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納屋の扉(改)
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何もないというのは幸せなのか不幸なのか。
少なくともエレインにとっては幸せのようです。今日は川で洗濯どころか自分を洗っております。
ガッシガッシと洗っておりますが、夏ならではなのでしょう。
辺境の中の辺境の生活もそろそろ2か月が過ぎようとしております。
もう慣れたもので、放牧しているヤギからミルクを絞り、飲料とチーズにも事欠きません。
ちなみに洗っていると言うよりも、マッパで泳いでおります。
時折、大きな岩から淵になっているところでザバーンと飛び込んでは岩にのぼり飛び込んでは岩にのぼり。
絶対に人がいないという安心感は超絶な開放をさせるようです。
「ふぅ~。さてと、晩御飯でも獲りますわよ!」
お手製のモリを構えて「てやっ!」っと何度か繰り返しますが不漁のようです。
体も冷えてきましたので、天然日向ぼっこで乾かした体にワンピースを着て別邸に戻ります。
ちなみに…着ているのはワンピースだけです。えぇ。元侯爵令嬢なのにノーパンです。
ワンピースの色が濃い目なのが救いですね。まぁ人はいませんのでエレイン的にはマッパでもいいんじゃないかとスローライフを通りこして原始的な生活にも憧れがあるようです。
おや?誰か来ているようです。
「よぅ!どこに行ってたんだ?」
反社会勢力の純正品であるデビット君がにこやかに、明らかに普通じゃないお兄さんたちを従えてお茶をしております。
釣り竿とバケツを置いたエレインは普通に納屋の扉(改)を開きます。
ガチャ
「うぉぉぉ!エレイン!その扉は!」
「納屋の扉(改)ですわ。普通に開けると面白くないので改造しましたの」
「いや、それでも納屋の扉をガルウィングにするか?カウンタックじゃないんだぞ?」
「カウンタック‥‥あぁランボルギーニですわね」
「そうだが…いや、普通こんな無駄な事はしないだろう」
「大丈夫。デビット君との会話以上に無駄な事はありませんわ。オーッホッホ」
軽くかわされてしまうデビット君ですが、こんな辺境の地まで来て手土産なしでは帰れません。
噂でエレインが辺境の中の辺境へ追いやられ、夫は愛人とズッコンバッコンと聞いたら居ても立ってもいられず来ちゃった♡テヘ。って感じです。
「エレイン。俺と一緒に王都へ帰ろう」
「何故ですの?」
「こんな所に君1人を置いては帰れない。俺一人帰る事なんかできないっ」
「いえ、お伴の方もいますし1人じゃないでしょう?帰れますよ?」
「そういう事ではない!仕方ない…無理やりはいけないと思ったが…勝負しろ!」
「わたくしに何一つ勝ったことがありませんのに‥なんですの」
「俺が勝ったら王都へ帰って俺の嫁になれ!」
「面白いですわ。わたくしが勝ったらデビット君のコレクション頂きますわよ?」
「え?‥‥いや、あれは…」
「あら?デビット君が勝てばいいだけですわ。オーッホッホ」
「よし!わかった。俺には秘策がある!絶対に負けない!俺と王都に帰るぞ!」
と、言う訳で現在、デビット君とエレイン勝負しております。
紙を1枚テーブルにおいて、手前にスタート、向かいにゴールと書いて・・・。
「よし、次は俺のターンだな」
「そうですわね。もうすでに勝負はついたようなもの。悪あがきですわ」
「いや、ここでピット入りだ。交換する」
「あら?こんなところで?…ウフフ。どうぞご自由に」
デビット君、お付きの怖いお兄さんから1本のペンを受け取ります。
カチっとペンの先を出して‥‥ノック解除の小さなポチをテーブルに押し付けてカチッ!
「あぁぁぁっ!!」
デビット君のスーパーカー消しゴム。勢いが強すぎたのかひっくり返ってしまいます。
「フフフ。クラッシュですわね。おそらくペンのスプリングを弄ったんでしょう?」
「くそっ!何故分かった?」
「高いボールペンなのにもったいない。一番この勝負に適しているのはオマケで貰えるボールペンですわ」
「ぬぅ…仕方ない…負けを認めよう」
「では、お約束の品頂きますわよ?」
「待ってくれ!あれは手に入れるのに苦労したんだ!」
「ダメです。キ●肉マン消しゴム、略してキン消し!頂きますわ。肌色マンモスマン♡」
ガックリと項垂れるデビット君。
エレインを連れ去るつもりが、大事なコレクションである肌色マンモスマンを連れされてしまうとは!
「頼む‥‥何か他の物に変えられないか?」
「嫌です(ぷいっ)」
「頼むよ…エレイン…おねが…んん??(サワサワ…サワサワ…)」
エレインに物理的に縋りついたデビット君何かに気が付きます。
ハッ!そうでした!
バッチィン!!
「デビット君のエッチ!!」
不可抗力とも言えるし、エレインのうっかりとも言えるノーパンに気がついたデビット君。
しばらく手に残る何にもない感触に頭の中が真っ白。
頬についたモミジ型の手形の痛さも全く感じておりません。
茫然としたまま王都に戻り、約束通り肌色マンモスマンをサビネコ便で送りました。
少なくともエレインにとっては幸せのようです。今日は川で洗濯どころか自分を洗っております。
ガッシガッシと洗っておりますが、夏ならではなのでしょう。
辺境の中の辺境の生活もそろそろ2か月が過ぎようとしております。
もう慣れたもので、放牧しているヤギからミルクを絞り、飲料とチーズにも事欠きません。
ちなみに洗っていると言うよりも、マッパで泳いでおります。
時折、大きな岩から淵になっているところでザバーンと飛び込んでは岩にのぼり飛び込んでは岩にのぼり。
絶対に人がいないという安心感は超絶な開放をさせるようです。
「ふぅ~。さてと、晩御飯でも獲りますわよ!」
お手製のモリを構えて「てやっ!」っと何度か繰り返しますが不漁のようです。
体も冷えてきましたので、天然日向ぼっこで乾かした体にワンピースを着て別邸に戻ります。
ちなみに…着ているのはワンピースだけです。えぇ。元侯爵令嬢なのにノーパンです。
ワンピースの色が濃い目なのが救いですね。まぁ人はいませんのでエレイン的にはマッパでもいいんじゃないかとスローライフを通りこして原始的な生活にも憧れがあるようです。
おや?誰か来ているようです。
「よぅ!どこに行ってたんだ?」
反社会勢力の純正品であるデビット君がにこやかに、明らかに普通じゃないお兄さんたちを従えてお茶をしております。
釣り竿とバケツを置いたエレインは普通に納屋の扉(改)を開きます。
ガチャ
「うぉぉぉ!エレイン!その扉は!」
「納屋の扉(改)ですわ。普通に開けると面白くないので改造しましたの」
「いや、それでも納屋の扉をガルウィングにするか?カウンタックじゃないんだぞ?」
「カウンタック‥‥あぁランボルギーニですわね」
「そうだが…いや、普通こんな無駄な事はしないだろう」
「大丈夫。デビット君との会話以上に無駄な事はありませんわ。オーッホッホ」
軽くかわされてしまうデビット君ですが、こんな辺境の地まで来て手土産なしでは帰れません。
噂でエレインが辺境の中の辺境へ追いやられ、夫は愛人とズッコンバッコンと聞いたら居ても立ってもいられず来ちゃった♡テヘ。って感じです。
「エレイン。俺と一緒に王都へ帰ろう」
「何故ですの?」
「こんな所に君1人を置いては帰れない。俺一人帰る事なんかできないっ」
「いえ、お伴の方もいますし1人じゃないでしょう?帰れますよ?」
「そういう事ではない!仕方ない…無理やりはいけないと思ったが…勝負しろ!」
「わたくしに何一つ勝ったことがありませんのに‥なんですの」
「俺が勝ったら王都へ帰って俺の嫁になれ!」
「面白いですわ。わたくしが勝ったらデビット君のコレクション頂きますわよ?」
「え?‥‥いや、あれは…」
「あら?デビット君が勝てばいいだけですわ。オーッホッホ」
「よし!わかった。俺には秘策がある!絶対に負けない!俺と王都に帰るぞ!」
と、言う訳で現在、デビット君とエレイン勝負しております。
紙を1枚テーブルにおいて、手前にスタート、向かいにゴールと書いて・・・。
「よし、次は俺のターンだな」
「そうですわね。もうすでに勝負はついたようなもの。悪あがきですわ」
「いや、ここでピット入りだ。交換する」
「あら?こんなところで?…ウフフ。どうぞご自由に」
デビット君、お付きの怖いお兄さんから1本のペンを受け取ります。
カチっとペンの先を出して‥‥ノック解除の小さなポチをテーブルに押し付けてカチッ!
「あぁぁぁっ!!」
デビット君のスーパーカー消しゴム。勢いが強すぎたのかひっくり返ってしまいます。
「フフフ。クラッシュですわね。おそらくペンのスプリングを弄ったんでしょう?」
「くそっ!何故分かった?」
「高いボールペンなのにもったいない。一番この勝負に適しているのはオマケで貰えるボールペンですわ」
「ぬぅ…仕方ない…負けを認めよう」
「では、お約束の品頂きますわよ?」
「待ってくれ!あれは手に入れるのに苦労したんだ!」
「ダメです。キ●肉マン消しゴム、略してキン消し!頂きますわ。肌色マンモスマン♡」
ガックリと項垂れるデビット君。
エレインを連れ去るつもりが、大事なコレクションである肌色マンモスマンを連れされてしまうとは!
「頼む‥‥何か他の物に変えられないか?」
「嫌です(ぷいっ)」
「頼むよ…エレイン…おねが…んん??(サワサワ…サワサワ…)」
エレインに物理的に縋りついたデビット君何かに気が付きます。
ハッ!そうでした!
バッチィン!!
「デビット君のエッチ!!」
不可抗力とも言えるし、エレインのうっかりとも言えるノーパンに気がついたデビット君。
しばらく手に残る何にもない感触に頭の中が真っ白。
頬についたモミジ型の手形の痛さも全く感じておりません。
茫然としたまま王都に戻り、約束通り肌色マンモスマンをサビネコ便で送りました。
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