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VOL:18 意外と献身的なローレンス
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シンシアを王都から遠く離れた領地に運ぶ特別隊。
戦場では1歩の遅れが明暗を分ける事を体で覚えている隊員たちは連携を取り、馬を休めながら1週間かけて領地に戻る。
野戦も野営も慣れたもので、わざわざ道具を運ばなくても現地調達してくる。
「この国で一番便利だなって思ったのはこのヤッスゥの実ですね。南国の島にあるヤシの実みたいだ」
「全くだ。試しに飲んでみた時はビックリしたよ」
「そうそう、中身はまんまビネガーだったからな。思いっきり飲み込んでむせちまった」
特別隊には特に階級は存在していない。
ローレンスは昔の名残で将校殿と呼ばれてはいるが、後方で戦の成り行きを見守る陸軍と違い海軍は同じ船に乗船する事から沈没する時も仲間と共にある。そこに階級をつけた所で意味がない。
それがローレンスが指揮する艦隊だった。
一緒に連れて来た魔導士にシンシアへの食事としての魔力は何時なのかと問えば「1週間後」なので領地への道中も1週間と設定をした。
馬を休ませるのに停車する時も、眠るシンシアに声が聞こえるように扉は全開。
魔導士の話では、目覚めないだけで意識はあるはずだと言うことで、楽し気な声にヒョコっと起き上がるかも知れない。その程度の期待からだった。
結果としては領地までの道中でシンシアが起き上がる事も瞼を開ける事も無かった。
通常ならご法度とされているが、ローレンスは夜になると馬車の中でシンシアと共に眠る。勿論同衾するのではなく、シンシアを寝かせている広めの椅子に背を預けて座って眠る。
もしもの時の敵襲に備えての事でもあったが、もう1つ意味があった。
「聞こえているのであれば」とローレンスは自身の瞼が落ちるまでシンシアに海軍として出掛けた異国の地の話を語って聞かせた。
馬車の中から聞こえるのは時折、声色を変えたローレンスの声だけ。
特別隊の仲間たちも馬車の中から漏れ聞こえるローレンスの声に時々、ツッコミを入れたりヤジを飛ばしたり。火の番をするものは合いの手を入れたりもした。
「この峠は最初に来た時は難攻不落かとおもったら実は道がついてた。俺たち崖に張り付いてたんだ」
ガタガタと揺れる馬車でローレンスは峠から見下ろす領地に広がった大麦畑を見せようとその時だけはシンシアを横抱きにして御者席に鎮座。手綱を握りながらシンシアに話しかけた。
ローレンスは馬車を止めて右を左を指差しながら「赤い屋根が見えるか?偏屈者の爺さんがいて薪割を散々やらされた」「大きな岩があるだろう?遠くから見たら丘かと思ったら大きな岩だった」諦めることなくシンシアがさも見ているかのように語り続けた。
「畑のど真ん中にある大きな木。見えるか?一度雷が直撃したそうなんだけどさ。凄いんだ。何時かは枯れるかも知れないが、大地に根を張って春には花が咲いて、夏は木陰を作って、秋にはシルビナンの実をつける。冬は雪が積もるんだけどどんなに積もってもあの木を超えるまでは積もらない。皆の目印になるんだ。こんな俺でも慕ってくれる仲間がいる。俺もあの木のように仲間に何をしてやれるようになりたい。そう思ってるんだ」
目覚めないシンシアの目には映らない大麦畑。そして大きな木。
ローレンスは「今度近くまで連れて行ってやるからな」と腕の中のシンシアに微笑んだ。
山の稜線まで登れば晴れた日には海が見える。海岸線からは遠く離れた地。
ローレンスは屋敷にシンシアを運び込み、一番日当たりが良く、窓を開ければ心地よい風が吹き抜ける部屋をシンシアにあてがった。
「起きませんでしたね。方法を変えてみますか?」
「そうだなぁ…取り敢えず明日から何日か羊の放牧を変わってくれないか?」
「連れて行くんですか?結構急な斜面なんで抱えるのも足元が危ないですよ」
「まぁ、慣れてるし…山の斜面は空気もまた美味いから目を覚ますかも知れない」
「気をつけてくださいよ?」
夜の帳が降りると仲間は家に戻っていく。
ローレンスは領地の中では比較的大きな屋敷に住んでいるが王都なら小屋と呼ばれるかも知れない。1人ではなく馬の急変にも対応できるように厩番が住み込みである。
「さて、恥ずかしいと思うが、我慢してくれよ」
何をするかと思えば、シンシアの掛布を捲り、腕を取ってマッサージ。続いて足もマッサージをして、膝を立てて下ろす、立てて下ろすを繰り替えす。
脚の指も手で覆うようにしてギュッと丸めたり、逆に力を入れて伸ばしたり。
「結構固いな…手もチョイ握りみたいな形のままになってなぁ…誰もマッサージしてくれなかったんだなぁ」
シンシアの手足は動かさない事から固まって体温も低かったが、マッサージをする事でほんのりと赤みを帯びた。実は馬車の中でもローレンスは語りを聞かせながらマッサージを行っていたのは仲間も知らない事実。
屋敷で寝る時も馬車の中と同じで変わったのは馬車の椅子を背にしていたのが寝台に変わった。
腕を組んで足を伸ばし、こっくりこっくり。時にコテっと上半身が倒れて目が覚め、また同じ姿勢に戻ってローレンスは眠る。
領地で迎えた初めての朝は雨。シンシアを連れて行くと聞いていた仲間が早朝やって来て羊を連れて山に登っていく。ローレンスは厩番と自分、そしてシンシアの朝食を作り始めた。
ニワトリを放し飼いしている柵の中に入って玉子を3つ拝借すると、次は牛舎。子牛が飲んでいる隣で必要な分だけを拝借し、軒先に吊るした干し肉を引きちぎって厨房に戻ってきた。
あまり収穫できない小麦を挽いて、玉子にミルク、そして牛乳から作ったバターを混ぜ、ソルト草の煮汁を冷ましたものを入れてコネコネ。本格的ではないので生地を寝かせることなく竈に張り付けて焼く。
干し肉とソルト草、そして少しの根菜を入れてスープを作る。
良い香りが厨房の中に広がり、その香りは他の部屋にも漂っていく。
仲間の家に宿泊をしていた魔導士がやって来る頃には朝食がそろそろ出来上がる。
「昨夜はどうでしたか?」
魔導士に聞かれ、「特に変わりはなかったかな」と告げた。
「朝のうちに魔力を流しておきましょうか」
「そうだな。1週間に1度だから腹ペコかも知れないしな」
ローレンスと魔導士は連れ立ってシンシアの部屋に向かい、開け放たれた扉の前でお互いの顔を見合わせた。
そこには、寝台のベッドボードに背を預け、上体を起こしたシンシアが目を開けてローレンスと魔魔導士に視線を向けているのが見えた。
「おはようございます」
声は届かなかったが、唇がそう動いた気がした。
「目が‥‥覚めてる?」
魔導士はそれだけ言葉を発すると、その場にへたり込んだ。
ローレンスは「ちょっと待ってろ」とテーブルに並べたばかりの朝食をトレーに載せて持って来た。
湯気の立つスープの香りが部屋の中に漂う。
「食えそうか?」
ローレンスはトレーを片手に持って寝台に腰を下ろすとシンシアに問いかけた。
「喉、喉乾いてないか?搾りたてなんだ。美味いぞ、飲んでみるか?」
シンシアはローレンスに瞼をゆっくり閉じて知らせたのだが、今度はローレンスがきょとんとした。
「もしかして、俺って訛りが強くて言葉か判らないのかな?え?早口?うーん…ま、いっか!」
ベッドサイドテーブルにトレーを置いたローレンスはスープの器とスプーンを手に持つと、具を避けて液体だけをスプーンに掬い、シンシアの唇に当てた。
スプーンを傾けて口の中にすぅーっと流し込むと、シンシアの喉がこくんと動いた。
「美味いだろ?いや、なんかさ、今朝はいつもより出来がいいなと思ってたんだけどさ、って自画自賛?まぁいっか。もっと飲むか?」
時が止まっているだけで病人ではない。目覚めれば、食事も通常食で問題ないと聞いていたローレンスはまるで雛鳥に餌を与える親鳥のようにシンシアにゆっくりとスープをまた飲ませた。
戦場では1歩の遅れが明暗を分ける事を体で覚えている隊員たちは連携を取り、馬を休めながら1週間かけて領地に戻る。
野戦も野営も慣れたもので、わざわざ道具を運ばなくても現地調達してくる。
「この国で一番便利だなって思ったのはこのヤッスゥの実ですね。南国の島にあるヤシの実みたいだ」
「全くだ。試しに飲んでみた時はビックリしたよ」
「そうそう、中身はまんまビネガーだったからな。思いっきり飲み込んでむせちまった」
特別隊には特に階級は存在していない。
ローレンスは昔の名残で将校殿と呼ばれてはいるが、後方で戦の成り行きを見守る陸軍と違い海軍は同じ船に乗船する事から沈没する時も仲間と共にある。そこに階級をつけた所で意味がない。
それがローレンスが指揮する艦隊だった。
一緒に連れて来た魔導士にシンシアへの食事としての魔力は何時なのかと問えば「1週間後」なので領地への道中も1週間と設定をした。
馬を休ませるのに停車する時も、眠るシンシアに声が聞こえるように扉は全開。
魔導士の話では、目覚めないだけで意識はあるはずだと言うことで、楽し気な声にヒョコっと起き上がるかも知れない。その程度の期待からだった。
結果としては領地までの道中でシンシアが起き上がる事も瞼を開ける事も無かった。
通常ならご法度とされているが、ローレンスは夜になると馬車の中でシンシアと共に眠る。勿論同衾するのではなく、シンシアを寝かせている広めの椅子に背を預けて座って眠る。
もしもの時の敵襲に備えての事でもあったが、もう1つ意味があった。
「聞こえているのであれば」とローレンスは自身の瞼が落ちるまでシンシアに海軍として出掛けた異国の地の話を語って聞かせた。
馬車の中から聞こえるのは時折、声色を変えたローレンスの声だけ。
特別隊の仲間たちも馬車の中から漏れ聞こえるローレンスの声に時々、ツッコミを入れたりヤジを飛ばしたり。火の番をするものは合いの手を入れたりもした。
「この峠は最初に来た時は難攻不落かとおもったら実は道がついてた。俺たち崖に張り付いてたんだ」
ガタガタと揺れる馬車でローレンスは峠から見下ろす領地に広がった大麦畑を見せようとその時だけはシンシアを横抱きにして御者席に鎮座。手綱を握りながらシンシアに話しかけた。
ローレンスは馬車を止めて右を左を指差しながら「赤い屋根が見えるか?偏屈者の爺さんがいて薪割を散々やらされた」「大きな岩があるだろう?遠くから見たら丘かと思ったら大きな岩だった」諦めることなくシンシアがさも見ているかのように語り続けた。
「畑のど真ん中にある大きな木。見えるか?一度雷が直撃したそうなんだけどさ。凄いんだ。何時かは枯れるかも知れないが、大地に根を張って春には花が咲いて、夏は木陰を作って、秋にはシルビナンの実をつける。冬は雪が積もるんだけどどんなに積もってもあの木を超えるまでは積もらない。皆の目印になるんだ。こんな俺でも慕ってくれる仲間がいる。俺もあの木のように仲間に何をしてやれるようになりたい。そう思ってるんだ」
目覚めないシンシアの目には映らない大麦畑。そして大きな木。
ローレンスは「今度近くまで連れて行ってやるからな」と腕の中のシンシアに微笑んだ。
山の稜線まで登れば晴れた日には海が見える。海岸線からは遠く離れた地。
ローレンスは屋敷にシンシアを運び込み、一番日当たりが良く、窓を開ければ心地よい風が吹き抜ける部屋をシンシアにあてがった。
「起きませんでしたね。方法を変えてみますか?」
「そうだなぁ…取り敢えず明日から何日か羊の放牧を変わってくれないか?」
「連れて行くんですか?結構急な斜面なんで抱えるのも足元が危ないですよ」
「まぁ、慣れてるし…山の斜面は空気もまた美味いから目を覚ますかも知れない」
「気をつけてくださいよ?」
夜の帳が降りると仲間は家に戻っていく。
ローレンスは領地の中では比較的大きな屋敷に住んでいるが王都なら小屋と呼ばれるかも知れない。1人ではなく馬の急変にも対応できるように厩番が住み込みである。
「さて、恥ずかしいと思うが、我慢してくれよ」
何をするかと思えば、シンシアの掛布を捲り、腕を取ってマッサージ。続いて足もマッサージをして、膝を立てて下ろす、立てて下ろすを繰り替えす。
脚の指も手で覆うようにしてギュッと丸めたり、逆に力を入れて伸ばしたり。
「結構固いな…手もチョイ握りみたいな形のままになってなぁ…誰もマッサージしてくれなかったんだなぁ」
シンシアの手足は動かさない事から固まって体温も低かったが、マッサージをする事でほんのりと赤みを帯びた。実は馬車の中でもローレンスは語りを聞かせながらマッサージを行っていたのは仲間も知らない事実。
屋敷で寝る時も馬車の中と同じで変わったのは馬車の椅子を背にしていたのが寝台に変わった。
腕を組んで足を伸ばし、こっくりこっくり。時にコテっと上半身が倒れて目が覚め、また同じ姿勢に戻ってローレンスは眠る。
領地で迎えた初めての朝は雨。シンシアを連れて行くと聞いていた仲間が早朝やって来て羊を連れて山に登っていく。ローレンスは厩番と自分、そしてシンシアの朝食を作り始めた。
ニワトリを放し飼いしている柵の中に入って玉子を3つ拝借すると、次は牛舎。子牛が飲んでいる隣で必要な分だけを拝借し、軒先に吊るした干し肉を引きちぎって厨房に戻ってきた。
あまり収穫できない小麦を挽いて、玉子にミルク、そして牛乳から作ったバターを混ぜ、ソルト草の煮汁を冷ましたものを入れてコネコネ。本格的ではないので生地を寝かせることなく竈に張り付けて焼く。
干し肉とソルト草、そして少しの根菜を入れてスープを作る。
良い香りが厨房の中に広がり、その香りは他の部屋にも漂っていく。
仲間の家に宿泊をしていた魔導士がやって来る頃には朝食がそろそろ出来上がる。
「昨夜はどうでしたか?」
魔導士に聞かれ、「特に変わりはなかったかな」と告げた。
「朝のうちに魔力を流しておきましょうか」
「そうだな。1週間に1度だから腹ペコかも知れないしな」
ローレンスと魔導士は連れ立ってシンシアの部屋に向かい、開け放たれた扉の前でお互いの顔を見合わせた。
そこには、寝台のベッドボードに背を預け、上体を起こしたシンシアが目を開けてローレンスと魔魔導士に視線を向けているのが見えた。
「おはようございます」
声は届かなかったが、唇がそう動いた気がした。
「目が‥‥覚めてる?」
魔導士はそれだけ言葉を発すると、その場にへたり込んだ。
ローレンスは「ちょっと待ってろ」とテーブルに並べたばかりの朝食をトレーに載せて持って来た。
湯気の立つスープの香りが部屋の中に漂う。
「食えそうか?」
ローレンスはトレーを片手に持って寝台に腰を下ろすとシンシアに問いかけた。
「喉、喉乾いてないか?搾りたてなんだ。美味いぞ、飲んでみるか?」
シンシアはローレンスに瞼をゆっくり閉じて知らせたのだが、今度はローレンスがきょとんとした。
「もしかして、俺って訛りが強くて言葉か判らないのかな?え?早口?うーん…ま、いっか!」
ベッドサイドテーブルにトレーを置いたローレンスはスープの器とスプーンを手に持つと、具を避けて液体だけをスプーンに掬い、シンシアの唇に当てた。
スプーンを傾けて口の中にすぅーっと流し込むと、シンシアの喉がこくんと動いた。
「美味いだろ?いや、なんかさ、今朝はいつもより出来がいいなと思ってたんだけどさ、って自画自賛?まぁいっか。もっと飲むか?」
時が止まっているだけで病人ではない。目覚めれば、食事も通常食で問題ないと聞いていたローレンスはまるで雛鳥に餌を与える親鳥のようにシンシアにゆっくりとスープをまた飲ませた。
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