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侯爵令嬢は待たされる
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夕方になりやっと屋敷のあたりがザワザワし始めます。
一軒の農夫の家にお邪魔して廃材で簡単に作れる耕運機の作り方を教えていたのはエレイン。
お礼にと農夫の子供が作った木の実のネックレスをもらいました。
「ありがとう!とっても気に入ったわ」
馬に跨り、パトリックの屋敷に到着すると門番が慌てて屋敷に走っていきます。
そんなに妖しい恰好かしら?と思いつつも馬をおり、屋敷の敷地内に入って良いとの連絡を待ちますがなかなか人はやってきません。
30分も経つと、門番もパトリックが何をするために王都に行っていたかは知っていますのでエレインに門番小屋から簡易の椅子を持ってきて勧めます。
「いいんですのよ。気にしないでくださいまし」
「ですが…」
「そうですわねぇ。もう面倒ですし鍵だけもらってきてくれません?」
「鍵?なんの鍵です?」
「別邸の鍵。どの別邸かは知ってるはずだから。お願いできます?」
「わかりました。でもどの別邸でもこの時間から移動するのは…」
「でも誰も来なければどうしようもありませんでしょう?」
確かにそうです。屋敷に入るにも一応は許可をもらわないと何とも出来ません。
エレインは鍵をもらったら土産を渡して別邸にいくつもり満々です。
「早馬で1日ちょっとって言ってたわね」
しかし時刻はもう19時を過ぎています。真夜中の移動になるのは明らか。
「わたくしの大事なコレクションのキャプ●ン12巻から17巻までタダ読みした癖に生意気ね」
キャプ●ンは勿論ですが、愛蔵書のメ●ャーも刃●も貸してやるもんかとプンスカ怒っています。
そこに王都でもみた執事と先程の門番が走ってきます。
エレインは無駄に大きな菓子箱を2つ持って待ち構えます。
「ど、どうそ ハァハァ お入りくださいませ はぁはぁ」
急いできたのは判りますが、待たせすぎのキリギリスです。
これ以上待たされたらギリギリのギリギリッスになって熱湯風呂に浸け込むところです。
「いえ、お構いなく。鍵さえ頂ければ1人で行けますわ」
「まさか!こんな時間から?!止めてください!」
「ですが最初の連絡から既に40分は経過していますわ。わたくし、あ●んではないので待つわ!とは言えませんの」
「し、しかし可愛いふりはされてませんよね?」
「えぇ、割とよくやるもんだとも言われた事は御座いませんし」
「とにかく、旦那様がお待ちです。本当に心配したのですよ?」
「心配?どのような?」
「行けども行けども貴女様の姿が見えず、心配を致しました」
「そうですか。時間厳守して頂ければそもそも論で解決する問題ですが、わたくしの責にされようと?」
「いえ、そんなつもりは御座いません。とにかく中へ」
執事に案内をされてあまり手入れのされていな花が両側にある門道を馬を連れて歩きます。
「あの…お荷物はどうされました?」
「持っていますよ。まさか捨てたりしませんし」
「しかし‥‥見えないようですけど」
「見せるモノでもありませんから」
まぁ、確かにほらこれ見ろ!って見せるものではありませんけどねぇ。
待たされていたのでかなりご機嫌の悪いエレインです。
やっと到着すると玄関にパトリックがまっています。
その腕にがっちりとしがみ付いている女の子が1人おりますね。
年齢はパっと見ですが、エレインとさほど変わらないかと思いますがマナーはないようです。
パトリックの前に出ると、王子妃教育で叩きこまれたカーテシーを決めます。
「先日より1年間だけお世話になりますわ」
ずっと睨みつけているご令嬢。ピンクかなと思いましたがやはり髪はピンクでした。
ローズピンクという色ですね。
「夕食でもどうだろうか」
勧めるパトリックですが、エレインが返事をする前にピンク娘が返事をします。
「いらないわよね?」
使用人一同途端に不穏な空気を醸し出します。なるほどねぇと思うのはエレイン。
「そんな事いうもんじゃない」と優しく宥めるのはパトリック。
あぁ…イイ人っていうか単なるイイかっこしぃなんだなぁとエレイン秒で察知します。
「お食事は不要ですわ。それよりもお話がございますの」
「話?どんな話だ」
「そうよ!どんな話よ!」
エレインはパチンと指を鳴らしてマジック金庫から現金を取り出します。
ついでにポケットから名前を書いた用紙も取り出して広げます。
「こちらに記載のある者の今年の第二期以降および来年の税金を預かってきましたの。小麦は不作ですので現金納付ですわ。普通は一括ですと割引になると思いますが、割り増しでお支払いしますのでご確認を」
「なっなんだって?‥‥60人くらいあるじゃないか」
「えぇ。全部で1500万。推定で5年分ほどになりますが、これで来年もここに記載がある者については一切の口出しをしないで頂きたいので多めに」
目の前にドーンと置かれた1500万。途端に目をキラキラさせるのはパトリックの隣の女の子。
「なるほど、相判った。この62名については今年、来年は免除をしよう」
「免除?ここに納付をしておりますので免除では御座いません」
「そうだったな…会計課に処理をさせる。待ってくれ」
パトリックは執事に命じて会計課の人間を呼んできて処理をさせた上、現金を数えさせきちんとある事を確認します。
リリシアの目がキラリと光りました。
一軒の農夫の家にお邪魔して廃材で簡単に作れる耕運機の作り方を教えていたのはエレイン。
お礼にと農夫の子供が作った木の実のネックレスをもらいました。
「ありがとう!とっても気に入ったわ」
馬に跨り、パトリックの屋敷に到着すると門番が慌てて屋敷に走っていきます。
そんなに妖しい恰好かしら?と思いつつも馬をおり、屋敷の敷地内に入って良いとの連絡を待ちますがなかなか人はやってきません。
30分も経つと、門番もパトリックが何をするために王都に行っていたかは知っていますのでエレインに門番小屋から簡易の椅子を持ってきて勧めます。
「いいんですのよ。気にしないでくださいまし」
「ですが…」
「そうですわねぇ。もう面倒ですし鍵だけもらってきてくれません?」
「鍵?なんの鍵です?」
「別邸の鍵。どの別邸かは知ってるはずだから。お願いできます?」
「わかりました。でもどの別邸でもこの時間から移動するのは…」
「でも誰も来なければどうしようもありませんでしょう?」
確かにそうです。屋敷に入るにも一応は許可をもらわないと何とも出来ません。
エレインは鍵をもらったら土産を渡して別邸にいくつもり満々です。
「早馬で1日ちょっとって言ってたわね」
しかし時刻はもう19時を過ぎています。真夜中の移動になるのは明らか。
「わたくしの大事なコレクションのキャプ●ン12巻から17巻までタダ読みした癖に生意気ね」
キャプ●ンは勿論ですが、愛蔵書のメ●ャーも刃●も貸してやるもんかとプンスカ怒っています。
そこに王都でもみた執事と先程の門番が走ってきます。
エレインは無駄に大きな菓子箱を2つ持って待ち構えます。
「ど、どうそ ハァハァ お入りくださいませ はぁはぁ」
急いできたのは判りますが、待たせすぎのキリギリスです。
これ以上待たされたらギリギリのギリギリッスになって熱湯風呂に浸け込むところです。
「いえ、お構いなく。鍵さえ頂ければ1人で行けますわ」
「まさか!こんな時間から?!止めてください!」
「ですが最初の連絡から既に40分は経過していますわ。わたくし、あ●んではないので待つわ!とは言えませんの」
「し、しかし可愛いふりはされてませんよね?」
「えぇ、割とよくやるもんだとも言われた事は御座いませんし」
「とにかく、旦那様がお待ちです。本当に心配したのですよ?」
「心配?どのような?」
「行けども行けども貴女様の姿が見えず、心配を致しました」
「そうですか。時間厳守して頂ければそもそも論で解決する問題ですが、わたくしの責にされようと?」
「いえ、そんなつもりは御座いません。とにかく中へ」
執事に案内をされてあまり手入れのされていな花が両側にある門道を馬を連れて歩きます。
「あの…お荷物はどうされました?」
「持っていますよ。まさか捨てたりしませんし」
「しかし‥‥見えないようですけど」
「見せるモノでもありませんから」
まぁ、確かにほらこれ見ろ!って見せるものではありませんけどねぇ。
待たされていたのでかなりご機嫌の悪いエレインです。
やっと到着すると玄関にパトリックがまっています。
その腕にがっちりとしがみ付いている女の子が1人おりますね。
年齢はパっと見ですが、エレインとさほど変わらないかと思いますがマナーはないようです。
パトリックの前に出ると、王子妃教育で叩きこまれたカーテシーを決めます。
「先日より1年間だけお世話になりますわ」
ずっと睨みつけているご令嬢。ピンクかなと思いましたがやはり髪はピンクでした。
ローズピンクという色ですね。
「夕食でもどうだろうか」
勧めるパトリックですが、エレインが返事をする前にピンク娘が返事をします。
「いらないわよね?」
使用人一同途端に不穏な空気を醸し出します。なるほどねぇと思うのはエレイン。
「そんな事いうもんじゃない」と優しく宥めるのはパトリック。
あぁ…イイ人っていうか単なるイイかっこしぃなんだなぁとエレイン秒で察知します。
「お食事は不要ですわ。それよりもお話がございますの」
「話?どんな話だ」
「そうよ!どんな話よ!」
エレインはパチンと指を鳴らしてマジック金庫から現金を取り出します。
ついでにポケットから名前を書いた用紙も取り出して広げます。
「こちらに記載のある者の今年の第二期以降および来年の税金を預かってきましたの。小麦は不作ですので現金納付ですわ。普通は一括ですと割引になると思いますが、割り増しでお支払いしますのでご確認を」
「なっなんだって?‥‥60人くらいあるじゃないか」
「えぇ。全部で1500万。推定で5年分ほどになりますが、これで来年もここに記載がある者については一切の口出しをしないで頂きたいので多めに」
目の前にドーンと置かれた1500万。途端に目をキラキラさせるのはパトリックの隣の女の子。
「なるほど、相判った。この62名については今年、来年は免除をしよう」
「免除?ここに納付をしておりますので免除では御座いません」
「そうだったな…会計課に処理をさせる。待ってくれ」
パトリックは執事に命じて会計課の人間を呼んできて処理をさせた上、現金を数えさせきちんとある事を確認します。
リリシアの目がキラリと光りました。
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