冷徹上司の、甘い秘密。

Forth

15-1

課長に直接聞いてみよう。そう決意はしたものの。


今まで散々避けておいて今更聞きたいことがあるなんて、虫が良すぎてどんな風に連絡を取れば良いのかわからない。


社内で話しかけようかと思ったものの、人の目も気になるし何よりやはり話の切り出し方がわからない。


どうしたものかと数日悩んでいた。


そんなある日。


自宅でお風呂上がりにホットミルクを飲みながらテレビを見ていた時。


震えたスマホの画面を付けると、一件のメッセージが。



"ここに行きたいから付き合ってくれ"



それは、まさかの課長からのお誘いのメッセージで。


すぐにURLが送られてくる。


そのURLをタップしてネットを開くと、それは来週から始まる予定のスイーツビュッフェの案内。


予約者限定のもので、さらに送られてきたスクリーンショットには"ご予約ありがとうございます"の文字。



"誘う人間違えてませんか？"



思わず送った返事に、



"お前以外に誰がいる？"



と返ってきて。



"恭子さん、とか"



打ちながら、素直に行きますって返事すれば良かっただけなのではないか。なんて。


返事を待つこの時間が惜しい。


一分ほどで来た返事には



"何で恭子？アイツは俺を馬鹿にして楽しんでるだけだからどうでもいい"



と書かれていて。



"俺は金山と行きたいんだけど"



続け様に来た、そんな言葉に目を見開く。


ドクンドクンと脈打つ鼓動。


ただの文字に、こんなに感情を揺さぶられるなんて。



"行きます"



気が付けば手が勝手にそう打っていた。


この日に、聞くタイミングがあれば。


そう思って眠りについた。


そしてその当日。休日である土曜日の朝。


待ち合わせ場所にいた課長はなんだか機嫌が悪そう。おそらく避け続けていたから怒っているのだ。


平常心。平常心。


唱えて、課長の元へ向かった。