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Chapter6
6-2
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時を遡ること十三年前。
とある仲の良い夫婦と女の子の子どもが二人、仲睦まじく暮らしていた。
姉妹は二歳差。容姿も似ておりとても可愛らしい二人だった。
姉は天真爛漫でよく笑い、よく泣き、よく食べる。妹思いで元気いっぱいの子。
妹はそんな姉が大好きでいつも後ろをついて周り、同じようによく笑ってよく泣いて、感情表現が豊かな子だった。
当時七歳と五歳だった姉妹は、姉が小学校から帰ってくると待っていた妹が遊ぼうとせがんで一緒に公園に行ったり家の中でおままごとをして遊ぶのがいつもの光景だった。
ーーその日も、いつもと同じように公園で遊んでいた。
「おねぇちゃーん!こっちこっち!すべりだいいっしょにすべろう!」
「うん!いまいくー!」
一緒に滑り台を滑ろうと近くまで手を繋いで歩いていた時、突然姉が胸を押さえて苦しみだした。
「おねぇちゃん?おねぇちゃん!どうしたの?どこかいたいの?」
「っ……、いっ……!」
「ど、どうしよう!おねえちゃん!おねえちゃんが!ま、ママ!ママー!」
妹にもたれかかるように倒れこんだ姉はそのまま浅い呼吸で冷や汗をかいて苦しむ。
当時母親は家で夕食の支度をしておりいなかったため、妹は途方に暮れた。
「どうしたの?大丈夫!?」
偶然居合わせた近所のおばさんが姉妹の異変に気付き、声を掛けてすぐに救急車が呼ばれた。母親にもすぐに連絡が行き、駆け付けた母親が妹を連れて救急車に同乗。
【中ノ島総合病院】に運ばれた。
父親も駆け付け、医師から宣告されたのは家族にとって悲痛なものだった。
「……心臓に、重い疾患があります」
両親は目の前が真っ暗になり、妹は全く話がわからずにひたすら「おねえちゃんはだいじょうぶ?」と何も答えない母親に問い続けた。
あっという間に入院した姉。
姉が沢山の管に繋がれて横になっている姿を見て、妹は母親に問う。
「ママ、おねえちゃんねてるの?」
「……若葉。お姉ちゃんはね、具合が悪いからちょっとここでお休みしてるのよ」
そう言って母親は妹、若葉の頭をそっと撫でた。
割り当てられた大部屋のネームプレートには【後藤 和葉】の文字。
姉、和葉は弱冠七歳にして心臓病だと宣告されたのだった。
入院生活は、過酷なものだった。
数度に渡る手術。投与される沢山の薬。容体が落ち着いても走ることは愚か自分で歩くことすら制限され車椅子で院内の散歩が精一杯の日々。
もちろん学校にも行けず、友達が持ってきてくれるプリントや教科書、母親が用意してくれたワークテキストで少しずつ勉強した。
しかし数年もすれば、友達も入院して全く学校に来ない和葉の元には見舞いすら来なくなった。
母親も和葉の治療費を稼ぐために、仕事に出るようになった。
和葉の元に来てくれていたのは、若葉とたった1人の幼馴染の康平だけだった。
康平は和葉の2歳上で家が近所だったこともあり小さい頃から仲良しで、よく一緒に遊んでいた。
和葉が入院してからは家でひとりぼっちな若葉を気遣って自宅に招いて一緒に遊んだり公園に出かけたり、和葉の元へ行きたいと言えば一緒に行ったりもした。
和葉とももちろん仲は良かったものの、いつしか康平は若葉と一緒にいるのが当たり前になって。
「ねね、康平ってさ、若葉のこと好きでしょ」
「なっ!?おい、それ若葉には……」
「言ってないよ。大丈夫」
「絶対言うなよ!?絶対だからな!」
「ふふ、はーい」
若葉が寂しい時、辛い時はずっと康平が隣にいて。
「おねえちゃん、わかばね、すきなひとができたの!」
「それって、康平でしょ?」
「え!なんでわかったのー!?」
「ははっ、若葉ってばわかりやすいんだもーん」
「うそー!じゃあおねえちゃん!こうへいにはナイショにしてね!」
「うん。わかったよ」
幼いながらもお互いを意識するのに時間はかからなかった。
時は経ち、康平十一歳、和葉九歳、若葉七歳の時。
「……もう、これ以上の手術はできません」
「そんなっ……」
医師からの宣告に、両親はただ涙を流した。
「これからは、一先ず薬の投与を続けて発作が起こらないように様子を見ましょう」
「他にっ!他に方法は無いんですか!?」
縋りつく母親に、医師は顔を歪める。
「……あるにはありますが……」
「教えてください!」
意を決した医師はタブレットの画面を両親に見せた。
「ーー後は、心臓移植だけです。しかし、心臓はドナーが見つかり辛いためいつ移植できるかはわかりません。もう何年も待っている患者さんもいらっしゃいます。運良く見つかって移植出来たとしても、拒絶反応が出ることも少なくありません。優先順位もありますのでそれまで和葉さんの体が耐えられるかどうか……」
世界中の症例やデータを見せられ、如何に難しいのかを淡々と説明される。
「……それでもっ、それしか方法がないのなら、お願いします!」
両親は、それでも和葉を助けたかった。
ドナーを待つ時間は、途方も無かった。
両親はいつ来るかわからない電話に体が休まらず、和葉は薄々感じていたどんどん近付いてくる自分の死期に恐怖し、幼いながらも家族の空気を感じ取って落ち着かない若葉。
そんな若葉を見て康平は思った。
「(早く。和葉と一致するドナーが見つかりますように。そして、早く若葉も元気に……)」
この頃の若葉は、何かはよくわからないものの和葉が段々元気が無くなっていっているのを感じていた。そのため若葉は毎日のように和葉の元へ通った。
康平はそれが面白くなく、仕方ないとは思っていながらも自分に構ってもらえないことから和葉に嫉妬していた。
和葉はそれを敏感に感じ取り、若葉に「たまには康平と出掛けておいで」と言ったものの「いいの。今はお姉ちゃんと一緒にいたいの」と変わらず和葉の元に通い続けた。
そんな日々が続き、時は流れ和葉十四歳、若葉十二歳になったある日のこと。
「お姉ちゃん!」
「……若葉。三日ぶりだね。夏休みの宿題はどう?終わった?」
「うん!もうすぐ夏休み終わっちゃうから慌ててやってる!もうすぐ終わるよ!」
「そっか。あとちょっと頑張れ」
「うん!」
小学校最後の夏休みを満喫していた若葉は、宿題に追われて三日ぶりに病室を訪れていた。
「早くドナー見つかって欲しいね!」
「うん、……そうだね」
頷く和葉の顔は、あまり晴れない。
「どうしたの?お姉ちゃん、最近元気無いよ?」
ベッドに近付いて丸椅子に腰掛けた若葉が顔を除く。
「ねぇ、若葉は私にドナーが見つかって移植出来たら、嬉しい?」
「嬉しいに決まってるじゃん!早く元気になって一緒にお買い物行ったり遊んだり、一緒に学校通ったりしたいもん!
お姉ちゃんは、違うの?」
「……最近、たまにわからなくなるんだ」
言って、窓の外に目を向けた。
もう何年も病院の外を歩いていない。病院の中だって、機械を繋いで車椅子での移動しかできない。
人生の半分以上をこの病院で過ごしてきた和葉にとって、移植して普通の生活を送る自分の姿が全く想像できなくなっていた。
「……お姉ちゃん!」
「……?」
「何か食べたいものある!?」
「た、べたいもの?」
「うん!」
「そうだなぁ……あ」
「何々!?」
「……アイスクリーム。久し振りに、若葉と一緒に食べたいなあ……なんてね。ちょっと思った」
小さい頃に若葉と一緒に食べたアイスクリーム。その味をふと思い出し、笑みが浮かんだ。
若葉はそんな和葉の表情を見て切なくなると同時に、ある決意をして立ち上がった。
「わかった!今から買ってくるね!」
「え、一人だと危ないよ!それに先生に聞かないとだし多分NGだと……って。行っちゃった……」
バタバタと走って病室を出て行った若葉に、和葉は
「病院内は走るなってあれほど言ったのに……」
と溜息を吐きながらも微笑むのだった。
しかし、数時間経っても若葉は帰ってこなかった。
「(遅いな……何かあったのかな……)」
心配にはなったものの、既に面会時間も終了間近。和葉も検査の時間になったため、看護師に若葉が来たら物を預かっておいて欲しいと伝え、検査に向かったのだった。
その日は、病院内がなんだか慌ただしかった。
急患が運ばれてくると大体こうなっていたから、和葉も誰か急患が運ばれてきたんだろうなと漠然と思っただけだった。
──まさか、その急患が若葉だったなんて、その時の和葉は想像もしていなかった。
とある仲の良い夫婦と女の子の子どもが二人、仲睦まじく暮らしていた。
姉妹は二歳差。容姿も似ておりとても可愛らしい二人だった。
姉は天真爛漫でよく笑い、よく泣き、よく食べる。妹思いで元気いっぱいの子。
妹はそんな姉が大好きでいつも後ろをついて周り、同じようによく笑ってよく泣いて、感情表現が豊かな子だった。
当時七歳と五歳だった姉妹は、姉が小学校から帰ってくると待っていた妹が遊ぼうとせがんで一緒に公園に行ったり家の中でおままごとをして遊ぶのがいつもの光景だった。
ーーその日も、いつもと同じように公園で遊んでいた。
「おねぇちゃーん!こっちこっち!すべりだいいっしょにすべろう!」
「うん!いまいくー!」
一緒に滑り台を滑ろうと近くまで手を繋いで歩いていた時、突然姉が胸を押さえて苦しみだした。
「おねぇちゃん?おねぇちゃん!どうしたの?どこかいたいの?」
「っ……、いっ……!」
「ど、どうしよう!おねえちゃん!おねえちゃんが!ま、ママ!ママー!」
妹にもたれかかるように倒れこんだ姉はそのまま浅い呼吸で冷や汗をかいて苦しむ。
当時母親は家で夕食の支度をしておりいなかったため、妹は途方に暮れた。
「どうしたの?大丈夫!?」
偶然居合わせた近所のおばさんが姉妹の異変に気付き、声を掛けてすぐに救急車が呼ばれた。母親にもすぐに連絡が行き、駆け付けた母親が妹を連れて救急車に同乗。
【中ノ島総合病院】に運ばれた。
父親も駆け付け、医師から宣告されたのは家族にとって悲痛なものだった。
「……心臓に、重い疾患があります」
両親は目の前が真っ暗になり、妹は全く話がわからずにひたすら「おねえちゃんはだいじょうぶ?」と何も答えない母親に問い続けた。
あっという間に入院した姉。
姉が沢山の管に繋がれて横になっている姿を見て、妹は母親に問う。
「ママ、おねえちゃんねてるの?」
「……若葉。お姉ちゃんはね、具合が悪いからちょっとここでお休みしてるのよ」
そう言って母親は妹、若葉の頭をそっと撫でた。
割り当てられた大部屋のネームプレートには【後藤 和葉】の文字。
姉、和葉は弱冠七歳にして心臓病だと宣告されたのだった。
入院生活は、過酷なものだった。
数度に渡る手術。投与される沢山の薬。容体が落ち着いても走ることは愚か自分で歩くことすら制限され車椅子で院内の散歩が精一杯の日々。
もちろん学校にも行けず、友達が持ってきてくれるプリントや教科書、母親が用意してくれたワークテキストで少しずつ勉強した。
しかし数年もすれば、友達も入院して全く学校に来ない和葉の元には見舞いすら来なくなった。
母親も和葉の治療費を稼ぐために、仕事に出るようになった。
和葉の元に来てくれていたのは、若葉とたった1人の幼馴染の康平だけだった。
康平は和葉の2歳上で家が近所だったこともあり小さい頃から仲良しで、よく一緒に遊んでいた。
和葉が入院してからは家でひとりぼっちな若葉を気遣って自宅に招いて一緒に遊んだり公園に出かけたり、和葉の元へ行きたいと言えば一緒に行ったりもした。
和葉とももちろん仲は良かったものの、いつしか康平は若葉と一緒にいるのが当たり前になって。
「ねね、康平ってさ、若葉のこと好きでしょ」
「なっ!?おい、それ若葉には……」
「言ってないよ。大丈夫」
「絶対言うなよ!?絶対だからな!」
「ふふ、はーい」
若葉が寂しい時、辛い時はずっと康平が隣にいて。
「おねえちゃん、わかばね、すきなひとができたの!」
「それって、康平でしょ?」
「え!なんでわかったのー!?」
「ははっ、若葉ってばわかりやすいんだもーん」
「うそー!じゃあおねえちゃん!こうへいにはナイショにしてね!」
「うん。わかったよ」
幼いながらもお互いを意識するのに時間はかからなかった。
時は経ち、康平十一歳、和葉九歳、若葉七歳の時。
「……もう、これ以上の手術はできません」
「そんなっ……」
医師からの宣告に、両親はただ涙を流した。
「これからは、一先ず薬の投与を続けて発作が起こらないように様子を見ましょう」
「他にっ!他に方法は無いんですか!?」
縋りつく母親に、医師は顔を歪める。
「……あるにはありますが……」
「教えてください!」
意を決した医師はタブレットの画面を両親に見せた。
「ーー後は、心臓移植だけです。しかし、心臓はドナーが見つかり辛いためいつ移植できるかはわかりません。もう何年も待っている患者さんもいらっしゃいます。運良く見つかって移植出来たとしても、拒絶反応が出ることも少なくありません。優先順位もありますのでそれまで和葉さんの体が耐えられるかどうか……」
世界中の症例やデータを見せられ、如何に難しいのかを淡々と説明される。
「……それでもっ、それしか方法がないのなら、お願いします!」
両親は、それでも和葉を助けたかった。
ドナーを待つ時間は、途方も無かった。
両親はいつ来るかわからない電話に体が休まらず、和葉は薄々感じていたどんどん近付いてくる自分の死期に恐怖し、幼いながらも家族の空気を感じ取って落ち着かない若葉。
そんな若葉を見て康平は思った。
「(早く。和葉と一致するドナーが見つかりますように。そして、早く若葉も元気に……)」
この頃の若葉は、何かはよくわからないものの和葉が段々元気が無くなっていっているのを感じていた。そのため若葉は毎日のように和葉の元へ通った。
康平はそれが面白くなく、仕方ないとは思っていながらも自分に構ってもらえないことから和葉に嫉妬していた。
和葉はそれを敏感に感じ取り、若葉に「たまには康平と出掛けておいで」と言ったものの「いいの。今はお姉ちゃんと一緒にいたいの」と変わらず和葉の元に通い続けた。
そんな日々が続き、時は流れ和葉十四歳、若葉十二歳になったある日のこと。
「お姉ちゃん!」
「……若葉。三日ぶりだね。夏休みの宿題はどう?終わった?」
「うん!もうすぐ夏休み終わっちゃうから慌ててやってる!もうすぐ終わるよ!」
「そっか。あとちょっと頑張れ」
「うん!」
小学校最後の夏休みを満喫していた若葉は、宿題に追われて三日ぶりに病室を訪れていた。
「早くドナー見つかって欲しいね!」
「うん、……そうだね」
頷く和葉の顔は、あまり晴れない。
「どうしたの?お姉ちゃん、最近元気無いよ?」
ベッドに近付いて丸椅子に腰掛けた若葉が顔を除く。
「ねぇ、若葉は私にドナーが見つかって移植出来たら、嬉しい?」
「嬉しいに決まってるじゃん!早く元気になって一緒にお買い物行ったり遊んだり、一緒に学校通ったりしたいもん!
お姉ちゃんは、違うの?」
「……最近、たまにわからなくなるんだ」
言って、窓の外に目を向けた。
もう何年も病院の外を歩いていない。病院の中だって、機械を繋いで車椅子での移動しかできない。
人生の半分以上をこの病院で過ごしてきた和葉にとって、移植して普通の生活を送る自分の姿が全く想像できなくなっていた。
「……お姉ちゃん!」
「……?」
「何か食べたいものある!?」
「た、べたいもの?」
「うん!」
「そうだなぁ……あ」
「何々!?」
「……アイスクリーム。久し振りに、若葉と一緒に食べたいなあ……なんてね。ちょっと思った」
小さい頃に若葉と一緒に食べたアイスクリーム。その味をふと思い出し、笑みが浮かんだ。
若葉はそんな和葉の表情を見て切なくなると同時に、ある決意をして立ち上がった。
「わかった!今から買ってくるね!」
「え、一人だと危ないよ!それに先生に聞かないとだし多分NGだと……って。行っちゃった……」
バタバタと走って病室を出て行った若葉に、和葉は
「病院内は走るなってあれほど言ったのに……」
と溜息を吐きながらも微笑むのだった。
しかし、数時間経っても若葉は帰ってこなかった。
「(遅いな……何かあったのかな……)」
心配にはなったものの、既に面会時間も終了間近。和葉も検査の時間になったため、看護師に若葉が来たら物を預かっておいて欲しいと伝え、検査に向かったのだった。
その日は、病院内がなんだか慌ただしかった。
急患が運ばれてくると大体こうなっていたから、和葉も誰か急患が運ばれてきたんだろうなと漠然と思っただけだった。
──まさか、その急患が若葉だったなんて、その時の和葉は想像もしていなかった。
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