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元侯爵令嬢の一筆啓上
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「ではこれはお給金ですわ。小銭は切り上げております。確定申告用の源泉徴収票ですわ。勤務日数と勤務時間は触れておりませんので所得税は引いておりませんわ。ご自分で申告なさいませ。2月の半ばから3月半ばまでこの世で一番恐怖を感じる税務署で優しく手ほどきして頂けますわ」
エレインから若い馬を借り、またお手製弁当を手渡されると隣国付近まで転移をしてもらったリスクーパー君は船着き場の仕事に戻っていきます。
リスクーパー君のおかげで煙突もスッキリ掃除が終わりましたし、廃材も処分終わっております。
あと1週間弱で、ここともお別れかと思うと、是非のんびりしなくては!っと馬の世話の後はゴロゴロしております。
手にしているのは【俺●空】そしてその隣には【おれ●鉄兵】剣道漫画まで読んでいるのですねぇ。
ちょっとは女の子っぽいのも…と思ったら明日読むのでしょう。
テーブルの上には【いつもポケット●ショパン】【いろはにこん●いと】が置かれております。
読み終わったのは禁断の??兄妹に何故かドイツ軍も絡めた【BR●THERS】
きっと「ン」なのがツボなんでしょう。
フンフン♪と鼻歌交じりにページをめくっているとコンコンと誰かが玄関扉を叩きます。
「どなたですの?」
「エレイン様、私です。農夫のヤゼルです」
「僕もきたよ!」
「お代官さまっ!わたしも来ました!!」
「あらどうなさったの?少しお待ちになって」
玄関扉のチェーンを外すと、スっと差し出されるぶ厚い書類?手紙??思わず首を傾げています。
子供たちは足の悪い馬の元にわーっと走って行きます。
「なんの書類ですの?」
「書類というか…領主さまから預かってきました。返事が欲しいそうです」
「うーん‥‥困りましたわねぇ」
「無理ですか?」
「無理というか…この枚数でしょう?100枚近くあるんじゃありません?内容を理解してお返事を書いているとここを出ていく日になってしまいますわ」
書類であればエレインは侯爵家の書類は領地経営もしていましたので内容は判りますが、公爵家となると同じだとは言い切れないので読むのに3日。返事を纏めて1日。取りに来てもらう事は出来ないので今すぐとなるわけですがそれは物理的に無理です。
家が関わる書類を斜め読みで適当な答えは返せません。
「あと6日ですのに‥‥今更なんの嫌がらせなのかしら」
「返事は魔石電話でいいそうですよ」
「えっ?冗談でしょう?番号知りませんのに」
まさか夫婦ともにお互いの電話番号を知らないとは!!ですが農夫も困っております。
仕方なく、エレインは紙にペンでサラサラと一筆啓上。勿論余計な事は一切書きません。
【却下】
と書かれた用紙を受け取るヤゼル。内容はともかく返事がもらえたのでホッとしています。
エレインとしては中途半端に誰かが手を付けた書類ほど面倒なものはないと経験上知っておりますので、開封しない事にしたようです。
転移をすれば直ぐですが今夜は泊まってもらう事にして夕食を楽しみます。
「随分と大掛かりに掃除をしたんですねぇ。煙突まで大変だったでしょう?」
「大丈夫ですわ。乙がおりましたの。ホホホ」
「乙??」
「えぇ、元婚約者の元第三王子ですわ」
「いいんですか?そんな方を?」
「雇用契約もしましたわよ?問題ございません、何かあれば労働基準局から呼び出しがありますわ」
「いえ、そうではなくて…」
「ねぇお代官さまっ、馬がいないよ?逃げたの?」
「いいえ?貸して差し上げたんですわ」
「そっか。逃げたんなら探そうかと思ったよ」
「まさか♡わたくし、自分が望んで手にしたものは逃がしませんわ♡」
ギリギリ食べきれないかなぁと思った食材もちょうどなくなるかな?というくらいまでマジック保管庫はガラガラ。
マジック保管庫なので心配は不要ですが新しく始まる生活で全部を染めたいエレインには丁度なのかも知れません。
翌朝、転移魔法で送ろうかと思いましたが途中の親戚に用事があるからと農夫のヤゼルと子供たちが帰っていきます。
おそらくエレインがしたためた一筆啓上がパトリックに届くのは離縁の前日@エレインの誕生日でしょう。
「馬で走ってきても間に合わないでしょうから、ヤゼルさんが徒歩で丁度良かった♡」
またベッドに横になって漫画の続きを楽しむエレイン。
いったい何冊漫画を持っているのか‥‥大丈夫。マジック書庫が全てを収めております。ご安心あれ。
夜がふけていきます。ホーホー♪
エレインから若い馬を借り、またお手製弁当を手渡されると隣国付近まで転移をしてもらったリスクーパー君は船着き場の仕事に戻っていきます。
リスクーパー君のおかげで煙突もスッキリ掃除が終わりましたし、廃材も処分終わっております。
あと1週間弱で、ここともお別れかと思うと、是非のんびりしなくては!っと馬の世話の後はゴロゴロしております。
手にしているのは【俺●空】そしてその隣には【おれ●鉄兵】剣道漫画まで読んでいるのですねぇ。
ちょっとは女の子っぽいのも…と思ったら明日読むのでしょう。
テーブルの上には【いつもポケット●ショパン】【いろはにこん●いと】が置かれております。
読み終わったのは禁断の??兄妹に何故かドイツ軍も絡めた【BR●THERS】
きっと「ン」なのがツボなんでしょう。
フンフン♪と鼻歌交じりにページをめくっているとコンコンと誰かが玄関扉を叩きます。
「どなたですの?」
「エレイン様、私です。農夫のヤゼルです」
「僕もきたよ!」
「お代官さまっ!わたしも来ました!!」
「あらどうなさったの?少しお待ちになって」
玄関扉のチェーンを外すと、スっと差し出されるぶ厚い書類?手紙??思わず首を傾げています。
子供たちは足の悪い馬の元にわーっと走って行きます。
「なんの書類ですの?」
「書類というか…領主さまから預かってきました。返事が欲しいそうです」
「うーん‥‥困りましたわねぇ」
「無理ですか?」
「無理というか…この枚数でしょう?100枚近くあるんじゃありません?内容を理解してお返事を書いているとここを出ていく日になってしまいますわ」
書類であればエレインは侯爵家の書類は領地経営もしていましたので内容は判りますが、公爵家となると同じだとは言い切れないので読むのに3日。返事を纏めて1日。取りに来てもらう事は出来ないので今すぐとなるわけですがそれは物理的に無理です。
家が関わる書類を斜め読みで適当な答えは返せません。
「あと6日ですのに‥‥今更なんの嫌がらせなのかしら」
「返事は魔石電話でいいそうですよ」
「えっ?冗談でしょう?番号知りませんのに」
まさか夫婦ともにお互いの電話番号を知らないとは!!ですが農夫も困っております。
仕方なく、エレインは紙にペンでサラサラと一筆啓上。勿論余計な事は一切書きません。
【却下】
と書かれた用紙を受け取るヤゼル。内容はともかく返事がもらえたのでホッとしています。
エレインとしては中途半端に誰かが手を付けた書類ほど面倒なものはないと経験上知っておりますので、開封しない事にしたようです。
転移をすれば直ぐですが今夜は泊まってもらう事にして夕食を楽しみます。
「随分と大掛かりに掃除をしたんですねぇ。煙突まで大変だったでしょう?」
「大丈夫ですわ。乙がおりましたの。ホホホ」
「乙??」
「えぇ、元婚約者の元第三王子ですわ」
「いいんですか?そんな方を?」
「雇用契約もしましたわよ?問題ございません、何かあれば労働基準局から呼び出しがありますわ」
「いえ、そうではなくて…」
「ねぇお代官さまっ、馬がいないよ?逃げたの?」
「いいえ?貸して差し上げたんですわ」
「そっか。逃げたんなら探そうかと思ったよ」
「まさか♡わたくし、自分が望んで手にしたものは逃がしませんわ♡」
ギリギリ食べきれないかなぁと思った食材もちょうどなくなるかな?というくらいまでマジック保管庫はガラガラ。
マジック保管庫なので心配は不要ですが新しく始まる生活で全部を染めたいエレインには丁度なのかも知れません。
翌朝、転移魔法で送ろうかと思いましたが途中の親戚に用事があるからと農夫のヤゼルと子供たちが帰っていきます。
おそらくエレインがしたためた一筆啓上がパトリックに届くのは離縁の前日@エレインの誕生日でしょう。
「馬で走ってきても間に合わないでしょうから、ヤゼルさんが徒歩で丁度良かった♡」
またベッドに横になって漫画の続きを楽しむエレイン。
いったい何冊漫画を持っているのか‥‥大丈夫。マジック書庫が全てを収めております。ご安心あれ。
夜がふけていきます。ホーホー♪
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