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Third
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そして迎えた翌日の午後。
時刻は待ち合わせに指定された十三時の二十分前。
昨夜は落ち着かなくて、クローゼットの中から何を着ていくか真剣に悩んだ。悩みに悩んだ結果、いつだか雑誌の特集を見て買ったシフォンワンピースにスプリングコートを羽織って淡いカラーのローヒールの靴を履いて来た。
鞄はショルダータイプのもので、がっつり食べる気満々である。
会場であるデパートのエスカレーターを8階まで登った所にある催事場。
日々様々なイベントが行われるこの催事場は、たまにお線香の匂いに包まれていることがあるものの、今日は甘い香りが充満していた。
下調べはバッチリで、自分の行きたいお店の目星はつけてきた。しかし課長はどのお店のスイーツを狙っているのか、まだ聞けていない。
会ってから聞けばいいや、とイベントの入り口側の婦人服が並んでいる所で課長を待っていると、明らかに挙動不審な影が私に近付いて来た。
サングラスにマスク姿でこちらに歩いてくる人物。
「……金山、お待たせ」
「……いえ……。課長、その格好……どうしたんですか」
当たり前だがいつものスーツでもない、いつだか見たスウェットでもない、ラフだけど何処か上品に見えるのはかっちりとしたジャケットのおかげか。
しかしその端正なお顔を隠してしまっているそのサングラスとマスクが大分周りからの視線を集めてしまっていることに、この人は気付いているのだろうか。
「……変か?一応変装してきたつもりなんだが」
「いや逆に目立ってますよ」
「なっ!?」
……どうやら本当に気付いていなかったようだ。
「どうせ食べるんだからマスクくらい取ったらどうですか?」
「……」
「……今のままじゃ完全に不審者ですよ」
ボソッと告げると、すぐにマスクを取った課長。
「ぶはっ!」
「笑うな!」
「す、すみませっ……くくっ」
思わず笑いが止まらなくなった。
時刻は待ち合わせに指定された十三時の二十分前。
昨夜は落ち着かなくて、クローゼットの中から何を着ていくか真剣に悩んだ。悩みに悩んだ結果、いつだか雑誌の特集を見て買ったシフォンワンピースにスプリングコートを羽織って淡いカラーのローヒールの靴を履いて来た。
鞄はショルダータイプのもので、がっつり食べる気満々である。
会場であるデパートのエスカレーターを8階まで登った所にある催事場。
日々様々なイベントが行われるこの催事場は、たまにお線香の匂いに包まれていることがあるものの、今日は甘い香りが充満していた。
下調べはバッチリで、自分の行きたいお店の目星はつけてきた。しかし課長はどのお店のスイーツを狙っているのか、まだ聞けていない。
会ってから聞けばいいや、とイベントの入り口側の婦人服が並んでいる所で課長を待っていると、明らかに挙動不審な影が私に近付いて来た。
サングラスにマスク姿でこちらに歩いてくる人物。
「……金山、お待たせ」
「……いえ……。課長、その格好……どうしたんですか」
当たり前だがいつものスーツでもない、いつだか見たスウェットでもない、ラフだけど何処か上品に見えるのはかっちりとしたジャケットのおかげか。
しかしその端正なお顔を隠してしまっているそのサングラスとマスクが大分周りからの視線を集めてしまっていることに、この人は気付いているのだろうか。
「……変か?一応変装してきたつもりなんだが」
「いや逆に目立ってますよ」
「なっ!?」
……どうやら本当に気付いていなかったようだ。
「どうせ食べるんだからマスクくらい取ったらどうですか?」
「……」
「……今のままじゃ完全に不審者ですよ」
ボソッと告げると、すぐにマスクを取った課長。
「ぶはっ!」
「笑うな!」
「す、すみませっ……くくっ」
思わず笑いが止まらなくなった。
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