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【本編】 原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
第5話
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多分、招かれたお茶会で。
どこかのご令嬢に、ウェズリーの浮気を教えられたのだろう。
婚約者からも身内(自分の事だ) からも聞かされず、軽く心配されて嗤われて。
こんな風に倒れてしまうくらいのショックだったのだ。
ウェズリー本人から聞かされると言うことは。
だったら様子見などせず、俺の口から教えるべきだった。
義妹は、きっと俺に対しても不信感を持っただろう。
オスカーはオスカーで、思うところがあってウェズリーの浮気を静観していたのだが、ロザリンドの気持ちを図ってやれなかった自分に腹が立った。
その時オスカーの膝の上で、ロザリンドが身動ぎをした。
慌ててウェズリーがテーブルから水の入ったグラスを持ってくる。
オスカーがそれを受け取ろうとしたが、ウェズリーはグラスを握りしめた。
「俺が口移しで飲ませようか?」
「早く渡せ!」
一言で却下され、諦めたウェズリーが差し出したグラスを引ったくるようにして受け取り、オスカーはロザリンドの唇に水滴を垂らした。
「う……」
「顔にもっと思いきって水を掛けたら、直ぐに目を覚ますんじゃないか?」
「お前、黙ってあっちに行ってろ!」
◇◇◇
暗い道を手探りで進んでいるような気がした。
早く、早く逃げないと。
彼に直ぐに追い付かれてしまう。
髪を掴まれて……
『ホナミの髪はとっても綺麗だね』
全てが終わると、彼はさっき掴んだ髪を優しく撫でた。
うっとりする様な美しい微笑みをするひと。
その微笑みを歪めた時。
彼が豹変する時。
そのスイッチがいつ入るのか読めなくて。
恐怖で身体がすくんでしまって。
始まって仕舞えば、ただただ身体を丸めて嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
彼に対して思うことが言えたのは、最初の3ヶ月だけ。
夢見るような時間を3ヶ月、彼は与えて。
ホナミが自分に夢中になると、彼は豹変するようになった。
束縛されても、それは溺愛なのだ、と言われて。
管理されても、愛しているから独占したい、と宥められて。
徐々に徐々にホナミは愛という名のもとに奪われる事に慣れさせられた。
それに気付いた頃には逃げられなくなっていた。
彼には何枚もの写真や何本もの動画を撮られていて、晒される事に怯えた。
自分からは求めることが出来ない。
与えられるものを受け取るだけ。
拒否することも許されない。
段々と喜怒哀楽に対して、鈍感になっていく。
だから、ホナミは夢を見た。
本当に女性を大切にしてくれる男性を。
現実にはいないだろう男性を作ろうと思った。
上辺だけの優しさじゃない。
薄っぺらな美しさじゃない。
言葉だけの強さじゃない。
そんなホナミの、理想の男。
艶やかな黒髪と煙るような紫の瞳。
オスカー・オブライエン・コルテス。
「オスカーは私の理想なんです」
打ち合わせの席で、担当編集者のミカミと作画担当のササキチカ先生に力説した。
2人は笑って頷いてくれた。
「皆が息を飲むような男性にします」
チカ先生が約束してくれた通り、彼の造形は最高だった。
「イケメン揃いの中でも、オスカーはダントツですね」
ホナミ原作のコミカライズは3作目だったが、最高傑作だとミカミに言われた。
時世も落ち着いて来たので第1章が終わったら、 ファンミーティングを行いましょう、とミカミが言った。
異世界恋愛の話なのに、北関東の温泉地で行われる一泊二日のファンミ企画にチカ先生と笑った。
仕事で外泊することを彼は反対するかと思っていたが、意外に文句も手も出されなかった。
最近、彼は忙しそうで、ホナミに対する監視の目が緩んできていた。
もしかしたら、新しいターゲットが見つかったのかもしれない。
ホナミは無宗教なのに、手を合わせて祈った。
神様でも仏様でも、なんでもいいから。
次のターゲットにされたひとには申し訳ないけれど。
彼を、シュウジを、どうか私から引き離してください。
どこかのご令嬢に、ウェズリーの浮気を教えられたのだろう。
婚約者からも身内(自分の事だ) からも聞かされず、軽く心配されて嗤われて。
こんな風に倒れてしまうくらいのショックだったのだ。
ウェズリー本人から聞かされると言うことは。
だったら様子見などせず、俺の口から教えるべきだった。
義妹は、きっと俺に対しても不信感を持っただろう。
オスカーはオスカーで、思うところがあってウェズリーの浮気を静観していたのだが、ロザリンドの気持ちを図ってやれなかった自分に腹が立った。
その時オスカーの膝の上で、ロザリンドが身動ぎをした。
慌ててウェズリーがテーブルから水の入ったグラスを持ってくる。
オスカーがそれを受け取ろうとしたが、ウェズリーはグラスを握りしめた。
「俺が口移しで飲ませようか?」
「早く渡せ!」
一言で却下され、諦めたウェズリーが差し出したグラスを引ったくるようにして受け取り、オスカーはロザリンドの唇に水滴を垂らした。
「う……」
「顔にもっと思いきって水を掛けたら、直ぐに目を覚ますんじゃないか?」
「お前、黙ってあっちに行ってろ!」
◇◇◇
暗い道を手探りで進んでいるような気がした。
早く、早く逃げないと。
彼に直ぐに追い付かれてしまう。
髪を掴まれて……
『ホナミの髪はとっても綺麗だね』
全てが終わると、彼はさっき掴んだ髪を優しく撫でた。
うっとりする様な美しい微笑みをするひと。
その微笑みを歪めた時。
彼が豹変する時。
そのスイッチがいつ入るのか読めなくて。
恐怖で身体がすくんでしまって。
始まって仕舞えば、ただただ身体を丸めて嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
彼に対して思うことが言えたのは、最初の3ヶ月だけ。
夢見るような時間を3ヶ月、彼は与えて。
ホナミが自分に夢中になると、彼は豹変するようになった。
束縛されても、それは溺愛なのだ、と言われて。
管理されても、愛しているから独占したい、と宥められて。
徐々に徐々にホナミは愛という名のもとに奪われる事に慣れさせられた。
それに気付いた頃には逃げられなくなっていた。
彼には何枚もの写真や何本もの動画を撮られていて、晒される事に怯えた。
自分からは求めることが出来ない。
与えられるものを受け取るだけ。
拒否することも許されない。
段々と喜怒哀楽に対して、鈍感になっていく。
だから、ホナミは夢を見た。
本当に女性を大切にしてくれる男性を。
現実にはいないだろう男性を作ろうと思った。
上辺だけの優しさじゃない。
薄っぺらな美しさじゃない。
言葉だけの強さじゃない。
そんなホナミの、理想の男。
艶やかな黒髪と煙るような紫の瞳。
オスカー・オブライエン・コルテス。
「オスカーは私の理想なんです」
打ち合わせの席で、担当編集者のミカミと作画担当のササキチカ先生に力説した。
2人は笑って頷いてくれた。
「皆が息を飲むような男性にします」
チカ先生が約束してくれた通り、彼の造形は最高だった。
「イケメン揃いの中でも、オスカーはダントツですね」
ホナミ原作のコミカライズは3作目だったが、最高傑作だとミカミに言われた。
時世も落ち着いて来たので第1章が終わったら、 ファンミーティングを行いましょう、とミカミが言った。
異世界恋愛の話なのに、北関東の温泉地で行われる一泊二日のファンミ企画にチカ先生と笑った。
仕事で外泊することを彼は反対するかと思っていたが、意外に文句も手も出されなかった。
最近、彼は忙しそうで、ホナミに対する監視の目が緩んできていた。
もしかしたら、新しいターゲットが見つかったのかもしれない。
ホナミは無宗教なのに、手を合わせて祈った。
神様でも仏様でも、なんでもいいから。
次のターゲットにされたひとには申し訳ないけれど。
彼を、シュウジを、どうか私から引き離してください。
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