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いつの間にか寝てしまった俺はソファーから起き上がり、部屋を見渡すと天はベッドに寝ていて渡辺は床に小さくなって寝ていた。
俺は起きている将に連絡して天を日中の間、家に置いてもらう事にした。
とりあえず、昨日は渡辺が言っていてたような事は起こらずに静かな夜を過ごせてよかった。
俺は学校に向かう準備をしながら2人を起こし、まずは天を将の家に送り届ける。
天は家で作業をやっていたいらしいけれど、危ないと分かったからにはあの家に1人ではいさせられない。
まだ起き抜けの将に天を預けて、俺はそのまま渡辺を最寄り駅まで見送りに行く。
渡辺「…僕、この間オーディション行ってきたんだ。」
と、渡辺は突然消えそうな声で呟いた。
一「結果は?」
渡辺「ダメだった。少し大きめのオーディションでニュースでも取り上げられててさ、監督が『一目見てこの子だと思った。』って言っててなんか必要とされてないのまた味わった。」
渡辺は俺に顔を見せないようにしているが持っているエナメルバックのヒモを握りしめて悔しそうにしてた。
一「どんな役?」
渡辺「主人公なのにあと3分で死ぬ役。」
だいぶ飛んでる役だなと思ってると、渡辺がため息をつく。
渡辺「選ばれた奴、この間ドラマ終えたばっかの今売り出し中の俳優でネームバリューとかあんのかなって考えると“オーディション”の意味ってなんなんだろうって思う。」
一「どんな業界も先に有名になったもん勝ちだよな。有名な漫画家が全く売れてない小説からインスパイアされた物語とかザラにあるだろ。」
渡辺「…盗作じゃん。」
一「人が面白いものと思う大半は大体なにかのパクリだ。同じ人間が考えてるものなんか似通うに決まってる。」
渡辺「売れてるあいつも誰かのモノマネって事?」
一「そうだ。美顔、3高、横文字趣味、言葉遣い、上部の愛嬌+αの芝居と自分って感じがする。」
俺の偏見が詰まりすぎた俳優像に渡辺は少し頭を悩ませ、口を開いた。
渡辺「…収入だけ、僕には足りないって事?」
こいつはボケてるのか、素でやってるのか分かりにくい。
けど、その発言をするメンタルは誰にも負けてないぞ。
一「中学生が収入の話してどうする。まずは俺より身長伸ばせよ。」
渡辺「僕、学内で7番目に身長あるから。」
そう言うと俺を目だけで軽く見上げ、顔を背けた。
一「それで満足出来るなら幸せだよな。」
俺は渡辺を直接ではなく遠回りに煽る事にした。
こいつにはそれが話を聞くきっかけになる。
渡辺「じゃない…。芝居だけじゃ無理だと思う?」
と、渡辺は少し目を潤ませ上目遣いで俺のことを見てくる。
これが本当の渡辺か分からないけれど、その切なそうな顔は日本アカデミー助演男優賞受賞並み。
一「1つのことで上り詰めるのは道のりは長そうだよな。」
渡辺「…それしかないのに。」
さっきの威勢はどこに行ったのか、どんどん小さくなっていく渡辺が気の毒になってきた。
一「出れないなら自分で作ればいいじゃん。」
俺は新しい提案をしてみた。
だいぶ面倒くさいことは多いけれど1つのオーディションで見てもらう数人の目より、大衆の目を惹きつけてそいつらの目を向かせると言う作戦。
今の時代だからこそ、自分自身で何かを作って発信し続ければどこかの誰かには刺さる作品ができると俺は信じるから渡辺にもそう言ってみた。
渡辺「編集とかやったことない。」
一「少しだけわかるから今度教えてやるよ。」
俺はまだやりたいことを諦めきれないでいる渡辺のために、今度動画編集と撮影の仕方を教えることにした。
→ 助演男優賞
俺は起きている将に連絡して天を日中の間、家に置いてもらう事にした。
とりあえず、昨日は渡辺が言っていてたような事は起こらずに静かな夜を過ごせてよかった。
俺は学校に向かう準備をしながら2人を起こし、まずは天を将の家に送り届ける。
天は家で作業をやっていたいらしいけれど、危ないと分かったからにはあの家に1人ではいさせられない。
まだ起き抜けの将に天を預けて、俺はそのまま渡辺を最寄り駅まで見送りに行く。
渡辺「…僕、この間オーディション行ってきたんだ。」
と、渡辺は突然消えそうな声で呟いた。
一「結果は?」
渡辺「ダメだった。少し大きめのオーディションでニュースでも取り上げられててさ、監督が『一目見てこの子だと思った。』って言っててなんか必要とされてないのまた味わった。」
渡辺は俺に顔を見せないようにしているが持っているエナメルバックのヒモを握りしめて悔しそうにしてた。
一「どんな役?」
渡辺「主人公なのにあと3分で死ぬ役。」
だいぶ飛んでる役だなと思ってると、渡辺がため息をつく。
渡辺「選ばれた奴、この間ドラマ終えたばっかの今売り出し中の俳優でネームバリューとかあんのかなって考えると“オーディション”の意味ってなんなんだろうって思う。」
一「どんな業界も先に有名になったもん勝ちだよな。有名な漫画家が全く売れてない小説からインスパイアされた物語とかザラにあるだろ。」
渡辺「…盗作じゃん。」
一「人が面白いものと思う大半は大体なにかのパクリだ。同じ人間が考えてるものなんか似通うに決まってる。」
渡辺「売れてるあいつも誰かのモノマネって事?」
一「そうだ。美顔、3高、横文字趣味、言葉遣い、上部の愛嬌+αの芝居と自分って感じがする。」
俺の偏見が詰まりすぎた俳優像に渡辺は少し頭を悩ませ、口を開いた。
渡辺「…収入だけ、僕には足りないって事?」
こいつはボケてるのか、素でやってるのか分かりにくい。
けど、その発言をするメンタルは誰にも負けてないぞ。
一「中学生が収入の話してどうする。まずは俺より身長伸ばせよ。」
渡辺「僕、学内で7番目に身長あるから。」
そう言うと俺を目だけで軽く見上げ、顔を背けた。
一「それで満足出来るなら幸せだよな。」
俺は渡辺を直接ではなく遠回りに煽る事にした。
こいつにはそれが話を聞くきっかけになる。
渡辺「じゃない…。芝居だけじゃ無理だと思う?」
と、渡辺は少し目を潤ませ上目遣いで俺のことを見てくる。
これが本当の渡辺か分からないけれど、その切なそうな顔は日本アカデミー助演男優賞受賞並み。
一「1つのことで上り詰めるのは道のりは長そうだよな。」
渡辺「…それしかないのに。」
さっきの威勢はどこに行ったのか、どんどん小さくなっていく渡辺が気の毒になってきた。
一「出れないなら自分で作ればいいじゃん。」
俺は新しい提案をしてみた。
だいぶ面倒くさいことは多いけれど1つのオーディションで見てもらう数人の目より、大衆の目を惹きつけてそいつらの目を向かせると言う作戦。
今の時代だからこそ、自分自身で何かを作って発信し続ければどこかの誰かには刺さる作品ができると俺は信じるから渡辺にもそう言ってみた。
渡辺「編集とかやったことない。」
一「少しだけわかるから今度教えてやるよ。」
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