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サビネコ便の臨時配達員
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エレインのいる別邸に向けて1頭の馬が疾走しております。
鞍に書かれたロゴを見るとどうやらサビネコ便のようですが、なんだが様子が変です。
背中には黒字に白、一部緑で【SABI CAT】と2段書きされたリュックを背負っておりますが中身入ってるんでしょうか。
サビネコ便が駆け抜ける様子を鍬を持って畑で作業する農夫が温かく見守りますが、皆その表情は暗いです。
「ねぇ、オババ、代官様ほんとにあと1か月で出ていっちゃうのかな」
「定めならね…従うしかないんだよ」
「オババぁ~うぇーん」
「オババにしっかりつかまっておいで・・・」
何処かで聞いたようなセリフの祖母と孫の会話にも目もくれず駆け抜けるサビネコ便。
今回が最後のサビネコ便だと哀愁を漂わせている農夫たち。サビネコ便は祠を左に舵を取り走り去ります。
「出来たわ!今更ながらに思うけど…これは人前では着られないわ!」
持ってきていた赤と黒のドレスをばらして作ったロングカーディガン。寒さを凌ぐ機能は一切持たないというある意味本当のオサレさんが着るようなロングカーディガン。
赤がベースで黒が斑点のようになっております。
「今日はお天気もいいし!今日しかないわね!」
カーディガンを手にして、ここには湖はないので河原でちょっと広めになった部分に足を運びます。
途中岩場になったあたりで木の棒を片手にベースを弾く真似をするのはエレイン。
河原に到着するとカーディガンを羽織って両手を広げて熱唱しております。
「ドォントゥ ノゥウ ワッチユガッ!! ♪」
知る人ぞ知るシンデ●ラの名曲のようでござる。PVの見過ぎなんでしょう。
「あっ!いけない。ヘアバンド忘れた!」
ハチマキのように巻いてたヘアバンドを忘れたと歩いて別邸まで帰ります。
「フレディなら上半身脱ぐだけでいいんだけど、髭はないし、あの色気はだせないのよねぇ」
ブツブツと呟いて別邸まで戻ると家の周りをウロウロとしている男が1人。
誰や?と目を凝らすと背中のリュックでサビネコ便だと解ります。
いつもはポストインなのに…やはり宅配BOXが必要だったか?と声をかけます。
「ご苦労様~」
エレインの声に気が付くとハイパーダッシュで走ってくるサビネコ配達員。
何かあったのかなと思っていますが、近くまでくるとそれが見知った人物だと解ります。
「どうしましたの?!」
「どうしたと言うんだ!?」
突然の来訪に驚くエレインと、エレインの服の趣味の悪さに驚く配達員(もどき)
「いったい、どうしましたの?持たせたお弁当が傷んでましたの?」
弁当の中身を気にするエレインにガバっと抱き着く配達員モドキ。
そう、彼は今日だけ臨時バイトで雇われたリスクーパー君。
正直、辺境の中の辺境はどの配達員も行きたがりません。1軒でナンボの歩合制なので近くの集合住宅に配達に回った方が効率良いですからね。
「ギョエッ‥‥く、苦しい‥‥」
「一体どうしたんだ…こんな趣味の悪い服しか着られないのか…」
「ち、違う‥‥苦しい…リス‥クゥパ‥くん…」
ハッと気が付き腕の力を弛めるリスクーパー君。状況を冷静に分析しております。
思えば婚約をしてから今までエレインに触れた事なんかありません。
夜会のエスコートすらブッチしてたリスクーパー君ですからエレインとダンスを踊った以前に手を繋いだこともない実は純潔な男の子。唇と下半身はまだ誰にも許したことは御座いません。
「もうちょっとなんだろう?頑張って金も貯めてる。だから俺と逃げよう??」
「何を仰ってますの?逃げるって‥‥わたくし犯罪者では御座いませんわ」
「だけど!もういいだろう?こんな所にもういなくていいじゃないか!」
「良くありません!約束は約束。契約を軽んじるから婚約破棄なんて言い出したのでしょうが!」
部屋に通されて、今回はエレインが作っている畑で最後に収穫した根野菜のスープとサラダ、マジック保管庫の残り少ないパンをご馳走になります。
「エレイン…あの…」
「どうせ寝ずに馬を飛ばしてきたのでしょう?それを食べて、少し横になりあそばせ。お腹が空くと人間碌な事を考えませんわ。お腹いっぱい食べてぐっすり寝る。お話はそれからです」
「うん…ありがとう。エレイン」
船着き場で働きだして、日勤の後少し休んで夜間に入港してくる船からの荷下ろしもしていたリスクーパー君の手は王子様の時のような細い指ではなく、節くれて傷だらけです。
心なしか、肩幅も少し大きくなったんでしょうか。成長期はもう終わりに近いのできっと筋肉なのでしょう。以前は華奢な感じでしたしね。
「リスクーパー君。上着をくださいまし」
スープの根野菜をリスのように頬が膨らむほど口に入れてるリスクーパー君はモグモグとして飲み込むとエレインに上着を渡します。
「うわっ!臭っ!臭いですわ…」
「あ、ごめん‥‥3か月くらい洗ってない」
「直すついでに洗っておきますわ‥‥全く困った方ですわね」
「スミマセン…(ショボン)」
食事後、エレインに勧められて先ずは湯あみをするリスクーパー君。
湯あみの間にズボンと下着を洗浄魔法で綺麗にしますが、シャツはもう‥‥ボロすぎます。
上着は袖を直さないと肩がパツパツ。
湯あみから出て来たリスクーパー君はコンガリと日に焼けております。
日サロで焼いたほどではありませんが、毎日頑張って働いていたのでしょう。
日焼けだけではなく、胸も背中も重い荷物運びで鍛えた筋肉と擦り傷、痣だらけです。
「そこに横になってお休みくださいまし。何時に起こせばよろしいかしら」
「サビネコからは1軒だけだし前金で貰ってるから隣国へ帰るだけだ」
「隣国はわたくし、行った事がないので転移魔法で飛ばせられませんわ」
「国境付近の宿場町なら覚えてるだろ?そこでいいよ」
「ですが、かなり距離がありますわよ?」
サビネコ便で乗ってきた馬は使えないので王都までエレインが転移魔法で戻しますが、リスクーパー君の足が無くなってしまいます。
「50キロくらいだから歩くよ。気にするな」
「そんなにあるんですの?‥‥ならわたくしの馬を使ってくださいまし」
農夫の元に行かない馬は2頭。足の悪い馬とここに来る時乗ってきた若い馬です。
その馬をリスクーパー君に貸し出そうと思っていると、突然床に横になろうとするリスクーパー君。
「なっ!何をされているのです??」
「いや、横になろうと思って」
「それならベッドをお使いくださいまし!」
「ここでいい。ベッドのある部屋にはエレインがいないから」
「は?何を仰っているのです?少なくとも婚約者の時、そんな事言いませんでしたわよね?」
「まぁ…色々あったから…甘えてた事にやっと気が付いただけだ」
「更生するのは大変結構ですが、床は寝る場所ではありません」
結局3人掛けのソファに横になって裁縫をするエレインを見つめるリスクーパー君。
片腕の直しが終わった所で寝息が聞こえてきます。
裁縫道具を静かに置くと、趣味の悪いロングカーディガンをそっと掛けてあげるエレイン。
「ふふっ‥‥スティーブン・タ●ラーみたい。ドリーム・オンですわ」
鞍に書かれたロゴを見るとどうやらサビネコ便のようですが、なんだが様子が変です。
背中には黒字に白、一部緑で【SABI CAT】と2段書きされたリュックを背負っておりますが中身入ってるんでしょうか。
サビネコ便が駆け抜ける様子を鍬を持って畑で作業する農夫が温かく見守りますが、皆その表情は暗いです。
「ねぇ、オババ、代官様ほんとにあと1か月で出ていっちゃうのかな」
「定めならね…従うしかないんだよ」
「オババぁ~うぇーん」
「オババにしっかりつかまっておいで・・・」
何処かで聞いたようなセリフの祖母と孫の会話にも目もくれず駆け抜けるサビネコ便。
今回が最後のサビネコ便だと哀愁を漂わせている農夫たち。サビネコ便は祠を左に舵を取り走り去ります。
「出来たわ!今更ながらに思うけど…これは人前では着られないわ!」
持ってきていた赤と黒のドレスをばらして作ったロングカーディガン。寒さを凌ぐ機能は一切持たないというある意味本当のオサレさんが着るようなロングカーディガン。
赤がベースで黒が斑点のようになっております。
「今日はお天気もいいし!今日しかないわね!」
カーディガンを手にして、ここには湖はないので河原でちょっと広めになった部分に足を運びます。
途中岩場になったあたりで木の棒を片手にベースを弾く真似をするのはエレイン。
河原に到着するとカーディガンを羽織って両手を広げて熱唱しております。
「ドォントゥ ノゥウ ワッチユガッ!! ♪」
知る人ぞ知るシンデ●ラの名曲のようでござる。PVの見過ぎなんでしょう。
「あっ!いけない。ヘアバンド忘れた!」
ハチマキのように巻いてたヘアバンドを忘れたと歩いて別邸まで帰ります。
「フレディなら上半身脱ぐだけでいいんだけど、髭はないし、あの色気はだせないのよねぇ」
ブツブツと呟いて別邸まで戻ると家の周りをウロウロとしている男が1人。
誰や?と目を凝らすと背中のリュックでサビネコ便だと解ります。
いつもはポストインなのに…やはり宅配BOXが必要だったか?と声をかけます。
「ご苦労様~」
エレインの声に気が付くとハイパーダッシュで走ってくるサビネコ配達員。
何かあったのかなと思っていますが、近くまでくるとそれが見知った人物だと解ります。
「どうしましたの?!」
「どうしたと言うんだ!?」
突然の来訪に驚くエレインと、エレインの服の趣味の悪さに驚く配達員(もどき)
「いったい、どうしましたの?持たせたお弁当が傷んでましたの?」
弁当の中身を気にするエレインにガバっと抱き着く配達員モドキ。
そう、彼は今日だけ臨時バイトで雇われたリスクーパー君。
正直、辺境の中の辺境はどの配達員も行きたがりません。1軒でナンボの歩合制なので近くの集合住宅に配達に回った方が効率良いですからね。
「ギョエッ‥‥く、苦しい‥‥」
「一体どうしたんだ…こんな趣味の悪い服しか着られないのか…」
「ち、違う‥‥苦しい…リス‥クゥパ‥くん…」
ハッと気が付き腕の力を弛めるリスクーパー君。状況を冷静に分析しております。
思えば婚約をしてから今までエレインに触れた事なんかありません。
夜会のエスコートすらブッチしてたリスクーパー君ですからエレインとダンスを踊った以前に手を繋いだこともない実は純潔な男の子。唇と下半身はまだ誰にも許したことは御座いません。
「もうちょっとなんだろう?頑張って金も貯めてる。だから俺と逃げよう??」
「何を仰ってますの?逃げるって‥‥わたくし犯罪者では御座いませんわ」
「だけど!もういいだろう?こんな所にもういなくていいじゃないか!」
「良くありません!約束は約束。契約を軽んじるから婚約破棄なんて言い出したのでしょうが!」
部屋に通されて、今回はエレインが作っている畑で最後に収穫した根野菜のスープとサラダ、マジック保管庫の残り少ないパンをご馳走になります。
「エレイン…あの…」
「どうせ寝ずに馬を飛ばしてきたのでしょう?それを食べて、少し横になりあそばせ。お腹が空くと人間碌な事を考えませんわ。お腹いっぱい食べてぐっすり寝る。お話はそれからです」
「うん…ありがとう。エレイン」
船着き場で働きだして、日勤の後少し休んで夜間に入港してくる船からの荷下ろしもしていたリスクーパー君の手は王子様の時のような細い指ではなく、節くれて傷だらけです。
心なしか、肩幅も少し大きくなったんでしょうか。成長期はもう終わりに近いのできっと筋肉なのでしょう。以前は華奢な感じでしたしね。
「リスクーパー君。上着をくださいまし」
スープの根野菜をリスのように頬が膨らむほど口に入れてるリスクーパー君はモグモグとして飲み込むとエレインに上着を渡します。
「うわっ!臭っ!臭いですわ…」
「あ、ごめん‥‥3か月くらい洗ってない」
「直すついでに洗っておきますわ‥‥全く困った方ですわね」
「スミマセン…(ショボン)」
食事後、エレインに勧められて先ずは湯あみをするリスクーパー君。
湯あみの間にズボンと下着を洗浄魔法で綺麗にしますが、シャツはもう‥‥ボロすぎます。
上着は袖を直さないと肩がパツパツ。
湯あみから出て来たリスクーパー君はコンガリと日に焼けております。
日サロで焼いたほどではありませんが、毎日頑張って働いていたのでしょう。
日焼けだけではなく、胸も背中も重い荷物運びで鍛えた筋肉と擦り傷、痣だらけです。
「そこに横になってお休みくださいまし。何時に起こせばよろしいかしら」
「サビネコからは1軒だけだし前金で貰ってるから隣国へ帰るだけだ」
「隣国はわたくし、行った事がないので転移魔法で飛ばせられませんわ」
「国境付近の宿場町なら覚えてるだろ?そこでいいよ」
「ですが、かなり距離がありますわよ?」
サビネコ便で乗ってきた馬は使えないので王都までエレインが転移魔法で戻しますが、リスクーパー君の足が無くなってしまいます。
「50キロくらいだから歩くよ。気にするな」
「そんなにあるんですの?‥‥ならわたくしの馬を使ってくださいまし」
農夫の元に行かない馬は2頭。足の悪い馬とここに来る時乗ってきた若い馬です。
その馬をリスクーパー君に貸し出そうと思っていると、突然床に横になろうとするリスクーパー君。
「なっ!何をされているのです??」
「いや、横になろうと思って」
「それならベッドをお使いくださいまし!」
「ここでいい。ベッドのある部屋にはエレインがいないから」
「は?何を仰っているのです?少なくとも婚約者の時、そんな事言いませんでしたわよね?」
「まぁ…色々あったから…甘えてた事にやっと気が付いただけだ」
「更生するのは大変結構ですが、床は寝る場所ではありません」
結局3人掛けのソファに横になって裁縫をするエレインを見つめるリスクーパー君。
片腕の直しが終わった所で寝息が聞こえてきます。
裁縫道具を静かに置くと、趣味の悪いロングカーディガンをそっと掛けてあげるエレイン。
「ふふっ‥‥スティーブン・タ●ラーみたい。ドリーム・オンですわ」
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