71 / 112
Fifth
18-1
しおりを挟む
窓から差し込む日差しで目が覚めた時、隣には既に誰もいなくて。
「……あれ?……」
眠い目を擦り、ベッドから降りて床に落ちていた下着と服を着る。
そのまま寝室を出てそっとリビングに向かうと、お味噌汁の良い香りがした。
「……おはよう」
私の姿を見てふわりと笑った課長。
「お、おはようございます……」
と返す。
その甘い笑顔に胸焼けしてしまいそう。
「味噌汁、飲む?」
「いただきます」
ソファに促され座っていると目の前に置かれたお味噌汁。
「あ、しじみだ」
「嫌いか?」
「いえ、好きです。ありがとうございます」
きっと、昨夜お酒を飲んだからしじみのお味噌汁にしてくれたのだろう。優しさとしじみの出汁が身に染みる。
スウェット姿で私の隣にぴったりと座った課長は、ソファの背もたれに身を預けてテレビを見ていて。
お昼のニュースが流れているのを見て、
「……え!?もうお昼ですか!?」
と驚きの余り大きな声が出た。
「何を今更。もう昼過ぎだけど」
「そんなあ……せっかくのお休みだったのに寝過ぎた……」
落ち込む私に、課長は笑う。
飲み終わったお碗をシンクで水に浸す。
「食器洗っちゃって良いですか?」
「いや、そのまま置いといて」
「でも……」
「いいから」
袖を捲っていた私の腕を掴み、そのまま引かれた。
その拍子に体ごと課長の胸の中に飛び込んでしまう。
「……そんなの後でどうにでもなるから、こっち来て」
ギュッと抱き締められて耳元で囁かれる。
待って、甘い。糖度が高過ぎる。
「はっ、顔真っ赤」
「な、課長のせいでしょ!」
「だーからそれ辞めろっての」
「……綾人さんのせい、です」
「ふーん?まぁそういうことにしといてやるよ」
したり顔の課長……じゃなくて綾人さんに腹が立つ。
でもその顔がかっこいいと思ってしまうから、もっと腹が立つ。
そのままソファに促され、座った綾人さんの膝の上に向き合うように座らされて抱き締められる。
恥ずかしくて、ギュッと抱き付いた。
「……歩」
「っ!」
いきなり耳元で名前で呼ばれて、思わず肩を跳ねさせて赤面した私に綾人さんは腕を緩めるとちゅっとリップ音をたててキスをする。
「なっ……」
その一連の動作が凄く自然で、翻弄される自分が恥ずかしいやらどこか嬉しいやら、やっぱり悔しいやら。
色々な感情が混ざり合って心臓が忙しない。
「……あれ?……」
眠い目を擦り、ベッドから降りて床に落ちていた下着と服を着る。
そのまま寝室を出てそっとリビングに向かうと、お味噌汁の良い香りがした。
「……おはよう」
私の姿を見てふわりと笑った課長。
「お、おはようございます……」
と返す。
その甘い笑顔に胸焼けしてしまいそう。
「味噌汁、飲む?」
「いただきます」
ソファに促され座っていると目の前に置かれたお味噌汁。
「あ、しじみだ」
「嫌いか?」
「いえ、好きです。ありがとうございます」
きっと、昨夜お酒を飲んだからしじみのお味噌汁にしてくれたのだろう。優しさとしじみの出汁が身に染みる。
スウェット姿で私の隣にぴったりと座った課長は、ソファの背もたれに身を預けてテレビを見ていて。
お昼のニュースが流れているのを見て、
「……え!?もうお昼ですか!?」
と驚きの余り大きな声が出た。
「何を今更。もう昼過ぎだけど」
「そんなあ……せっかくのお休みだったのに寝過ぎた……」
落ち込む私に、課長は笑う。
飲み終わったお碗をシンクで水に浸す。
「食器洗っちゃって良いですか?」
「いや、そのまま置いといて」
「でも……」
「いいから」
袖を捲っていた私の腕を掴み、そのまま引かれた。
その拍子に体ごと課長の胸の中に飛び込んでしまう。
「……そんなの後でどうにでもなるから、こっち来て」
ギュッと抱き締められて耳元で囁かれる。
待って、甘い。糖度が高過ぎる。
「はっ、顔真っ赤」
「な、課長のせいでしょ!」
「だーからそれ辞めろっての」
「……綾人さんのせい、です」
「ふーん?まぁそういうことにしといてやるよ」
したり顔の課長……じゃなくて綾人さんに腹が立つ。
でもその顔がかっこいいと思ってしまうから、もっと腹が立つ。
そのままソファに促され、座った綾人さんの膝の上に向き合うように座らされて抱き締められる。
恥ずかしくて、ギュッと抱き付いた。
「……歩」
「っ!」
いきなり耳元で名前で呼ばれて、思わず肩を跳ねさせて赤面した私に綾人さんは腕を緩めるとちゅっとリップ音をたててキスをする。
「なっ……」
その一連の動作が凄く自然で、翻弄される自分が恥ずかしいやらどこか嬉しいやら、やっぱり悔しいやら。
色々な感情が混ざり合って心臓が忙しない。
3
お気に入りに追加
366
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる