34 / 56
必殺仕掛人~マードレインの罠~
しおりを挟む
「そろそろ手持ちが尽きるようですけれども、どうなさいます?」
「そうだねぇ。食らう時は骨の髄までしゃぶらせてもらうとするか…」
「ですがあれ、結構作り物ですから、貧相な体ですよ」
「ま、別の国に行けばそれなりに使い道があるんじゃないかな。ふふっ」
怪しく口元を歪めているのはこの国の第二王子。
俗に言う、【裏表がある人】とも言いますし【壊れた人】とか【病んでる人】とも言います。
弟の婚約者を慕う気持ちを押し殺してもう14年。
やっと手に入るかと思ったら、父は兄でも自分でもなく問題児とされた三兄弟の一人に愛しい人を嫁がせてしまいました。
☆~☆ 12年前 ☆~☆
第二王子のマードレイン君。ダンスのお遊戯会の帰りに今日はエレインが城に来ると聞いて急いで帰る途中、立ち寄った駄菓子屋のアイスクリームケース、
斜めになったガラスを手前から奥に押し込むと開かれたアイスクリームの祭典の場。
そう、そこにはエレインの大好きな【宝石箱】というバニラアイスの中にキラキラの赤い粒か緑の粒が散りばめられたアイスクリームが売られている店なのだった!
「おばちゃーん、これ2つ!」
とアイスクリームを2つ買って急いで城に戻りましたが、アイスクリームを見た母上(王妃様)に掴まってしまい、
「まぁ!ママンの為に買ってきてくれたのね!」っと大事な宝石箱アイスを食べられてしまいました。
「はっ母上なんか大嫌いだ―!」
と、走り出した廊下で執事とドーンとぶつかってしまいコロコロ転がった先は、やってきたエレインの足元。
パッと見上げると、エレインのスカートの中が丸見えなベストポジション!
イチゴ柄のパンツに思わず「イチゴだ!」っと叫んでしまい
「マードレイン君なんか大っ嫌い!」
と言われてしまう始末。
その後父の部屋で行われた【婚約したい子】のリストから外されてしまいました。
ちなみにエレインより1つ上の兄(王太子殿下)は気を引こうと当時嵌っていたヨーヨーでカッコいいところを見せようとして、結果ヨーヨーの糸が戻らず振り回すだけの結果になり取り上げられたヨーヨーで父の陛下から
『おまんら許さんぜよ!』
と陛下はナンノの真似をしましたが、側近に鬼龍院●子と思われてしまいました。
遠い目をしながら唯一なにも言わずにソファで上から、チョコ、バナナ、イチゴ味の三色ト●ノを食べようとしていたリスクーパーがエレインに【食べる?】っと聞いて決まったと言う婚約者騒動。
不可抗力とは言え、4歳のお年頃な女の子のパンツを見てしまった事からしばらく口もきいてもらえなかったマードレインですが、今では寝室の隣の鍵のかかった部屋はエレインを隠し絵姿した似顔絵で埋めております。
そんなエレインがやっとアホな第三王子の手から離れて落ちてくるかと思ったのに!
せめて幸せならいいじゃないかと思ったのに!蓋を開けてみれば堂々と付き合っている女がいると父の前で言い放ったパトリックを消してやる!と意気込んでおります。
王太子の後にエレインの元に出かけようと思っていましたが、王族が間を置かずに訪れるのは良くないと言われ、やきもきしているところに届いた【付き合っている女】の情報。
側近たちをこっそりと隣町へ偵察に行かせると結構豪遊している感じです。
そのうち、割といい宝飾品を二束三文で金に換えていると知り、側近に近づかせます。
「えぇっ?たった50万?買ったときは700万だったのよ?」
「いや、うちではこれで目いっぱいなんですよ。あまりに高価すぎても買う人がいないんですよ」
そう、金にモノを言わせてバカスカ買えるのはリリシアくらいです。
そこそこの金持ちはいますけど、若い子向けのデザインでもある宝飾品は田舎では人気ないんです。
項垂れて別の店に行こうとするリリシアの声をかける側近(@勿論変装中)
「お嬢さん、その宝石、俺なら150万で買い取るがどうだ?」
数軒ある中で一番高い値をつけてくれてた店の3倍の値段にリリシアがパクリと食いつくのは早かった!
その後は、見かければ声をかけるとジャンジャン宝飾品を買い取ってとやって来る入れ食い状態。
王都に行けば150万で買い取った宝飾品も200~300万で王都の買取業者は買い取ってくれるのでいい小遣い稼ぎでもあります。
隣町にあるそれなりのホストクラブで昼からシャンパンタワーやら、お気に入りのホストに強請られれば流石にペルフェクションは無理なようですが、トラディションやルイ13世という100万~300万のブランデーを頼んでいるリリシア。
湯水のように金を使い、金を使うために宝飾品を側近に換金してもらうと言うループに入っておりました。
「あのボンボン、一体いくらあの阿婆擦れに使ったんでしょうねぇ」
リリシアが換金した宝飾品を王都でその辺の買取店に持ち込んだ金を入れた通帳を見て側近はポツリ。
「幾らになった?」
「トータルすると元手は5000万ほどですが換金額の利益だけで7億ですよ」
「買ったときはその3倍、いや5倍か‥‥オイタをしたには多すぎる金額だな」
「まぁ、あの辺境でもプールした金は10億はあったでしょうし、父の公爵は2年間毎月3~4千万テコ入れしてたようですからねぇ‥‥ほぼこんなものに変わっていたと思うと…」
「まぁ、所詮カエルの子はカエルなんだよ」
「えっ?あの公爵が?」
「若い頃はかなりの放蕩者だったようだしね。父と兄を見て育った下の2人が気の毒だねぇ」
「では、そろそろ?」
「そうだね。あの女も良い思いは散々しただろうし、そろそろ地獄の1丁目。行ってみようか」
「承知いたしました。ですが陛下にバレたら…」
「小さいなぁ君も。大物(エレイン)狙うにはね。些細な事だよ」
「は、はぁ…」
ニヤっと笑うマードレイン。
「細工は流々仕上げを御覧じろ って事だよ」
手元のカップアイス。宝石箱。木の小さなスプーンでひとさじすくうと、赤い粒をランプの光にあてて、ウフっと笑いました。
「そうだねぇ。食らう時は骨の髄までしゃぶらせてもらうとするか…」
「ですがあれ、結構作り物ですから、貧相な体ですよ」
「ま、別の国に行けばそれなりに使い道があるんじゃないかな。ふふっ」
怪しく口元を歪めているのはこの国の第二王子。
俗に言う、【裏表がある人】とも言いますし【壊れた人】とか【病んでる人】とも言います。
弟の婚約者を慕う気持ちを押し殺してもう14年。
やっと手に入るかと思ったら、父は兄でも自分でもなく問題児とされた三兄弟の一人に愛しい人を嫁がせてしまいました。
☆~☆ 12年前 ☆~☆
第二王子のマードレイン君。ダンスのお遊戯会の帰りに今日はエレインが城に来ると聞いて急いで帰る途中、立ち寄った駄菓子屋のアイスクリームケース、
斜めになったガラスを手前から奥に押し込むと開かれたアイスクリームの祭典の場。
そう、そこにはエレインの大好きな【宝石箱】というバニラアイスの中にキラキラの赤い粒か緑の粒が散りばめられたアイスクリームが売られている店なのだった!
「おばちゃーん、これ2つ!」
とアイスクリームを2つ買って急いで城に戻りましたが、アイスクリームを見た母上(王妃様)に掴まってしまい、
「まぁ!ママンの為に買ってきてくれたのね!」っと大事な宝石箱アイスを食べられてしまいました。
「はっ母上なんか大嫌いだ―!」
と、走り出した廊下で執事とドーンとぶつかってしまいコロコロ転がった先は、やってきたエレインの足元。
パッと見上げると、エレインのスカートの中が丸見えなベストポジション!
イチゴ柄のパンツに思わず「イチゴだ!」っと叫んでしまい
「マードレイン君なんか大っ嫌い!」
と言われてしまう始末。
その後父の部屋で行われた【婚約したい子】のリストから外されてしまいました。
ちなみにエレインより1つ上の兄(王太子殿下)は気を引こうと当時嵌っていたヨーヨーでカッコいいところを見せようとして、結果ヨーヨーの糸が戻らず振り回すだけの結果になり取り上げられたヨーヨーで父の陛下から
『おまんら許さんぜよ!』
と陛下はナンノの真似をしましたが、側近に鬼龍院●子と思われてしまいました。
遠い目をしながら唯一なにも言わずにソファで上から、チョコ、バナナ、イチゴ味の三色ト●ノを食べようとしていたリスクーパーがエレインに【食べる?】っと聞いて決まったと言う婚約者騒動。
不可抗力とは言え、4歳のお年頃な女の子のパンツを見てしまった事からしばらく口もきいてもらえなかったマードレインですが、今では寝室の隣の鍵のかかった部屋はエレインを隠し絵姿した似顔絵で埋めております。
そんなエレインがやっとアホな第三王子の手から離れて落ちてくるかと思ったのに!
せめて幸せならいいじゃないかと思ったのに!蓋を開けてみれば堂々と付き合っている女がいると父の前で言い放ったパトリックを消してやる!と意気込んでおります。
王太子の後にエレインの元に出かけようと思っていましたが、王族が間を置かずに訪れるのは良くないと言われ、やきもきしているところに届いた【付き合っている女】の情報。
側近たちをこっそりと隣町へ偵察に行かせると結構豪遊している感じです。
そのうち、割といい宝飾品を二束三文で金に換えていると知り、側近に近づかせます。
「えぇっ?たった50万?買ったときは700万だったのよ?」
「いや、うちではこれで目いっぱいなんですよ。あまりに高価すぎても買う人がいないんですよ」
そう、金にモノを言わせてバカスカ買えるのはリリシアくらいです。
そこそこの金持ちはいますけど、若い子向けのデザインでもある宝飾品は田舎では人気ないんです。
項垂れて別の店に行こうとするリリシアの声をかける側近(@勿論変装中)
「お嬢さん、その宝石、俺なら150万で買い取るがどうだ?」
数軒ある中で一番高い値をつけてくれてた店の3倍の値段にリリシアがパクリと食いつくのは早かった!
その後は、見かければ声をかけるとジャンジャン宝飾品を買い取ってとやって来る入れ食い状態。
王都に行けば150万で買い取った宝飾品も200~300万で王都の買取業者は買い取ってくれるのでいい小遣い稼ぎでもあります。
隣町にあるそれなりのホストクラブで昼からシャンパンタワーやら、お気に入りのホストに強請られれば流石にペルフェクションは無理なようですが、トラディションやルイ13世という100万~300万のブランデーを頼んでいるリリシア。
湯水のように金を使い、金を使うために宝飾品を側近に換金してもらうと言うループに入っておりました。
「あのボンボン、一体いくらあの阿婆擦れに使ったんでしょうねぇ」
リリシアが換金した宝飾品を王都でその辺の買取店に持ち込んだ金を入れた通帳を見て側近はポツリ。
「幾らになった?」
「トータルすると元手は5000万ほどですが換金額の利益だけで7億ですよ」
「買ったときはその3倍、いや5倍か‥‥オイタをしたには多すぎる金額だな」
「まぁ、あの辺境でもプールした金は10億はあったでしょうし、父の公爵は2年間毎月3~4千万テコ入れしてたようですからねぇ‥‥ほぼこんなものに変わっていたと思うと…」
「まぁ、所詮カエルの子はカエルなんだよ」
「えっ?あの公爵が?」
「若い頃はかなりの放蕩者だったようだしね。父と兄を見て育った下の2人が気の毒だねぇ」
「では、そろそろ?」
「そうだね。あの女も良い思いは散々しただろうし、そろそろ地獄の1丁目。行ってみようか」
「承知いたしました。ですが陛下にバレたら…」
「小さいなぁ君も。大物(エレイン)狙うにはね。些細な事だよ」
「は、はぁ…」
ニヤっと笑うマードレイン。
「細工は流々仕上げを御覧じろ って事だよ」
手元のカップアイス。宝石箱。木の小さなスプーンでひとさじすくうと、赤い粒をランプの光にあてて、ウフっと笑いました。
36
お気に入りに追加
4,234
あなたにおすすめの小説
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません
たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。
何もしていないのに冤罪で……
死んだと思ったら6歳に戻った。
さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。
絶対に許さない!
今更わたしに優しくしても遅い!
恨みしかない、父親と殿下!
絶対に復讐してやる!
★設定はかなりゆるめです
★あまりシリアスではありません
★よくある話を書いてみたかったんです!!
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
文句しか言わない(言えない)婚約者。自分から言い出したのに婚約破棄にも文句言ってます
リオール
恋愛
公爵令嬢エレナの婚約者は、王太子のデニス王子。
この王子、とにかく文句しか言わない。いつもいつも会えばまずは文句。文句を言うなら会いに来なければ良いものを、なぜか頻繁に会いにくる。会いに来ては文句をいうものだから、エレナのストレスは爆発寸前だった。
ところがその日は違った。会いにはきたけれど、出た言葉が「婚約解消する」というものだったのだ。
それを聞いて大喜びするエレナだったが、なぜかその話は無かった事に!?
ふざけないでください、一度言ったことを取り消すなんて、許されると思うのですか?
そんないい加減な人と結婚なんて出来ません。婚約破棄させていただきます!
文句を言われても知りません!
切れたエレナは絶縁宣言をするのだった。
=====
ギャグ寄りのお話です。
主人公の本性は口が悪いです。それが駄目な方はUターンでお願いします。
何でも許せるというかた向け。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる