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第43話 アシュフォードside
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午前の早い時間に送った先触れの使者が、アグネス直筆の返事を俺に渡す。
『明日は授業が午後までございます
それからでもよろしければ、お待ちしています
母が是非、殿下と夕食を、と申しております』
しばらく考えて。
『お言葉に甘えます
よろしくお願い致します』と返事を送る。
スローン侯爵夫人は、王家独特の勿体ぶった言い回しより、端的に伝える方を喜ぶ。
帰ってきたところなのに、再び侯爵邸に行かせるので申し訳ないな、と思いながら、呼び出しのベルを鳴らす。
カランが直ぐに顔を出した。
手紙を渡して、使者をもう一度行かせてくれと頼む。
カランとは、一時仲が険悪になった。
と、言うか、怒らせた。
3年前に俺とレイがふざけてトルラキアのお土産にした、ヴァンパイア王の小さな肖像画のせいで、真剣にカランは怒って、仕事でも必要以上に話さないし、お茶に呼んでも絶対に参加しなくなった。
それで……怖いと弱味を見せた人物に面白いからとふざけてはいけないと、16にもなって初めて思い知らされた。
それから約半年間、レイとふたりで誠心誠意謝り続け、許して貰った。
彼には今回のクラリスの件でも、凄くお世話になった。
カランの遠縁の令嬢が、名前を貸してくれたのだ。
金髪青い瞳で、クラリスより1つ年下の男爵令嬢。
病弱な彼女は学園にも通わず、社交界も参加せず、ゆっくり田舎で静養をしている。
2年だけ、そういう約束だ。
ストロノーヴァ先生に受け入れられるにしろ、拒否されるにしろ、留学旅券の期限切れになる前に、一度は帰国しないといけないことをメモに書き、報告書に添付する。
◇◇◇
必ず立ち会えと言われた、ラニャンとの会談。
王太子と外務大臣に俺。
ラニャン王国の外交官、事務官。
バロウズがリヨン王国内に、3年前に蒔いた種子が花開こうとしていた。
会談の主題はラニャンに預けたリヨンのフォンティーヌ第2王女だった。
母国リヨンで王女を養女にしようとしていた公爵家に、中立派の公爵家が味方に付くと、連絡をしてきたのだ。
この公爵攻略に3年かかった。
リヨン三大公爵家の残る1つが、王太子の実妹第1王女が降嫁した公爵家だ。
当時、遺体があがらない事を不審に思ったリヨン王太子の手がバロウズ王国内に散らばっていて、ラニャンに王女の身柄を預けて居たのだ。
その時、ラニャン側が提示してきたのは自国の第4王子をフォンティーヌ女王の王配に就かせたいという事だったので、王女本人とウチの王太子は了承した。
バロウズが王女に求めたのは、2つの国の間に存在する海の領海を広げて貰う事だった。
ウチには女王に娶って貰う王子は居なかったし(俺は国内、エディは王女より12歳年下だった)
冷静な王太子は、こう主張した。
「あの体型では、子供が出来るかわからない。
うまく妊娠しても、出産は難しいだろう」
……それならば、実らない果樹に水を与えることはない、と。
フォンティーヌ王女と王太子夫妻は仲が良かったが、それとこれは別、と、考えるのが兄ユージィンだ。
ウチはリヨンより海洋に詳しい者が多かった。
ラニャンに王女の身柄を預ける前には、夜な夜な彼等と国王陛下、王太子は白熱した議論を交わしていた。
そして今日、このラニャンとの会談の前に王太子に言われたのだ。
「リヨンの王宮で、バロウズの根を張りたいのではない。
とは言っても、王宮での発言権は確保しないとな?
お前、出来るな? リヨン語は得意だったよな?
にっこり笑って若輩者です、よろしくお願い致します、と腰を低くしてリヨンに入り込め。
それと明日からはラニャン語を出発までに詰め込むんだ」
◇◇◇
午後から降り始めた雨は、夕方にやっと上がった。
執務室に戻ると、レイとカランが優雅にお茶を飲んでいた。
俺はラニャンが帰った後、外務大臣からリヨンの歴史とラニャンの王室人間関係を叩き込まれて、ふらふらになっていたのに、こいつらは……
「雨がひどいからさ、雨宿りに来たらアシュは居ないし……カランと久し振りにまったりしたよ」
レイは能天気そうに笑っているが、本当は全然能天気じゃない。
グレゴリーの横でのほほんとしながら、王城の中を歩き回り、かつて学園の恋愛相関図と生徒名鑑が入っていた、その頭の中は、今や王城内のドロドロ相関図と各家門の裏側を探る事でいっぱいだ。
コイツがリヨンに付いてきてくれたら、と思うが。
レイはもうすぐ結婚する身だ。
新婚の妻を置いて、一緒に来てくれとは言えない。
それにまだこれは、俺の口からは漏らせない話だ。
王太子に言われた期限は2年~3年。
アグネスの中等部時代を一緒に過ごせない。
正直、そんなに長く会えなくて、俺は我慢出来るか?
俺の表情が暗かったのか、カランとレイが心配そうに見ていた。
わかっている、受けるしか、喜んで行くしかない話だ。
本決まりになったら……
いや、明日言う。
彼女に跪き、デビュタントまでには必ず帰る、だから。
……そんな事より婚約はどうだろう。
そろそろ侯爵も、認めてくれるんじゃないか。
いや、でも明日、今までの事を告白したら愛想つかされて。
別れる方向に話は行くかもしれないし……
黙って、あれこれ考えて。
つい顔に出ていたのか、レイが気持ち悪そうに俺を……
執務室の扉が凄い勢いで叩かれた。
カランが立ち上がり、扉を開く。
何かの伝令か。
カランの耳元で囁くと、俺達に一礼をして、男は去った。
静かに扉を閉めたカランが俺に近付く。
何だか悪い報せのような気がした。
「……行方を探されていたスローン侯爵家の馬車が王都外れの森にて発見されたそうです。
遺体は3体、男性1体、女性2体」
「遺体? 行方を、探して? 何の話だ!」
「男は侯爵家の御者。
女性はスローン侯爵夫人と、ご令嬢とおも……」
立ち上がって、カランの腕を掴んでいた。
アグネス、アグネス、アグネス!
まさかまさかまさかまさか
「おい、おい、おい」
おい、おい、と。
ただそれだけを繰り返す。
力の加減が出来ない。
他の言葉が出なくて、カランの両腕を掴んで揺さぶっていた。
掴まれ、揺さぶられる痛みで、カランの顔が歪む。
「せ、せいじん……成人女性の、に、2体ともらしいので……
あ、アグネス様では、ない……」
アグネスでは……ない?
成人女性?
カランの腕を放し、床に座り込んだ。
俺は最低な奴だ。
亡くなったのがアグネスではないと知って。
亡くなったのが、彼女の母と姉らしいのに。
アグネスを失わずに済んだ事を。
ただ、それだけを。
跪き、頭を床につけ、両手を握り。
『ありがとうございます、ありがとうございます』
ただ、それだけを繰り返し。
神に感謝したのだから。
『明日は授業が午後までございます
それからでもよろしければ、お待ちしています
母が是非、殿下と夕食を、と申しております』
しばらく考えて。
『お言葉に甘えます
よろしくお願い致します』と返事を送る。
スローン侯爵夫人は、王家独特の勿体ぶった言い回しより、端的に伝える方を喜ぶ。
帰ってきたところなのに、再び侯爵邸に行かせるので申し訳ないな、と思いながら、呼び出しのベルを鳴らす。
カランが直ぐに顔を出した。
手紙を渡して、使者をもう一度行かせてくれと頼む。
カランとは、一時仲が険悪になった。
と、言うか、怒らせた。
3年前に俺とレイがふざけてトルラキアのお土産にした、ヴァンパイア王の小さな肖像画のせいで、真剣にカランは怒って、仕事でも必要以上に話さないし、お茶に呼んでも絶対に参加しなくなった。
それで……怖いと弱味を見せた人物に面白いからとふざけてはいけないと、16にもなって初めて思い知らされた。
それから約半年間、レイとふたりで誠心誠意謝り続け、許して貰った。
彼には今回のクラリスの件でも、凄くお世話になった。
カランの遠縁の令嬢が、名前を貸してくれたのだ。
金髪青い瞳で、クラリスより1つ年下の男爵令嬢。
病弱な彼女は学園にも通わず、社交界も参加せず、ゆっくり田舎で静養をしている。
2年だけ、そういう約束だ。
ストロノーヴァ先生に受け入れられるにしろ、拒否されるにしろ、留学旅券の期限切れになる前に、一度は帰国しないといけないことをメモに書き、報告書に添付する。
◇◇◇
必ず立ち会えと言われた、ラニャンとの会談。
王太子と外務大臣に俺。
ラニャン王国の外交官、事務官。
バロウズがリヨン王国内に、3年前に蒔いた種子が花開こうとしていた。
会談の主題はラニャンに預けたリヨンのフォンティーヌ第2王女だった。
母国リヨンで王女を養女にしようとしていた公爵家に、中立派の公爵家が味方に付くと、連絡をしてきたのだ。
この公爵攻略に3年かかった。
リヨン三大公爵家の残る1つが、王太子の実妹第1王女が降嫁した公爵家だ。
当時、遺体があがらない事を不審に思ったリヨン王太子の手がバロウズ王国内に散らばっていて、ラニャンに王女の身柄を預けて居たのだ。
その時、ラニャン側が提示してきたのは自国の第4王子をフォンティーヌ女王の王配に就かせたいという事だったので、王女本人とウチの王太子は了承した。
バロウズが王女に求めたのは、2つの国の間に存在する海の領海を広げて貰う事だった。
ウチには女王に娶って貰う王子は居なかったし(俺は国内、エディは王女より12歳年下だった)
冷静な王太子は、こう主張した。
「あの体型では、子供が出来るかわからない。
うまく妊娠しても、出産は難しいだろう」
……それならば、実らない果樹に水を与えることはない、と。
フォンティーヌ王女と王太子夫妻は仲が良かったが、それとこれは別、と、考えるのが兄ユージィンだ。
ウチはリヨンより海洋に詳しい者が多かった。
ラニャンに王女の身柄を預ける前には、夜な夜な彼等と国王陛下、王太子は白熱した議論を交わしていた。
そして今日、このラニャンとの会談の前に王太子に言われたのだ。
「リヨンの王宮で、バロウズの根を張りたいのではない。
とは言っても、王宮での発言権は確保しないとな?
お前、出来るな? リヨン語は得意だったよな?
にっこり笑って若輩者です、よろしくお願い致します、と腰を低くしてリヨンに入り込め。
それと明日からはラニャン語を出発までに詰め込むんだ」
◇◇◇
午後から降り始めた雨は、夕方にやっと上がった。
執務室に戻ると、レイとカランが優雅にお茶を飲んでいた。
俺はラニャンが帰った後、外務大臣からリヨンの歴史とラニャンの王室人間関係を叩き込まれて、ふらふらになっていたのに、こいつらは……
「雨がひどいからさ、雨宿りに来たらアシュは居ないし……カランと久し振りにまったりしたよ」
レイは能天気そうに笑っているが、本当は全然能天気じゃない。
グレゴリーの横でのほほんとしながら、王城の中を歩き回り、かつて学園の恋愛相関図と生徒名鑑が入っていた、その頭の中は、今や王城内のドロドロ相関図と各家門の裏側を探る事でいっぱいだ。
コイツがリヨンに付いてきてくれたら、と思うが。
レイはもうすぐ結婚する身だ。
新婚の妻を置いて、一緒に来てくれとは言えない。
それにまだこれは、俺の口からは漏らせない話だ。
王太子に言われた期限は2年~3年。
アグネスの中等部時代を一緒に過ごせない。
正直、そんなに長く会えなくて、俺は我慢出来るか?
俺の表情が暗かったのか、カランとレイが心配そうに見ていた。
わかっている、受けるしか、喜んで行くしかない話だ。
本決まりになったら……
いや、明日言う。
彼女に跪き、デビュタントまでには必ず帰る、だから。
……そんな事より婚約はどうだろう。
そろそろ侯爵も、認めてくれるんじゃないか。
いや、でも明日、今までの事を告白したら愛想つかされて。
別れる方向に話は行くかもしれないし……
黙って、あれこれ考えて。
つい顔に出ていたのか、レイが気持ち悪そうに俺を……
執務室の扉が凄い勢いで叩かれた。
カランが立ち上がり、扉を開く。
何かの伝令か。
カランの耳元で囁くと、俺達に一礼をして、男は去った。
静かに扉を閉めたカランが俺に近付く。
何だか悪い報せのような気がした。
「……行方を探されていたスローン侯爵家の馬車が王都外れの森にて発見されたそうです。
遺体は3体、男性1体、女性2体」
「遺体? 行方を、探して? 何の話だ!」
「男は侯爵家の御者。
女性はスローン侯爵夫人と、ご令嬢とおも……」
立ち上がって、カランの腕を掴んでいた。
アグネス、アグネス、アグネス!
まさかまさかまさかまさか
「おい、おい、おい」
おい、おい、と。
ただそれだけを繰り返す。
力の加減が出来ない。
他の言葉が出なくて、カランの両腕を掴んで揺さぶっていた。
掴まれ、揺さぶられる痛みで、カランの顔が歪む。
「せ、せいじん……成人女性の、に、2体ともらしいので……
あ、アグネス様では、ない……」
アグネスでは……ない?
成人女性?
カランの腕を放し、床に座り込んだ。
俺は最低な奴だ。
亡くなったのがアグネスではないと知って。
亡くなったのが、彼女の母と姉らしいのに。
アグネスを失わずに済んだ事を。
ただ、それだけを。
跪き、頭を床につけ、両手を握り。
『ありがとうございます、ありがとうございます』
ただ、それだけを繰り返し。
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