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10【転生ヒロイン】ブリジット
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どうしてなんだろ?
このゲームで一番の推しだった王太子のリシャールには近付けない。
彼の側近のドミニクと護衛のアンドレにも。
あたしのお世話役をしてくれたからリシャールとは懇意になるのに、そのお役目からも彼は逃げた。
それも自分の代わりをクロエなんかに、頼んじゃって!
「リシャール殿下があたしの面倒を見てくれないから、指導してください!」
もぉ、腹が立つから学院長室へ殴り込みみたいに突撃したら、『王族と平民の交流』とか言ってた学院長は掌を返した。
「そ、それなんだが、殿下からご提案があって……」
リシャールからは、女生徒の世話役は同性にさせるべきで『平民との交流』を謳うならば、将来の王妃であるモンテール侯爵令嬢ほど、それに適した人物は居ない、とか丸め込まれちゃっててさ……
王族だって、ここじゃー生徒なのにさ、言うこと聞くってさー。
ホントにこのオヤジ頼りねーな!
そう言われても、当然あたしは悪役令嬢とはよろしくするつもりなんかないから、クロエから逃げまくってたんだけど、ある日考えを改めた。
『交流する』から、『苛めが発生する』んだよね。
リシャールは生徒会長だから、それを知らん顔出来ないはずだよ。
ゲームのキャラ設定の正義感の強い王子、なら。
そう思って、クロエが話しかけてきても逃げるのはやめて、相手をしてやることにしたのだった。
案の定、うるさく細かいことを指摘してくる。
婚約者がいる異性とは、必要以上に親しくしないように、とかさ。
だからさぁ男女間の友情ってあるでしょ、なんて流そうとしても、それならお相手が居ない男性とどうぞ、とか言うんだよ。
この学院でそーゆーお相手が居ないのは、貧乏な底辺貴族の息子とか、余程のブサメンで縁談がうまくいかないヤツだけなの!
こっちはさぁ高等部2年からの編入なんだから、これぞ!の男は皆、お手付きだよー(泣)
あたしをそんな底辺の男とくっつけさせるつもりか、この悪役令嬢め!
あたしはこのゲームのヒロインなんだからね!
あたしを転生させた神様(女神様?)は、そんなの絶許(死語?)だよ!
と、言うわけで。
あたしはリシャール周辺を取りあえず置いといて、新しい攻略対象に近づきつつ、クロエの苛めを自演して、悪役令嬢の噂を流すことにしたの。
テンプレ乙ゲーだからね、苛め工作も定番のヤツだけど、いいよねー。
放課後、誰も居ない教室で決して安くはなかった教科書を破いた時は
『また買わせるけど、お父さんごめんなさい』だったし。
昼休み、ガラガラの水呑場で頭から水を被った時は、なかなか人が集まらないからそのまま教室に戻って教室で『噴水に突き落とされた!』って騒いで、夜から発熱して看病させちゃって
『徹夜になったね、お母さんごめんなさい』。
クロエと階段の踊り場ですれ違った瞬間にわざと足を踏み外して落ちちゃった時には、登ってきた人を巻き込んじゃって、あたしの下敷きになった人がいて、その人が怪我をして、これも
『知らないひとごめんなさい』だった。
そんな風に色々迷惑かけたけど、これで悪役令嬢を駆逐して、晴れてあたしがリシャールをゲットした暁には、何倍ものお返しをするからね、なんて。
それと平行して進めたのが、他の攻略対象者との交流ね。
これはやはり楽しみだった。
①魔法科教師のノワール先生
黒髪、金色の瞳。
実は魔王で、聖なる力を持つあたしを狙って学院に潜伏してる。
本当はあたしを殺すつもりだったのに、愛してしまう。
②悪役令嬢の義弟のジュール
銀髪、碧眼。
侯爵家の後継者として引き取られた幼い頃から義姉のクロエに虐待されていて、彼女を憎んでいる。
虐待体験から素直に感情を出せないが、あたしと知り合って、心の傷を癒して貰う。
③商売敵の大商会の跡取りエイドリアン
金髪、緑の瞳。
あたしと同時期に編入試験を受けて同級生になる。
何かと構いたがりのイケメンで、軽いノリなのに、たまに真剣に口説きにくる。
平民だが、実は現国王の異母弟、つまり王弟殿下。
あたしの大本命は変わらずリシャールだけど、他の5人の好感度もガンガン上げてくよ!
このゲームで一番の推しだった王太子のリシャールには近付けない。
彼の側近のドミニクと護衛のアンドレにも。
あたしのお世話役をしてくれたからリシャールとは懇意になるのに、そのお役目からも彼は逃げた。
それも自分の代わりをクロエなんかに、頼んじゃって!
「リシャール殿下があたしの面倒を見てくれないから、指導してください!」
もぉ、腹が立つから学院長室へ殴り込みみたいに突撃したら、『王族と平民の交流』とか言ってた学院長は掌を返した。
「そ、それなんだが、殿下からご提案があって……」
リシャールからは、女生徒の世話役は同性にさせるべきで『平民との交流』を謳うならば、将来の王妃であるモンテール侯爵令嬢ほど、それに適した人物は居ない、とか丸め込まれちゃっててさ……
王族だって、ここじゃー生徒なのにさ、言うこと聞くってさー。
ホントにこのオヤジ頼りねーな!
そう言われても、当然あたしは悪役令嬢とはよろしくするつもりなんかないから、クロエから逃げまくってたんだけど、ある日考えを改めた。
『交流する』から、『苛めが発生する』んだよね。
リシャールは生徒会長だから、それを知らん顔出来ないはずだよ。
ゲームのキャラ設定の正義感の強い王子、なら。
そう思って、クロエが話しかけてきても逃げるのはやめて、相手をしてやることにしたのだった。
案の定、うるさく細かいことを指摘してくる。
婚約者がいる異性とは、必要以上に親しくしないように、とかさ。
だからさぁ男女間の友情ってあるでしょ、なんて流そうとしても、それならお相手が居ない男性とどうぞ、とか言うんだよ。
この学院でそーゆーお相手が居ないのは、貧乏な底辺貴族の息子とか、余程のブサメンで縁談がうまくいかないヤツだけなの!
こっちはさぁ高等部2年からの編入なんだから、これぞ!の男は皆、お手付きだよー(泣)
あたしをそんな底辺の男とくっつけさせるつもりか、この悪役令嬢め!
あたしはこのゲームのヒロインなんだからね!
あたしを転生させた神様(女神様?)は、そんなの絶許(死語?)だよ!
と、言うわけで。
あたしはリシャール周辺を取りあえず置いといて、新しい攻略対象に近づきつつ、クロエの苛めを自演して、悪役令嬢の噂を流すことにしたの。
テンプレ乙ゲーだからね、苛め工作も定番のヤツだけど、いいよねー。
放課後、誰も居ない教室で決して安くはなかった教科書を破いた時は
『また買わせるけど、お父さんごめんなさい』だったし。
昼休み、ガラガラの水呑場で頭から水を被った時は、なかなか人が集まらないからそのまま教室に戻って教室で『噴水に突き落とされた!』って騒いで、夜から発熱して看病させちゃって
『徹夜になったね、お母さんごめんなさい』。
クロエと階段の踊り場ですれ違った瞬間にわざと足を踏み外して落ちちゃった時には、登ってきた人を巻き込んじゃって、あたしの下敷きになった人がいて、その人が怪我をして、これも
『知らないひとごめんなさい』だった。
そんな風に色々迷惑かけたけど、これで悪役令嬢を駆逐して、晴れてあたしがリシャールをゲットした暁には、何倍ものお返しをするからね、なんて。
それと平行して進めたのが、他の攻略対象者との交流ね。
これはやはり楽しみだった。
①魔法科教師のノワール先生
黒髪、金色の瞳。
実は魔王で、聖なる力を持つあたしを狙って学院に潜伏してる。
本当はあたしを殺すつもりだったのに、愛してしまう。
②悪役令嬢の義弟のジュール
銀髪、碧眼。
侯爵家の後継者として引き取られた幼い頃から義姉のクロエに虐待されていて、彼女を憎んでいる。
虐待体験から素直に感情を出せないが、あたしと知り合って、心の傷を癒して貰う。
③商売敵の大商会の跡取りエイドリアン
金髪、緑の瞳。
あたしと同時期に編入試験を受けて同級生になる。
何かと構いたがりのイケメンで、軽いノリなのに、たまに真剣に口説きにくる。
平民だが、実は現国王の異母弟、つまり王弟殿下。
あたしの大本命は変わらずリシャールだけど、他の5人の好感度もガンガン上げてくよ!
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