18 / 97
MGR
うまもち贈物
しおりを挟む
これ…、本当にコンビニのおでんなの…?
美味すぎだろっ。
私はオアシスさんと一緒にコンビニで買ったおでんを一緒に食べ進める。
私ははんぺんと大根、こんにゃくとオアシスさんからもらった半分の餅巾着をしっかり味わうため、ゆっくり食べる。
オアシスさんは私と半分にした餅巾着と私があげたはんぺん1つ、ちくわぶ2つを食べて幸せそうにする。
なんでこの人は口にごはんを入れるだけでそんなに幸せそうな顔になるんだろうと、私はオアシスさんの顔を見ながら箸を進めているとぱちっと目が合ってしまった。
やばいっ。見すぎた。
私はいい女風に笑いかける余裕もなく、横目で見えた信号機を見てその場を濁す。
環酉「…男と深夜にごはん食べてるって彼氏さんにバレたらまずいですよね。」
と、突然オアシスさんは申し訳なさそうに聞いてきた。
明人「私、彼氏いないのでまずいも何もないです。」
環酉「あ…、え?そうなんですか?」
私が言った言葉が信じられなかったのか、オアシスさんは少しびっくりした顔を私にまっすぐ向けた。
明人「はい。前に別れてからだいぶ経ちます。」
もう少しで3年彼氏がいないなんて言えない。
オアシスさんには魅力あり気な女を装いたいけど、ズボラな行動をしてしまった私の過去がなかなかそうさせてくれない。
環酉「なんだ…。てっきり…。」
てっきり、なんですか。
そこで言葉を区切らないで教えてください。
キスマーク見ちゃったんですよね。
ちょっと毛玉ついてるブラひも見ましたよね。
それを思い出したなら今すぐ記憶抹消したいんですけど、何を思い出したのか聞いてもいいですか?
明人「…てっきり?」
環酉「いや、なんでもないです。」
そう言ってオアシスさんは少なめにしたおでんの汁を全て飲み干した。
私はオアシスさんとの時間が終わるのが嫌でゆっくり食べてしまったけど、まだはんぺんと大根と半分にした餅巾着が残ってる。
この時間は終わってほしくないけど、オアシスさんをこんな寒空にずっといさせる訳には行かないし早く食べよう…。
私はいつも通りの口で一口大根を食べるともうすでにぬるくなっていることに気がつく。
…急に不味くなるなよ。
今、美味しくなくていつ美味しくなるんだ。
私がぬるめのおでんの汁を一口飲むとオアシスさんと器越しに目が合った。
環酉「ぬるくなってませんか。」
と、オアシスさんは私の口元にある器にそっと触れて温度を確かめる。
環酉「レンジで温めますか?」
明人「…コンビニの?」
環酉「俺の家の。」
私はその言葉に驚き、おでんの器から手を離しそうになるとオアシスさんがとっさにキャッチしてくれた。
環酉「采原さんがよければココアもご馳走します。どうでしょうか…?」
寒さで鼻と頬が一直線で赤くなっているオアシスさんの目は潤んでいて、街灯から照らされる光で宝石のように煌めいて見えるオアシスさんの目の虜になった私はもっと一緒にいたいと思ってしまい、静かに頷く。
環酉「ここから5分もしないとこにあって、暖房もつけたままにしてるので暖かいと思います。」
そう言ったオアシスさんは私のおでんの容器を取り蓋を閉めて、手早く荷物をまとめると立ち上がった。
環酉「…行き、ます?」
明人「行きます…。」
行きます、行きます、行きますとも。
この誘いに乗らないバカに私はなりたくない。
男の部屋だろうとも、自分の家が目の前にあろうとも、足の臭いが気になろうとも、一旦オアシスさんの家には行きたい。
しかもオアシスさんが誘ってくれるなんて嬉しすぎるっ。
私は1日遅れの誕生日プレゼントとサンタさんの働きに感謝しながら、オアシスさんの家に向かった。
…………
冷えたおでんに感謝する日が来るとは思わなかった。
今日の氷点下、ぬるいおでん、ありがとう。
…………
環流 虹向/エンディングノート
美味すぎだろっ。
私はオアシスさんと一緒にコンビニで買ったおでんを一緒に食べ進める。
私ははんぺんと大根、こんにゃくとオアシスさんからもらった半分の餅巾着をしっかり味わうため、ゆっくり食べる。
オアシスさんは私と半分にした餅巾着と私があげたはんぺん1つ、ちくわぶ2つを食べて幸せそうにする。
なんでこの人は口にごはんを入れるだけでそんなに幸せそうな顔になるんだろうと、私はオアシスさんの顔を見ながら箸を進めているとぱちっと目が合ってしまった。
やばいっ。見すぎた。
私はいい女風に笑いかける余裕もなく、横目で見えた信号機を見てその場を濁す。
環酉「…男と深夜にごはん食べてるって彼氏さんにバレたらまずいですよね。」
と、突然オアシスさんは申し訳なさそうに聞いてきた。
明人「私、彼氏いないのでまずいも何もないです。」
環酉「あ…、え?そうなんですか?」
私が言った言葉が信じられなかったのか、オアシスさんは少しびっくりした顔を私にまっすぐ向けた。
明人「はい。前に別れてからだいぶ経ちます。」
もう少しで3年彼氏がいないなんて言えない。
オアシスさんには魅力あり気な女を装いたいけど、ズボラな行動をしてしまった私の過去がなかなかそうさせてくれない。
環酉「なんだ…。てっきり…。」
てっきり、なんですか。
そこで言葉を区切らないで教えてください。
キスマーク見ちゃったんですよね。
ちょっと毛玉ついてるブラひも見ましたよね。
それを思い出したなら今すぐ記憶抹消したいんですけど、何を思い出したのか聞いてもいいですか?
明人「…てっきり?」
環酉「いや、なんでもないです。」
そう言ってオアシスさんは少なめにしたおでんの汁を全て飲み干した。
私はオアシスさんとの時間が終わるのが嫌でゆっくり食べてしまったけど、まだはんぺんと大根と半分にした餅巾着が残ってる。
この時間は終わってほしくないけど、オアシスさんをこんな寒空にずっといさせる訳には行かないし早く食べよう…。
私はいつも通りの口で一口大根を食べるともうすでにぬるくなっていることに気がつく。
…急に不味くなるなよ。
今、美味しくなくていつ美味しくなるんだ。
私がぬるめのおでんの汁を一口飲むとオアシスさんと器越しに目が合った。
環酉「ぬるくなってませんか。」
と、オアシスさんは私の口元にある器にそっと触れて温度を確かめる。
環酉「レンジで温めますか?」
明人「…コンビニの?」
環酉「俺の家の。」
私はその言葉に驚き、おでんの器から手を離しそうになるとオアシスさんがとっさにキャッチしてくれた。
環酉「采原さんがよければココアもご馳走します。どうでしょうか…?」
寒さで鼻と頬が一直線で赤くなっているオアシスさんの目は潤んでいて、街灯から照らされる光で宝石のように煌めいて見えるオアシスさんの目の虜になった私はもっと一緒にいたいと思ってしまい、静かに頷く。
環酉「ここから5分もしないとこにあって、暖房もつけたままにしてるので暖かいと思います。」
そう言ったオアシスさんは私のおでんの容器を取り蓋を閉めて、手早く荷物をまとめると立ち上がった。
環酉「…行き、ます?」
明人「行きます…。」
行きます、行きます、行きますとも。
この誘いに乗らないバカに私はなりたくない。
男の部屋だろうとも、自分の家が目の前にあろうとも、足の臭いが気になろうとも、一旦オアシスさんの家には行きたい。
しかもオアシスさんが誘ってくれるなんて嬉しすぎるっ。
私は1日遅れの誕生日プレゼントとサンタさんの働きに感謝しながら、オアシスさんの家に向かった。
…………
冷えたおでんに感謝する日が来るとは思わなかった。
今日の氷点下、ぬるいおでん、ありがとう。
…………
環流 虹向/エンディングノート
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R18】優しい嘘と甘い枷~もう一度あなたと~
イチニ
恋愛
高校三年生の冬。『お嬢様』だった波奈の日常は、両親の死により一変する。
幼なじみで婚約者の彩人と別れなければならなくなった波奈は、どうしても別れる前に、一度だけ想い出が欲しくて、嘘を吐き、彼を騙して一夜をともにする。
六年後、波奈は彩人と再会するのだが……。
※別サイトに投稿していたものに性描写を入れ、ストーリーを少し改変したものになります。性描写のある話には◆マークをつけてます。
冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました
せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。
舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。
専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。
そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。
さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。
その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。
海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。
会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。
一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。
再会の日は……。
【完結】一夜の関係を結んだ相手の正体はスパダリヤクザでした~甘い執着で離してくれません!~
中山紡希
恋愛
ある出来事をキッカケに出会った容姿端麗な男の魅力に抗えず、一夜の関係を結んだ萌音。
翌朝目を覚ますと「俺の嫁になれ」と言い寄られる。
けれど、その上半身には昨晩は気付かなかった刺青が彫られていて……。
「久我組の若頭だ」
一夜の関係を結んだ相手は……ヤクザでした。
※R18
※性的描写ありますのでご注意ください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる