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「おはよー。味噌汁飲む?」
と、ケトルでお湯を沸かす音で目が覚めた俺に姐さんはレトルトの味噌汁を1つ開けながら聞いてきた。
一「おはよ。飲むぅ…。ネギがいい。」
さき「残念。豆腐しかないでーす。」
俺はブーイングしながら起き上がり、姐さんの側に寄りその様子を見る。
最高な朝だな。
好きな人が俺のために朝飯作ってくれるなんて。
俺は姐さんの腰に抱きつき、温もりを感じる。
姐さんは俺より身長が2cm低いけれど、いつも俺の身長を越しちゃうヒールを履くから目線が下にあるのが珍しくて可愛く思える。
さき「火傷するよ。」
一「姐さんが気をつければいいんだよ。」
さき「他のとこ触ったらお湯かけるからね。」
一「はーい。」
俺は姐さんのくびれだけに抱きついて味噌汁が出来るのを待つ。
このなんともない時間が今の俺には幸福時間。
肌を合わせない喜びは姐さんとしか感じられない。
さき「くるくるっ…と。最高の朝ごはんだね。」
一「うん、俺のご馳走。」
2人でベランダに行き、少し湿った空気を感じながらお椀をコツンと合わせて1口飲む。
さき「うまぁ…。人工の味付け最高だ。」
姐さんは適量のお湯より3割減した濃いめのこの味噌汁が好き。
俺はそんな不健康そうなものを隠さず見せてくれる姐さんが好き。
一「姐さんってお湯少なめだよね。」
さき「濃くないと飲んだ気しなくない?」
一「まあね。腹には溜まらないけど。」
姐さんと一緒に夜を過ごせたからかとても空が澄んで見える。
その空の朝焼けは淡く白雲を染めていて寝過ごした夕方のような感覚に落ちそうだ。
一「ずっと俺に味噌汁作ってよ。」
俺はどこかで聞いたことがある言葉を姐さんに言って、ずっと一緒にいてくれるのを約束しようとする。
さき「家に来たらまた作ってあげるよ。」
まただ。
どうしていつも『いいよ』って言ってくれないんだろう。
一「…目玉焼きは?」
さき「無理。私ん家、フライパンないもん。」
一「俺ん家来てよ。」
さき「電車嫌いだもん。」
一「卒業したらこっちに引っ越す。」
さき「気分が乗ったら行ってあげる。」
一言ではやっぱりOKしてくれないんだよな。
そこが可愛くて好きなとこでもあるけど、ずっとそれじゃあ俺が可哀想だろ。
一「ちゅーしよ。」
さき「しても一が後悔するだけだよ。」
一「今、味噌汁の味になってるんだから気にならないよ。」
さき「そういうことじゃない。」
姐さんはそう言って、味噌汁を飲み干し部屋に戻ってしまう。
俺はそんな姐さんの背中をそのまま見送って、1人で昨日の夜の事を少し考える。
なんでラブホに男と入ってマッサージで終わることがあるんだろう。
でも、姐さんの肌はしっとりしてたから確かにマッサージはしたっぽいんだよな。
…女性用のものがあるって聞いたことがあるからそれかもしれない…けど、姐さんみたいに綺麗な人を誰もが放っておかないと思うんだ。
彼氏が欲しいっていう割には男からのアプローチに壁を作る姐さん。
けど、夏だけその壁を簡単に乗り越えて俺はすごいイラついた。
一目惚れがそんなに人を惹きあうのかよ。
俺は味噌汁を飲み干し、また寝ようとしている姐さんの側に寄る。
さき「早く出ないと皆勤賞取れないよ。」
俺はそのまま姐さんの首元にキスをした。
彦星と織姫がいる口にする勇気はないし、ほっぺはなんだか子どもっぽいから。
まだ昨日の風呂上がりから香っているはちみつ石鹸の味が、俺が初めて感じる姐さんの味だった。
するとさっきまで眠そうな顔をしていた姐さんが目を見開いて顔を真っ赤にする。
俺もその顔には内心驚いたが、いつも好きをはぐらかされるから少しは意識してもらった方がいいだろう。
一「行ってきます。」
俺は姐さんの頭を撫でてそのまま学校に向かい、教室に着いてから数分後、奏たちが普段より早く学校に来てくれた。
明「みんな来てくれてありがと!大好き!」
将「俺も好き。J ORICONNやってみたかったけど、レベル高いから1人でやる勇気なかった。」
海斗「俺も。卒業して経験積んでって思ったけど、今やってみた方が今後に繋がりそうだよな。」
奏「部門はチーム作品になるよね?3本の指に入るほど激戦区だから頑張ろうね。」
明「…ありがとう。こんな突発的に話したのに集まってくれると思わなかった。」
明が涙ぐみ、その背中を将が撫でる。
一「明がリーダーなんだからちゃんとしろよ。昨日、2人で色々考えてテーマを絞ってきたんだけど…」
俺と明で昨日ある程度決めていたテーマを紹介して、それぞれどんなものを作りたいかを説明していく。
それを3人は真剣に聞いて意見を出してくれる。
明「じゃあ、テーマは“天の川”で決定?」
「「「「けってーい!!」」」」
俺たちが作品のテーマを決める頃には大半のクラスメイトが学校に来ていて、もうすぐHRが始まることを教えてくれる。
海斗「じゃあ来週までにはキャラクターデザイン考えとく。」
明「うん!よろしく!」
将「俺らはとりあえず基礎鍛錬するか。」
奏「そうだね。今日、俺ん家来る?親出張だから泊まれる。」
明「俺、仕事入ってるんだ。また今度。」
将「俺は行ける。」
一「じゃあ、将と俺で行くか。」
昼の約束を取り付けてみんなが自分の席に戻ると、ちょうどチャイムと一緒に栄美先生と夏が入ってきた。
今日の夏はだいぶ焦ってきたのか顔色が悪い。
汗だくで汗拭きシート1枚だけを使い、体中を拭いていく。
そしてまた携帯を開いてメッセージをたくさんの人に返している。
俺の中で夏は姐さんの好みの奴ってだけ思ってたけど、まさか相当の遊び人なのか?
俺は昼のHR前に夏に聞いてみることにした。
→ 何度も
と、ケトルでお湯を沸かす音で目が覚めた俺に姐さんはレトルトの味噌汁を1つ開けながら聞いてきた。
一「おはよ。飲むぅ…。ネギがいい。」
さき「残念。豆腐しかないでーす。」
俺はブーイングしながら起き上がり、姐さんの側に寄りその様子を見る。
最高な朝だな。
好きな人が俺のために朝飯作ってくれるなんて。
俺は姐さんの腰に抱きつき、温もりを感じる。
姐さんは俺より身長が2cm低いけれど、いつも俺の身長を越しちゃうヒールを履くから目線が下にあるのが珍しくて可愛く思える。
さき「火傷するよ。」
一「姐さんが気をつければいいんだよ。」
さき「他のとこ触ったらお湯かけるからね。」
一「はーい。」
俺は姐さんのくびれだけに抱きついて味噌汁が出来るのを待つ。
このなんともない時間が今の俺には幸福時間。
肌を合わせない喜びは姐さんとしか感じられない。
さき「くるくるっ…と。最高の朝ごはんだね。」
一「うん、俺のご馳走。」
2人でベランダに行き、少し湿った空気を感じながらお椀をコツンと合わせて1口飲む。
さき「うまぁ…。人工の味付け最高だ。」
姐さんは適量のお湯より3割減した濃いめのこの味噌汁が好き。
俺はそんな不健康そうなものを隠さず見せてくれる姐さんが好き。
一「姐さんってお湯少なめだよね。」
さき「濃くないと飲んだ気しなくない?」
一「まあね。腹には溜まらないけど。」
姐さんと一緒に夜を過ごせたからかとても空が澄んで見える。
その空の朝焼けは淡く白雲を染めていて寝過ごした夕方のような感覚に落ちそうだ。
一「ずっと俺に味噌汁作ってよ。」
俺はどこかで聞いたことがある言葉を姐さんに言って、ずっと一緒にいてくれるのを約束しようとする。
さき「家に来たらまた作ってあげるよ。」
まただ。
どうしていつも『いいよ』って言ってくれないんだろう。
一「…目玉焼きは?」
さき「無理。私ん家、フライパンないもん。」
一「俺ん家来てよ。」
さき「電車嫌いだもん。」
一「卒業したらこっちに引っ越す。」
さき「気分が乗ったら行ってあげる。」
一言ではやっぱりOKしてくれないんだよな。
そこが可愛くて好きなとこでもあるけど、ずっとそれじゃあ俺が可哀想だろ。
一「ちゅーしよ。」
さき「しても一が後悔するだけだよ。」
一「今、味噌汁の味になってるんだから気にならないよ。」
さき「そういうことじゃない。」
姐さんはそう言って、味噌汁を飲み干し部屋に戻ってしまう。
俺はそんな姐さんの背中をそのまま見送って、1人で昨日の夜の事を少し考える。
なんでラブホに男と入ってマッサージで終わることがあるんだろう。
でも、姐さんの肌はしっとりしてたから確かにマッサージはしたっぽいんだよな。
…女性用のものがあるって聞いたことがあるからそれかもしれない…けど、姐さんみたいに綺麗な人を誰もが放っておかないと思うんだ。
彼氏が欲しいっていう割には男からのアプローチに壁を作る姐さん。
けど、夏だけその壁を簡単に乗り越えて俺はすごいイラついた。
一目惚れがそんなに人を惹きあうのかよ。
俺は味噌汁を飲み干し、また寝ようとしている姐さんの側に寄る。
さき「早く出ないと皆勤賞取れないよ。」
俺はそのまま姐さんの首元にキスをした。
彦星と織姫がいる口にする勇気はないし、ほっぺはなんだか子どもっぽいから。
まだ昨日の風呂上がりから香っているはちみつ石鹸の味が、俺が初めて感じる姐さんの味だった。
するとさっきまで眠そうな顔をしていた姐さんが目を見開いて顔を真っ赤にする。
俺もその顔には内心驚いたが、いつも好きをはぐらかされるから少しは意識してもらった方がいいだろう。
一「行ってきます。」
俺は姐さんの頭を撫でてそのまま学校に向かい、教室に着いてから数分後、奏たちが普段より早く学校に来てくれた。
明「みんな来てくれてありがと!大好き!」
将「俺も好き。J ORICONNやってみたかったけど、レベル高いから1人でやる勇気なかった。」
海斗「俺も。卒業して経験積んでって思ったけど、今やってみた方が今後に繋がりそうだよな。」
奏「部門はチーム作品になるよね?3本の指に入るほど激戦区だから頑張ろうね。」
明「…ありがとう。こんな突発的に話したのに集まってくれると思わなかった。」
明が涙ぐみ、その背中を将が撫でる。
一「明がリーダーなんだからちゃんとしろよ。昨日、2人で色々考えてテーマを絞ってきたんだけど…」
俺と明で昨日ある程度決めていたテーマを紹介して、それぞれどんなものを作りたいかを説明していく。
それを3人は真剣に聞いて意見を出してくれる。
明「じゃあ、テーマは“天の川”で決定?」
「「「「けってーい!!」」」」
俺たちが作品のテーマを決める頃には大半のクラスメイトが学校に来ていて、もうすぐHRが始まることを教えてくれる。
海斗「じゃあ来週までにはキャラクターデザイン考えとく。」
明「うん!よろしく!」
将「俺らはとりあえず基礎鍛錬するか。」
奏「そうだね。今日、俺ん家来る?親出張だから泊まれる。」
明「俺、仕事入ってるんだ。また今度。」
将「俺は行ける。」
一「じゃあ、将と俺で行くか。」
昼の約束を取り付けてみんなが自分の席に戻ると、ちょうどチャイムと一緒に栄美先生と夏が入ってきた。
今日の夏はだいぶ焦ってきたのか顔色が悪い。
汗だくで汗拭きシート1枚だけを使い、体中を拭いていく。
そしてまた携帯を開いてメッセージをたくさんの人に返している。
俺の中で夏は姐さんの好みの奴ってだけ思ってたけど、まさか相当の遊び人なのか?
俺は昼のHR前に夏に聞いてみることにした。
→ 何度も
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