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第48話 結婚の許し
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ベラリアの治療については前例がない。
アオムシ病は皮膚に色がつけば致死率100%それが当たり前だった。
各種の魔法が同時に使えるツェーザルだからこそ出来る芸当。
ただ、この話を報告はせねばならず、王宮に持ち込んだ時「名医」と言われ貴族が列を成す医師は「邪道だ」「医療行為だぞ?」「人体実験だ」と口を揃えて反対をした。
中には「自分の子供にも同じ事が出来るのか」とツェーザルに問うた者もいる。
ツェーザルは鼻で笑って「やるけど?」と答えた。
「ゴチャゴチャ言う前にアオムシ病は何年前からの病気だ?軽く200年は超えるだろう?なのにいまだに治りません、お手上げですと手を放す奴らに四の五の言われる筋合いはねぇし、そんな奴に我が子を託す馬鹿親にはなりたくないんでね」
文句を言う者を黙らせた後は、念のためにサディスがベラリアに声を掛けた。
「初めての試みだ。君を実験に使ったというものもいるだろう。結果がどうあれ魔法での病原菌除去を望むか?」
「はい。上手く行けば国内成功例の1番目。失敗したってあと1、2か月持てばいい命です。なんの悔いも憂いもありません」
「そうか。彼は全力を尽くすと言ってくれている。感謝だな。上手く行けば・・・子供たちに未来があるかも知れん」
「子供?アナベルの?」
「いいや。体内で母親が感染することでアオムシ病を持って生れて来る子供達だ」
「そうですか。私、そういうのも何も知らなかった。こんな痛みを持ってうまれるなんて・・・だったら‥私も任せるだけじゃなく気持ちで病原菌をやっつけます」
ベラリアの言質も取れ、「どうなっても知りませんからね」という医者も見守る中、ツェーザルはベラリアの体の中を「探索」し病原菌を追い込み、魔力をあてて粉砕したところを吸引。
昼前に始まったが、茶の時間には終わりベラリアの肌は元の色を取り戻していた。
魔力をかけ終わったツェーザルの元にアナベルは駆け寄り体調を気遣ったが・・・。
「ま、適性を調べられる試験は相手が人間の何倍もある馬や牛で病原菌も数種類だからな。3時間もかかったとクレメンス殿下に知られたら・・・鍛錬の時間を倍にされるから内緒な」
面目を潰されたのはツェーザルを鼻で笑った医師たち。
クシャミをしただけで高額な診療費と薬代で成り立っていた彼らの元に患者がピタリと来なくなるのに時間はかからないだろう。
ベラリアは夜にはもう寝台から出る事が出来たが、なんせ栄養失調はどうにもならない。
動けるようになるまではカトゥル侯爵家で下女として住み込みで働く事も決まった。
「アナベル。ありがとう。私・・・貴女に酷い事ばかり・・・謝って済むとは思ってないわ」
「いいの…とは言えないけど、私、今、凄く幸せなの。見ようによっては貴女を踏み台にして掴んだ幸せかも知れないわ。それにお礼を言われることじゃないの。私だって以前は貴女にルーシュを押し付けて逃げる事が出来ればって・・・何度も考えたし、お父様にお願いした事もあるもの。酷い女なのよ?」
「踏み台っ?!いいわ!幾らでも踏み台になるわ。どんどん踏んで行って!それと!酷い女っていうのはね、世界で一番幸せになってから、踏み台にした女にその台詞を吐くのよ?貴女はまだまだ幸せになれるし、なってもらわなきゃ・・・私、恩が返せないわ」
「侯爵家を出た後はどうするの?まさか娼婦に戻るなんて言わないでしょうね?」
「戻らないわ。当たり前でしょ?アナベルのお父様が救護院に世話をしてくれるって。国王陛下に聞いたの。あの痛みを生まれた日、ううん。お腹の中にいる時から味わう子供がいるって。汚れ物を洗う係でも何でもいいの。そういう子供たちのために私、働くわ」
まだひょろひょろの枯れ枝のような体のベラリア。
でもその心は瑞々しい若木のように生き生きとしていた。
★~★
「で?私の可愛いアナベルを妻にしたいと?」
「は、はい」
大きな体を小さくしてツェーザルはアナベルの父、カトゥル侯爵に頭を下げる。
しかし1年前、クレメンスから詫び状を受け取り、直接の謝罪を受けたカトゥル侯爵は、その後のアナベルが順調に魔力を制御出来ていると報告を受けていて、帰国するのを楽しみにしていた。
「こんな見てくれですけども、大切にします!約束します!」
「そんなの当たり前だ!見てくれ?男はなっ!顔じゃないんだよ!擦り傷一つ絶対に許さんからな!」
「では、お許しいただけると?」
「ダメだ!ダメだ!マジルカ王国に住んだら、会えないじゃないか!」
「だったらこちらに移住を・・・」
「こんな大きな息子!絶対アナベルを離す気ないだろう?今だって私の目の前なのに隣に並んで座っているし!!手まで繋いでっ!これで反対したらアナベルに嫌われるじゃないか!」
「はぁ~」と溜息を吐いた侯爵夫人。
「放っておいていいわ。里帰りする時は連絡くれればいいわ」
「その件ですが・・・転移という魔法で直ぐなので連絡を出す前に着くかと」
「だったら3日!いや2日に1度帰って来ることが条け―――うごっ!」
「お黙り。そんなに頻繁に帰らなくていいわ。新婚の邪魔をするほど野暮でもないわよね?あ・な・たッ!」
モフモフ好きは母親譲り。
カトゥル侯爵も若い頃はフサフサのモフモフだった。
我が子がモフモフの最高峰を見逃すはずがない。何処の家も女主人の権力は絶対。
アナベルとツェーザルは両親にも認められて王太子クレメンスが置いて行ったという離縁書を暖炉にくべた。
★~★
次回最終回
チャッチャララララ~
金蔓だったベラリアの帰りを待ちわびるルーシュ。
しかし、待てど暮らせどベラリアは戻らない。
アオムシ病の痛みをワインで誤魔化すも、もうワインは瓶を逆さに向けても一滴も残っていない。
「くそっ!」唾を吐き、ワイン瓶を床に投げつけ破片が散らばる。
その時、扉が開いた・・・
「なにしてたんだ!」罵声を発するルーシュ。そんなルーシュに返事を返したのは…
次回!22時22分公開
「ルーシュ、馬鹿は死んでも治らない」
お楽しみに~
と・・・最終話は本当ですけど、いろいろと大嘘~\(^▼^)/ゲヘヘ
アオムシ病は皮膚に色がつけば致死率100%それが当たり前だった。
各種の魔法が同時に使えるツェーザルだからこそ出来る芸当。
ただ、この話を報告はせねばならず、王宮に持ち込んだ時「名医」と言われ貴族が列を成す医師は「邪道だ」「医療行為だぞ?」「人体実験だ」と口を揃えて反対をした。
中には「自分の子供にも同じ事が出来るのか」とツェーザルに問うた者もいる。
ツェーザルは鼻で笑って「やるけど?」と答えた。
「ゴチャゴチャ言う前にアオムシ病は何年前からの病気だ?軽く200年は超えるだろう?なのにいまだに治りません、お手上げですと手を放す奴らに四の五の言われる筋合いはねぇし、そんな奴に我が子を託す馬鹿親にはなりたくないんでね」
文句を言う者を黙らせた後は、念のためにサディスがベラリアに声を掛けた。
「初めての試みだ。君を実験に使ったというものもいるだろう。結果がどうあれ魔法での病原菌除去を望むか?」
「はい。上手く行けば国内成功例の1番目。失敗したってあと1、2か月持てばいい命です。なんの悔いも憂いもありません」
「そうか。彼は全力を尽くすと言ってくれている。感謝だな。上手く行けば・・・子供たちに未来があるかも知れん」
「子供?アナベルの?」
「いいや。体内で母親が感染することでアオムシ病を持って生れて来る子供達だ」
「そうですか。私、そういうのも何も知らなかった。こんな痛みを持ってうまれるなんて・・・だったら‥私も任せるだけじゃなく気持ちで病原菌をやっつけます」
ベラリアの言質も取れ、「どうなっても知りませんからね」という医者も見守る中、ツェーザルはベラリアの体の中を「探索」し病原菌を追い込み、魔力をあてて粉砕したところを吸引。
昼前に始まったが、茶の時間には終わりベラリアの肌は元の色を取り戻していた。
魔力をかけ終わったツェーザルの元にアナベルは駆け寄り体調を気遣ったが・・・。
「ま、適性を調べられる試験は相手が人間の何倍もある馬や牛で病原菌も数種類だからな。3時間もかかったとクレメンス殿下に知られたら・・・鍛錬の時間を倍にされるから内緒な」
面目を潰されたのはツェーザルを鼻で笑った医師たち。
クシャミをしただけで高額な診療費と薬代で成り立っていた彼らの元に患者がピタリと来なくなるのに時間はかからないだろう。
ベラリアは夜にはもう寝台から出る事が出来たが、なんせ栄養失調はどうにもならない。
動けるようになるまではカトゥル侯爵家で下女として住み込みで働く事も決まった。
「アナベル。ありがとう。私・・・貴女に酷い事ばかり・・・謝って済むとは思ってないわ」
「いいの…とは言えないけど、私、今、凄く幸せなの。見ようによっては貴女を踏み台にして掴んだ幸せかも知れないわ。それにお礼を言われることじゃないの。私だって以前は貴女にルーシュを押し付けて逃げる事が出来ればって・・・何度も考えたし、お父様にお願いした事もあるもの。酷い女なのよ?」
「踏み台っ?!いいわ!幾らでも踏み台になるわ。どんどん踏んで行って!それと!酷い女っていうのはね、世界で一番幸せになってから、踏み台にした女にその台詞を吐くのよ?貴女はまだまだ幸せになれるし、なってもらわなきゃ・・・私、恩が返せないわ」
「侯爵家を出た後はどうするの?まさか娼婦に戻るなんて言わないでしょうね?」
「戻らないわ。当たり前でしょ?アナベルのお父様が救護院に世話をしてくれるって。国王陛下に聞いたの。あの痛みを生まれた日、ううん。お腹の中にいる時から味わう子供がいるって。汚れ物を洗う係でも何でもいいの。そういう子供たちのために私、働くわ」
まだひょろひょろの枯れ枝のような体のベラリア。
でもその心は瑞々しい若木のように生き生きとしていた。
★~★
「で?私の可愛いアナベルを妻にしたいと?」
「は、はい」
大きな体を小さくしてツェーザルはアナベルの父、カトゥル侯爵に頭を下げる。
しかし1年前、クレメンスから詫び状を受け取り、直接の謝罪を受けたカトゥル侯爵は、その後のアナベルが順調に魔力を制御出来ていると報告を受けていて、帰国するのを楽しみにしていた。
「こんな見てくれですけども、大切にします!約束します!」
「そんなの当たり前だ!見てくれ?男はなっ!顔じゃないんだよ!擦り傷一つ絶対に許さんからな!」
「では、お許しいただけると?」
「ダメだ!ダメだ!マジルカ王国に住んだら、会えないじゃないか!」
「だったらこちらに移住を・・・」
「こんな大きな息子!絶対アナベルを離す気ないだろう?今だって私の目の前なのに隣に並んで座っているし!!手まで繋いでっ!これで反対したらアナベルに嫌われるじゃないか!」
「はぁ~」と溜息を吐いた侯爵夫人。
「放っておいていいわ。里帰りする時は連絡くれればいいわ」
「その件ですが・・・転移という魔法で直ぐなので連絡を出す前に着くかと」
「だったら3日!いや2日に1度帰って来ることが条け―――うごっ!」
「お黙り。そんなに頻繁に帰らなくていいわ。新婚の邪魔をするほど野暮でもないわよね?あ・な・たッ!」
モフモフ好きは母親譲り。
カトゥル侯爵も若い頃はフサフサのモフモフだった。
我が子がモフモフの最高峰を見逃すはずがない。何処の家も女主人の権力は絶対。
アナベルとツェーザルは両親にも認められて王太子クレメンスが置いて行ったという離縁書を暖炉にくべた。
★~★
次回最終回
チャッチャララララ~
金蔓だったベラリアの帰りを待ちわびるルーシュ。
しかし、待てど暮らせどベラリアは戻らない。
アオムシ病の痛みをワインで誤魔化すも、もうワインは瓶を逆さに向けても一滴も残っていない。
「くそっ!」唾を吐き、ワイン瓶を床に投げつけ破片が散らばる。
その時、扉が開いた・・・
「なにしてたんだ!」罵声を発するルーシュ。そんなルーシュに返事を返したのは…
次回!22時22分公開
「ルーシュ、馬鹿は死んでも治らない」
お楽しみに~
と・・・最終話は本当ですけど、いろいろと大嘘~\(^▼^)/ゲヘヘ
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