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父親譲りの生命力
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「急いで!オーベル伯爵家に行って馬車を借りて来て。あなたはコルム先生の屋敷に走って入院のお願いをしてきて頂戴」
バタバタと子爵家の使用人さんが走る音が聞こえます。
頭もガンガンとまるで血管が腕くらいに大きくなったり、蜘蛛の糸のように細くなったりを繰り返しているような感覚と強い痛みがあるのです。
「お姉ちゃんっ。大丈夫、直ぐに先生に診てもらえるから!もう出血もしてない。大丈夫よ」
わたくしの事をお姉ちゃんと呼んでくれるモリナス子爵夫人は実際はアポロン様より年上だと思います。お姉ちゃんと呼ぶのは、言ってみれば母親が子供を呼ぶような感じです。
だからでしょうか。大丈夫と言われると本当にもう大丈夫だという気になるのです。
「奥様、応急ですが担架を作りました。ゆっくり乗せましょう」
長めの角材にリネンを括りつけてハンモックに似ていますが前後ではなく左右に支えがある感じです。
「お姉ちゃん、ちょっとだけ宙に浮くけど安心して」
「は‥い」
「いいわ。掛け声をかけてゆっくりね」
「判りました。そっちはいいか?いくぞ、1、2、3っ」
モリナス子爵家の馬車は寝たままでは庫内に入らないので大きな馬車を借りて来てくださいました。
移動中もずっと使用人さんが担架の先を持ってくださって、揺れをあまり感じません。モリナス子爵夫人はずっと「大丈夫」「寝ちゃダメ」「返事して」と声をかけてくれるのです。
コルム先生というのは、産婆さんの事で夜中や突然のお産にも対応してくれるのだそうです。ですがあくまでも産婆さんでありお医者様ではありません。
「切迫流産だね。早く収縮を抑える薬を…だけとここは産院だからね。元々見てくれている医者はいないのかい?まだ初期だから診察はしてないんだろうか。安易に薬を飲ませるのも判断がここじゃつかないよ」
「困ったわね…仕方ない…誰か!エンデバーグ公爵家に行って頂戴。何処の医者か聞いて来て」
産婆さんが流れ出た血液を綺麗に拭き取ってくれます。
なんとなくですが安心してしまってわたくしは意識を手放したのです。
「‥‥じね…‥‥連絡は…の?」
「‥‥い、直ぐに来ま‥‥」
誰かの話声がして目が覚めました。「お姉ちゃんっ!」大きな声ですが泣いているのが判ります。ギュッと手を握られました。モリナス子爵夫人のようです。
もう片方の手首にそっと触れているのは公爵家に来て下さった女医さんでした。
「気分はどう?」
「頭が重いです‥‥あの…」
「赤ちゃんなら無事。生命力の強さは父親の図々しさ譲りかしらね」
「ごめんね。お姉ちゃん。ストレスだったのね。ごめんねぇぇぇ」
「夫人はよくやってくれたと思うわよ。適切な処置だったし」
「あれはぁ…馴染みの産婆さんに頼んっ‥んぐっ…ぶえぇぇっ‥良かったぁ」
「ま、しばらくは安静。ゆっくりここで寝てなさい」
どうやらわたくしはストレスを感じて体が悲鳴をあげていたようです。
それに、まだ頭の怪我も治りきっていなかったので知らず知らずに無理をしていたのでしょう。
「でもね、この夫人がいなかったらとっくに死んでるわよ?いい?どこの世界に安静だと言われたケガ人が10キロも歩くの!あの雨にこの夫人が助けてくれなきゃとっくに死んでるわよ?数日ゆっくりさせてもらったから体力が少し回復してたようなもの!全くあの能無しデカ野郎に一発くれてやりたいわ。あれほど言ったのに」
「いえ、先生…わたくしもう公爵家は出たんです」
「はっ?どういう事?ケガさせた上に身重のご夫人を追い出したって事?」
「いえ、色々ありまして。ここの治療費は――」
「そんな事、今考えない!貴女は寝る!食べる!飲む!笑う!いいわね?」
切迫流産と言われたわたくしは、今度は女医さんの診療所でご厄介になります。
アポロン様の元に走った子爵家の使いの方が、エンデバーグ公爵家に行くと女性が2人しかいなかったそうなのです。多分女医さんではないかと聞いて呼んでくださったのだそうです。
ですが女性が2人とはどういうことなのでしょう。使用人さんも沢山いたはずなのです。
そんな事よりもモリナス子爵夫人には本当に感謝せねばなりません。
「ありがとうございます。助かりました」
「どうする?公爵様に連絡する?ウチ旦那が帰ってきたそうだから旦那に頼んでもいいよ?」
「いえ、そこまでお世話になるわけには…」
「なんだか落ち着いてみたらさ、なんだかんだ言ってもこの子の父親は公爵様なんでしょう?だったら話し合った方が良いよ?親権の事も在るだろうけど無茶言うなら旦那に頼んで代言人を紹介するし。それにあの雨の中…結構必死だったと思うよ?お姉ちゃんの事心配して探してるんじゃないかなって思うんだけど」
「そうでしょうか…」
「夫婦の事だから色々あるけど、アハハ…なんか…高位貴族の人も軍師様って呼ばれてても人間なんだなって思っちゃった。あ、重い話なら無理はしない方が良いよ?でも今思えば…公爵様から嫌な感じはしなかった気がするんだよねぇ。1人のおばちゃんの意見だから軽く考えて。じゃ、私は屋敷に戻るわね」
「はい。本当にありがとうございました」
「いいの。いいの。またね」
◇~◇~◇
日は薬と申します。
女医さんの医院に来て、毎日のようにモリナス子爵夫人は日中お見舞いに来て下さいます。
10日も経てば、わたくしは切迫流産よりも頭の怪我の為の安静だと言われました。
やっと御不浄にも歩いて行って良いと言われてホッとしました。
看護師さんはそれも仕事と仰るのですがどうしても恥ずかしさがあったのです。
動く事が出来て、範囲が広がれば色々考えなければいけません。
一番はお腹の子を無事に生む事。次にアポロン様の事。
確かにアポロン様の御子で間違いはないのでお話はしなくてはいけません。
そしてセリーヌ伯爵家にも連絡はせねばならないでしょう。
子供の事を考えれば、手に職も働いた事もないわたくしがこの状態で市井で生き抜くのは無理でしょう。妊娠していなければ何とかなったかも知れませんが、そうではないのですから。
そしてバッファベルトお義兄様にどうやって知らせるか。公爵家を出た事を言えば間違いなく「どうして」と問われるでしょう。本当のことを言えば色んな人に迷惑がかかってしまいます。
ですが、そうなればこの子は‥‥継承権争いに巻き込まれるのでしょうか。
する事が無いと段々寝られなくなってきます。
コチコチと時計の秒針の音だけが聞こえる部屋で窓の外を見ました。
ただ、空を流れていく雲を寝台に首だけを向けて眺めます。
――どうして結婚しちゃったんだろうな――
そんな事を思ってどれくらい時間が経ったのでしょうか。空が少し明るくなり始めた頃です。
少しだけウトウトし始めた時、廊下の方が騒がしくなってきます。
わたくしにように突然の急病人が運ばれてきたのでしょうか。
ですが、足音はどんどんこの部屋に近くなってきます。「何をしているの!」女性の声に交じって「ここにいるのでしょう?!」男性の声が聞こえます。
声に聞き覚えがありました。多分間違いないと思います。
――アポロン様――
ガチャっ!! 「テ…ティーッ!!!」
起き上がる事は出来ませんでしたが、クシャっと顔を歪めたのはアポロン様でした。
バタバタと子爵家の使用人さんが走る音が聞こえます。
頭もガンガンとまるで血管が腕くらいに大きくなったり、蜘蛛の糸のように細くなったりを繰り返しているような感覚と強い痛みがあるのです。
「お姉ちゃんっ。大丈夫、直ぐに先生に診てもらえるから!もう出血もしてない。大丈夫よ」
わたくしの事をお姉ちゃんと呼んでくれるモリナス子爵夫人は実際はアポロン様より年上だと思います。お姉ちゃんと呼ぶのは、言ってみれば母親が子供を呼ぶような感じです。
だからでしょうか。大丈夫と言われると本当にもう大丈夫だという気になるのです。
「奥様、応急ですが担架を作りました。ゆっくり乗せましょう」
長めの角材にリネンを括りつけてハンモックに似ていますが前後ではなく左右に支えがある感じです。
「お姉ちゃん、ちょっとだけ宙に浮くけど安心して」
「は‥い」
「いいわ。掛け声をかけてゆっくりね」
「判りました。そっちはいいか?いくぞ、1、2、3っ」
モリナス子爵家の馬車は寝たままでは庫内に入らないので大きな馬車を借りて来てくださいました。
移動中もずっと使用人さんが担架の先を持ってくださって、揺れをあまり感じません。モリナス子爵夫人はずっと「大丈夫」「寝ちゃダメ」「返事して」と声をかけてくれるのです。
コルム先生というのは、産婆さんの事で夜中や突然のお産にも対応してくれるのだそうです。ですがあくまでも産婆さんでありお医者様ではありません。
「切迫流産だね。早く収縮を抑える薬を…だけとここは産院だからね。元々見てくれている医者はいないのかい?まだ初期だから診察はしてないんだろうか。安易に薬を飲ませるのも判断がここじゃつかないよ」
「困ったわね…仕方ない…誰か!エンデバーグ公爵家に行って頂戴。何処の医者か聞いて来て」
産婆さんが流れ出た血液を綺麗に拭き取ってくれます。
なんとなくですが安心してしまってわたくしは意識を手放したのです。
「‥‥じね…‥‥連絡は…の?」
「‥‥い、直ぐに来ま‥‥」
誰かの話声がして目が覚めました。「お姉ちゃんっ!」大きな声ですが泣いているのが判ります。ギュッと手を握られました。モリナス子爵夫人のようです。
もう片方の手首にそっと触れているのは公爵家に来て下さった女医さんでした。
「気分はどう?」
「頭が重いです‥‥あの…」
「赤ちゃんなら無事。生命力の強さは父親の図々しさ譲りかしらね」
「ごめんね。お姉ちゃん。ストレスだったのね。ごめんねぇぇぇ」
「夫人はよくやってくれたと思うわよ。適切な処置だったし」
「あれはぁ…馴染みの産婆さんに頼んっ‥んぐっ…ぶえぇぇっ‥良かったぁ」
「ま、しばらくは安静。ゆっくりここで寝てなさい」
どうやらわたくしはストレスを感じて体が悲鳴をあげていたようです。
それに、まだ頭の怪我も治りきっていなかったので知らず知らずに無理をしていたのでしょう。
「でもね、この夫人がいなかったらとっくに死んでるわよ?いい?どこの世界に安静だと言われたケガ人が10キロも歩くの!あの雨にこの夫人が助けてくれなきゃとっくに死んでるわよ?数日ゆっくりさせてもらったから体力が少し回復してたようなもの!全くあの能無しデカ野郎に一発くれてやりたいわ。あれほど言ったのに」
「いえ、先生…わたくしもう公爵家は出たんです」
「はっ?どういう事?ケガさせた上に身重のご夫人を追い出したって事?」
「いえ、色々ありまして。ここの治療費は――」
「そんな事、今考えない!貴女は寝る!食べる!飲む!笑う!いいわね?」
切迫流産と言われたわたくしは、今度は女医さんの診療所でご厄介になります。
アポロン様の元に走った子爵家の使いの方が、エンデバーグ公爵家に行くと女性が2人しかいなかったそうなのです。多分女医さんではないかと聞いて呼んでくださったのだそうです。
ですが女性が2人とはどういうことなのでしょう。使用人さんも沢山いたはずなのです。
そんな事よりもモリナス子爵夫人には本当に感謝せねばなりません。
「ありがとうございます。助かりました」
「どうする?公爵様に連絡する?ウチ旦那が帰ってきたそうだから旦那に頼んでもいいよ?」
「いえ、そこまでお世話になるわけには…」
「なんだか落ち着いてみたらさ、なんだかんだ言ってもこの子の父親は公爵様なんでしょう?だったら話し合った方が良いよ?親権の事も在るだろうけど無茶言うなら旦那に頼んで代言人を紹介するし。それにあの雨の中…結構必死だったと思うよ?お姉ちゃんの事心配して探してるんじゃないかなって思うんだけど」
「そうでしょうか…」
「夫婦の事だから色々あるけど、アハハ…なんか…高位貴族の人も軍師様って呼ばれてても人間なんだなって思っちゃった。あ、重い話なら無理はしない方が良いよ?でも今思えば…公爵様から嫌な感じはしなかった気がするんだよねぇ。1人のおばちゃんの意見だから軽く考えて。じゃ、私は屋敷に戻るわね」
「はい。本当にありがとうございました」
「いいの。いいの。またね」
◇~◇~◇
日は薬と申します。
女医さんの医院に来て、毎日のようにモリナス子爵夫人は日中お見舞いに来て下さいます。
10日も経てば、わたくしは切迫流産よりも頭の怪我の為の安静だと言われました。
やっと御不浄にも歩いて行って良いと言われてホッとしました。
看護師さんはそれも仕事と仰るのですがどうしても恥ずかしさがあったのです。
動く事が出来て、範囲が広がれば色々考えなければいけません。
一番はお腹の子を無事に生む事。次にアポロン様の事。
確かにアポロン様の御子で間違いはないのでお話はしなくてはいけません。
そしてセリーヌ伯爵家にも連絡はせねばならないでしょう。
子供の事を考えれば、手に職も働いた事もないわたくしがこの状態で市井で生き抜くのは無理でしょう。妊娠していなければ何とかなったかも知れませんが、そうではないのですから。
そしてバッファベルトお義兄様にどうやって知らせるか。公爵家を出た事を言えば間違いなく「どうして」と問われるでしょう。本当のことを言えば色んな人に迷惑がかかってしまいます。
ですが、そうなればこの子は‥‥継承権争いに巻き込まれるのでしょうか。
する事が無いと段々寝られなくなってきます。
コチコチと時計の秒針の音だけが聞こえる部屋で窓の外を見ました。
ただ、空を流れていく雲を寝台に首だけを向けて眺めます。
――どうして結婚しちゃったんだろうな――
そんな事を思ってどれくらい時間が経ったのでしょうか。空が少し明るくなり始めた頃です。
少しだけウトウトし始めた時、廊下の方が騒がしくなってきます。
わたくしにように突然の急病人が運ばれてきたのでしょうか。
ですが、足音はどんどんこの部屋に近くなってきます。「何をしているの!」女性の声に交じって「ここにいるのでしょう?!」男性の声が聞こえます。
声に聞き覚えがありました。多分間違いないと思います。
――アポロン様――
ガチャっ!! 「テ…ティーッ!!!」
起き上がる事は出来ませんでしたが、クシャっと顔を歪めたのはアポロン様でした。
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