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侯爵令嬢のお買い物
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翌朝パトリックが目を覚ますともうエレインは部屋にいません。勿論トランクも見当たりません。
朝の7時過ぎだと言うのに何処に行ったのかというと食堂です。
トランクは既に馬車に載せております。
「ん~。公爵家の朝食もまぁまぁね。朝から杏仁プリン贅沢すぎるぅ」
出発は正午ですがエレインにはそれまでに行く場所があります。
馬も引いて歩かないといけないところですので包丁を買っておかないと調理が出来ません。
「あの…一応厨房には調理器具は一式ありますので買わなくてもいいんですが」
「いいえ?家は出る時に査定がありますよね。出来るだけ綺麗に使いますが厨房周りはどうしても汚れますから調理は野営を考えてるんで気にしないでください」
「や、野営?そんなことさせられませんよ」
「じゃ、させないように一緒に来ます?」
「それは無理ですけど…」
「無理なら口出ししない事です。口を出すなら金も出さないと。動きもしない金も出さない、でも口は出す。どんだけ上からモノ言ってるんです?まぁいいですけど」
公爵家の執事もタジタジになっておりますね。
仕方ありません。エレインは元々スローライフがしたかったんですし。
「ついでに馬も買ってきますので、私の荷物だけ…あ~どうしようかな」
「荷物は運ばせていただきます」
「ん~でもあれ初版が多いんだよねぇ。水濡れしたりとかだと目も当てられない」
「雨は仕方ないと思いますが」
「仕方ないで済むなら仕立て屋はいらないんです。荷物も自分で運びますね。1年でオサラバする嫁に手間なんかかけられないでしょう?」
「いえ、そこまでは…」
「はい、ダウト」
「ダ、ダウト?」
「本音と建て前。よく判るけど合理性と利便性も考えないと。あと顧客のニーズね」
「は、はぁ‥」
「じゃぁ買い物してきますんで」
嵐のように過ぎ去っていくエレイン。使用人は見送る事しか出来ません。
食堂の入り口でやり取りを聞いていたパトリック。思わず吹き出して笑いながら入ってきます。
「どうだ?」
「言葉は別として、マナーや所作については申し分ないと思います」
「だが引きこもるそうだ。夜会も茶会も彼女と行ってくれと陛下の前で言われた」
「ま、まさか?」
「父上も母上も…リリシアは良く思っていない。だが…契約だと言うんで喋ったから早々に別宅に戻られただけだ」
「陛下の前で‥‥愛人の存在を仰ったのですか?」
「あぁ、両陛下と王太子殿下、第二王子殿下、両親、親族一同の前でな。その時に別居宣言もされた。何もかも想定の斜め上どころかはみ出て線も引けないご令嬢だよ」
1人の朝食をゆっくりと食べるパトリック。リリシアは先に領地へ送ったので待っていてくれるだろうと果実水でパンを飲み込みます。
一方お買い物中のエレイン。まずは朝市。ここで新鮮な野菜を大人買いです。
「ここからここまで全部」
「お、お嬢ちゃん冗談言っちゃいけないよ」
「冗談じゃないわ。朝市の野菜見たけどここの野菜が一番イイ物だからよ」
「う、嬉しいけどさ‥‥商売あがったりだよ」
「なんで?全部買うわよ?お金払いますし」
「な、なにより持って帰れないだろう?」
「帰るんじゃないです。持ち運ぶんです」
そう言って、指をパチンと慣らしモゴモゴと詠唱すると黒い穴がポカリと浮かびます。
「この中に放り込んじゃってくださいな」
「ヒャァ…初めて見たよ。移動できるのかい?」
「そうよ?改良に改良を重ねたんだから!ヘヘン」
「わかった。全部持っていきな。おまけもしとくよ」
「オマケはいいわ。それより美味しいパン屋を教えて」
「まさかそこでも?」
「オゥライッ!大人買いよ♡」
しかしこれでもおそらく1か月持てばよい方です。エレインも面倒なのか買えるだけ買い込む戦法に出たようです。
5軒の野菜の屋台、7軒のパン屋、2軒の肉屋で大人買いをして全てマジック保管庫に収納していきます。
重さ的には5グラムくらい。持ち運び便利なマジック保管庫。
お目当ての包丁の他に調理器具や食器も買い込んで最後は馬です。
動物を売っている区画に行くと、ちょっと体が小さめの馬が安く売られています。
あと、馬肉用と書かれた馬も。その足元にはヤギもいます。
「ねぇおじさん、どうしてこの馬は安いの?」
「こいつか?こいつは生まれた時にちょっと足が曲がったんだ。ゆっくり少量を運ぶには問題ないが大きい荷物はは運べないからさ」
「こっちのお肉用は?」
「年をとったからさ、あと何年も生きるより馬肉にしたほうがエサ代がかからないからな」
「そうなんだ…。じゃぁこれ全部ください」
「全部?荷物も碌に運べないんだぜ?」
「いいの。趣味の牧場するだけだから」
こうして自分と荷物を運ぶ若い馬を1頭、馬肉用と書かれた馬を14頭、ヤギを23匹買ったエレイン。
若い馬1頭を残してマジック厩舎に入れて公爵邸に戻りました。
朝の7時過ぎだと言うのに何処に行ったのかというと食堂です。
トランクは既に馬車に載せております。
「ん~。公爵家の朝食もまぁまぁね。朝から杏仁プリン贅沢すぎるぅ」
出発は正午ですがエレインにはそれまでに行く場所があります。
馬も引いて歩かないといけないところですので包丁を買っておかないと調理が出来ません。
「あの…一応厨房には調理器具は一式ありますので買わなくてもいいんですが」
「いいえ?家は出る時に査定がありますよね。出来るだけ綺麗に使いますが厨房周りはどうしても汚れますから調理は野営を考えてるんで気にしないでください」
「や、野営?そんなことさせられませんよ」
「じゃ、させないように一緒に来ます?」
「それは無理ですけど…」
「無理なら口出ししない事です。口を出すなら金も出さないと。動きもしない金も出さない、でも口は出す。どんだけ上からモノ言ってるんです?まぁいいですけど」
公爵家の執事もタジタジになっておりますね。
仕方ありません。エレインは元々スローライフがしたかったんですし。
「ついでに馬も買ってきますので、私の荷物だけ…あ~どうしようかな」
「荷物は運ばせていただきます」
「ん~でもあれ初版が多いんだよねぇ。水濡れしたりとかだと目も当てられない」
「雨は仕方ないと思いますが」
「仕方ないで済むなら仕立て屋はいらないんです。荷物も自分で運びますね。1年でオサラバする嫁に手間なんかかけられないでしょう?」
「いえ、そこまでは…」
「はい、ダウト」
「ダ、ダウト?」
「本音と建て前。よく判るけど合理性と利便性も考えないと。あと顧客のニーズね」
「は、はぁ‥」
「じゃぁ買い物してきますんで」
嵐のように過ぎ去っていくエレイン。使用人は見送る事しか出来ません。
食堂の入り口でやり取りを聞いていたパトリック。思わず吹き出して笑いながら入ってきます。
「どうだ?」
「言葉は別として、マナーや所作については申し分ないと思います」
「だが引きこもるそうだ。夜会も茶会も彼女と行ってくれと陛下の前で言われた」
「ま、まさか?」
「父上も母上も…リリシアは良く思っていない。だが…契約だと言うんで喋ったから早々に別宅に戻られただけだ」
「陛下の前で‥‥愛人の存在を仰ったのですか?」
「あぁ、両陛下と王太子殿下、第二王子殿下、両親、親族一同の前でな。その時に別居宣言もされた。何もかも想定の斜め上どころかはみ出て線も引けないご令嬢だよ」
1人の朝食をゆっくりと食べるパトリック。リリシアは先に領地へ送ったので待っていてくれるだろうと果実水でパンを飲み込みます。
一方お買い物中のエレイン。まずは朝市。ここで新鮮な野菜を大人買いです。
「ここからここまで全部」
「お、お嬢ちゃん冗談言っちゃいけないよ」
「冗談じゃないわ。朝市の野菜見たけどここの野菜が一番イイ物だからよ」
「う、嬉しいけどさ‥‥商売あがったりだよ」
「なんで?全部買うわよ?お金払いますし」
「な、なにより持って帰れないだろう?」
「帰るんじゃないです。持ち運ぶんです」
そう言って、指をパチンと慣らしモゴモゴと詠唱すると黒い穴がポカリと浮かびます。
「この中に放り込んじゃってくださいな」
「ヒャァ…初めて見たよ。移動できるのかい?」
「そうよ?改良に改良を重ねたんだから!ヘヘン」
「わかった。全部持っていきな。おまけもしとくよ」
「オマケはいいわ。それより美味しいパン屋を教えて」
「まさかそこでも?」
「オゥライッ!大人買いよ♡」
しかしこれでもおそらく1か月持てばよい方です。エレインも面倒なのか買えるだけ買い込む戦法に出たようです。
5軒の野菜の屋台、7軒のパン屋、2軒の肉屋で大人買いをして全てマジック保管庫に収納していきます。
重さ的には5グラムくらい。持ち運び便利なマジック保管庫。
お目当ての包丁の他に調理器具や食器も買い込んで最後は馬です。
動物を売っている区画に行くと、ちょっと体が小さめの馬が安く売られています。
あと、馬肉用と書かれた馬も。その足元にはヤギもいます。
「ねぇおじさん、どうしてこの馬は安いの?」
「こいつか?こいつは生まれた時にちょっと足が曲がったんだ。ゆっくり少量を運ぶには問題ないが大きい荷物はは運べないからさ」
「こっちのお肉用は?」
「年をとったからさ、あと何年も生きるより馬肉にしたほうがエサ代がかからないからな」
「そうなんだ…。じゃぁこれ全部ください」
「全部?荷物も碌に運べないんだぜ?」
「いいの。趣味の牧場するだけだから」
こうして自分と荷物を運ぶ若い馬を1頭、馬肉用と書かれた馬を14頭、ヤギを23匹買ったエレイン。
若い馬1頭を残してマジック厩舎に入れて公爵邸に戻りました。
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