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41:ハルメス山、噴火する
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その日は申請では「排水路」実際は「運河」の開通前夜だった。
1年半かかったがやっと開通の運びとなった。
漁港側は木の板で水門を作り、元々の川との合流地点と境界を設けている。
ため池側は既にちょろちょろと水が出始めていて隔てているのは巾10mほどの「土の壁」である。
明日はそこにアフロディルテが氷魔法で土の壁を凍らせ、雷魔法で稲妻をぶつければ崩壊し、ため池の水は領民達が掘った「排水路」に流れ出て行く。
水が程よく抜けたら堰き止めていた木々や礫を取り除き、本流となる川への水流も復活する。ため池の反対側も工程の半分ほどは掘り終わっていて、こちらは繋がれば上流に当たる高さがあるので水は少ないが木材を運ぶための水量は問題ない。緩やかである分、重量のある木材は容易に搬出出来るようになる。
漁業組もアフロディルテが新造した船10隻に加えて、売り上げを持ち寄って新たに5隻を新造。その5隻は沖合で乗り換えが必要にはなるが30人乗りと大きめである。
櫓を人の手で漕いでいたが、ラクンドッグ達も運河建設を手伝いに来た際、土を持ち上げる滑車をみて水平に置いた滑車で櫓が漕げないかと設計士に相談し、動力となる滑車を回す人間は3人必要だがそれまでの船では考えられないような馬力の出る船になった。
「用意は終わったか?」
着替えをしていたアフロディルテの元にルシードがやって来た。
いつものラフな服装やストライプの寝間着、汗と土で汚れた隊服と違い今日は正装である。
アフロディルテも領に来て初めてといっていいほどご無沙汰なドレスに身を包んだ。
「あら?ルシード様。今日も素敵ですわ」
「う…うん。ありがとう…その…」
「どうしましたの?まだ氷漬けにはしていないのに…緊張していますの?」
「違うんだ。その…綺麗・・・だ」
日焼けしたルシードは耳まで赤くなり、アフロディルテを直視できない。
だがオクトに肘でツンツンされてやっと顔を上げた。
「あ・・・」
「どうされましたの?」
「すまない」
ドレス姿のアフロディルテはとても美しかった。だが…顔を上げたルシードは嫌でも現実を見た。王都から持ってきたドレスは豪奢なものだが、それ以外は何もない。
そう、アフロディルテは領地改革をする為に持っていた宝飾品は全部売ったのだ。
胸元で輝くネックレスも、耳たぶにある筈のイヤリングも、髪を留める髪飾りもない。手も手袋をしているが指輪もしていないのだ。
「何も贈ってあげられなくて…ごめん」
「あら?お金で買えないものは沢山貰っておりますもの。着飾ったところでその場だけ。宝飾品などわたくしには何の価値も御座いませんのよ?」
「シャティ…」
「さぁ、みなさんがお待ちですわ。参りましょう?」
ルシードのエスコートで会場となった屋敷のホールに集まった領民の前に出る。
歓声が上がる中、2人はゆっくりと階段を下りる為に歩いて行った。
その時。
ガタッ…ガタッ…ガタタタタタ‥‥
「伏せろ!頭を庇えっ!」
「わぁぁぁー」「キャァァーッ!!」
いつもになく大きく大地が揺れた。テーブルにあった料理は滑って床に落ち、グラスも割れる。テーブルの下に潜ろうにもテーブルがあっちへこっちへと床を滑り隠れる意味がない。
阿鼻叫喚の中、今度は突き上げるような振動に全員の体が宙に浮いた。
ドゴーン!!
まだ揺れが収まらない中、全員が硬直し目を見開いた。
「部屋の奥へ!みんな!その通路へ走れ!ここから逃げろ!」
ルシードの声がホールに轟く。同時に外から窓ガラスを突き破り石がガラスと共に降ってきた。
「ハルメス山が火を噴いた?!嘘だろっ?!」
誰が叫んだがは判らない。集まった民衆は一斉に奥の廊下に向けて走り、立てない者も転びながら逃げ込んだ。
「自警団の者は皆を漁港に誘導!急ぎなさい!」
手摺に片手を伸ばし、体を盾にして覆いかぶさったルシードの下でアフロディルテが叫んだ。
「住民登録の係はいる?!いたら魔石を持って漁港に走りなさい!全員の名前をその場で確認!」
「はっ!はいっ!!」
階下で声がする。アフロディルテは被さっているルシードを体を捩じり見た。
「シャティ。怪我はないか?俺たちも逃げるぞ」
「ルシード様、わたくしは取り残されたものがいないか見て参ります。ルシード様は皆の誘導を」
「何を言うんだ?!危険すぎる。それなら俺が見て来る。領主の務めだ」
「だからです!領主であるわたくしが参ります」
「どう言う事だ?」
ルシードの胸を少し手で押すように体を離すとアフロディルテは「ごめんなさい」と呟いた。
「この領に来る時、エバンジェ侯爵からこの領は持参金としてわたくしが受け取ったのです。今は子爵家となっております。書面上の当主はわたくし。ルシード様は婿入りなのです。黙っていて…申し訳ございません」
「シャティが…領主?」
「はい。ルシード様の矜持を傷つけると思い…時が来ればとお伝えするのが遅くなりました」
ルシードはアフロディルテが何を言っているのか今一つ理解が出来なかった。内容は判っているのだ。自分が領主でない事が理解できないのではない。そんな事はどうでも良かった。
だが、アフロディルテは領主としてこの危険な状況の中、残らねばならない。それが理解出来なかった。
「そ、そんなのはどうでもいい。残った者がいないか。俺が見て来る。シャティは皆と共に漁港に向かうんだ」
「旦那様ぁーっ!旦那様ーッ!!うわぁぁ!」
オクトの声がする。同時にまた屋敷が揺れた。
ルシードとアフロディルテはお互いの目を見て動かなかったが、アフロディルテが笑みを浮かべた。
「ルシード様。わたくしの愛するただ一人の夫。愛しています」
そう言ってアフロディルテはルシードの唇に自身の唇を合わせた。
ゆっくりと唇が離れるとルシードはアフロディルテの名を呼ぼうと唇が動く。
だが、アフロディルテはルシードの体に氷の縄を纏わせ動きを封じた。
「オクト!ここです!ここにいます!」
アフロディルテがオクトに向かって叫んだ。その声にオクトが、そしてモルツが階段を駆け上がってきた。
「奥方様もご無事で。さぁ、漁港に参りましょう」
モルツが手を差し出すが、アフロディルテは覆いかぶさったルシードから抜け出しウェストからドレスの下部を引き千切るように取り外した。
下着ではなく、トラウザーズを着用しているのは「今も有事」と言い切ったアフロディルテならではである。
「領主として命じます。オクト、モルツ、ルシード様を連れて漁港に避難。沖合に停泊させた船に領民を避難させなさい。乗り切らない領民は磯の高台に集めなさい。全員が揃っているか住民登録課の者と魔石で照らし合わせなさい」
「奥方様はどうされるのです?まさか?!」
「今はわたくしの事を心配している場合ではありません!早くルシード様を。急ぎなさい!命令です!」
「従えませんっ!主の間違いを正すのは家令、執事の役目です。奥方様を置いて行くことは出来ません。逃げ遅れたものがいないか。その確認は私達に命じてくださいッ!」
「モルツ。ありがとう。でも間違ってはいないと自負しているの。間違いだと認めたら…挫けちゃうでしょう?さぁ、行きなさい。死ぬって決まってるわけじゃないんだから、そんな心配は不要よ?揺れが収まっているうちに早くっ!」
「ですがっ!」
「モルツ、従うんだ。奥方様、後ほど報告をさせて頂きます」
「ありがとう。オクト」
屋敷から最後に出たのは動けなくしたルシードを連れたオクトとモルツ。
その背を見送ったアフロディルテは氷魔法で馬を作り、跨る。馬を走らせると多くの領民が走って来る。
「漁港へ!漁港へ急ぎなさい!」
声を掛けながらも人数を数え、その先に住まいのある領民の数と頭で照らし合わせ、近場にある民家に行き氷の馬を下りて中を覗き、声を掛ける。
反応が無ければ次の家。そしてまた次の家。
ふと前を見れば前回の噴火同様に火口ではない場所から噴火をしたのが見える。
「奥方様!この先は俺らが最後です。ばっちゃんと俺が最後だ!」
「ありがとう!向こうは?」
「そっちは判んねぇ」
「判ったわ。気を付けて。漁港に行くのよ」
「うん。奥方様も早く!」
自警団にも所属している男性は年老いた母親を背にあぜ道を走っていく。
アフロディルテは「判んねぇ」と言った方向にある3軒の民家に向かって氷の馬を走らせた。
1年半かかったがやっと開通の運びとなった。
漁港側は木の板で水門を作り、元々の川との合流地点と境界を設けている。
ため池側は既にちょろちょろと水が出始めていて隔てているのは巾10mほどの「土の壁」である。
明日はそこにアフロディルテが氷魔法で土の壁を凍らせ、雷魔法で稲妻をぶつければ崩壊し、ため池の水は領民達が掘った「排水路」に流れ出て行く。
水が程よく抜けたら堰き止めていた木々や礫を取り除き、本流となる川への水流も復活する。ため池の反対側も工程の半分ほどは掘り終わっていて、こちらは繋がれば上流に当たる高さがあるので水は少ないが木材を運ぶための水量は問題ない。緩やかである分、重量のある木材は容易に搬出出来るようになる。
漁業組もアフロディルテが新造した船10隻に加えて、売り上げを持ち寄って新たに5隻を新造。その5隻は沖合で乗り換えが必要にはなるが30人乗りと大きめである。
櫓を人の手で漕いでいたが、ラクンドッグ達も運河建設を手伝いに来た際、土を持ち上げる滑車をみて水平に置いた滑車で櫓が漕げないかと設計士に相談し、動力となる滑車を回す人間は3人必要だがそれまでの船では考えられないような馬力の出る船になった。
「用意は終わったか?」
着替えをしていたアフロディルテの元にルシードがやって来た。
いつものラフな服装やストライプの寝間着、汗と土で汚れた隊服と違い今日は正装である。
アフロディルテも領に来て初めてといっていいほどご無沙汰なドレスに身を包んだ。
「あら?ルシード様。今日も素敵ですわ」
「う…うん。ありがとう…その…」
「どうしましたの?まだ氷漬けにはしていないのに…緊張していますの?」
「違うんだ。その…綺麗・・・だ」
日焼けしたルシードは耳まで赤くなり、アフロディルテを直視できない。
だがオクトに肘でツンツンされてやっと顔を上げた。
「あ・・・」
「どうされましたの?」
「すまない」
ドレス姿のアフロディルテはとても美しかった。だが…顔を上げたルシードは嫌でも現実を見た。王都から持ってきたドレスは豪奢なものだが、それ以外は何もない。
そう、アフロディルテは領地改革をする為に持っていた宝飾品は全部売ったのだ。
胸元で輝くネックレスも、耳たぶにある筈のイヤリングも、髪を留める髪飾りもない。手も手袋をしているが指輪もしていないのだ。
「何も贈ってあげられなくて…ごめん」
「あら?お金で買えないものは沢山貰っておりますもの。着飾ったところでその場だけ。宝飾品などわたくしには何の価値も御座いませんのよ?」
「シャティ…」
「さぁ、みなさんがお待ちですわ。参りましょう?」
ルシードのエスコートで会場となった屋敷のホールに集まった領民の前に出る。
歓声が上がる中、2人はゆっくりと階段を下りる為に歩いて行った。
その時。
ガタッ…ガタッ…ガタタタタタ‥‥
「伏せろ!頭を庇えっ!」
「わぁぁぁー」「キャァァーッ!!」
いつもになく大きく大地が揺れた。テーブルにあった料理は滑って床に落ち、グラスも割れる。テーブルの下に潜ろうにもテーブルがあっちへこっちへと床を滑り隠れる意味がない。
阿鼻叫喚の中、今度は突き上げるような振動に全員の体が宙に浮いた。
ドゴーン!!
まだ揺れが収まらない中、全員が硬直し目を見開いた。
「部屋の奥へ!みんな!その通路へ走れ!ここから逃げろ!」
ルシードの声がホールに轟く。同時に外から窓ガラスを突き破り石がガラスと共に降ってきた。
「ハルメス山が火を噴いた?!嘘だろっ?!」
誰が叫んだがは判らない。集まった民衆は一斉に奥の廊下に向けて走り、立てない者も転びながら逃げ込んだ。
「自警団の者は皆を漁港に誘導!急ぎなさい!」
手摺に片手を伸ばし、体を盾にして覆いかぶさったルシードの下でアフロディルテが叫んだ。
「住民登録の係はいる?!いたら魔石を持って漁港に走りなさい!全員の名前をその場で確認!」
「はっ!はいっ!!」
階下で声がする。アフロディルテは被さっているルシードを体を捩じり見た。
「シャティ。怪我はないか?俺たちも逃げるぞ」
「ルシード様、わたくしは取り残されたものがいないか見て参ります。ルシード様は皆の誘導を」
「何を言うんだ?!危険すぎる。それなら俺が見て来る。領主の務めだ」
「だからです!領主であるわたくしが参ります」
「どう言う事だ?」
ルシードの胸を少し手で押すように体を離すとアフロディルテは「ごめんなさい」と呟いた。
「この領に来る時、エバンジェ侯爵からこの領は持参金としてわたくしが受け取ったのです。今は子爵家となっております。書面上の当主はわたくし。ルシード様は婿入りなのです。黙っていて…申し訳ございません」
「シャティが…領主?」
「はい。ルシード様の矜持を傷つけると思い…時が来ればとお伝えするのが遅くなりました」
ルシードはアフロディルテが何を言っているのか今一つ理解が出来なかった。内容は判っているのだ。自分が領主でない事が理解できないのではない。そんな事はどうでも良かった。
だが、アフロディルテは領主としてこの危険な状況の中、残らねばならない。それが理解出来なかった。
「そ、そんなのはどうでもいい。残った者がいないか。俺が見て来る。シャティは皆と共に漁港に向かうんだ」
「旦那様ぁーっ!旦那様ーッ!!うわぁぁ!」
オクトの声がする。同時にまた屋敷が揺れた。
ルシードとアフロディルテはお互いの目を見て動かなかったが、アフロディルテが笑みを浮かべた。
「ルシード様。わたくしの愛するただ一人の夫。愛しています」
そう言ってアフロディルテはルシードの唇に自身の唇を合わせた。
ゆっくりと唇が離れるとルシードはアフロディルテの名を呼ぼうと唇が動く。
だが、アフロディルテはルシードの体に氷の縄を纏わせ動きを封じた。
「オクト!ここです!ここにいます!」
アフロディルテがオクトに向かって叫んだ。その声にオクトが、そしてモルツが階段を駆け上がってきた。
「奥方様もご無事で。さぁ、漁港に参りましょう」
モルツが手を差し出すが、アフロディルテは覆いかぶさったルシードから抜け出しウェストからドレスの下部を引き千切るように取り外した。
下着ではなく、トラウザーズを着用しているのは「今も有事」と言い切ったアフロディルテならではである。
「領主として命じます。オクト、モルツ、ルシード様を連れて漁港に避難。沖合に停泊させた船に領民を避難させなさい。乗り切らない領民は磯の高台に集めなさい。全員が揃っているか住民登録課の者と魔石で照らし合わせなさい」
「奥方様はどうされるのです?まさか?!」
「今はわたくしの事を心配している場合ではありません!早くルシード様を。急ぎなさい!命令です!」
「従えませんっ!主の間違いを正すのは家令、執事の役目です。奥方様を置いて行くことは出来ません。逃げ遅れたものがいないか。その確認は私達に命じてくださいッ!」
「モルツ。ありがとう。でも間違ってはいないと自負しているの。間違いだと認めたら…挫けちゃうでしょう?さぁ、行きなさい。死ぬって決まってるわけじゃないんだから、そんな心配は不要よ?揺れが収まっているうちに早くっ!」
「ですがっ!」
「モルツ、従うんだ。奥方様、後ほど報告をさせて頂きます」
「ありがとう。オクト」
屋敷から最後に出たのは動けなくしたルシードを連れたオクトとモルツ。
その背を見送ったアフロディルテは氷魔法で馬を作り、跨る。馬を走らせると多くの領民が走って来る。
「漁港へ!漁港へ急ぎなさい!」
声を掛けながらも人数を数え、その先に住まいのある領民の数と頭で照らし合わせ、近場にある民家に行き氷の馬を下りて中を覗き、声を掛ける。
反応が無ければ次の家。そしてまた次の家。
ふと前を見れば前回の噴火同様に火口ではない場所から噴火をしたのが見える。
「奥方様!この先は俺らが最後です。ばっちゃんと俺が最後だ!」
「ありがとう!向こうは?」
「そっちは判んねぇ」
「判ったわ。気を付けて。漁港に行くのよ」
「うん。奥方様も早く!」
自警団にも所属している男性は年老いた母親を背にあぜ道を走っていく。
アフロディルテは「判んねぇ」と言った方向にある3軒の民家に向かって氷の馬を走らせた。
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