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第15話 飛び出し注意!
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夕方になっても帰宅をしないビオレッタ。ライネルは部屋の中をウロウロとするだけで使用人の立てる物音を聞くたびに扉を開けて廊下を覗くが、ビオレッタではないと判るとまた扉を閉じて部屋をウロつく。
「もう夕食の時間だぞ。いったい何処に行ったんだ」
外はもう真っ暗になったが戻らないビオレッタにライネルは「オルバンシェ家に行く」と馬に飛び乗り屋敷を飛び出していった。
しかし、結婚をしたと言うのに門番の態度は依然と変わらない。
「主はお約束のない方とは会いません」
「娘の婿なんだぞ?」
「だからなんだというのです?」
門番では埒が明かない。
許された気になっていたのはライネルだけでオルバンシェ伯爵は「王命だから仕方がない」と王命受け入れただけ。ライネルの事は娘の婿とも、義理の息子とも思ってない事を思い出した。
「で、ではビオレッタを呼び出してくれないか」
これならオルバンシェ伯爵は関係ないだろうと思ったのだが門番の返事はライネルの予想していなかったものだった。
「お嬢様?ご冗談を。昨日貴方の元に嫁がれて以降、御戻りにはなっておりませんよ」
「戻っていない?」
「えぇ。私は昼からの当番ですが、本日は来客も御座いませんので」
ライネルが信じないと思ったのか門番は門を出入りした記録帳を「どうぞ」と差し出した。
ライネルを誤魔化すためだけに作ったにしては何カ月も前からの記録もあり、今日の記録にも早朝に1件。これは使用人で大門ではなく通用門をくぐった記録。
そしてレイスが1時間程何処かに出掛けて戻った記録。その次の行にライネルが今来ているが「取り付けなし」の部分にマル印が入っていた。
過去の記録を見ても、ライネルが追い返された日と、ビオレッタに紫のクロッカスを手渡した日の記録も記載されていて、記録帳が偽物ではない事を示していた。
家族の出入りも記録するのだからビオレッタに関しての記録も昨日、行き先が「ライネル・アガトン家」となっているだけでその後の記載はない。
仕方なく屋敷に戻ろうと引き返そうとした時、大門が開きオルバンシェ伯爵家の家紋のついた馬車が出て来た。ライネルは今しかない!と馬を降りると馬車の前に飛び出した。
「うわぁぁ!!」「ヒヒィィーン!!」
御者の叫び声と共に馬が嘶き、馬車が停まった。御者の背にある窓が少し開いた気がしたがライネルは構わず叫んだ。
「お願いです!話をさせてください!」
誰も返事を返さなかったが、カチンと留め具を外す音がして側面の小窓が開いた。
ライネルは顔を出した人物をよく知っていた。ビオレッタの父親、オルバンシェ伯爵だった。
駆け寄ると伯爵は馬車からは降りてはくれなかったが、小窓は少し開けたままにしてくれていた。
「ビオレッタが!ビオレッタが昼に出て行って戻らないのです。何処に行ったかご存じありませんか」
「知っていたとして教えると思うか?」
「それは・・・知っているのなら教えてください!」
「では、昨夜、君が何処で、何をしていたかを聞かせて貰おうか。勿論誰かと共にいたのならその者の名前もな」
「それは‥‥何故そんな事を今、聞くのです?」
「さぁ?何故だろうな。胸に手を当ててよく考えてみるが好かろう。出してくれ」
オルバンシェ伯爵の声が途切れれば小さく開いた小窓も閉じられ、カーテンが引かれた。
(まさか・・・知られているのか?)ライネルはオルバンシェ伯爵の乗った馬車を虚ろな目で見送った。
「もう夕食の時間だぞ。いったい何処に行ったんだ」
外はもう真っ暗になったが戻らないビオレッタにライネルは「オルバンシェ家に行く」と馬に飛び乗り屋敷を飛び出していった。
しかし、結婚をしたと言うのに門番の態度は依然と変わらない。
「主はお約束のない方とは会いません」
「娘の婿なんだぞ?」
「だからなんだというのです?」
門番では埒が明かない。
許された気になっていたのはライネルだけでオルバンシェ伯爵は「王命だから仕方がない」と王命受け入れただけ。ライネルの事は娘の婿とも、義理の息子とも思ってない事を思い出した。
「で、ではビオレッタを呼び出してくれないか」
これならオルバンシェ伯爵は関係ないだろうと思ったのだが門番の返事はライネルの予想していなかったものだった。
「お嬢様?ご冗談を。昨日貴方の元に嫁がれて以降、御戻りにはなっておりませんよ」
「戻っていない?」
「えぇ。私は昼からの当番ですが、本日は来客も御座いませんので」
ライネルが信じないと思ったのか門番は門を出入りした記録帳を「どうぞ」と差し出した。
ライネルを誤魔化すためだけに作ったにしては何カ月も前からの記録もあり、今日の記録にも早朝に1件。これは使用人で大門ではなく通用門をくぐった記録。
そしてレイスが1時間程何処かに出掛けて戻った記録。その次の行にライネルが今来ているが「取り付けなし」の部分にマル印が入っていた。
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家族の出入りも記録するのだからビオレッタに関しての記録も昨日、行き先が「ライネル・アガトン家」となっているだけでその後の記載はない。
仕方なく屋敷に戻ろうと引き返そうとした時、大門が開きオルバンシェ伯爵家の家紋のついた馬車が出て来た。ライネルは今しかない!と馬を降りると馬車の前に飛び出した。
「うわぁぁ!!」「ヒヒィィーン!!」
御者の叫び声と共に馬が嘶き、馬車が停まった。御者の背にある窓が少し開いた気がしたがライネルは構わず叫んだ。
「お願いです!話をさせてください!」
誰も返事を返さなかったが、カチンと留め具を外す音がして側面の小窓が開いた。
ライネルは顔を出した人物をよく知っていた。ビオレッタの父親、オルバンシェ伯爵だった。
駆け寄ると伯爵は馬車からは降りてはくれなかったが、小窓は少し開けたままにしてくれていた。
「ビオレッタが!ビオレッタが昼に出て行って戻らないのです。何処に行ったかご存じありませんか」
「知っていたとして教えると思うか?」
「それは・・・知っているのなら教えてください!」
「では、昨夜、君が何処で、何をしていたかを聞かせて貰おうか。勿論誰かと共にいたのならその者の名前もな」
「それは‥‥何故そんな事を今、聞くのです?」
「さぁ?何故だろうな。胸に手を当ててよく考えてみるが好かろう。出してくれ」
オルバンシェ伯爵の声が途切れれば小さく開いた小窓も閉じられ、カーテンが引かれた。
(まさか・・・知られているのか?)ライネルはオルバンシェ伯爵の乗った馬車を虚ろな目で見送った。
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