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圭一郎の変態的観測
しおりを挟むその日は四時間目が体育だった。
体育は2クラス合同で、男女に分かれて着替えをする。
男子は俺らのクラスに集まって着替える。
着替えは大体は自分の席でする。
この前の席替えで直樹とは席が離れてしまった。俺は一番廊下側で直樹は一番窓際の席だ。
あいつは本当に友達が多いから、隣のクラスの奴らの大半が直樹の所に集まる。
それを見てヤキモキしない訳ではないが、そこに居る奴らは全員が純粋に友達として慕っているのが分かるから安心はしている。
安心できないのは・・・あいつだ。ほら、直樹たちの輪には入らず斜め後ろからいつも直樹を見つめている。着替える姿を凝視しては頬を赤く染めている。柔道部のデカい男。時々直樹から話しかけられて嬉しそうにしているあいつだ。
直樹の性格上、誰とでも気軽に笑顔で話す。さほど仲の良くない相手にも可愛い笑顔で話しかけるんだよ。
俺としては、そこが悩ましいが、あいつの良い所でもあるので見守っている。
ワイワイ騒がしく着替えている教室
「ぬをーーーーー!」
直樹たちの方から、何ともおかしな叫び声が聞こえ、その後シーンと静まり返る。
その声に釣られてクラスにいる全員が、何事かとそっちを見た。
皆の視線の先は直樹だ!しかし、俺の位置からは頭しか見えず状況が掴めない。
見ている奴らの顔が、みるみるうちに赤くなったり青くなったりしている。青くなったのは柔道部のあいつだ。
順一が俺を生温かい目で睨んでくるから、本当に何が起こっているのかと思い、隙間から様子を伺うと・・・
!!!!!!!
直樹!!!それはヤバい!!!!ヤバいぞ!!!!
皆に背を向けて上半身をさらけ出しているその背中に・・・
無数のキスマークと三つの噛み痕・・・。
肌が白いから余計に目立つ。
本人は全く気が付いていない。というより沢山の痕が付いている事を忘れているんだ!
「どーした?なに?なに?」
なんて呑気にニコニコと振り返る。
あっ・・・ダメだ。前もダメだよ直樹!
胸から腹に掛けて散りばめられたキスマーク。そして綺麗な鎖骨についた二つの歯形。
全てが真新しい赤みを帯びた痕だ。だって昨日、俺がつけたから。
早く!早く気付け!直樹!隠すんだ!!
俺が上着を持って急いで駆け寄ろうとした時
「な、な、なおき!!!その体・・・!」と誰かが指さした。
え?なんて呑気にゆっくりと自分の身体を見下ろしている。
絶望にも似た表情に変わる直樹は・・・
「わ、忘れてたーーーー!!!」と叫んで、瞬時にカーテンにくるまった。
それから直樹は死んだ魚のような目で過ごし、俺は、順一・友也・健介に生温かい目で見られ続けた。今更誤魔化したところで、物的証拠を全員に見られてしまっている。
そして「直樹にエロい彼女が出来た」という噂が、学校中を駆け巡った。
体育が終わって制服に着替える時、直樹の身体を見ようと他のクラスの奴も集まってきたりして、ちょっとした騒動になった。しかも、他の学年の奴まで混ざっていたからビックリだ。どこで聞いてきたんだよ。
でもそんな中、あの痕をつけたのは俺だ。直樹は俺のだという優越感で満たされていた俺は変態なのかもしれない。
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