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Chapter4

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「お先に失礼します!」

「お疲れ様、気を付けて!」

「はい!ありがとうございます!」


会社に戻ることができたのは、隼也に電話してから一時間近く経った頃だった。

雑務を急いで終わらせて、隼也に連絡を取る。

無事にお迎えに行ってくれた隼也は家で隼輔に夕食を食べさせて遊んでくれていたらしい。


『隼輔、ママを迎えに行くぞ』

『うん!』


電話口から聞こえる声に安心して思わず頬が緩む。

そのまま自社ビル前で待つこと十分。

見慣れた車の後部座席には眠ってしまった隼輔の姿が。


「舞花、後ろ乗ってやって」

「うん、ありがと」


隼輔の隣に乗り込むと、穏やかに寝息を立てている頬をそっと撫でる。


「……ごめんね、遅くなって」


隼輔の顔を見てようやく一息つけた気がした。


「隼也も急だったのにありがとう」

「ん。俺だって父親なんだから当たり前だろ。これからもこういう日があったらいつでも言えよ。できる限り行くから」

「……うん、ありがとう」


ミラー越しに目が合うと、優しい微笑みが返ってくる。

そのまま隼也の家に向かい、眠っている隼輔を起こさないようにそっと家の中に入って寝かせた。


「……なぁ舞花。俺考えたんだけどさ」

「ん?」

「そろそろ一緒に住まないか?」


リビングに戻ってソファに座ると、隼也は私の手をキュッと握る。


「隼輔も俺に慣れてくれてるし、週末終わって別れるのが最近結構しんどいんだよ。一人になるのが嫌で、早く金曜になれってずっと思ってる。それに今日みたいなことがあったら、やっぱり同じ家に住んでた方が何かと連携も取りやすいしいいと思うんだ。……舞花から見て、どう思う?」


探るような視線に、私も手を握り返した。


「うん、私もそろそろいいかなって思ってた。隼輔も慣れてきたし、あの子、毎日パパに会いたいって言ってるの。それに私も今日同じこと思ったから」

「……そっか、じゃあ決まりだな」

「うん」


ゆっくりとキスをすると、そのまま腕の中にすっぽりとおさまる。


「どんな家がいい?」

「そうだなあ……隼輔がのびのびと成長できるところがいいから、近くに大きな公園があるといいよね」

「そうだな、それならスーパーとか病院も近い方がいいよな」

「うん。駅近だと便利でありがたいなあ」

「あぁ。早速明日見に行ってみるか?」

「うん、そうしよう」


向きを変えて隼也の足の間に座り、隼也のタブレットを使ってネットで物件探しをする。

後ろから覆い被さるように私のお腹辺りを抱きしめる隼也の温かさが気持ち良い。

時々私の身体をいやらしく撫でる手や甘いキスに翻弄されつつも、良さそうな物件をいくつかピックアップしているうちに夜は更けていった。



「どうだ?ここならリビングも広いしこっちを子ども部屋にすれば隼輔が大きくなってからでも安心だと思うけど」

「んー……収納ががもうちょっとほしいかな。隼輔のものもこれからもっと増えるだろうから」

「それもそうだな。じゃあ次見に行くか」


翌日、隼輔を連れて三人で不動産屋巡りをして何件も内見した。

そしてようやく見つけた条件の良い新築マンションに、一ヶ月後に引っ越しすることが決まった。
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