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MTG
どきどき嬉驚
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よし、よし、よーし。
飾り付けもごはんの準備もOK。
あとは信之のケーキと信之が家に帰ってくるだけ。
私は今日が全て上手くいき鼻歌まで歌っちゃうくらいるんるんで、信之が好きなケーキがあるあの街に向かう。
今日こそ成くんがいたらびゅんびゅんで帰ってこれたけど、さすがにそこまで人使い荒くすることは出来ないなと思い1人で電車に揺られる。
家から向こうまで1時間半かかるから、家に帰る頃にはもう19時になっちゃうな。
帰る頃には真っ暗確定の中、私はカフェ下にあるケーキ屋で信之の誕生日ケーキとしてミニケーキを買い、我慢できなくなったお腹の虫を抑えるために2階のカフェで少しだけごはんを食べることにした。
私は朝とは違うサンドイッチを食べながら、あの日よりも少し遅い日の入りを見て寒いテラス席で1人あの日のことを思い出す。
季節は違えど、信之が言う通りこの寒い時期は人はあまりいなくて、TVで見るような雰囲気とは全く違う印象のこの街は今住んでる街みたいに静かで落ち着いてて私も好きと思う。
…次の引越し先、ここがいいな。
と、不意にそう思ってしまったけれど、ここの地域には私の仕事先の系列店はないので絶対的に転職になる。
それでもいいけど、ジューンブライドから夏終わりまでとても忙しそうだなと若干気重になって、思い切って職種も変えてしまうのもありだなとこの間一季さんに言われたことを改めて考えてみた。
そんな風に新しい将来の道も考えてると信之のことも当然考えることになるけど、信之はその時もまだ私のそばにいてくれてるのかなといない未来を先に考えてしまう。
…だめだ。ここに1人でいられない。
私は冷え切ったサンドイッチを食べ終えて会計をしようとすると、仕事中なはずの信之から電話がかかってきた。
明人「もしもし。休憩中?」
信之『ううん。もう上がった。』
ん…?
あがった…?
え、もう上がった!?
明人「え、…え!?今日って夜までじゃなかったっけ?」
信之『そうなんだけど、プレゼントで半日休みもらったんだ。』
何がどうなったら休日をプレゼントをされるんだと私は電話をしながら静かに会計を済ませてカフェを出る。
信之『明人は今、外?なんか風強いね。』
明人「あ、うん。ちょっとぷらぁっとお散歩してた。」
ぷらぁっとの距離感ではないけど、往復3時間かけて2つのミニケーキを買いに来てるとは言えないし、せっかくのサプライズが台無しになる。
信之『そっか。俺はまだスーパーにいるんだけど、なにか買うものあるかなって思って電話したんだ。』
うわぁ…ぁ、優しさいっぱいで半日休みになった信之は良きなんだけど、私がそこにいないのが焦りを募らせる。
どうしよう…。
信之に何かしら買い物を頼んだとして、15分くらいしか時間が稼げない。
そこから信之がゆっくり家に帰ったとして30分。
私は今から電車を待って1時間ちょっと。
これ、どうすればいい?
サプライズの物は完璧なのにサプライズしようとしてる私がその場にいないってどういうこと?
信之『結構ありそう?だったらメッセージで買い物リスト送ってくれればいいよ。』
ひぇぇええ…、私が考えて何も言えない間もなんでそんなに優しいことを考えてくれるんだ。
好きの好きの大好きなんだけども、時間稼ぎしなきゃ。
明人「…えっとぉ、今日成紀くんとちょこっと呑み会しよっかなぁって。」
今日休みの知り合いが成くんしかいなかった私はこの後の電話で確約されるであろう予定を信之に伝える。
信之『そうだったんだ。じゃあ今は成紀さんと一緒?』
明人「ううん、まだ。これからって感じ。」
信之『そっか。じゃあ夜ごはんは俺が作っておくね。』
え?
なんでそうなる…?
信之を成くんの家に一旦保護して、私の時間を稼いでもらおうと思ったんだけど…。
明人「信之も来てほしいって。そのまま成紀くんの家に先に行ってて。私もすぐに着くと思う。」
信之『そうだったんだ。じゃあ、おつまみとお酒少し買ったら向かうね。』
明人「うん!またあとでね。」
信之『うん。またね。』
私はゆっくりと電話を切り、駅のホームから遠目で電車が見えるのを確認しながら成くんに電話をするとすぐに出てくれた。
明人「成くんの家で今から呑み会するから。ちょっとしたら先に信之が着くと思う。」
成『え!?今ちょっと…。』
明人「もしかしてデートとかだった…?」
成『ううん。違う方。』
違う方…?
質問の返し方おかしくない…?
まあいいや。
なんとか可愛こぶってお願いを通してもらおう。
明人「お願いっ。信之の誕生日、サプライズでお祝いしたいの。手伝って。」
成『いいけど、俺の誕生日めっちゃ無視してるよね?』
と、成くんは文句を垂れてきた 。
明人「ごめん。いつだっけ?」
成『6月15日だよ。明人は?』
明人「…12月15日。」
成『わぁ♡にあぴん♡今度お祝いし合うなら今日の呑み会開いてもいいよ?』
くそ…っ。
仕方ない必要投資ってやつだよな。
今日を成功させるにはとりあえず約束しとこう。
明人「分かった。私が行くまで時間稼ぎしといて。」
成『いいけど、明人は今どこにいるの?』
明人「甲佐浜。多分2時間くらいかかる。」
成『信之さんの誕生日なのに、なんでそんなとこまで行ってるの?』
明人「色々準備があって…。」
成『俺にもその熱量でお祝いしてね♡』
明人「はいはい。頑張ります。」
成『はーいっ。じゃあまた後で。』
明人「うん。よろしく。」
私は救世主な成くんに感謝をしながら足早に家に帰り、ケーキを家の冷蔵庫に置いてから成くんの家に向かった。
…………
成くんに感謝!
誕生日『6月15日』書いといた!
忘れても見れば思い出す。
…………
環流 虹向/エンディングノート
飾り付けもごはんの準備もOK。
あとは信之のケーキと信之が家に帰ってくるだけ。
私は今日が全て上手くいき鼻歌まで歌っちゃうくらいるんるんで、信之が好きなケーキがあるあの街に向かう。
今日こそ成くんがいたらびゅんびゅんで帰ってこれたけど、さすがにそこまで人使い荒くすることは出来ないなと思い1人で電車に揺られる。
家から向こうまで1時間半かかるから、家に帰る頃にはもう19時になっちゃうな。
帰る頃には真っ暗確定の中、私はカフェ下にあるケーキ屋で信之の誕生日ケーキとしてミニケーキを買い、我慢できなくなったお腹の虫を抑えるために2階のカフェで少しだけごはんを食べることにした。
私は朝とは違うサンドイッチを食べながら、あの日よりも少し遅い日の入りを見て寒いテラス席で1人あの日のことを思い出す。
季節は違えど、信之が言う通りこの寒い時期は人はあまりいなくて、TVで見るような雰囲気とは全く違う印象のこの街は今住んでる街みたいに静かで落ち着いてて私も好きと思う。
…次の引越し先、ここがいいな。
と、不意にそう思ってしまったけれど、ここの地域には私の仕事先の系列店はないので絶対的に転職になる。
それでもいいけど、ジューンブライドから夏終わりまでとても忙しそうだなと若干気重になって、思い切って職種も変えてしまうのもありだなとこの間一季さんに言われたことを改めて考えてみた。
そんな風に新しい将来の道も考えてると信之のことも当然考えることになるけど、信之はその時もまだ私のそばにいてくれてるのかなといない未来を先に考えてしまう。
…だめだ。ここに1人でいられない。
私は冷え切ったサンドイッチを食べ終えて会計をしようとすると、仕事中なはずの信之から電話がかかってきた。
明人「もしもし。休憩中?」
信之『ううん。もう上がった。』
ん…?
あがった…?
え、もう上がった!?
明人「え、…え!?今日って夜までじゃなかったっけ?」
信之『そうなんだけど、プレゼントで半日休みもらったんだ。』
何がどうなったら休日をプレゼントをされるんだと私は電話をしながら静かに会計を済ませてカフェを出る。
信之『明人は今、外?なんか風強いね。』
明人「あ、うん。ちょっとぷらぁっとお散歩してた。」
ぷらぁっとの距離感ではないけど、往復3時間かけて2つのミニケーキを買いに来てるとは言えないし、せっかくのサプライズが台無しになる。
信之『そっか。俺はまだスーパーにいるんだけど、なにか買うものあるかなって思って電話したんだ。』
うわぁ…ぁ、優しさいっぱいで半日休みになった信之は良きなんだけど、私がそこにいないのが焦りを募らせる。
どうしよう…。
信之に何かしら買い物を頼んだとして、15分くらいしか時間が稼げない。
そこから信之がゆっくり家に帰ったとして30分。
私は今から電車を待って1時間ちょっと。
これ、どうすればいい?
サプライズの物は完璧なのにサプライズしようとしてる私がその場にいないってどういうこと?
信之『結構ありそう?だったらメッセージで買い物リスト送ってくれればいいよ。』
ひぇぇええ…、私が考えて何も言えない間もなんでそんなに優しいことを考えてくれるんだ。
好きの好きの大好きなんだけども、時間稼ぎしなきゃ。
明人「…えっとぉ、今日成紀くんとちょこっと呑み会しよっかなぁって。」
今日休みの知り合いが成くんしかいなかった私はこの後の電話で確約されるであろう予定を信之に伝える。
信之『そうだったんだ。じゃあ今は成紀さんと一緒?』
明人「ううん、まだ。これからって感じ。」
信之『そっか。じゃあ夜ごはんは俺が作っておくね。』
え?
なんでそうなる…?
信之を成くんの家に一旦保護して、私の時間を稼いでもらおうと思ったんだけど…。
明人「信之も来てほしいって。そのまま成紀くんの家に先に行ってて。私もすぐに着くと思う。」
信之『そうだったんだ。じゃあ、おつまみとお酒少し買ったら向かうね。』
明人「うん!またあとでね。」
信之『うん。またね。』
私はゆっくりと電話を切り、駅のホームから遠目で電車が見えるのを確認しながら成くんに電話をするとすぐに出てくれた。
明人「成くんの家で今から呑み会するから。ちょっとしたら先に信之が着くと思う。」
成『え!?今ちょっと…。』
明人「もしかしてデートとかだった…?」
成『ううん。違う方。』
違う方…?
質問の返し方おかしくない…?
まあいいや。
なんとか可愛こぶってお願いを通してもらおう。
明人「お願いっ。信之の誕生日、サプライズでお祝いしたいの。手伝って。」
成『いいけど、俺の誕生日めっちゃ無視してるよね?』
と、成くんは文句を垂れてきた 。
明人「ごめん。いつだっけ?」
成『6月15日だよ。明人は?』
明人「…12月15日。」
成『わぁ♡にあぴん♡今度お祝いし合うなら今日の呑み会開いてもいいよ?』
くそ…っ。
仕方ない必要投資ってやつだよな。
今日を成功させるにはとりあえず約束しとこう。
明人「分かった。私が行くまで時間稼ぎしといて。」
成『いいけど、明人は今どこにいるの?』
明人「甲佐浜。多分2時間くらいかかる。」
成『信之さんの誕生日なのに、なんでそんなとこまで行ってるの?』
明人「色々準備があって…。」
成『俺にもその熱量でお祝いしてね♡』
明人「はいはい。頑張ります。」
成『はーいっ。じゃあまた後で。』
明人「うん。よろしく。」
私は救世主な成くんに感謝をしながら足早に家に帰り、ケーキを家の冷蔵庫に置いてから成くんの家に向かった。
…………
成くんに感謝!
誕生日『6月15日』書いといた!
忘れても見れば思い出す。
…………
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