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VOL:14 キジネ公爵はお日様に吠える
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ボスク子爵家が大変な事になっている中、リシェルはミケネ侯爵家にはいなかった。
ミケネ侯爵夫妻は予定を前倒ししてリシェルをキジネ公爵家に向かわせていた。セルジオが廊下を歩くリシェルを見かけたが、当日中には既にキジネ公爵家にリシェルは住まいを移した。
予定では常駐ではなく他の使用人と交代で週替わりにミケネ侯爵家とキジネ公爵家を行き来する形態を考えていたが、ヨハネスへの貸付金でまだ縁が切れない以上ミケネ侯爵家にいるよりもキジネ公爵家で住み込みとした方がリシェルの安全が保たれると判断をした。
キジネ公爵家に住み込みとなったリシェルはラカント第2王子の専属侍女としての役割を任された。そうする事でより安全圏内にリシェルを置く事が出来る。
ただ、別れたとはいえセルジオが迷惑をかけている事はリシェルの耳にも噂は入って来る。リシェルは申し訳なさでいっぱいになりながらも務めを果たしていた。
他国の王族ではなく、ただの客として扱って欲しいと言うラカントはそんなリシェルを結構気に入っているようで、リシェルもラカントの人の良さには絆されているのか主従と言うよりも気の置けない友人のような会話をする事が多かった。
尤も当然不敬だからとリシェルは当初固辞していたが、ラカントに押し切られた感は否めない。
「ふーん。ミケネ侯爵家の門の前はそんな楽しい事になってるんだ?」
「楽しいだなんて。殿下はお戯れが過ぎます」
「そうかな。人って観察をするのは楽しいよ。僕の国は知っていると思うけれどかなりの貧乏国だったんだよね。そりゃもうビックリするくらいのド貧乏。アハハ」
リシェルも知らない訳ではない。
カスタード王国と言えば、そこに生まれただけで「負け組」と言われていた。奴隷制度があった時代でも、カスタード王国の国民であるより奴隷の方がまだ「健康で文化的な生活」が出来ると言われていたくらい。
ラカントは続けた。
「金は人を狂わせる。ある日突然人が変わるんだ。見た目は同じなのにまるで別人だよ?そりゃもう驚くのなんのって。その上、カスタード王国の国民だってたった半年で150万人増えたんだ。信じられる?」
「宝くじ高額当選の王都伝説のような話ですね。親戚だらけになるんだとか」
「それが現実にあったんだよ。だから今は兄上の発案でそれまでの台帳にある納税者を1本の木に見立てて枝分かれしていく周辺住民の特定をしているんだ。人ってね、責任を持たせるとこれまた変わるんだ。国民として認定するのに甘い汁だけを吸う害虫は駆除しないと、それまで辛酸を舐めてきた者が馬鹿を見るから」
「殿下はお名前ほどに甘くないって事ですわね」
「甘さの中に塩気や苦み、辛さがあるとアクセントになるからね」
「ふふっ。プディングのカラメルみたいですわ」
リシェルの言葉にラカントの眉がピクリと動く。
「これはもしかするともしかするかも?」ラカントはさらにリシェルを試した。
「でもさ、別れてもずっと一途に思っているなんて凄い事だよ?」
ラカントの言葉にリシェルはお代わりのお茶を注ぎながら、「いいえ」と短く返した。ラカントが淹れた茶の香りを楽しむのを見て、リシェルはポットを置く。
「諦めが悪いだけです。往生際が悪いとも言いますわね」
「手厳しいね。リシェルは未練も何もないって事?」
「全くないと言えば嘘になりますが、やり直せるかとなれば無理だと断言できます。騙されていた事を無かった事に出来ませんし、再構築をするに私の中に土台はもうありませんから彼とはリ・スタートの位置が変わります。同じ事が起こった時に、「またか」と低い期待値に希望を見出すなんてつまらないと思いませんか?」
「なるほどね…期待値低いんだ?」
「えぇ。お茶と一緒です。私と彼の関係は言うなれば、もう出涸らしも出涸らしになった茶葉なんです。彼は私との関係にまだ茶葉としての役割を求めていますが、一晩浸け置いても水の色も変わらない茶葉に茶としての使い道はありません。お茶としての期待値が低いのにいつまでもそこに拘る。面白味がありません」
「なるほど。どうせ再構築を願うならそれまでの茶葉としてではなく、茶葉だったからこその使い道を期待した方が建設的、そういうこと?」
「そうですね。ラカント様。お手が止まっておりますよ。ご帰国までに販路開拓されるのでしょう?時間は有限で御座いますわよ」
「リシェルはメイちゃんと同じ事を言うんだな。メイちゃんも1日は24時間しかないのよ!ってよく言うんだ。女性って凄いよね。メイちゃんはブリって魚の養殖をしてるんだけどさ、モジャコからワカシ、そしてイナダとなってワラサの次がブリ。同じ魚だけど大きさで呼び名が変わって値段も違うんだ。
で、養殖を始めた頃に出会ったんだけど漁師たちはメイちゃんの事をバカにして笑ってた。でもね、メイちゃんは言ったんだ。時化の時は漁に出られないけれど食べたい人の数は減らない。我慢をしてるだけ。なら海が時化でも天候が悪くても定期的に、しかも一番高価なブリを提供できるようになれば皆の生活も安定するでしょうって。釣れない時があるなら育てればいいって。目から鱗だったよ」
「はいはい。惚気はそこまでです!お仕事してください。メイちゃんにも嫌われますよ」
リシェルの言葉にラカントは「はーい」子供のような返答をして書類に向き合った。
まだ側付侍女となってほんの数日。両手両足の数で足りる日数だがリシェルはラカントと砕けた会話をするのが楽しくて仕方なかった。
そして見た事も無いカスタード王国という国に思いを馳せるようにもなり、キジネ公爵家にある書庫でカスタード王国についての資料を借りて夜更けまで没頭する日もあった。
火山があって煤けているのに海があって魚を養殖と言う形で飼っている。想像するだけで楽しかったしシュトーレン王国では馬車が普通なのに馬や牛、ロバと言った「生き物」ではない乗り物に乗って移動する。見た事も無い形を挿絵で見てどんな動きをするのか想像をする。
――行ってみたいけれど、無理だわ――
現実を考えれば国を超えての旅行なんてリシェルに限らずミケネ侯爵夫妻でも大きなイベントで生涯に1度あるかどうか。叶わない夢は見るもんじゃない。そう、セルジオとの未来だって所詮は…。
リシェルはわき上がる気持ちに蓋をした。
2人のやり取りを新しい顧客リストを持ってやってきたキジネ公爵は「立ち聞きは良くない」と思いつつも部屋に入らずに聞き耳を立てた。
――ふむ。もしかすると彼女は慣習に凝り固まったこの国よりも、急成長をしているカスタード王国のほうが生きやすいかも知れない――
そんな事も考えた。
可愛い妹のミケネ侯爵夫人を呼ぶ口実にもなる。
――そうだ!――
何かを閃いたキジネ公爵はラカントの部屋を訪れることなく自身の執務室に戻った。早速ミケネ侯爵と知己の仲でもあるアルミ伯爵に手紙を書いた。
「これを急いで届けてくれないか」
「承知致しました」
従者が手紙を持って宛先に向かうとキジネ公爵は椅子をクルリと回す。
回り過ぎて1回転してしまい、元の位置に戻ってしまったが今度はつま先でトテトテと椅子を半回転させた。
いつも背中にお日様を!
そうしておけば冬場は日向ぼっこのように温かいので、つい丸まって昼寝をしてしまうのが玉に瑕な背面の窓。夏場は背中がじりじり焼けるように熱いので日差しカットのために最近取り付けた横型ブラインドのスラットを指で下げて庭を見た。
「うぉぉぉ~!!やるぞぉ!!」
眩しいのでお日様を直視は出来ないがキジネ公爵はお日様に吠える。
執事のヤマサンがそっと「ボス、忘れてますよ」UVカット付きサングラスを手渡した。
ミケネ侯爵夫妻は予定を前倒ししてリシェルをキジネ公爵家に向かわせていた。セルジオが廊下を歩くリシェルを見かけたが、当日中には既にキジネ公爵家にリシェルは住まいを移した。
予定では常駐ではなく他の使用人と交代で週替わりにミケネ侯爵家とキジネ公爵家を行き来する形態を考えていたが、ヨハネスへの貸付金でまだ縁が切れない以上ミケネ侯爵家にいるよりもキジネ公爵家で住み込みとした方がリシェルの安全が保たれると判断をした。
キジネ公爵家に住み込みとなったリシェルはラカント第2王子の専属侍女としての役割を任された。そうする事でより安全圏内にリシェルを置く事が出来る。
ただ、別れたとはいえセルジオが迷惑をかけている事はリシェルの耳にも噂は入って来る。リシェルは申し訳なさでいっぱいになりながらも務めを果たしていた。
他国の王族ではなく、ただの客として扱って欲しいと言うラカントはそんなリシェルを結構気に入っているようで、リシェルもラカントの人の良さには絆されているのか主従と言うよりも気の置けない友人のような会話をする事が多かった。
尤も当然不敬だからとリシェルは当初固辞していたが、ラカントに押し切られた感は否めない。
「ふーん。ミケネ侯爵家の門の前はそんな楽しい事になってるんだ?」
「楽しいだなんて。殿下はお戯れが過ぎます」
「そうかな。人って観察をするのは楽しいよ。僕の国は知っていると思うけれどかなりの貧乏国だったんだよね。そりゃもうビックリするくらいのド貧乏。アハハ」
リシェルも知らない訳ではない。
カスタード王国と言えば、そこに生まれただけで「負け組」と言われていた。奴隷制度があった時代でも、カスタード王国の国民であるより奴隷の方がまだ「健康で文化的な生活」が出来ると言われていたくらい。
ラカントは続けた。
「金は人を狂わせる。ある日突然人が変わるんだ。見た目は同じなのにまるで別人だよ?そりゃもう驚くのなんのって。その上、カスタード王国の国民だってたった半年で150万人増えたんだ。信じられる?」
「宝くじ高額当選の王都伝説のような話ですね。親戚だらけになるんだとか」
「それが現実にあったんだよ。だから今は兄上の発案でそれまでの台帳にある納税者を1本の木に見立てて枝分かれしていく周辺住民の特定をしているんだ。人ってね、責任を持たせるとこれまた変わるんだ。国民として認定するのに甘い汁だけを吸う害虫は駆除しないと、それまで辛酸を舐めてきた者が馬鹿を見るから」
「殿下はお名前ほどに甘くないって事ですわね」
「甘さの中に塩気や苦み、辛さがあるとアクセントになるからね」
「ふふっ。プディングのカラメルみたいですわ」
リシェルの言葉にラカントの眉がピクリと動く。
「これはもしかするともしかするかも?」ラカントはさらにリシェルを試した。
「でもさ、別れてもずっと一途に思っているなんて凄い事だよ?」
ラカントの言葉にリシェルはお代わりのお茶を注ぎながら、「いいえ」と短く返した。ラカントが淹れた茶の香りを楽しむのを見て、リシェルはポットを置く。
「諦めが悪いだけです。往生際が悪いとも言いますわね」
「手厳しいね。リシェルは未練も何もないって事?」
「全くないと言えば嘘になりますが、やり直せるかとなれば無理だと断言できます。騙されていた事を無かった事に出来ませんし、再構築をするに私の中に土台はもうありませんから彼とはリ・スタートの位置が変わります。同じ事が起こった時に、「またか」と低い期待値に希望を見出すなんてつまらないと思いませんか?」
「なるほどね…期待値低いんだ?」
「えぇ。お茶と一緒です。私と彼の関係は言うなれば、もう出涸らしも出涸らしになった茶葉なんです。彼は私との関係にまだ茶葉としての役割を求めていますが、一晩浸け置いても水の色も変わらない茶葉に茶としての使い道はありません。お茶としての期待値が低いのにいつまでもそこに拘る。面白味がありません」
「なるほど。どうせ再構築を願うならそれまでの茶葉としてではなく、茶葉だったからこその使い道を期待した方が建設的、そういうこと?」
「そうですね。ラカント様。お手が止まっておりますよ。ご帰国までに販路開拓されるのでしょう?時間は有限で御座いますわよ」
「リシェルはメイちゃんと同じ事を言うんだな。メイちゃんも1日は24時間しかないのよ!ってよく言うんだ。女性って凄いよね。メイちゃんはブリって魚の養殖をしてるんだけどさ、モジャコからワカシ、そしてイナダとなってワラサの次がブリ。同じ魚だけど大きさで呼び名が変わって値段も違うんだ。
で、養殖を始めた頃に出会ったんだけど漁師たちはメイちゃんの事をバカにして笑ってた。でもね、メイちゃんは言ったんだ。時化の時は漁に出られないけれど食べたい人の数は減らない。我慢をしてるだけ。なら海が時化でも天候が悪くても定期的に、しかも一番高価なブリを提供できるようになれば皆の生活も安定するでしょうって。釣れない時があるなら育てればいいって。目から鱗だったよ」
「はいはい。惚気はそこまでです!お仕事してください。メイちゃんにも嫌われますよ」
リシェルの言葉にラカントは「はーい」子供のような返答をして書類に向き合った。
まだ側付侍女となってほんの数日。両手両足の数で足りる日数だがリシェルはラカントと砕けた会話をするのが楽しくて仕方なかった。
そして見た事も無いカスタード王国という国に思いを馳せるようにもなり、キジネ公爵家にある書庫でカスタード王国についての資料を借りて夜更けまで没頭する日もあった。
火山があって煤けているのに海があって魚を養殖と言う形で飼っている。想像するだけで楽しかったしシュトーレン王国では馬車が普通なのに馬や牛、ロバと言った「生き物」ではない乗り物に乗って移動する。見た事も無い形を挿絵で見てどんな動きをするのか想像をする。
――行ってみたいけれど、無理だわ――
現実を考えれば国を超えての旅行なんてリシェルに限らずミケネ侯爵夫妻でも大きなイベントで生涯に1度あるかどうか。叶わない夢は見るもんじゃない。そう、セルジオとの未来だって所詮は…。
リシェルはわき上がる気持ちに蓋をした。
2人のやり取りを新しい顧客リストを持ってやってきたキジネ公爵は「立ち聞きは良くない」と思いつつも部屋に入らずに聞き耳を立てた。
――ふむ。もしかすると彼女は慣習に凝り固まったこの国よりも、急成長をしているカスタード王国のほうが生きやすいかも知れない――
そんな事も考えた。
可愛い妹のミケネ侯爵夫人を呼ぶ口実にもなる。
――そうだ!――
何かを閃いたキジネ公爵はラカントの部屋を訪れることなく自身の執務室に戻った。早速ミケネ侯爵と知己の仲でもあるアルミ伯爵に手紙を書いた。
「これを急いで届けてくれないか」
「承知致しました」
従者が手紙を持って宛先に向かうとキジネ公爵は椅子をクルリと回す。
回り過ぎて1回転してしまい、元の位置に戻ってしまったが今度はつま先でトテトテと椅子を半回転させた。
いつも背中にお日様を!
そうしておけば冬場は日向ぼっこのように温かいので、つい丸まって昼寝をしてしまうのが玉に瑕な背面の窓。夏場は背中がじりじり焼けるように熱いので日差しカットのために最近取り付けた横型ブラインドのスラットを指で下げて庭を見た。
「うぉぉぉ~!!やるぞぉ!!」
眩しいのでお日様を直視は出来ないがキジネ公爵はお日様に吠える。
執事のヤマサンがそっと「ボス、忘れてますよ」UVカット付きサングラスを手渡した。
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