フェティダさんは、もう数えるのも馬鹿らしいくらいに雌イキを繰り返していった。


「初めてだったのに、可哀想に。こんなにしっかり俺の形をお尻で覚えて。もう、俺以外じゃ満足出来ない身体になっちゃいましたね。ほら、こんなにお利口に奥まで咥え込んで……ふふ、もう元の身体には戻れないなぁ」

「いやぁ、やだ……こんなの、やだぁ……君なんて、君なんて……ッッ」

「ロサ・フェティダさん……」

「ふぅ、……ぁあッッ……憎い、君がッッ……御方の寵愛を一身に受けながら、こんな、極上の『雄花』としての才覚と身体を持ち合わせている君が、憎い……ッッぁん……っ許さない、絶対に許さないからな……ッッァアっ!!」


繰り返し与えられる快楽に振り回され、泣き噦り、喘ぎながら、それでも尚、憎悪の眼差しを俺に向けるロサ・フェティダさんに、胸が劈かれる様にして痛みを発する。愛する人に、この世の誰よりも憎まれる現実。それは、どんな仕打ちを受けるよりも。




興奮した。





「愛してる。御方なんて、どうでも良い。俺は、貴方以外、どうでもいい」

「………ッッぁ、ァアッッ……なんで、どうして……貴方は、こんな奴を、……ッッ僕がいるのに、この僕が!!」

「……ロサ・フェティダさん」 

「僕を見てッッ、見てよ………お願いだから、僕を……」

「ふふ、ねぇ、腰動いてるよ」

「……違うッ、こんなの、違う……ちが、ぁあ……っ」

「うんうん。気持ちいいね。ずっとこうしてようね……」

「ふぅ、…ッッぁあ……ッッやめ、だめえ、激しッッ……あん、ぁあ……んッ」


俺はもう、ロサ・フェティダさんの恨み言や俺を否定する言葉を、すっかりと聞き流していた。あまりにも深い快楽に身を委ね、愛する人をこの腕の中に抱ける現実を前にして、頭が馬鹿になってしまったというのも理由としてあるけれど。それ以上にそんな切先の尖った言葉の数々をこの身に受けるのを、交尾をする雌が雄の身体をガリガリと引っ掻いてしまう自然の中にある行動とに重ね合わせているという、趣味の悪い感性を俺が持ち始めているのも、また理由としてあった。


「ロサ・フェティダさんの中、滅茶苦茶気持ち良い……分かりますか?中で俺のがビクビクしてるの。これ絶対に、二回目とは思えないくらいの量が出ますよ……」

「……?!や、やだ、……ッッ待って、中、もう駄目、やめて、……なんでもする、なんでも、だから、もう中には辞めてぇ……ッッ」

「じゃあ、俺と一緒に、花園を出ようよ。そして、俺と暮らそう」

「ッッそん、なの………ッ」

「なんてね……ねぇ、みてごらん。いま貴方、これで犯されてるんだよ。自分の身体で受け止めてるの、信じられないでしょう?でも、これが現実なんだ。もう、貴方の身体は、貴方だけの物じゃない。俺を憎むのは良い。だけど、貴方の身体はもう、俺の物でもあるんだって事を、よく覚えていて」


膝の下に腕を差し入れ、尻を高く上げさせた状態にしてから、深いストロークで挿入を繰り返す。そして、いま交配している相手が誰なのか、どれだけ図太く凶悪な怒張で自分の身体が嬲られているのかを見せつける様に、ほかほかと湯気すら立ち昇りそうなドス黒い怒張をゆっくり、ゆっくり、抜き差しをしながら、『いやぁ……ッッ』と泣き噦り、絶望に彩られたロサ・フェティダさんの眼を見つめる。


俺の精液が絡んで、入り口で泡立っている。くちゅくちゅと音立てて、まるでキスしてるみたい。愛を感じるのは、俺だけなのかな。


ねぇ、ロサ・フェティダさん。


本当に俺達は、少しも気持ちが通じ合っていないんですか?


「奥、気持ちいい。貴方は、本当に、凄い人だ……腰が止まんない……」

「やぁ……ッッあっ、あ、ぁ、腰、止めっあ、あぁっあっ」

「……嗚呼、出る、でるよ、……身体の一番奥で受け止めて、ロサ・フェティダ。そして、このまま俺のオンナになって」

「いや、やだぁっ、辞めて、もう、これ以上僕を、君のオンナにしないでッッ戻れなくなる、僕が、……僕じゃ、なくなる……」


『これ以上』って、事はさ、ロサ・フェティダさん。


少しは俺のオンナになった自覚、あるんですね。


「どんな貴方でも、俺は貴方が好きです」

「リリー……だけど、僕は……ッッ」

「貴方が俺を憎んでいても、貴方が貴方じゃなくなっても、俺は貴方を、愛しています」

「なんで、……どうして、そんなに、僕の事を」

「貴方が、俺を救ってくれたからです」


あなたがいてくれたから、俺は苦手な勉強を克服出来た。あなたがいてくれたから、俺は自分の夢を見つけられた。


貴方は、俺の。


「貴方は、俺の希望なんです。だから、そんな貴方の夢を叶える事こそが、俺の夢です。だから、貴方が御方を振り向かせる事が夢だというのなら、俺は全力で、その夢を応援します。だけど、その夢が叶ったら……俺とずっと、一緒に生きていって欲しい」

「リリー……」

「愛してます。貴方が、例え他の人を愛していても」


その後、俺達は二人同時に果てた。どれだけロサ・フェティダさんが拒んでも、俺は自分の子種を惜しげもなく最奥に叩き付けた。


俺は、執拗に腰を細かく動かして子種の着床を促し、たん、たん、たん……と小気味良く餅を突く様に腰を動かして0以下の妊娠率を少しでも引き上げようとした。そして、自分のソレから何も出てこなくなるまで離さない、という約束を完遂する為に、ロサ・フェティダさんの身体を明け方近くまで貪り尽くし、これまでと同じ様に着床を促す腰使いを気が済むまでしてから、口付けを最後にかわした。


けれど、ロサ・フェティダさんはその間もずっと、後から後から溢れる涙を拭う事なく、泣き続けるばかりだった。俺は、まだまだ燻り続けている自分の熱をグッと押し殺して、過ぎる快楽によって気を失ったロサ・フェティダさんのその身を清めてあげてから、そのホテルの一室を出た。


歓楽街を抜け、バーの二階にある自室の扉を開けて中に入り、電気も付けずに床に寝転んで、目を閉じる。


俺は恐らく、あの花園を追放されるだろう。ロサ・フェティダさんも、もしかしたらもう、俺には会ってくれなくなるかも知れない。御方に対して、言ってはならない発言を繰り返して、確実に御方の反感を買った。だから、どんな処罰も受ける覚悟は出来ている。蕾は蕾のまま、花開く事なく枯れてしまったのだ。それでも俺に、強い後悔はなかった。


ロサ・フェティダさんの身体は、例えあの人がどれだけその事実を認めたくなくても、文字通り俺以外では満足出来ない身体に、たった一晩で変えられてしまった筈だ。御方が、ロサ・フェティダさんの中に色を見て手を出しても、あの人はもう、俺以外の人間とまともな交配は出来ないかも知れない。


暗い願望。だけど、あの人の心がどれだけ俺を拒んでも、その身体だけは手に入れられた事で、俺の心は満たされていた。憧れていた人をこの手で汚した罪悪感よりも、憧れていた人の身体を屈服させた達成感の方がより強く感じられる。


男なんて、所詮、そんな程度の生き物なのだ。


こんな醜いばかりの男、そのまま、この部屋で朽ち果てるのも悪くはないなと思った。第一発見者は、一階で仕事をしている真智さんだろうか。あの人には、最初から最後まで迷惑をかけてしまうな、だなんて苦笑しながら目を閉じて。次に目を開いた時には、部屋の景色が変わっていた。


意味が分からないだろう?それもそのはず、俺だって意味が分からない。一体、眠っている間に、俺の身に何が起こってしまったのか。だって、こんな天蓋付きのベッド、御伽噺やアニメーションでしか見た事がない。寝心地は悪くないけど、それがどうした。誰か、俺に状況の説明をお願いします。


「おや、気が付いたんだね。随分と気持ちが良さそうに眠っていたものだ。もしかして、どこでも眠れるのが特技だったりするのかな?」


声がした方に視線を向けると、そこには、一糸纏わぬ絶世の美男子が。いや、腰の辺りから下に掛けてはふわりとシーツを掛けてはいたから、語弊があると言えばあるのだけど。でも、確実にその下には、何も着用していないのが、明白で。


「………ここは、どこですか?そして、貴方は誰ですか?」

「場所に関しては、答えられない。でも、もう一つの質問には答えられるよ。私の名前は、御門 蓮。君にも正体が分かる様に説明するならば……」


綺麗な指を、一本だけ垂直に立てて、自分の唇に持っていき、ふわりと口元を綻ばせてから、彼は自分の正体を告げた。


「君の探し求めている『御方』とは、私の事さ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お試し交際終了

いちみやりょう
BL
「俺、神宮寺さんが好きです。神宮寺さんが白木のことを好きだったことは知ってます。だから今俺のこと好きじゃなくても構わないんです。お試しでもいいから、付き合ってみませんか」 「お前、ゲイだったのか?」 「はい」 「分かった。だが、俺は中野のこと、好きにならないかもしんねぇぞ?」 「それでもいいです! 好きになってもらえるように頑張ります」 「そうか」 そうして俺は、神宮寺さんに付き合ってもらえることになった。

Ωの国

うめ紫しらす
BL
――すべてのΩは豊穣と繁栄の象徴として、その性を神に捧げる―― アーカムラは魔法が存在し、王家によって統治される世界。士官候補生のサリューはある日突然発情期を迎え、Ωとして覚醒する。Ωは神巫として性を神に捧げる――そのために選ばれたαは、憧れの先輩だった。 -------- 魔法ありファンタジー風オメガバース風。 超絶シリアス展開する予定ですが、最後はハピエンしますのでお付き合いください。 3~10万字くらい目標。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

愛された事のない男は異世界で溺愛される~嫌われからの愛され生活は想像以上に激甘でした~

宮沢ましゅまろ
BL
異世界ミスリルメイズ。 魔物とヒトの戦いが激化して、300年。 この世界では、無理矢理に召喚された異世界人が、まるで使い捨てのように駒として使われている。 30歳になる、御厨斗真(トーマ)は、22歳の頃に異世界へと召喚されたものの、異世界人が有する特殊な力がとても弱かった事。色々あり、ローレンス辺境伯の召使として他の異世界人たちと共に召し抱えられてることになったトーマは時間をかけてゆっくりと異世界に馴染んでいった。 しかし、ローレンスが寿命で亡くなったことで、長年トーマを狙っていた孫のリードから危害を加えられ、リードから逃げる事を決意。リードの妻の助けもあって、皆で逃げ出すことに成功する。 トーマの唯一の望みは「一度で良いから誰かの一番になってみたい」という事。 天涯孤独であり、過去の恋人にも騙されていただけで本当の愛を知らないトーマにとっては、その愛がたとえ一瞬の過ぎたる望みだったとしても、どうしても欲しかった。 「お前みたいな地味な男、抱けるわけがないだろう」 逃げだした先。初対面でそう言い切った美丈夫は、トーマの容姿をそう落とした。 好きになれるわけがない相手――本当ならそう思ってもおかしくないのに。 トーマはその美丈夫を愛しく思った。 どこかやさぐれた雰囲気の美丈夫の名前は、フリードリヒという。 この出会いが、誰にも愛されなかったトーマの人生を変える事になるとは、この時はまだ知らなかった。 辺境の国の王太子×内気平凡異世界人 ※二章から二人の恋愛に入ります。一章最後当て馬(?)がちらりと出るあたりでちょっとムカつくかもしれませんので、気になる方は二章始まるまで待機をお勧めします。◆平日は1回更新、休日は2回更新を目指しています。 イラスト:モルト様

嫌われ変異番の俺が幸せになるまで

深凪雪花
BL
 候爵令息フィルリート・ザエノスは、王太子から婚約破棄されたことをきっかけに前世(お花屋で働いていた椿山香介)としての記憶を思い出す。そしてそれが原因なのか、義兄ユージスの『運命の番』に変異してしまった。  即結婚することになるが、記憶を取り戻す前のフィルリートはユージスのことを散々見下していたため、ユージスからの好感度はマイナススタート。冷たくされるが、子どもが欲しいだけのフィルリートは気にせず自由気ままに過ごす。  しかし人格の代わったフィルリートをユージスは次第に溺愛するようになり……? ※★は性描写ありです。

リーインカーネーション

きりか
BL
繰り返し見る夢で、僕は、古い町並みに囲まれ住んでいた。ある日、独裁者の命令で、軍によるオメガ狩りにあい…

【R18】エリートビジネスマンの裏の顔

白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます​─​──​。 私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。 同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが…… この生活に果たして救いはあるのか。 ※完結済み、手直ししながら随時upしていきます ※サムネにAI生成画像を使用しています

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

処理中です...