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第53話 アシュフォードside
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【事件の証言】
きっかけはマダムアローズの店で、だった。
その日、ローラ・グレイシーの姉、コーデリアは来月の夜会の為のドレスの受け取りに来ていた。
基本的に注文したドレスは店から邸に届けてもらうのが普通なのだが、この日のコーデリアは、ドレスに合わせた手袋を新調したくて、新作のチェックに来たのだと語った。
「私がアローズで、長手袋や扇を見ていましたら、イザベラ・ガードナー様が侍女を伴って入ってこられまして。
来月のご結婚の納品について問題が発生して、御本人がご来店されたのか、と店員があわてて応対をしていたのですけれど」
ガードナー侯爵令嬢は声を潜めて、何事かを店員に囁き。
頷いた店員は直ぐに特別なお客のみが通される奥の間へとガードナー嬢を案内していった。
その後、奥から出てきた上級店員が店内の目立つ場所にディスプレイをしていた、グラデーションが美しい紫色のドレスを奥へと運んだので、それを買い上げられたのだと思った。
そのドレスは第2王子殿下と婚姻する、顧客トップのガードナー嬢をお祝いして、マダムアローズが特別にデザインした品で、価格はつけられていなかった。
つまり売り物ではなく、お二人のご成婚までの期間限定ディスプレイ用の特別なドレスだったのだ。
「ガードナー様は私が帰るまで、奥からは出てこられなかったのですが、店員達がカードの話をしているのを偶然、小耳に挟んだのです。
薄紫色のカードを用意出来るか、とか。
夜会に間に合うようにお届けする……等と聞こえてしまって。
それで、あのドレスはガードナー様がお召しになるのではない、とわかったのです」
「ガードナー侯爵令嬢が店員に向かって
『今日は第3王子殿下の代理で来た。
クラリス・スローン侯爵令嬢の誕生日プレゼントなの』と、大きな声で嬉しそうに話されていたと、噂になっておりますが、その噂の出所は貴女ではない?」
証言を聞き取っていた法務官がコーデリアに確認した。
「いいえ、私以外にも店内に居た誰かがそのように噂を流したのかもしれませんが、私にはガードナー様がそのような事をおっしゃっていたのか、聞き取れませんでしたもの。
大きな声なんて、ガードナー様が出されているところを拝見した事は一度もございません」
その通りだ。
大声を出すイライザ嬢なんて想像も出来ない。
「では貴女は、誰に、どのように、この話をされましたか?」
「……夕食の時に家族に話しました。
あの有名な紫色のドレスを、ガードナー様が購入されたけれど、夜会に間に合うようにどなたかに贈った、カードの色を薄紫色に指定していた、と言っただけです。
……それと、お茶会の席で、何人かに話したかもしれません。
……だって!あのドレスは本当に素敵で!
でも売り物ではないし、何よりあの色は特別な王家の色です。
普通では着られない色なんです」
紫色のドレスは王家に関係した令嬢でしか、着てはいけないと。
暗黙の了解が令嬢達の間にあったのは知らなかった。
そう言えばエディの母である側妃さえも、紫色を纏った事はない。
その色を纏う資格があるのは、王妃陛下、王太子妃殿下、ガードナー侯爵令嬢、そして第3王子の想いびと、のみ。
◇◇◇
早朝にいきなり押し掛けてきた王立騎士団と、その先頭に立つ俺を見てローラ・グレイシーはいきなり泣き出した。
『そんなつもりじゃなくて、ちょっと脅すつもりだけで』
そんな事だろうとは思っていたが、殺人罪とわざと突きつけた。
顔面蒼白になったローラの涙が止まり、ただ自分の身体を抱き締めて震えるだけになった。
『お身体に触れます、失礼します』と、騎士2人が貴族令嬢に対する決まりの文句を言い、両腕を取り、足元の覚束ないローラを連行する。
そのまま、姉のコーデリアにも参考人として同行するように命じた。
彼女がマダムアローズに居た、とイザベラ嬢がギルバートに話していたからだ。
「あの日はバージニア王女殿下のお茶会に招ばれて、会話の流れで姉から聞いた話を、殿下に致しました。
あの有名な、アローズのドレスを贈られた人は誰なのでしょう、というそれだけの話です。
私からは決してスローン様のお名前は出していません」
「では何故、王女殿下は貴女にクラリス・スローン侯爵令嬢がいい気になっている、と仰られたのです?」
「……それはお茶会に来ていた誰だったか覚えていませんが、誰かがクラリス様の名前を出してきて、お誕生日が近いそうだ、とか。
今度の夜会はアシュフォード殿下の婚約披露だと噂がある、と言い出した様な気がします。
それからは格段に……王女殿下のご機嫌がすごく悪くなってしまって」
また、誰か、の話だ。
自分ではない、誰かが言ったかもしれない話。
「王女殿下から他に姉からは何も聞いていないか、と言われたので、薄紫色のカードを添えられるようだと話しました」
「それで、王女殿下は何と?」
「急に怒って皆の前で頬を叩かれました。
そんな大事なことをわざと黙っていたのか、聞かれなければ話すつもりがなかったのか、となじられてしまって。
お詫びしろと言われました」
「叩かれたのに、その上でお詫びしろと?」
「いい気になっているクラリス様に思い知らせてやれと。
やり方は私に任せるからと。
成功したら許してやると言われました」
お詫びと称して反抗出来ない伯爵令嬢に、そんな言いがかりとしか言えない理不尽な要求を、バージニアは押し付けたのか。
「ずっとずっと嫌でした。
父からは絶対に王女殿下に逆らうな、と言われていて、本当は逃げ出したかった。
先に中等部に進級して、校舎も分かれて1年間は楽しかったのに、また殿下と同じになって、これが一生続くのかと思って、父には留学か外国へお嫁に出して、と頼んでいたのに」
辛いのは本人が一番だが、聞かされた俺も、法務官も気分は最悪だった。
「どうやって思い知らせたらいいのかもわからなくて、本当はそんな事はしたくないし、姉に相談しようかと馬車で帰る途中、お菓子屋の前でスローン家の馬車が停まっているのが見えて、侍女が気付いて教えてくれたのです。
あの馬車は侯爵家のご子息やご令嬢が主に使用している馬車ですよ、って。
あの日は中等部はお休みでしたが、高等部と初等部は授業があったので、プレストン様やアグネス様ではないのがわかったのですが、まさか侯爵夫人もお乗りになっているとは知りませんでした。
護衛が付いていなかったからです」
お菓子屋と、ローラの証言から気になり店名を聞いた。
その店は王家御用達の、伯爵夫人がオーナーを勤めている有名なチョコレート専門店だった。
恐らく、チョコレートが大好きなアグネスへのお土産に店に寄り、そして馬車を見つけられてしまった。
これはアグネスには絶対に知られてはならない。
「それで、後をつけて?」
「侍女は私が叩かれた事も知っていますし、彼女と少し脅すだけならいいわねと話をして、御者に後ろを付けて、他には誰も居なくなったら、わざと気付かせて追いかけて脅して欲しい、と頼みました。
侍女から話を聞いて御者も王女殿下から命じられたのであれば、と」
「あの滑落した坂道まで追いかけたのなら、少し脅すだけ、の範囲を超えているとは思わなかったのですか?」
「これじゃ危ないとは思いましたけど、中から御者にもういいからやめて、とは言えなくて。
怖くて侍女と中で抱き合っていました。
凄い勢いで外は確認出来なかったのですが、急に止まって方向を変えて戻るのがわかって、終わったんだとほっとしたのですが、馬車を止められて扉を開けた御者に、怖い顔で
『落ちたよ、旦那様に話すからな』と。
あの御者は今までそんな風に話したことなかったから、すごく怖くて、別人みたいでした」
それで、父親である旦那様は御者に脅されて、金を要求された。
多分、その要求は一度では終わらない事を知っている伯爵は金を用意するからと、葬儀後に話し合いをすると言い。
待っている間に伯爵の送り込んだ者に命を狙われた御者は慌てて王城に自首してきた。
口封じの為に伯爵が送ってきた暗殺者が、実は王太子の影だったと気付かずに。
きっかけはマダムアローズの店で、だった。
その日、ローラ・グレイシーの姉、コーデリアは来月の夜会の為のドレスの受け取りに来ていた。
基本的に注文したドレスは店から邸に届けてもらうのが普通なのだが、この日のコーデリアは、ドレスに合わせた手袋を新調したくて、新作のチェックに来たのだと語った。
「私がアローズで、長手袋や扇を見ていましたら、イザベラ・ガードナー様が侍女を伴って入ってこられまして。
来月のご結婚の納品について問題が発生して、御本人がご来店されたのか、と店員があわてて応対をしていたのですけれど」
ガードナー侯爵令嬢は声を潜めて、何事かを店員に囁き。
頷いた店員は直ぐに特別なお客のみが通される奥の間へとガードナー嬢を案内していった。
その後、奥から出てきた上級店員が店内の目立つ場所にディスプレイをしていた、グラデーションが美しい紫色のドレスを奥へと運んだので、それを買い上げられたのだと思った。
そのドレスは第2王子殿下と婚姻する、顧客トップのガードナー嬢をお祝いして、マダムアローズが特別にデザインした品で、価格はつけられていなかった。
つまり売り物ではなく、お二人のご成婚までの期間限定ディスプレイ用の特別なドレスだったのだ。
「ガードナー様は私が帰るまで、奥からは出てこられなかったのですが、店員達がカードの話をしているのを偶然、小耳に挟んだのです。
薄紫色のカードを用意出来るか、とか。
夜会に間に合うようにお届けする……等と聞こえてしまって。
それで、あのドレスはガードナー様がお召しになるのではない、とわかったのです」
「ガードナー侯爵令嬢が店員に向かって
『今日は第3王子殿下の代理で来た。
クラリス・スローン侯爵令嬢の誕生日プレゼントなの』と、大きな声で嬉しそうに話されていたと、噂になっておりますが、その噂の出所は貴女ではない?」
証言を聞き取っていた法務官がコーデリアに確認した。
「いいえ、私以外にも店内に居た誰かがそのように噂を流したのかもしれませんが、私にはガードナー様がそのような事をおっしゃっていたのか、聞き取れませんでしたもの。
大きな声なんて、ガードナー様が出されているところを拝見した事は一度もございません」
その通りだ。
大声を出すイライザ嬢なんて想像も出来ない。
「では貴女は、誰に、どのように、この話をされましたか?」
「……夕食の時に家族に話しました。
あの有名な紫色のドレスを、ガードナー様が購入されたけれど、夜会に間に合うようにどなたかに贈った、カードの色を薄紫色に指定していた、と言っただけです。
……それと、お茶会の席で、何人かに話したかもしれません。
……だって!あのドレスは本当に素敵で!
でも売り物ではないし、何よりあの色は特別な王家の色です。
普通では着られない色なんです」
紫色のドレスは王家に関係した令嬢でしか、着てはいけないと。
暗黙の了解が令嬢達の間にあったのは知らなかった。
そう言えばエディの母である側妃さえも、紫色を纏った事はない。
その色を纏う資格があるのは、王妃陛下、王太子妃殿下、ガードナー侯爵令嬢、そして第3王子の想いびと、のみ。
◇◇◇
早朝にいきなり押し掛けてきた王立騎士団と、その先頭に立つ俺を見てローラ・グレイシーはいきなり泣き出した。
『そんなつもりじゃなくて、ちょっと脅すつもりだけで』
そんな事だろうとは思っていたが、殺人罪とわざと突きつけた。
顔面蒼白になったローラの涙が止まり、ただ自分の身体を抱き締めて震えるだけになった。
『お身体に触れます、失礼します』と、騎士2人が貴族令嬢に対する決まりの文句を言い、両腕を取り、足元の覚束ないローラを連行する。
そのまま、姉のコーデリアにも参考人として同行するように命じた。
彼女がマダムアローズに居た、とイザベラ嬢がギルバートに話していたからだ。
「あの日はバージニア王女殿下のお茶会に招ばれて、会話の流れで姉から聞いた話を、殿下に致しました。
あの有名な、アローズのドレスを贈られた人は誰なのでしょう、というそれだけの話です。
私からは決してスローン様のお名前は出していません」
「では何故、王女殿下は貴女にクラリス・スローン侯爵令嬢がいい気になっている、と仰られたのです?」
「……それはお茶会に来ていた誰だったか覚えていませんが、誰かがクラリス様の名前を出してきて、お誕生日が近いそうだ、とか。
今度の夜会はアシュフォード殿下の婚約披露だと噂がある、と言い出した様な気がします。
それからは格段に……王女殿下のご機嫌がすごく悪くなってしまって」
また、誰か、の話だ。
自分ではない、誰かが言ったかもしれない話。
「王女殿下から他に姉からは何も聞いていないか、と言われたので、薄紫色のカードを添えられるようだと話しました」
「それで、王女殿下は何と?」
「急に怒って皆の前で頬を叩かれました。
そんな大事なことをわざと黙っていたのか、聞かれなければ話すつもりがなかったのか、となじられてしまって。
お詫びしろと言われました」
「叩かれたのに、その上でお詫びしろと?」
「いい気になっているクラリス様に思い知らせてやれと。
やり方は私に任せるからと。
成功したら許してやると言われました」
お詫びと称して反抗出来ない伯爵令嬢に、そんな言いがかりとしか言えない理不尽な要求を、バージニアは押し付けたのか。
「ずっとずっと嫌でした。
父からは絶対に王女殿下に逆らうな、と言われていて、本当は逃げ出したかった。
先に中等部に進級して、校舎も分かれて1年間は楽しかったのに、また殿下と同じになって、これが一生続くのかと思って、父には留学か外国へお嫁に出して、と頼んでいたのに」
辛いのは本人が一番だが、聞かされた俺も、法務官も気分は最悪だった。
「どうやって思い知らせたらいいのかもわからなくて、本当はそんな事はしたくないし、姉に相談しようかと馬車で帰る途中、お菓子屋の前でスローン家の馬車が停まっているのが見えて、侍女が気付いて教えてくれたのです。
あの馬車は侯爵家のご子息やご令嬢が主に使用している馬車ですよ、って。
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その店は王家御用達の、伯爵夫人がオーナーを勤めている有名なチョコレート専門店だった。
恐らく、チョコレートが大好きなアグネスへのお土産に店に寄り、そして馬車を見つけられてしまった。
これはアグネスには絶対に知られてはならない。
「それで、後をつけて?」
「侍女は私が叩かれた事も知っていますし、彼女と少し脅すだけならいいわねと話をして、御者に後ろを付けて、他には誰も居なくなったら、わざと気付かせて追いかけて脅して欲しい、と頼みました。
侍女から話を聞いて御者も王女殿下から命じられたのであれば、と」
「あの滑落した坂道まで追いかけたのなら、少し脅すだけ、の範囲を超えているとは思わなかったのですか?」
「これじゃ危ないとは思いましたけど、中から御者にもういいからやめて、とは言えなくて。
怖くて侍女と中で抱き合っていました。
凄い勢いで外は確認出来なかったのですが、急に止まって方向を変えて戻るのがわかって、終わったんだとほっとしたのですが、馬車を止められて扉を開けた御者に、怖い顔で
『落ちたよ、旦那様に話すからな』と。
あの御者は今までそんな風に話したことなかったから、すごく怖くて、別人みたいでした」
それで、父親である旦那様は御者に脅されて、金を要求された。
多分、その要求は一度では終わらない事を知っている伯爵は金を用意するからと、葬儀後に話し合いをすると言い。
待っている間に伯爵の送り込んだ者に命を狙われた御者は慌てて王城に自首してきた。
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